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第四章 俺様、西方に行く
9、ふふ~ん、聞いて驚け!
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「……取り敢えず、失踪したのは35人。あの日欠席していた1人と俺以外が失踪扱いだ。で、唯一戻ってきた俺が犯人扱い」
『そうか……大変だったな』
それはそうだろう。あの場にいて唯一失踪しなかったことになるのだから。
きのこは常に警察の監視上にあるため、土日の昼間だけ来て夜には日本に帰るという生活らしい。
残された生徒の気持ちを考慮して、教師も辞めたそうだ。
「じゃ、次そっちの番な。お前さんと一緒に召喚された他のクラスの連中はどこだ?」
『これから探しに行くところだ』
召喚したクラスメイト達は勇者として4つの国に散っていること、そしてこれから向かうオチデンとノルドでは公式には死んだことになっていることを説明した。
「そっか。じゃあ、その遺体を何とか盗み出してくれないか」
『何だと?』
「俺の目的は消息不明の生徒達を日本に連れ戻すことだ。死んでるなら、遺体だけでも親元に帰してやりたい」
落書きみたいな顔でわかりにくいが、きのこは真剣だった。
一度に連れて帰れるのは一人だけ。それは死体も含めてらしい。約束はできないが、と言うとできる範囲で良いと了承してくれた。
「本当は、お前さんも連れて帰ってやりたいんだがね……」
既に転生してしまっている俺は無理に連れて行っても自我のない蜥蜴になってしまう可能性が高いそうだ。それならこっちで生き抜く方が良いに決まってる。
『俺様には暗黒破壊神を倒すという使命があるからな』
きのこの言葉に俺が帰ると勘違いした涙目のエミーリオが、俺の言葉に満面の笑みを浮かべてあからさまにホッとしている。泣いたり笑ったり、忙しい奴だ。
話し込んでいる間に良い匂いが立ち込めてきて、俺の腹が鳴った。
エミーリオがクスクス笑いながら器に完成した料理を盛ってくれる。
今日の料理はエリンギと松茸の吸い物と、きのこたっぷりの炒め物。そして、固めに焼かれたバゲットだ。さっそく仕入れた醤油を使ってくれたようだ。流石にバターは無いから普通の油だったけど、野営だし贅沢は言えない。
「うぅ~ん、良い香りだ。香しい松茸の風味をより一層高める醤油の香ばしい匂い。出汁は……ほう、干し肉を入れているのか。炒め物も、アヒージョみたいで美味いな」
『貴様が食うのかよ!』
エミーリオの分が無くなるだろうが!
自分の身体から生えたものをモリモリと貪るきのこから器を取り戻し、「また作ればよいのですから」と遠慮するエミーリオに渡す。
アルベルト達とはまた別の騒がしさに包まれながら食事を終えると、きのこと情報交換を再開する。
「……少なくともあと一人死んでるって話だよな? あと一人は誰だ?」
『知らぬ。それを確かめに今向かっているのだ』
「オチデンの勇者が黒髪だったという情報くらいしか得られておりませんね」
「使えねぇなあ。半年もいたのに何やってんだよ」
きのこの言葉にカチンとする俺とエミーリオ。だが、抑えろ、俺。
きのこは、あちらの世界で俺達が失踪扱いになっているという情報をもたらしてくれた。さらに、その捜索が打ち切られ、保護者達が必死の署名活動や捜索活動をしているらしいことも。
『で? 俺様達を使えないという貴様はこの半年何をしていたのだ?』
「ふふ~ん、聞いて驚け! 村を作っていた!」
『は?』
「村、ですか?」
きのこの話だと、最初の1カ月はどこかの村に入ったり誰かに協力を仰ごうとしたが、こちらの世界の人間には逃げられたり追われたりしていたらしい。
で、森の中をさまよっていたら黒髪の男が行き倒れているのを助けたのだと。
「それで知ったのが、黒髪を忌避する習慣。うちの生徒は半数以上黒髪だろ? で、俺が連れ帰れるのは一度に一人だけ。なら、どこか匿う場所が必要だってね」
水源を確保し、井戸を掘ったり。土地を開墾して畑を作ったり。動物やモンスターに侵入されないよう防壁や堀を作ったり。最低限生活ができるだけの環境を整えていたらしい。
更には日本から保存食やペットボトルなど防災アイテムも持ち込んでいてかなり快適らしい。何それずるい。
「あ、そうだ。協力のお礼ってことでこれを渡しておく」
きのこが差し出したのは地図。それも、かなり詳しい。
A4サイズの紙に、国境や河川の位置、神殿や城などの大きな建物が細かく書き込まれている。だが、驚くべきはそこではなく。
「これはまさか、外界の地図?!」
そう、人跡未踏の暗黒破壊神の支配地。過去何度も調査団を派遣し誰一人帰ってこなかったという範囲にまで製図がされていたのだ。
今いる場所が起点になっているようで、地図の右半分の下がセントゥロ、右半分の上はオチデンの関所。左半分は森で河川の位置や遺跡、集落跡地が書き込まれていた。
「まだ奥地までは行けてないけどな」
『どうやって調べたのだ?』
「そりゃお前、見ていたろ? 俺が増殖するの」
つまり、胞子を飛ばして生み出した分身体をあちこちに派遣していたと。で、小っちゃいきこのが食われたり食われたり食われたりしながら少しずつ書き込んでいったのだと。って、食われすぎだろ。
『そうか……大変だったな』
それはそうだろう。あの場にいて唯一失踪しなかったことになるのだから。
きのこは常に警察の監視上にあるため、土日の昼間だけ来て夜には日本に帰るという生活らしい。
残された生徒の気持ちを考慮して、教師も辞めたそうだ。
「じゃ、次そっちの番な。お前さんと一緒に召喚された他のクラスの連中はどこだ?」
『これから探しに行くところだ』
召喚したクラスメイト達は勇者として4つの国に散っていること、そしてこれから向かうオチデンとノルドでは公式には死んだことになっていることを説明した。
「そっか。じゃあ、その遺体を何とか盗み出してくれないか」
『何だと?』
「俺の目的は消息不明の生徒達を日本に連れ戻すことだ。死んでるなら、遺体だけでも親元に帰してやりたい」
落書きみたいな顔でわかりにくいが、きのこは真剣だった。
一度に連れて帰れるのは一人だけ。それは死体も含めてらしい。約束はできないが、と言うとできる範囲で良いと了承してくれた。
「本当は、お前さんも連れて帰ってやりたいんだがね……」
既に転生してしまっている俺は無理に連れて行っても自我のない蜥蜴になってしまう可能性が高いそうだ。それならこっちで生き抜く方が良いに決まってる。
『俺様には暗黒破壊神を倒すという使命があるからな』
きのこの言葉に俺が帰ると勘違いした涙目のエミーリオが、俺の言葉に満面の笑みを浮かべてあからさまにホッとしている。泣いたり笑ったり、忙しい奴だ。
話し込んでいる間に良い匂いが立ち込めてきて、俺の腹が鳴った。
エミーリオがクスクス笑いながら器に完成した料理を盛ってくれる。
今日の料理はエリンギと松茸の吸い物と、きのこたっぷりの炒め物。そして、固めに焼かれたバゲットだ。さっそく仕入れた醤油を使ってくれたようだ。流石にバターは無いから普通の油だったけど、野営だし贅沢は言えない。
「うぅ~ん、良い香りだ。香しい松茸の風味をより一層高める醤油の香ばしい匂い。出汁は……ほう、干し肉を入れているのか。炒め物も、アヒージョみたいで美味いな」
『貴様が食うのかよ!』
エミーリオの分が無くなるだろうが!
自分の身体から生えたものをモリモリと貪るきのこから器を取り戻し、「また作ればよいのですから」と遠慮するエミーリオに渡す。
アルベルト達とはまた別の騒がしさに包まれながら食事を終えると、きのこと情報交換を再開する。
「……少なくともあと一人死んでるって話だよな? あと一人は誰だ?」
『知らぬ。それを確かめに今向かっているのだ』
「オチデンの勇者が黒髪だったという情報くらいしか得られておりませんね」
「使えねぇなあ。半年もいたのに何やってんだよ」
きのこの言葉にカチンとする俺とエミーリオ。だが、抑えろ、俺。
きのこは、あちらの世界で俺達が失踪扱いになっているという情報をもたらしてくれた。さらに、その捜索が打ち切られ、保護者達が必死の署名活動や捜索活動をしているらしいことも。
『で? 俺様達を使えないという貴様はこの半年何をしていたのだ?』
「ふふ~ん、聞いて驚け! 村を作っていた!」
『は?』
「村、ですか?」
きのこの話だと、最初の1カ月はどこかの村に入ったり誰かに協力を仰ごうとしたが、こちらの世界の人間には逃げられたり追われたりしていたらしい。
で、森の中をさまよっていたら黒髪の男が行き倒れているのを助けたのだと。
「それで知ったのが、黒髪を忌避する習慣。うちの生徒は半数以上黒髪だろ? で、俺が連れ帰れるのは一度に一人だけ。なら、どこか匿う場所が必要だってね」
水源を確保し、井戸を掘ったり。土地を開墾して畑を作ったり。動物やモンスターに侵入されないよう防壁や堀を作ったり。最低限生活ができるだけの環境を整えていたらしい。
更には日本から保存食やペットボトルなど防災アイテムも持ち込んでいてかなり快適らしい。何それずるい。
「あ、そうだ。協力のお礼ってことでこれを渡しておく」
きのこが差し出したのは地図。それも、かなり詳しい。
A4サイズの紙に、国境や河川の位置、神殿や城などの大きな建物が細かく書き込まれている。だが、驚くべきはそこではなく。
「これはまさか、外界の地図?!」
そう、人跡未踏の暗黒破壊神の支配地。過去何度も調査団を派遣し誰一人帰ってこなかったという範囲にまで製図がされていたのだ。
今いる場所が起点になっているようで、地図の右半分の下がセントゥロ、右半分の上はオチデンの関所。左半分は森で河川の位置や遺跡、集落跡地が書き込まれていた。
「まだ奥地までは行けてないけどな」
『どうやって調べたのだ?』
「そりゃお前、見ていたろ? 俺が増殖するの」
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