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第三章 俺様、王都へ行く
6、もっと褒めても良いのだぞ?
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「まったく、こんなドラゴンに勉強を教えろとか。こっちだって暇じゃないのに……」
じゃあ頼んだよ、と国王が去った後、ウェルナーとやらはブツブツと文句を言っている。感じ悪!
俺だってやる気のない奴から教わりたくなんてないね!
あ、そうだ。
『ふむ、ならば、文字の読み書きができて暇のある人物をつけてくれれば勝手にやろう』
「喋った!?」
『そのかわり、国王には貴様が王命に背いたと報告させてもらう』
驚いた後、一気に顔が青褪めるウェルナー。その後ワタワタと狼狽える様子が面白い。
「それは困……いや、俺が陛下に命じられたことだ、です。俺の知っている知識全てお教えしましょう」
ふ。勝った。
自分の立場を理解したかね、ウェルナー君。
『ならば、授業とやらに入る前に教えてもらおう』
ダンジョンを出てからずっと疑問に思っていたこと。
『俺様の使命は暗黒破壊神を倒すこと。なのに、何故貴様らは俺様をただのモンスターとして扱う?』
不本意ながら聖竜と呼ばれる俺に関して、こいつもだけど人々の対応がおかしい。
首輪をしているっていうのに怯えた態度をとる奴。武器を向ける奴。距離を開ける奴。
聖竜として崇めてきたのは救護院にいた奴らくらいだ。
それ以外は、良くて聖女のペット扱い。こいつのようにモンスターだから何言ってもわからないだろうって態度の方が多い。
『貴様に問おう。聖竜とは、何ぞや?』
「それは……聖竜とは……聖女に寄り添い、聖女を守る存在。聖女の盾であり牙であるとされています」
このように聖女以外の人間とも対話が可能とは思ってもいなかったようだ。
つまり、正真正銘ルシアちゃんのペット扱いだったわけね。
申し訳ありません、と初対面の印象は何処へやら。ウェルナーは素直に頭を下げて来た。
『許す。では、授業をしてもらおうか。まずは文字の読み書きからだ』
「は、はい。ではまずは母音から……」
何故最初に文字の読み書きなのか。それは、俺がここの書物を読みたいからだ。
もともと読書が好きだった俺からすると、ここは天国だ。
ファンタジー世界では、例えそれが辞書や辞典の類であってもファンタジーな読み物に感じるに違いない。
それに、本が読めるようになればウェルナー君がいなくても自力で調べ物ができるしね。
一通り教えてもらって、この世界の文字記号は日本語に近いことがわかった。
母音と子音のそれぞれでその音を示す記号があり、その組み合わせで意味を表す言葉になっている。
母音が5音で50音というのも一緒だ。漢字がなく表記はアルファベットに近い。
覚えてしまえば日本語より単純だな。ローマ字表記だと思えばいいのだ。
『ーー《タリー語》がLv.3になりましたーー』
お。表記の法則を理解したからか、スキルレベルが上がった。
試しに近くの本を開いて見る。
ローマ字表記って案外読みにくいのだが、スラスラ読める。内容が理解できるかは別だけどな。
『ふむ、文字は問題なく読めるな。単語の意味を知らないから内容は完全には理解できんが……』
「え、もう読めるのですか?!」
ウェルナー君が驚いている。
ふふ、そうだろう。俺は優秀だろう。もっと褒めても良いのだぞ?
「では、実際に書いて……」
『貴様はアホか。ペンも持てぬこの手でどうやって書けと?』
「あっ……」
まぁ、俺が「読み書き」って言ったから書く方もって思ったのだろう。素直というか真面目というか。
俺がウェルナー君に冷ややかな目を向けていると、書庫の扉がノックされた。
いつの間にか夕方になっており、ルシアちゃんが迎えに来たようだった。
「もうそんな時間ですか」
『ふむ、では今日の授業はここまでだな。ウェルナー殿、書庫の本は持ち出し可能かね?』
「いえ、ここの蔵書は全て陛下のものですから、俺の一存では」
「返してくれるのであれば問題ないぞ?」
タイミングよくにこやかな国王が現れた。
たぶん、目論見通りルシアちゃんにまた会えて嬉しいのであろう。
俺が来る=ルシアちゃんに会えるの図式が出来上がっているのだろうな。
『では、お言葉に甘えて。ウェルナー殿、子供でも読めるような易しい内容の本を1冊と、単語の意味を調べるのに辞典があれば頼む。適当に見繕ってくれ』
「はい!」
「ほう、この短時間でここまで喋れるようになるとは。流石ウェルナー君だねぇ」
は?
最初から喋ってましたけど?!
「いえ、あの、陛下。私が教えなくても、聖竜様は最初から話しておられましたよ。それに、お言葉を理解されていると陛下が仰ったのでは?」
「え? そうなの?」
まったく、このおっとり国王は!
……て、そういや俺国王とは話してなかったな。じゃあ仕方ないか。
「また明日もおいでね」
とおっとり国王が暢気に手を振って見送ってくれた。
最初は若干腹立つこともあったけど、結果としては上々だ。
スキルレベルが上がり文字がわかるようになった。本が読めれば情報収集もかなり進むだろう。
何より、あの書庫の本を自由に閲覧可能にしてもらったのがでかい。ふふ、王都にいる間に読破してやろう!
じゃあ頼んだよ、と国王が去った後、ウェルナーとやらはブツブツと文句を言っている。感じ悪!
俺だってやる気のない奴から教わりたくなんてないね!
あ、そうだ。
『ふむ、ならば、文字の読み書きができて暇のある人物をつけてくれれば勝手にやろう』
「喋った!?」
『そのかわり、国王には貴様が王命に背いたと報告させてもらう』
驚いた後、一気に顔が青褪めるウェルナー。その後ワタワタと狼狽える様子が面白い。
「それは困……いや、俺が陛下に命じられたことだ、です。俺の知っている知識全てお教えしましょう」
ふ。勝った。
自分の立場を理解したかね、ウェルナー君。
『ならば、授業とやらに入る前に教えてもらおう』
ダンジョンを出てからずっと疑問に思っていたこと。
『俺様の使命は暗黒破壊神を倒すこと。なのに、何故貴様らは俺様をただのモンスターとして扱う?』
不本意ながら聖竜と呼ばれる俺に関して、こいつもだけど人々の対応がおかしい。
首輪をしているっていうのに怯えた態度をとる奴。武器を向ける奴。距離を開ける奴。
聖竜として崇めてきたのは救護院にいた奴らくらいだ。
それ以外は、良くて聖女のペット扱い。こいつのようにモンスターだから何言ってもわからないだろうって態度の方が多い。
『貴様に問おう。聖竜とは、何ぞや?』
「それは……聖竜とは……聖女に寄り添い、聖女を守る存在。聖女の盾であり牙であるとされています」
このように聖女以外の人間とも対話が可能とは思ってもいなかったようだ。
つまり、正真正銘ルシアちゃんのペット扱いだったわけね。
申し訳ありません、と初対面の印象は何処へやら。ウェルナーは素直に頭を下げて来た。
『許す。では、授業をしてもらおうか。まずは文字の読み書きからだ』
「は、はい。ではまずは母音から……」
何故最初に文字の読み書きなのか。それは、俺がここの書物を読みたいからだ。
もともと読書が好きだった俺からすると、ここは天国だ。
ファンタジー世界では、例えそれが辞書や辞典の類であってもファンタジーな読み物に感じるに違いない。
それに、本が読めるようになればウェルナー君がいなくても自力で調べ物ができるしね。
一通り教えてもらって、この世界の文字記号は日本語に近いことがわかった。
母音と子音のそれぞれでその音を示す記号があり、その組み合わせで意味を表す言葉になっている。
母音が5音で50音というのも一緒だ。漢字がなく表記はアルファベットに近い。
覚えてしまえば日本語より単純だな。ローマ字表記だと思えばいいのだ。
『ーー《タリー語》がLv.3になりましたーー』
お。表記の法則を理解したからか、スキルレベルが上がった。
試しに近くの本を開いて見る。
ローマ字表記って案外読みにくいのだが、スラスラ読める。内容が理解できるかは別だけどな。
『ふむ、文字は問題なく読めるな。単語の意味を知らないから内容は完全には理解できんが……』
「え、もう読めるのですか?!」
ウェルナー君が驚いている。
ふふ、そうだろう。俺は優秀だろう。もっと褒めても良いのだぞ?
「では、実際に書いて……」
『貴様はアホか。ペンも持てぬこの手でどうやって書けと?』
「あっ……」
まぁ、俺が「読み書き」って言ったから書く方もって思ったのだろう。素直というか真面目というか。
俺がウェルナー君に冷ややかな目を向けていると、書庫の扉がノックされた。
いつの間にか夕方になっており、ルシアちゃんが迎えに来たようだった。
「もうそんな時間ですか」
『ふむ、では今日の授業はここまでだな。ウェルナー殿、書庫の本は持ち出し可能かね?』
「いえ、ここの蔵書は全て陛下のものですから、俺の一存では」
「返してくれるのであれば問題ないぞ?」
タイミングよくにこやかな国王が現れた。
たぶん、目論見通りルシアちゃんにまた会えて嬉しいのであろう。
俺が来る=ルシアちゃんに会えるの図式が出来上がっているのだろうな。
『では、お言葉に甘えて。ウェルナー殿、子供でも読めるような易しい内容の本を1冊と、単語の意味を調べるのに辞典があれば頼む。適当に見繕ってくれ』
「はい!」
「ほう、この短時間でここまで喋れるようになるとは。流石ウェルナー君だねぇ」
は?
最初から喋ってましたけど?!
「いえ、あの、陛下。私が教えなくても、聖竜様は最初から話しておられましたよ。それに、お言葉を理解されていると陛下が仰ったのでは?」
「え? そうなの?」
まったく、このおっとり国王は!
……て、そういや俺国王とは話してなかったな。じゃあ仕方ないか。
「また明日もおいでね」
とおっとり国王が暢気に手を振って見送ってくれた。
最初は若干腹立つこともあったけど、結果としては上々だ。
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