アネモネ

ぱる@あいけん風ねこ

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12 - 二学年 三学期 冬 -

02

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◇◆◇




三学期が始まって1週間。
姉ちゃんが帰って来た。
大量の荷物と一緒に。




「やーん!航ちゃん久しぶりー!!」
「うん…ひさし、ぶり…あの、姉ちゃ…くる、しぃっ…!」




玄関で出迎えた瞬間、挨拶する前に抱きしめられた。
うれしいけど苦しいし恥ずかしいからやめてくれ!!

すぐそこに大倉いるし!姉ちゃんの後ろには甥っ子姪っ子陽介さんがいるから!やめて!お願いやめて!!




「彩ちゃん、離してあげな」
「はぁーい」
「はぁ…、」




陽介さん、ありがとう。まじで窒息するかと思った。

久しぶりに見た姉ちゃんは、前よりもキレイになってて、本当に二児の母なのか?と疑いたくなるくらい。
そして陽介さんも、昔に比べて大人の人だ。
2人が高校の時に会ったのが最後だったから、よけいにそう思うのかも知れない。




「こうちゃ!」
「おー!真斗!大きくなったな!」
「んー!!」




甥っ子の真斗は、今年で3歳。
写真とか、テレビ通話でしか見てなかったけど、その時より大きくなってる。
姪っ子の朱美は陽介さんに抱っこされてる。かわいい。




「あ、姉ちゃん」
「ん?」
「これ、大倉」
「あ!大倉くん!!やだ、すっごいイケメン!!」
「初めまして。大倉 太史です」
「初めましてー!航ちゃんの姉の彩子です!こっちが旦那の陽介!仲良くしてねー!」
「はい」




あ、なんかいいな、こう言うの。
家族に大倉紹介するって、なんか大倉も家族になったみたいでいいな、すごく。

玄関で話してるのもなんだから、とりあえずリビングに行くことにした。
てか、このダンボールなに?何が入ってるの?




「お母さんは?」
「買い物行った」
「そっか」
「ね、その荷物何?」
「あ、これ?航ちゃんと大倉くんにお土産!」




そう言って渡されたのは、よく分からない木彫りのオブジェ。
不思議な形してて、本当によく分からない。
なんなのか聞いたら、姉ちゃんが住んでる県の特品らしく、持ってると良い事があるらしい。
だから俺と大倉にくれるって。相変わらずよく分かんない。


姉ちゃんは昔からそうだった。
感性が豊かと言うか、普通買うか?それっていうのを買って来る。
姉ちゃんが中学の時に行った修学旅行のお土産は、その土地で作られた皿だった。
高校の時は、オーストラリアに行ったんだけど、そこで売ってた魔除けをくれた。
てか、真琴もだったけどなんでみんな俺に魔除けをくれるの?俺って何かに取り憑かれてるの?



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