こっち向いて、運命。-半神騎士と猪突猛進男子が幸せになるまでのお話-

だいきち

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 なんだろう、ミハエルはまるでふわりとした膜に己が身を投じたかのような不思議な感覚を体で感じた。全身の神経が鋭敏に研ぎ澄まされる。ぴくんと瞼が震え、股で挟んだジキルの腰の太さと、そしてガッシリとした男らしい身体つきが輪郭を帯びる。あ、自分は今からこの人とそういう事をするのだと自覚した。
 插入は伴わない。理解している。涙目で顔を背けるように壁を薄めで見やると、ジキルが耳元に唇を寄せる。

「先生、しっかりと煽れ。男娼は半魔しか雇われねえ。人間のふりした淫魔のつもりでやってみな。」
「は、ぁあっ、…そ、んな、っ…」

 ぐっと腰を押し付けられる。半魔は見た目じゃわからない、だからこそこういう欲を伴う行為で本能に素直になるという。ミハエルは羽も尾も顕現させることはできない。ならば恥ずかしがってはいられないのだ。

「ぁ、や、っ…ね、…お、おしぇ、て…僕に、どうしたら、いいか…っ…」
「…あんたはただ、目ぇ瞑ってりゃいい。」
「でも、っ…」
「ああクソ、ひどい仕事だぜ全く…」
「ひぁ、っ…!」

 がじりと首筋に歯をたてられ、その胸元に大きな手が這わされた。熱い猛りがしっかりと股座に押し付けられながら揺さぶられる。ミハエルの性器も、布越しに摩擦されるように何度も擦り上げられるものだから、ジキルは自分の合わせた下肢でミハエルが反応しているのがわかると、ぐるると喉を鳴らす。
 
「や、だ。だめぇ…っ!で、でちゃ、や、やぁ、あっあっ!」
「そのほうが、信憑性あるだろう…!」
「ゃだ、ぁっか、かた、ひぅ、うっ!ふぇ、えっ…!」

 恥ずかしい、羞恥で死んでしまうかもしれない。ジキルの首にすがりついていたミハエルが、突然びくんと体を大きくはねさせた。

「先生?」
「さ、さりぇ、や、やめて…ひぁ、あっ!」
「あ!?」

 腰回りに違和感を感じ、ジキルが下肢を覗き込む。ミハエルの足がしっかりと開かされたまま、半透明な黒い手がミハエルの性器をしっかひと握りしめていた。布を押し付けるようにしてその立ち上がった形を露骨に示し、先端は先走りで濡らしたせいで薄く肌色を見せる。
 サリエルってなんだ。ジキルはわけのわからないまま、目の前で謎の手に善がらされているミハエルの痴態に思わず怪訝そうな顔をしてしまった。ちゅくちゅくと音を立てながら筒上にした手が布越しに擦り上げる。柔らかな尻肉に挟まれた薄絹にごくんと生唾を飲むと、訳はわからないが、どうやら協力してくれるようだと解釈する。

「そのまま、そうやって感じてな。そっちのが都合が良さそうだ。」
「ゃ、と、とめ、とめてぇっ!」
「それは無理だわ。」

 泣きながら縋り付かれるのは、なんというかクるものがある。ジキルはそのまま首筋に愛撫をくわえながらゆさゆさと揺らしてやると、か細い悲鳴を上げながらプチュンという小さな水音を立てる。緊張からか強張っていた体がずるんとベッドに投げ出される。ジキルの目の前に晒されたのは、布に肌の色を透けさせたミハエルの下肢と、布の合間を縫うように素肌に伝う白濁だ。
 視覚的に、ちょっと。いや、かなりアレだ。ジキルは犬歯が疼く感覚に苛まれながら、少しだけ伸びた爪を誤魔化すようにして手を握り込む。この薄い腹に突き立ててやりたいが、まだ己の愚息には活躍してもらいたい。

「こういうのがまじもんの据え膳っつーのかなあ。」
「はぁ、あ…も、ゃだ…」
「あーーー、全くいい仕事しやがるぜ。」
「も、い、ぅっ、い、イった、からぁ、あっ!」
「あ!?」

 鋭い快感に悲鳴交じりの甘い声が高々と上がった。達したミハエルを追い詰めるような行為はしていない。ジキルはぎょっとしてその身体を見下ろすと、まるで濡れた先端を摩擦するかのように悪戯に擦り上げられていた。同じ男として辛い事を強いる謎の手を嗜めるにも、どうしたらいいかわからない。顔を真っ赤にしながら身を悶えさせ、シーツを乱すミハエルをもっと見ていたかったというのもあるが。

「ゃ、ぁで、でちゃっ、ひぅ、うっ!」
「でちゃう!?」
「ゃだ、あっ!やだぁあっ、も、やめ、っぅあ、あぁっン!」

 なにが!?と思わず鼻を抑えたのは、ジキルの興奮が如実に現れそうになったからである。散々刺激していた黒い手によって、一際強く擦り上げられたミハエルは、その蕩けそうな美しい緑の瞳から大粒の涙を零したかと思うと、まるで引き寄せるかのようにジキルを抱き寄せたかと思うと、ちいさく声を漏らした。

「ご、ぇ…ぁさ、っ…」
「へ、」

 子猫の泣くような声でちいさく囁かれた謝罪のあと、腰にミハエルの細い脚が絡まった。
 ちいさく腰を震わしたミハエルを抱きしめながら、ジキルはの謝罪の意味をようやく理解した。
 じわりと暖かな何がが、重ねた股座に徐々にしみ込んでいく。快感に極まってしまったミハエルがしてしまった粗相が、ゆっくりと腰回りに広がっていく。肩口に顔を埋めさせたまま、ひっくと声を震わして本格的に泣き始めたミハエルの小さな頭を撫でながら、これはこれでご褒美何じゃねえかなぁとそんなことを思った。





「別にジキルなんだから気にしないって、そんな泣くことないよー。」
「気にしゃあしねえけどよ、それをお前が言うのか。」

 あれからしばらくして、ジキルはインベントリから替えの下着とボトムを出して着替えたあと、毛布に包んだミハエルを抱きかかえながらバルを後にした。粗相の後始末はきっと慣れているだろうとふんでそのままにしてきた。防水シートも敷かれていたので、吸水だけはしておいたが。

「まじびびったよ、戻ってきたかと思ったら子犬ちゃん泣いてんだもん。てか着替え貸してやりゃ良かったじゃん?」
「俺の服着れるわけなくね?ウエストガバガバだぞ。」
「あー、なるほど。」

 シスによって事情を聞いて丸洗いされたミハエルは、今だ鼻の頭を真っ赤にしたままぐしぐしと泣いている。空き家のベッドの上、獣に転化したサリエルがご機嫌そうにミハエルの背もたれになりながら、優雅に組んだ前足の上に顎を載せながら、本日の相手をしたジキルを見上げる。

「実に良い仕事をしたでしょう。お前、この俺を信仰しろ。」
「うるっせえドラ猫!!お前がやりすぎたから泣かせちまっただろうが!」
「言葉遣いがよくないですね。焼き殺そうかミハエル。」
「っ、サリエルのばか、暫くお話したくない…っ…」
「そりゃあないぜミハエル、早くごきげん戻して、俺をほめてくれよ。」

 まるでご機嫌とりのように上目でミハエルを見上げるが、獅子の上目は怖いだけである。ジキルは顔を引き攣らせると、背後の扉がガチャリと開いた。
 現れたのは、真顔で静かにキレているサディンと、酷く疲れたような顔をしているカルマであった。


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