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1章「出会い」
1話「似た感情」
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第1話 『似た感情』
「"炎の大合唱"」
目の前の相手に手をかざし魔法名を小さく唱える。
持ち前の冷静さで。
すると、大きな炎が相手の横へ発生した。
「"炎の大合唱"!?あれは……1流魔法使い《アリナ》しか使えないはずじゃ……!」
「あの子、一体何者!?」
周りからそう声が上がる。
もう、こんな声は慣れて、飽きてきた頃。
"炎の大合唱"とは、簡単に言えば火属性の魔法だ。その火属性の中でも上級のものと言えるだろう。
だから、炎の大合唱は、"1流魔法使いが唯一使えるもの"とも言われている。そして、狙いが上手く行けば相手を容易く丸焦げにもできるのだ。私は、姉さんにこの魔法を教えてもらい使えるようになった。
私にも姉さんにも苗字がないし、考えれば3流魔法使いだと思う。姉さんは私よりも強かったから分からないけど…
つまり、1流魔法使いじゃなくても使えるということだ。
「クソッ……テメェ、何者だ………ッ!?」
先程の魔法で既にボロボロな相手が私を睨む。
私はそんな相手を嘲笑うように見下ろし言った。
「私はただの探偵よ。年齢は15。名をユキ=イリス。もし私が1流魔法使い《アリナ》だったらこの苗字くらい知っているはずでしょう?」
「じゃあ、さっきの魔法はなんだ!?あんなの、そこらの2流3流の魔法使いじゃ」
話を聞いていなかったのか訳の分からないことを言う。
1流魔法使い《アリナ》じゃないって言っているのに。
私はため息をついて、相手の言葉を遮る。
「"炎の大合唱"のことかしら?確かにそうね。あれは元々1流魔法使いが唯一使えるって言われている魔法。けど、1流でもない私が使えるってことは……分かるわよね?」
ああ、年下の私にやられるくらいだし、馬鹿だから分からないか。
なんて見下し発言を吐き出しそうになったが、やめておいた。これで自分の印象が悪くなって依頼が来なくなったら困る。依頼が来なくなったら、私の使命が……
「……まぁ、少しは自分の頭で考えてみたらどうかしら?そしたら、1流魔法使いだとか、2流や3流魔法使いだとかは気にならないはずよ」
口の端を吊り上げ、相手を見つめた。
相手は悔しそうに唇を噛み、また私を睨んだ。
その目を乾いた笑いで返しておく。
相手の向こう…遠くを見つめた。
「そろそろ、かしらね。」
小さく呟いた。私はもう一度倒れる相手を見る。
そして相手に指を指し口を開く。
「今回の脅迫事件は……貴方が犯人よ。警察もそこまで来てる。観念なさい」
探偵や警察ならではのセリフだ。なぜ今言ったのかは……ただ私が生きてる内に一度は言ってみたかった、それだけである。
「探偵の方……ですよね?ありがとうこざいました」
いつの間に来たのか警察が私にそう話しかけた。
私は「ええ。そちらもいつもお疲れ様です」と言って頷く。
すると1分もかからず、犯人は警察に連行されて行った。
はぁ……ここでも、姉さんの手がかりは掴めなかった、か……
今日の依頼はお終い。今日もお疲れ様、私。
そう自分に言い聞かせる。そしてそのまま帰る場所はないが、どこかへ足を進めようとすると、
「あ、あのっ……探偵さん!今日は、本当にありがとうこざいました…!」
私よりも2つほど年上の女性が話しかけた。
この人は私に依頼をしてきた張本人。
脅迫状が来たから犯人をつきとめて欲しい、そんなような依頼だった気がする。
内容は確か……
"× × ×年× × 月× × 日。お前を殺す。お前だけは絶対に許さない"
みたいな感じだったと思う。結局、女性は何も悪くはなく、ただの逆恨みだったのだが。
そして、筆跡でバレることを恐れたのか、ご丁寧に字もフォントで変更されている。
にしても……こんな感情はどこかで………
ああ、そうだ。姉さんを殺した犯人に対しての殺意だ。
許せないという気持ちは、私にもわかる。殺してしまいたいと思うのも。
……でも、1番殺してやりたいのは、無力な"自分自身"だ。
私はオドオドする女性に、
「__いいえ。依頼人の貴方が無事でよかった。またの依頼、お待ちしてるわね。」
笑みを浮かべて言った。
もう、誰かを失いたくはないから。
「"炎の大合唱"」
目の前の相手に手をかざし魔法名を小さく唱える。
持ち前の冷静さで。
すると、大きな炎が相手の横へ発生した。
「"炎の大合唱"!?あれは……1流魔法使い《アリナ》しか使えないはずじゃ……!」
「あの子、一体何者!?」
周りからそう声が上がる。
もう、こんな声は慣れて、飽きてきた頃。
"炎の大合唱"とは、簡単に言えば火属性の魔法だ。その火属性の中でも上級のものと言えるだろう。
だから、炎の大合唱は、"1流魔法使いが唯一使えるもの"とも言われている。そして、狙いが上手く行けば相手を容易く丸焦げにもできるのだ。私は、姉さんにこの魔法を教えてもらい使えるようになった。
私にも姉さんにも苗字がないし、考えれば3流魔法使いだと思う。姉さんは私よりも強かったから分からないけど…
つまり、1流魔法使いじゃなくても使えるということだ。
「クソッ……テメェ、何者だ………ッ!?」
先程の魔法で既にボロボロな相手が私を睨む。
私はそんな相手を嘲笑うように見下ろし言った。
「私はただの探偵よ。年齢は15。名をユキ=イリス。もし私が1流魔法使い《アリナ》だったらこの苗字くらい知っているはずでしょう?」
「じゃあ、さっきの魔法はなんだ!?あんなの、そこらの2流3流の魔法使いじゃ」
話を聞いていなかったのか訳の分からないことを言う。
1流魔法使い《アリナ》じゃないって言っているのに。
私はため息をついて、相手の言葉を遮る。
「"炎の大合唱"のことかしら?確かにそうね。あれは元々1流魔法使いが唯一使えるって言われている魔法。けど、1流でもない私が使えるってことは……分かるわよね?」
ああ、年下の私にやられるくらいだし、馬鹿だから分からないか。
なんて見下し発言を吐き出しそうになったが、やめておいた。これで自分の印象が悪くなって依頼が来なくなったら困る。依頼が来なくなったら、私の使命が……
「……まぁ、少しは自分の頭で考えてみたらどうかしら?そしたら、1流魔法使いだとか、2流や3流魔法使いだとかは気にならないはずよ」
口の端を吊り上げ、相手を見つめた。
相手は悔しそうに唇を噛み、また私を睨んだ。
その目を乾いた笑いで返しておく。
相手の向こう…遠くを見つめた。
「そろそろ、かしらね。」
小さく呟いた。私はもう一度倒れる相手を見る。
そして相手に指を指し口を開く。
「今回の脅迫事件は……貴方が犯人よ。警察もそこまで来てる。観念なさい」
探偵や警察ならではのセリフだ。なぜ今言ったのかは……ただ私が生きてる内に一度は言ってみたかった、それだけである。
「探偵の方……ですよね?ありがとうこざいました」
いつの間に来たのか警察が私にそう話しかけた。
私は「ええ。そちらもいつもお疲れ様です」と言って頷く。
すると1分もかからず、犯人は警察に連行されて行った。
はぁ……ここでも、姉さんの手がかりは掴めなかった、か……
今日の依頼はお終い。今日もお疲れ様、私。
そう自分に言い聞かせる。そしてそのまま帰る場所はないが、どこかへ足を進めようとすると、
「あ、あのっ……探偵さん!今日は、本当にありがとうこざいました…!」
私よりも2つほど年上の女性が話しかけた。
この人は私に依頼をしてきた張本人。
脅迫状が来たから犯人をつきとめて欲しい、そんなような依頼だった気がする。
内容は確か……
"× × ×年× × 月× × 日。お前を殺す。お前だけは絶対に許さない"
みたいな感じだったと思う。結局、女性は何も悪くはなく、ただの逆恨みだったのだが。
そして、筆跡でバレることを恐れたのか、ご丁寧に字もフォントで変更されている。
にしても……こんな感情はどこかで………
ああ、そうだ。姉さんを殺した犯人に対しての殺意だ。
許せないという気持ちは、私にもわかる。殺してしまいたいと思うのも。
……でも、1番殺してやりたいのは、無力な"自分自身"だ。
私はオドオドする女性に、
「__いいえ。依頼人の貴方が無事でよかった。またの依頼、お待ちしてるわね。」
笑みを浮かべて言った。
もう、誰かを失いたくはないから。
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