だいきちの拙作ごった煮短編集

だいきち

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名無し現パロ闇鍋。倫理が働かない

白いほっぺは俺のもの エルマー✕ナナシ

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この時期になると、ナナシの白い肌がほんのりと桃色になる。
寒さから来る天然のチークのようで、可哀想だなぁと思う半面、エルマーはそれが可愛くて仕方がない。
しんしんと降る昼中の雪を窓越しに見つめる。景色は変わるはずないのに、飽きもせず、ナナシはおっぽを揺らしている。
「なんかおもしれーもんでもあるかよ」
「なぃ」
「ないのに見てんのか?」
「なぃから、いいのう」
「ほお?」
なかなかに通な見方をするものだ。
何も変わらないから幸せということらしい。
エルマーはナナシの両脇に手を差し込むと、よいせっと抱き上げた。相変わらず、子ども二人を産んだとは思えない幼さだ。
そのまま位置を変わるように、エルマーが椅子に腰掛ける。ナナシはぱたぱた尾をゆらしたまま、膝の上で横抱きだ。
「なつかしいなおい」
「ナナシこれすき」
ふふん。ひざに乗ってるほうが、なぜか誇らしげだ。
椅子にかけていたひざ掛けを後ろ手に取ると、ナナシの身体に巻きつける。爪を切るたびに暴れるので、たまにこうして拘束する。
ナナシは耳をびょっと伸ばしたが、爪は最近切ったばかりだ。またゆるゆる尾をゆらして、ふう。と落ち着いた。
「くくくっ」
「なにわらうするのお!」
「だって、お前いま耳がウサギ見てえに伸びてたぞ」
「うさぎかわい、すき」
「あー、おかし」
平和になって、エルマーは笑上戸になった。戦いの最中のときは、ふとした時に眉が寄っていた。
小さな手のひらがエルマーの両頬を包むと、親指で口の端を持ち上げる。
「にってするして」 
「にー」
「むふん……」
嫁の言いなりなところを部下に見られたら、間違いなくエルマーは報復する。そんな理不尽な部分は健全なのに、ナナシの手にかかれば、いとも容易く犬歯を見せて笑う。
尖ったそこで、いたずらにナナシの指先を甘噛みする。
温かい呼気が指の隙間を通り抜け、ナナシの体はしびびっと震えた。
「お誘い?」
「ちあう」
「なんでお前が呂律回んなくなってんだあ」
悪戯な両手を容易く拘束される。エルマーは己の犬歯を舐めるように舌で口端を濡らす。それがまるで肉食の獣のようで、ぷるるっとナナシのお耳が震えた。
「尻尾爆発してっけど」
「うぅう」
「お前すぐ語彙力どっかいくからかわいいよなあ」
「ごいりょくってなあに」
「あとで教えてやんよ」
拘束した両腕を、エルマーは首の後ろに回した。ナナシがされるがままであることをいいことに、そのまま慣れた腕がぎゅうっと華奢な体を抱きしめる。
今日のナナシは、もこもこの白い服を着ている。エルマーが選んだそれは、己が抱きしめたときに心地のよい生地だった。
「俺の抱き枕」
「むぉ、くぅし」
「体は正直だぜー」
ぶんぶんと忙しない尾をみせつけて、苦しいとはどういう了見か。
もこもこフードをずらすように晒した細い首に、犬歯をたてる。そのままねとりと薄い皮膚をなめると、腕のなかのナナシが肩をすくめた。
「こしょばし」
「好きだろうが」
「むむ」
顔は見なくてもわかる。きっと、照れ隠しでむくれているのだろう。
大きな手のひらが悪戯にやわこい尻をむにりと揉む。
エルマーのしたいことをいち早く理解したらしい。ナナシはあわあわと胸板を押し返した。
「えっちないですよう!」
「ちぇー」
「よるね!」
「夜ならいいんかい」
旅のときは昼夜構わず仲良ししたのに。大人になったナナシはなまいきにも恥じらいを覚えたらしい。
大きな手がむにりとナナシの頬を挟み、突き出た唇に甘く吸い付いた。
「なら、昼寝しときな」
「なんでえ?」
「寝かせねえから」
「はあう!」
素っ頓狂な声を上げる。ナナシは顔を真っ赤に染め上げ、照れているのか怒っているのか。器用に毛を逆立てながらじたばた。
白い肌が、エルマーのせいで赤く染まるのがうれしい。
寒さに染まった皮膚をみて、冬に嫉妬したとは、口が裂けても言えないが。


    
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