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第一章 俺様、ドラゴンになる
3、喜べ! 俺様の下僕にしてやろう!(訳:助けてください、お願いします)
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「ステータス」と書かれた、まるでゲームの表示のようなその半透明の板が気になることは気になるのだが、今はそれどころではない。
なおもGを食わせようとしてくる天使、いや小悪魔から逃れるべく、全身に力を入れる。
すると、ふわっ、と比喩ではなく体が中空に浮かび上がった。
「おぉっ?!」
俺、飛んでる?!
ついに俺の秘めたる力が目覚めたか!?
ああ、いや、いかん。今はそれどころではない。
パタパタと羽音を立てながら驚く小悪魔の頭上を飛び越える。
が、飛ぶことに慣れていないからか、ペショッと床に墜落してしまう。
「χοΘеИЙНИЛ!?」
慌てた様子で追いかけてくる美少女からさらに逃れるべく、今度は背中の翼に意識をして再び飛び上がる。
パタタタッ
ペショッ
パタパタッ
ペショッ
飛び上がっては落ち、飛び上がっては落ちを繰り返し、何とか外へと飛び出した。
美少女が追いかけてくるが、捕まったらアレを食べさせられてしまう。
何とか逃げ出して、自力で食べ物を確保しなければ。
と、辺りを見回すと、全く見覚えのない場所にいた。
言葉が通じない時点で何となく予想はしていたが。
今飛び出してきた、世界遺産にありそうな神殿風の白い建物の周囲は少しだけ拓けた場所で。更にその周りは三百六十度見渡す限り鬱蒼とした森がどこまでも広がっていた。
「マジで、どこだここ?」
こんな場所は知らない。山で囲まれた田舎町の実家周辺にだって、こんな深い森はない。
周囲を見渡した所で、また力尽きてペショッと地面に落ちた。
腹が空きすぎて力が出ないのだ。
「うぅ……お腹空いた……」
と、よく見ると目の前に、今度こそ正真正銘食べ物のメロンが! 建物の周囲の拓けた土地は畑だったのだ。
食欲を更に増幅する甘い香り。良く熟れているのだろう。
これ食べて良い? 食べて良いよね? うん、良いよ! いっただっきまーす!!
「ふははは! この俺様の糧となれること、光栄に思うが良い!」
大口を開けてかぶり付こうとした瞬間、ぐるんっと天地が逆さまになった。
「えっ? 何?!」
締め付けるような感覚に自分の足を見ると、メロンの蔓が巻き付いていて、俺は逆さ吊りになっていた。
そして、ポタポタと顔にかかる甘い汁。見上げるとそこには。
「ぎゃぁぁぁぁああああああああ!!!」
カパリ、と半分に割れたメロン。そこにはびっしりと牙が生えていた。
違う! こんなの俺の知っているメロンじゃない!
つか、俺食われる?!
「αζβρьпотШНБНИФОЁψ!!」
はっ! 天使!
タイミング現れた天使が、サッと小ぶりのナイフを取り出し振りかぶる。
うん、今どこから出したとか何にも見てないよ。そんな事より。
「喜べ! 俺様の下僕にしてやろう!(訳:助けてください、お願いします)」
俺の必死さが伝わったのか、ザシュッと俺に巻き付いた蔓の根本を切り、返す刀(ナイフだけど)でメロンの化物を真っ二つに。
わぁお。天使ちゃんこんなに強かったのか。俺、逆らわないほうが良い?
ポトリ、と地面に落ちた俺に巻き付いたままの蔓を、天使ちゃんは安心した顔でほどいてくれた。
笑顔が可愛いのなんのって。
「うむ、ご苦労であった! 褒めて遣わそう」
そして俺は切られて強烈な甘い匂いを放つメロンの残骸にたまらずむしゃぶりつく。
うん、この味は紛れもなく俺の知ってるメロンだ。牙がちょっと当たるけど。
半身を実にうずめるようにして食べていたら、天使に抱きかかえらえて持ち上げられた。
魅惑的な感触が当たってるけど、今は天使ちゃんのメロンよりも食べれるメロンのが大事!
ちょっと、苦しいから放してくれる?
メロンを被ったままジタジタと足で足掻くと、少しずれたメロンからジーッと見てくる天使ちゃんと目が合った。
ん? 何? 食べたいの? しょうがないなぁ。
抱きかかえられたことで手が届いた、残った半身のメロンを引き寄せて、牙をポイポイ抜いて天使ちゃんにあげる。俺って優しい。
「ん!」
でもいくら渡そうとしても受け取ろうとしない。いらないの? んじゃ俺食べちゃうよ?
結局また潜り込むようにして食べた。んまかった。メロンをこんな文字通り浴びるように食べるって、そうそうない経験だと思うよ。
お腹がぽっこりしてるけど気にしない。満足満足。
全身ベトベトになった俺を抱きかかえたまま、天使ちゃんは俺を神殿風の建物の中に連れていく。
背中にあたるポヨポヨした感触が実に至福である。
空腹が落ち着くと、頭が冷静になってくる。
外人風の美少女……は良いとして、見知らぬ土地……も良いとして、何度も聞こえた意味の解らない声……経験値とかレベルとかステータスとか。極めつけは現実世界じゃあり得ないほどでかい芋虫に俺を捕食しようとする牙の生えたメロン。
さっき落ちた時痛かったし、夢じゃない。
これはもしや、小説で読んでた異世界転生ってやつ?!
え? てことは俺、死んだの? 何で?
なおもGを食わせようとしてくる天使、いや小悪魔から逃れるべく、全身に力を入れる。
すると、ふわっ、と比喩ではなく体が中空に浮かび上がった。
「おぉっ?!」
俺、飛んでる?!
ついに俺の秘めたる力が目覚めたか!?
ああ、いや、いかん。今はそれどころではない。
パタパタと羽音を立てながら驚く小悪魔の頭上を飛び越える。
が、飛ぶことに慣れていないからか、ペショッと床に墜落してしまう。
「χοΘеИЙНИЛ!?」
慌てた様子で追いかけてくる美少女からさらに逃れるべく、今度は背中の翼に意識をして再び飛び上がる。
パタタタッ
ペショッ
パタパタッ
ペショッ
飛び上がっては落ち、飛び上がっては落ちを繰り返し、何とか外へと飛び出した。
美少女が追いかけてくるが、捕まったらアレを食べさせられてしまう。
何とか逃げ出して、自力で食べ物を確保しなければ。
と、辺りを見回すと、全く見覚えのない場所にいた。
言葉が通じない時点で何となく予想はしていたが。
今飛び出してきた、世界遺産にありそうな神殿風の白い建物の周囲は少しだけ拓けた場所で。更にその周りは三百六十度見渡す限り鬱蒼とした森がどこまでも広がっていた。
「マジで、どこだここ?」
こんな場所は知らない。山で囲まれた田舎町の実家周辺にだって、こんな深い森はない。
周囲を見渡した所で、また力尽きてペショッと地面に落ちた。
腹が空きすぎて力が出ないのだ。
「うぅ……お腹空いた……」
と、よく見ると目の前に、今度こそ正真正銘食べ物のメロンが! 建物の周囲の拓けた土地は畑だったのだ。
食欲を更に増幅する甘い香り。良く熟れているのだろう。
これ食べて良い? 食べて良いよね? うん、良いよ! いっただっきまーす!!
「ふははは! この俺様の糧となれること、光栄に思うが良い!」
大口を開けてかぶり付こうとした瞬間、ぐるんっと天地が逆さまになった。
「えっ? 何?!」
締め付けるような感覚に自分の足を見ると、メロンの蔓が巻き付いていて、俺は逆さ吊りになっていた。
そして、ポタポタと顔にかかる甘い汁。見上げるとそこには。
「ぎゃぁぁぁぁああああああああ!!!」
カパリ、と半分に割れたメロン。そこにはびっしりと牙が生えていた。
違う! こんなの俺の知っているメロンじゃない!
つか、俺食われる?!
「αζβρьпотШНБНИФОЁψ!!」
はっ! 天使!
タイミング現れた天使が、サッと小ぶりのナイフを取り出し振りかぶる。
うん、今どこから出したとか何にも見てないよ。そんな事より。
「喜べ! 俺様の下僕にしてやろう!(訳:助けてください、お願いします)」
俺の必死さが伝わったのか、ザシュッと俺に巻き付いた蔓の根本を切り、返す刀(ナイフだけど)でメロンの化物を真っ二つに。
わぁお。天使ちゃんこんなに強かったのか。俺、逆らわないほうが良い?
ポトリ、と地面に落ちた俺に巻き付いたままの蔓を、天使ちゃんは安心した顔でほどいてくれた。
笑顔が可愛いのなんのって。
「うむ、ご苦労であった! 褒めて遣わそう」
そして俺は切られて強烈な甘い匂いを放つメロンの残骸にたまらずむしゃぶりつく。
うん、この味は紛れもなく俺の知ってるメロンだ。牙がちょっと当たるけど。
半身を実にうずめるようにして食べていたら、天使に抱きかかえらえて持ち上げられた。
魅惑的な感触が当たってるけど、今は天使ちゃんのメロンよりも食べれるメロンのが大事!
ちょっと、苦しいから放してくれる?
メロンを被ったままジタジタと足で足掻くと、少しずれたメロンからジーッと見てくる天使ちゃんと目が合った。
ん? 何? 食べたいの? しょうがないなぁ。
抱きかかえられたことで手が届いた、残った半身のメロンを引き寄せて、牙をポイポイ抜いて天使ちゃんにあげる。俺って優しい。
「ん!」
でもいくら渡そうとしても受け取ろうとしない。いらないの? んじゃ俺食べちゃうよ?
結局また潜り込むようにして食べた。んまかった。メロンをこんな文字通り浴びるように食べるって、そうそうない経験だと思うよ。
お腹がぽっこりしてるけど気にしない。満足満足。
全身ベトベトになった俺を抱きかかえたまま、天使ちゃんは俺を神殿風の建物の中に連れていく。
背中にあたるポヨポヨした感触が実に至福である。
空腹が落ち着くと、頭が冷静になってくる。
外人風の美少女……は良いとして、見知らぬ土地……も良いとして、何度も聞こえた意味の解らない声……経験値とかレベルとかステータスとか。極めつけは現実世界じゃあり得ないほどでかい芋虫に俺を捕食しようとする牙の生えたメロン。
さっき落ちた時痛かったし、夢じゃない。
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え? てことは俺、死んだの? 何で?
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