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第三章 俺様、王都へ行く
13、なぁ、もうこいつ殺していいか?
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翌日も俺は王城に入り浸った。ルシアちゃんは救護院だ。
何をしていたかというと、勇者と合流するまでの行程や諸々のお勉強だ。
『それでは、オーリエンの勇者は見捨てろと?』
「そうでありません。暗黒破壊神はオチデン連合国に現れた後、ここセントゥロへ現れています。であるならば、次に現れるのはオーリエンである可能性が高いということです」
『ならば尚更オーリエンに行き加勢すべきであろう?』
と、こんな具合で話し合いをしていた。途中から王様も加わって、国としてできる支援について教えてくれた。
国交があるから街道を通っていけばいいとのことで、馬車を貰えることになった。支度金を少しと、馬車に数日分の食糧も。
世界を救う使命を帯びての事であるから、教会側からも何かあるんじゃないかって。教会からルシアちゃんを預かるわけだし、一度は挨拶に行かなきゃな。
『――≪念話≫がLv.2になりました――』
その次の日は早速教会へ。
予定では岩は明日届くらしい。今日はルシアちゃんも一緒である。
初めて入る教会は、ここが総本山と呼ばれる場所だからだろうか、贅の限りを尽くしたものであった。
「何か、ずいぶんと目に痛いな」
「こちらの教会へは貴族の方も礼拝に来ますからね。多少の見栄というものなのでしょう」
目をパチクリさせながら、金箔銀箔でテコテコ盛られた像や壁の飾り彫りを見ていたら、ルシアちゃんが呟いた。
その眼には、軽蔑がありありと浮かんでいた。
ルシアちゃんに倣って女神像の前で祈りを(ポーズだけな)捧げる。
周囲には誰もいなかった。俺達が来るって言うんで人払いでもしているんだろうか?
そもそも、この前のモンスターの襲撃で街の人達は壊された北の防壁の修復や怪我の治療で大変だしな。いや、それにしても人いなすぎだろ。
『ルシア、ここはいつもこんなに静かなのか?』
「はい……あ、いいえ。私が覚えている限りでは、もっと人の出入りがありました」
俺の「静か」を「静謐」ととらえたルシアちゃんが慌てて訂正する。
ルシアちゃんも王都に戻ってからバタバタしていて祈りに来られなかったらしいが、その前、つまり洗礼式の前はもっと多くの人が礼拝に来ていたそうだ。
特に、冒険者などが出立の前に大きな怪我をしたり命を失うことがないよう加護(といっても気休め程度らしいが)を貰いに祈るのが通例だったらしい。
しかし、今は人っ子一人いない。
「これはこれは聖女様……お祈りをされていたのですか? であるならば祈祷料の支払いを、そちらの聖竜殿の分もおねがいしますね」
ふいにそんな嫌らしい声がした。
振り向くと、一昨日広場の合同葬儀で見かけた煌びやかな衣装の男がいた。
遠目で見たよりもでっぷりと太っている。そして、案外若い。
光を反射して白銀に見える髪のせいで老けて見えるが、30代後半くらいじゃなかろうか。
後方には修道服姿の綺麗なお姉さんが二人、かしずくように控えていた。
『……女神の代行者たる聖女からも徴収しようとは如何なる領分か?』
聖女が女神に祈りを捧げるのはお勤めの一環であろう、ということを言外に説いたのだが。
「以前は祈祷料などなかったはずですが?」
「おやおや、聖女様ともあろうお方が、祈祷料を支払いたくないと仰る?」
なぁ、もうこいつ殺していいか?
俺の目線に籠った殺気に気付いたのかルシアちゃんがダメです、と小さく手で制した。
「支払わないとは言っておりません」
「……これっぽっちでは足りませんよ。そうですね……そちらの首の宝石で代わりにしましょうか」
ルシアちゃんが出した銀貨を手の平の中で一瞥した教皇は、俺達の返事も待たずに俺の首輪をむしり取った。
「なっ」
「ああ、祈祷料でしたな。心付けとして祈祷者に金額を委ねていたのはもう遠い昔の話。今は一律金貨一枚となっております」
それは例え聖女であったとしても例外ではございません、と教皇は嗤う。
(聖女であれば祈りは務め。良い金蔓だ。それに、支払いきれなくなったその時は……)
『何だと? 貴様、聖女を食い物にする気か?!』
「は? いいえ? こちらは規則を言ったまでですが?」
『今、支払えなければ身体で支払えと言ったではないか』
舐め回すように見ていた男の視線から庇うように間に立つ。
ルシアちゃんは俺の後ろで胸を隠すようにして顔を青褪めさせた。
「ははは、聖竜殿は気でも触れたのですか? 聖職者の長たる私がそのような下世話なことを言うはずがないではないですか」
(くそ、何で考えていることがバレたんだ? 何かのスキルか? モンスターごときが、何が聖竜だ! 汚らわしいモンスターがこの私に偉そうな口を利きやがって)
教皇の声に被せるように聞こえてくるこの悪態。
ダメだ。これ以上ルシアちゃんをここに置いておいちゃいけない。
何よりこいつと一秒でも話していたくない。
俺はルシアちゃんを連れて早々に退散した。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【ステータス】
名前 : リージェ
レベル : 13
EXP : 10265/ 89867
HP : 1752/ 1752
MP : 1229/ 1349
Atk : 2974
Def : 966
スキル : タリ―語 Lv.3
我が劫火に焼かれよ Lv.4
血飛沫と共に踊れ Lv.5
全てを見通す神の眼 Lv.2
念話 Lv.2
我を害さんとする者よ、姿を現せ Lv.1
反転せよ Lv.2
称号 : 中二病(笑)
害虫キラー
農家
ドM
聖竜(仮)
何をしていたかというと、勇者と合流するまでの行程や諸々のお勉強だ。
『それでは、オーリエンの勇者は見捨てろと?』
「そうでありません。暗黒破壊神はオチデン連合国に現れた後、ここセントゥロへ現れています。であるならば、次に現れるのはオーリエンである可能性が高いということです」
『ならば尚更オーリエンに行き加勢すべきであろう?』
と、こんな具合で話し合いをしていた。途中から王様も加わって、国としてできる支援について教えてくれた。
国交があるから街道を通っていけばいいとのことで、馬車を貰えることになった。支度金を少しと、馬車に数日分の食糧も。
世界を救う使命を帯びての事であるから、教会側からも何かあるんじゃないかって。教会からルシアちゃんを預かるわけだし、一度は挨拶に行かなきゃな。
『――≪念話≫がLv.2になりました――』
その次の日は早速教会へ。
予定では岩は明日届くらしい。今日はルシアちゃんも一緒である。
初めて入る教会は、ここが総本山と呼ばれる場所だからだろうか、贅の限りを尽くしたものであった。
「何か、ずいぶんと目に痛いな」
「こちらの教会へは貴族の方も礼拝に来ますからね。多少の見栄というものなのでしょう」
目をパチクリさせながら、金箔銀箔でテコテコ盛られた像や壁の飾り彫りを見ていたら、ルシアちゃんが呟いた。
その眼には、軽蔑がありありと浮かんでいた。
ルシアちゃんに倣って女神像の前で祈りを(ポーズだけな)捧げる。
周囲には誰もいなかった。俺達が来るって言うんで人払いでもしているんだろうか?
そもそも、この前のモンスターの襲撃で街の人達は壊された北の防壁の修復や怪我の治療で大変だしな。いや、それにしても人いなすぎだろ。
『ルシア、ここはいつもこんなに静かなのか?』
「はい……あ、いいえ。私が覚えている限りでは、もっと人の出入りがありました」
俺の「静か」を「静謐」ととらえたルシアちゃんが慌てて訂正する。
ルシアちゃんも王都に戻ってからバタバタしていて祈りに来られなかったらしいが、その前、つまり洗礼式の前はもっと多くの人が礼拝に来ていたそうだ。
特に、冒険者などが出立の前に大きな怪我をしたり命を失うことがないよう加護(といっても気休め程度らしいが)を貰いに祈るのが通例だったらしい。
しかし、今は人っ子一人いない。
「これはこれは聖女様……お祈りをされていたのですか? であるならば祈祷料の支払いを、そちらの聖竜殿の分もおねがいしますね」
ふいにそんな嫌らしい声がした。
振り向くと、一昨日広場の合同葬儀で見かけた煌びやかな衣装の男がいた。
遠目で見たよりもでっぷりと太っている。そして、案外若い。
光を反射して白銀に見える髪のせいで老けて見えるが、30代後半くらいじゃなかろうか。
後方には修道服姿の綺麗なお姉さんが二人、かしずくように控えていた。
『……女神の代行者たる聖女からも徴収しようとは如何なる領分か?』
聖女が女神に祈りを捧げるのはお勤めの一環であろう、ということを言外に説いたのだが。
「以前は祈祷料などなかったはずですが?」
「おやおや、聖女様ともあろうお方が、祈祷料を支払いたくないと仰る?」
なぁ、もうこいつ殺していいか?
俺の目線に籠った殺気に気付いたのかルシアちゃんがダメです、と小さく手で制した。
「支払わないとは言っておりません」
「……これっぽっちでは足りませんよ。そうですね……そちらの首の宝石で代わりにしましょうか」
ルシアちゃんが出した銀貨を手の平の中で一瞥した教皇は、俺達の返事も待たずに俺の首輪をむしり取った。
「なっ」
「ああ、祈祷料でしたな。心付けとして祈祷者に金額を委ねていたのはもう遠い昔の話。今は一律金貨一枚となっております」
それは例え聖女であったとしても例外ではございません、と教皇は嗤う。
(聖女であれば祈りは務め。良い金蔓だ。それに、支払いきれなくなったその時は……)
『何だと? 貴様、聖女を食い物にする気か?!』
「は? いいえ? こちらは規則を言ったまでですが?」
『今、支払えなければ身体で支払えと言ったではないか』
舐め回すように見ていた男の視線から庇うように間に立つ。
ルシアちゃんは俺の後ろで胸を隠すようにして顔を青褪めさせた。
「ははは、聖竜殿は気でも触れたのですか? 聖職者の長たる私がそのような下世話なことを言うはずがないではないですか」
(くそ、何で考えていることがバレたんだ? 何かのスキルか? モンスターごときが、何が聖竜だ! 汚らわしいモンスターがこの私に偉そうな口を利きやがって)
教皇の声に被せるように聞こえてくるこの悪態。
ダメだ。これ以上ルシアちゃんをここに置いておいちゃいけない。
何よりこいつと一秒でも話していたくない。
俺はルシアちゃんを連れて早々に退散した。
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【ステータス】
名前 : リージェ
レベル : 13
EXP : 10265/ 89867
HP : 1752/ 1752
MP : 1229/ 1349
Atk : 2974
Def : 966
スキル : タリ―語 Lv.3
我が劫火に焼かれよ Lv.4
血飛沫と共に踊れ Lv.5
全てを見通す神の眼 Lv.2
念話 Lv.2
我を害さんとする者よ、姿を現せ Lv.1
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称号 : 中二病(笑)
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農家
ドM
聖竜(仮)
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