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翌日のことである。ミハエルは、リンドウとして早速主人からご指名を受けた。呼び出された執務室、心を穏やかにさせる香を炊いているのだろうか、なんだか不思議な香りがする。
メガネをかけて書類を見つめていた主人は、ゆっくりとコーヒーを口に含むと、カップをソーサーに戻す。見つめていた書類から目を離すと、にこりと微笑んでミハエルを見た。
「リンドウ、今日はこれからとある人物の接待をしてもらいたい。」
きた。ミハエルは顔にこそ出なかったものの、ばくんとひとつ心臓を跳ね上げさせた。きていたチュニックの裾を握りしめる。小さく頷きをかえすと、主人は満足そうに頷いた。
「先方は少々変わり者でね、何、怖いことなど何もないさ。安心するといい。」
「素性をお伺いすることはできるのですか。」
「彼らはそれをよしとしない。リンドウ、君は三日間そちらに向かう。その間、見聞きしたものは他言無用だよ。」
柔らかい声色で、そんなことを言われる。三日間、まだ何も掴めていないというのに、自分はここを離れなくては行けないらしい。しかし嫌だとはいってられない。自分がここを離れることは流石に報告しなくては行けないだろうと思いながら、淡々とわかりましたとだけ返す。
「簡単な適性検査も兼ねている。君が一体どこまで可能なのかも含めてね。」
「花売りとしての初仕事、というには違和感がありますね。でも、期待に応えられるようにします。」
にこりと笑うと、冗談が通じたのか、主人も吹き出すように笑う。君が渡すものは正真正銘の綺麗な花さと言葉をつづけると、そっと立ち上がってミハエルの前まできた。
「リンドウ、君は美しく、魔力も並大抵のものではない。宮廷魔術師にでもなれそうな人材がどうして男娼になんて身をやつしているかは聞かないであげる。だけどね、ここは君の帰ってくる場所だよ。たとえ何があっても、僕が君のお父さんとして、責任を持って最後まで面倒を見てあげるからね。」
頬を優しく撫でられて、温かい眼差しでそんなことを言われる。親がいないものなら、きっとこの言葉に心を震わせるのだろう。それでもミハエルは小さな違和感を感じてしまった。それが何なのかはわからない。だけど、無視もできない、そんな感じだ。
「君が、早く幸せを掴めますように。」
「はい、」
まるで思いやりすら感じられる言葉を受け止めると、ミハエルは一礼をして部屋を出た。着替えを済ませて館の前で待っていれば、迎えの馬車が来るらしい。ここからはミハエルの戦いが始まるのだ。正直怖い、けど、きっと大丈夫。やりきってみせる。
そう自分を励ますように、ぐっと拳を握って自室に向かうミハエルを、マリーは物陰から静かに見つめていた。
「お父さん、僕、」
小さく震える手が胸元で握り締められた。マリーはミハエルが視界から消えてから、ノックもなしに執務室の中に入っていた。
「可愛いマリー、新しいお友達とはもう仲良くできたかい。ほら、こちらにおいで。」
「ぼ、僕嫌です…、また怖いことをするのでしょう?スミレだって、本当は娶られたんじゃないって、わかっ、」
「シー、マリー。お前は何か勘違いをしているね。」
主人は優しい笑みを顔に浮かべたまま、そっと腰を引き寄せて膝にすわらせる。怯えを含んだ表情で見つめ返されると、なだめるようにそっと額に口付けた。
「スミレはね、子を孕んだんだ。だから娶られて幸せを得る。マリー、お前も例外ではないよ。お前もいずれ子を成して幸せにならなくてはいけない。」
マリーの薄い腹を、主人が優しく撫でる。涙目でゆるゆると首を振りながら愚図る血の繋がらない息子の頬に唇を滑らすと、その耳朶を優しく唇で挟む。
「可愛いマリー、何も怖いことはないよ。半魔のお前は人よりも多くの魔力を保有している。きっと可愛らしい子を産むに違いない。」
「やだ、っ…ぼ、僕は死にたくない…、」
「だからスミレに順番を譲ったの、マリー?」
「っ、や、ちが…っ、」
その一言に、マリーの顔がこわばった。自分よりも年上だったスミレが、本当に孕んでしまうとは思わなかったのだ。マリーは、違うの、そんなつもりじゃなかったのと、泣きながらゆるゆると否定をする。ヨナハンから与えられたお薬は、スミレをどんどんと美しくさせた。保有魔力を突発的に上げ、そして体の曲線を女性的にする秘密のお薬。まさかそれが本物の妊娠薬だなんて思わなかったのだ。
「スミレを可哀想だと思うのなら、そうさせたのは間違いなくマリーだよ。」
「だって、スミレが…っ!」
ー可愛いマリー、僕は幸せになりたい。僕のことを好きだといってくれる人のそばで、幸せに暮らしたいんだ。食い扶持に困ってゴミを漁ってた僕が、手に入れることができる幸せを、お父さんは用意してくれたんだから。
そういって、嬉しそうに笑うスミレを見て、マリーは与えられていた自分の分の薬をスミレにあげたのだ。その薬は、主人によって配られる。適性検査ののち、まずは一瓶。そして、男娼を娶りたいといってきたものが現れれば、その相手との行為の前に今度は一瓶。
美容薬、そう言われて与えられたそのお薬は、確かに自分達の容姿をより一層美しくしてくれた。でもそれが、まさか根本的に自分達の体を作り替えてしまうものだとも知らずに。
無事子を孕んだ。主人がそう口にしていたのを聞いて、マリーは心臓が止まるかと思った。自分達が与えられたその美容薬が、妊娠薬だと知ったからだ。ならば、マリーは知らなかったとはいえとんでもないことをしてしまった。スミレの妊娠は、自分がきっかけになってしまったのだから。
それは、国から至支給されているものと同様、2回に分けて摂取する。美容薬のくせに体を作り替えられるような大熱に苦しんだが、目に見えて現れた効果に浮き足立ったのは事実だった。自分達が、妊娠できる体になっているとは知らずに。
だから、マリーは良かれと思って渡してしまった。主人はそれを知っていた、知っていて止めなかった。スミレが恋をしたのは、とある貴族だ。何度もスミレを指名して、少しずつ心の距離が近づいてきた矢先のことだった。マリーがナイショで渡した薬で、スミレは子を孕んだ。そう、恋した男の子ではない、魔物の子を。
「スミレは、おくすりで死んだの…?なんで、なんで魔物の子なんか…っ、」
「君たちも、魔物の子だろう?」
ぼろぼろと涙をこぼしたマリーの両手を一纏めにした主人は、面白いことを言うなあと笑う。
「半魔の子が、一番美しい。お客はみんなそれを求めるんだよマリー、魔力を多く持った君たちの幸せは、居場所を与えられることだ。そうだね?」
「やだ…っ、」
「愛しているよ可愛いマリー、僕が人間でなかったら、君を孕ませるのになあ、ああ、残念でならないよ。」
そういって、細い首筋に強く吸い付いた。マリーの本当の親はもう既にいない、育ての親であるこの男が、マリーの全てを支配していたのだ。マリーのスミレへの小さな親切が、重い枷となってマリーを縛る。
スミレは死んでしまった。望まぬ魔物の子を産んで、気が狂ってしまった。最後は路上で何者かに殺された。逃げ出して、そして殺されたのだ。
逃げ場なんてない、だって騎士団にはヨナハンがいる。だからマリーは、ただここで自分の番を待つだけなのだ。そうすることで、スミレに許してもらえるなら、マリーはここで罪を償っていく。だって愚かなマリーには、それしかできないのだから。
メガネをかけて書類を見つめていた主人は、ゆっくりとコーヒーを口に含むと、カップをソーサーに戻す。見つめていた書類から目を離すと、にこりと微笑んでミハエルを見た。
「リンドウ、今日はこれからとある人物の接待をしてもらいたい。」
きた。ミハエルは顔にこそ出なかったものの、ばくんとひとつ心臓を跳ね上げさせた。きていたチュニックの裾を握りしめる。小さく頷きをかえすと、主人は満足そうに頷いた。
「先方は少々変わり者でね、何、怖いことなど何もないさ。安心するといい。」
「素性をお伺いすることはできるのですか。」
「彼らはそれをよしとしない。リンドウ、君は三日間そちらに向かう。その間、見聞きしたものは他言無用だよ。」
柔らかい声色で、そんなことを言われる。三日間、まだ何も掴めていないというのに、自分はここを離れなくては行けないらしい。しかし嫌だとはいってられない。自分がここを離れることは流石に報告しなくては行けないだろうと思いながら、淡々とわかりましたとだけ返す。
「簡単な適性検査も兼ねている。君が一体どこまで可能なのかも含めてね。」
「花売りとしての初仕事、というには違和感がありますね。でも、期待に応えられるようにします。」
にこりと笑うと、冗談が通じたのか、主人も吹き出すように笑う。君が渡すものは正真正銘の綺麗な花さと言葉をつづけると、そっと立ち上がってミハエルの前まできた。
「リンドウ、君は美しく、魔力も並大抵のものではない。宮廷魔術師にでもなれそうな人材がどうして男娼になんて身をやつしているかは聞かないであげる。だけどね、ここは君の帰ってくる場所だよ。たとえ何があっても、僕が君のお父さんとして、責任を持って最後まで面倒を見てあげるからね。」
頬を優しく撫でられて、温かい眼差しでそんなことを言われる。親がいないものなら、きっとこの言葉に心を震わせるのだろう。それでもミハエルは小さな違和感を感じてしまった。それが何なのかはわからない。だけど、無視もできない、そんな感じだ。
「君が、早く幸せを掴めますように。」
「はい、」
まるで思いやりすら感じられる言葉を受け止めると、ミハエルは一礼をして部屋を出た。着替えを済ませて館の前で待っていれば、迎えの馬車が来るらしい。ここからはミハエルの戦いが始まるのだ。正直怖い、けど、きっと大丈夫。やりきってみせる。
そう自分を励ますように、ぐっと拳を握って自室に向かうミハエルを、マリーは物陰から静かに見つめていた。
「お父さん、僕、」
小さく震える手が胸元で握り締められた。マリーはミハエルが視界から消えてから、ノックもなしに執務室の中に入っていた。
「可愛いマリー、新しいお友達とはもう仲良くできたかい。ほら、こちらにおいで。」
「ぼ、僕嫌です…、また怖いことをするのでしょう?スミレだって、本当は娶られたんじゃないって、わかっ、」
「シー、マリー。お前は何か勘違いをしているね。」
主人は優しい笑みを顔に浮かべたまま、そっと腰を引き寄せて膝にすわらせる。怯えを含んだ表情で見つめ返されると、なだめるようにそっと額に口付けた。
「スミレはね、子を孕んだんだ。だから娶られて幸せを得る。マリー、お前も例外ではないよ。お前もいずれ子を成して幸せにならなくてはいけない。」
マリーの薄い腹を、主人が優しく撫でる。涙目でゆるゆると首を振りながら愚図る血の繋がらない息子の頬に唇を滑らすと、その耳朶を優しく唇で挟む。
「可愛いマリー、何も怖いことはないよ。半魔のお前は人よりも多くの魔力を保有している。きっと可愛らしい子を産むに違いない。」
「やだ、っ…ぼ、僕は死にたくない…、」
「だからスミレに順番を譲ったの、マリー?」
「っ、や、ちが…っ、」
その一言に、マリーの顔がこわばった。自分よりも年上だったスミレが、本当に孕んでしまうとは思わなかったのだ。マリーは、違うの、そんなつもりじゃなかったのと、泣きながらゆるゆると否定をする。ヨナハンから与えられたお薬は、スミレをどんどんと美しくさせた。保有魔力を突発的に上げ、そして体の曲線を女性的にする秘密のお薬。まさかそれが本物の妊娠薬だなんて思わなかったのだ。
「スミレを可哀想だと思うのなら、そうさせたのは間違いなくマリーだよ。」
「だって、スミレが…っ!」
ー可愛いマリー、僕は幸せになりたい。僕のことを好きだといってくれる人のそばで、幸せに暮らしたいんだ。食い扶持に困ってゴミを漁ってた僕が、手に入れることができる幸せを、お父さんは用意してくれたんだから。
そういって、嬉しそうに笑うスミレを見て、マリーは与えられていた自分の分の薬をスミレにあげたのだ。その薬は、主人によって配られる。適性検査ののち、まずは一瓶。そして、男娼を娶りたいといってきたものが現れれば、その相手との行為の前に今度は一瓶。
美容薬、そう言われて与えられたそのお薬は、確かに自分達の容姿をより一層美しくしてくれた。でもそれが、まさか根本的に自分達の体を作り替えてしまうものだとも知らずに。
無事子を孕んだ。主人がそう口にしていたのを聞いて、マリーは心臓が止まるかと思った。自分達が与えられたその美容薬が、妊娠薬だと知ったからだ。ならば、マリーは知らなかったとはいえとんでもないことをしてしまった。スミレの妊娠は、自分がきっかけになってしまったのだから。
それは、国から至支給されているものと同様、2回に分けて摂取する。美容薬のくせに体を作り替えられるような大熱に苦しんだが、目に見えて現れた効果に浮き足立ったのは事実だった。自分達が、妊娠できる体になっているとは知らずに。
だから、マリーは良かれと思って渡してしまった。主人はそれを知っていた、知っていて止めなかった。スミレが恋をしたのは、とある貴族だ。何度もスミレを指名して、少しずつ心の距離が近づいてきた矢先のことだった。マリーがナイショで渡した薬で、スミレは子を孕んだ。そう、恋した男の子ではない、魔物の子を。
「スミレは、おくすりで死んだの…?なんで、なんで魔物の子なんか…っ、」
「君たちも、魔物の子だろう?」
ぼろぼろと涙をこぼしたマリーの両手を一纏めにした主人は、面白いことを言うなあと笑う。
「半魔の子が、一番美しい。お客はみんなそれを求めるんだよマリー、魔力を多く持った君たちの幸せは、居場所を与えられることだ。そうだね?」
「やだ…っ、」
「愛しているよ可愛いマリー、僕が人間でなかったら、君を孕ませるのになあ、ああ、残念でならないよ。」
そういって、細い首筋に強く吸い付いた。マリーの本当の親はもう既にいない、育ての親であるこの男が、マリーの全てを支配していたのだ。マリーのスミレへの小さな親切が、重い枷となってマリーを縛る。
スミレは死んでしまった。望まぬ魔物の子を産んで、気が狂ってしまった。最後は路上で何者かに殺された。逃げ出して、そして殺されたのだ。
逃げ場なんてない、だって騎士団にはヨナハンがいる。だからマリーは、ただここで自分の番を待つだけなのだ。そうすることで、スミレに許してもらえるなら、マリーはここで罪を償っていく。だって愚かなマリーには、それしかできないのだから。
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