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第四章 俺様、西方に行く
8、は? 何だそれ。
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「聖竜様、それは、一体?」
「俺は人畜無害な群馬県産食用キノコだよ! 煮て良し、焼いて良し、俺的にはバター炒めがお勧めです!」
『そのネタはもう良い』
自己紹介がそれってどうなんだ?
「ああ、夕食の材料ということですか。ありがとうございます。では、さっそく」
「あぁぁぁぁ! 待って待ってごめんなさい! 謝るから食べないで! ごぉぉぉぉめぇぇぇえんんんなぁぁぁさぁぁぁぁあいいいいいい!」
手を伸ばすエミーリオから泣き喚くきのこを引き離す。
『聞きたいことがあるでな。食わんでやってくれ』
「聖竜様がそう仰るなら……」
「ん? 何だ、食材が足りないのか?」
そういうわけではない、というエミーリオの言葉も聞かず森に向かって「本体~!」と叫ぶきのこ。本体?
嫌な予感、と思った瞬間ガサガサと草の陰から出てきたのは、エミーリオの腰ぐらいまでの背丈の巨大な二足歩行のエリンギだった。巨大なエリンギにマスコットのような顔と手足をくっつけた、怪しさ満点の物体。
「「ちょっと待ってな」」
思わず剣に手をかけたエミーリオに、ユニゾンでそう言うと本体、と呼ばれた巨大きのこがばふばふと胞子を飛ばす。
その気の抜けた口調と突飛な行動に唖然としてしまったが、次のきのこの言葉に我に返る。
「そっちのでかい兄ちゃんは転移者じゃないみたいだな」
『あ、ああ。エミーリオはこちらの人間だ』
「そうか。俺の知っている情報を話すから、そっちの情報も教えてくれ」
そう言っている間に、小さいエリンギがにょきにょきと生えて好き勝手に走り回る。
それを巨大きのこは事も無げに捕まえるとエミーリオに渡した。エミーリオはあまりの事に状況を把握できないようで、固まっている。
「うん? 何だ? エリンギじゃないほうが良いのか? ん゛~……」
受け取らないエミーリオに困惑したきのこは急に力み始める。すると、にゅっ、ときのこの後ろ正面、やや下の際どい部分から松茸が生えた。エリンギから何故松茸……。
それをぶちっと抜くと再びエミーリオに「はい、食材」と渡すきのこ。ちょっと待て。
『貴様、今どこから生やした!?』
「石突だけど?」
あらやだほほほ、どこからだと勘違いしたのかしら、と笑うきのこ。すっげぇえむかつく!
「前が良ければ前からも生やせるけど」
『やめぃ!』
それはビジュアル的にアウトだ! つうかそんな場所に生えた松茸なんて誰が食うか!
って思ったけど、エミーリオがいそいそと料理を始めてしまった。
「聖竜様が連れてきた方のくださったものですから、安全でしょう」
って。確かに正真正銘松茸の薫りだが……。生えてるとこ見ちゃうと、ねぇ。
つぅか、こいつマジで誰なんだ? 声は聞き覚えあるんだが……。
「さ、悪ふざけはこのくらいで。本題に入ろうか。聖竜様は何君?」
『俺様か? 俺様は……』
「あ、ちょっと待ってわかった。君、暗黒破壊神様でしょ」
「暗黒破壊神だと? よりにもよって聖竜様を捕まえて……」
『わぁぁぁ、エミーリオ、落ち着け!』
きのこに見事前世を当てられたが、その台詞にエミーリオが過剰反応。剣を抜いてしまった。
慌てて誤解だの何だの取りなして何とか落ち着いてもらったが、その間きのこは「暗黒破壊神様がそれを倒す聖竜様に転生とかウケる」と腹を抱えて大笑いしていやがった。むかつく。
「で? 聖竜様、その姿は何なの?」
『起きたらこの姿だった。半年前からだ。貴様は? 死んだ時のことを覚えていたりしないのか?』
このやりとりでエミーリオに俺が転生者だとばれたが仕方ない。
俺が勇者召喚で呼び出された元人間で、目の前のきのこも同世界の関係者だとだけ説明した。
「俺? 覚えてないねぇ。何しろ死んでないし」
『は? 死んだことは覚えてなくても、生まれた時のことくらい覚えておろう?』
「いやいや、本当に死んでないのよ。俺、異世界と日本とを自由に行ったり来たりできるの」
は? 何だそれ。
固まる俺に、正確には異世界旅行のスキルは俺の奥さんが持ってるんだけど、ときのこが言う。
「代償、っていうのかな? 異世界に来ると何故かきのこになるのよ、俺。あだ名がきのこだからかな」
『……ちょっと待て、貴様、もしや木下か?!』
「先生をつけろ、先生を」
そう、目の前のきのこ、こと木下楓は、非常勤講師。
あの日、俺の後頭部を出席簿で叩き教室に押し入れ、そして一緒に異世界召喚されたはずの人間。
「奥さんがいち早く気づいて俺だけ森の中に飛ばしてくれたんだよねー。おかげで生徒達とはぐれちゃって。いやあ、お前と出逢えて良かったわ」
この姿だと人間の街に入れないからさ、と笑うきのこ。
もし、きのこの話が本当であれば聞きたいことがある。
『あれから半年、リアルの方はどうなっている?』
「俺は人畜無害な群馬県産食用キノコだよ! 煮て良し、焼いて良し、俺的にはバター炒めがお勧めです!」
『そのネタはもう良い』
自己紹介がそれってどうなんだ?
「ああ、夕食の材料ということですか。ありがとうございます。では、さっそく」
「あぁぁぁぁ! 待って待ってごめんなさい! 謝るから食べないで! ごぉぉぉぉめぇぇぇえんんんなぁぁぁさぁぁぁぁあいいいいいい!」
手を伸ばすエミーリオから泣き喚くきのこを引き離す。
『聞きたいことがあるでな。食わんでやってくれ』
「聖竜様がそう仰るなら……」
「ん? 何だ、食材が足りないのか?」
そういうわけではない、というエミーリオの言葉も聞かず森に向かって「本体~!」と叫ぶきのこ。本体?
嫌な予感、と思った瞬間ガサガサと草の陰から出てきたのは、エミーリオの腰ぐらいまでの背丈の巨大な二足歩行のエリンギだった。巨大なエリンギにマスコットのような顔と手足をくっつけた、怪しさ満点の物体。
「「ちょっと待ってな」」
思わず剣に手をかけたエミーリオに、ユニゾンでそう言うと本体、と呼ばれた巨大きのこがばふばふと胞子を飛ばす。
その気の抜けた口調と突飛な行動に唖然としてしまったが、次のきのこの言葉に我に返る。
「そっちのでかい兄ちゃんは転移者じゃないみたいだな」
『あ、ああ。エミーリオはこちらの人間だ』
「そうか。俺の知っている情報を話すから、そっちの情報も教えてくれ」
そう言っている間に、小さいエリンギがにょきにょきと生えて好き勝手に走り回る。
それを巨大きのこは事も無げに捕まえるとエミーリオに渡した。エミーリオはあまりの事に状況を把握できないようで、固まっている。
「うん? 何だ? エリンギじゃないほうが良いのか? ん゛~……」
受け取らないエミーリオに困惑したきのこは急に力み始める。すると、にゅっ、ときのこの後ろ正面、やや下の際どい部分から松茸が生えた。エリンギから何故松茸……。
それをぶちっと抜くと再びエミーリオに「はい、食材」と渡すきのこ。ちょっと待て。
『貴様、今どこから生やした!?』
「石突だけど?」
あらやだほほほ、どこからだと勘違いしたのかしら、と笑うきのこ。すっげぇえむかつく!
「前が良ければ前からも生やせるけど」
『やめぃ!』
それはビジュアル的にアウトだ! つうかそんな場所に生えた松茸なんて誰が食うか!
って思ったけど、エミーリオがいそいそと料理を始めてしまった。
「聖竜様が連れてきた方のくださったものですから、安全でしょう」
って。確かに正真正銘松茸の薫りだが……。生えてるとこ見ちゃうと、ねぇ。
つぅか、こいつマジで誰なんだ? 声は聞き覚えあるんだが……。
「さ、悪ふざけはこのくらいで。本題に入ろうか。聖竜様は何君?」
『俺様か? 俺様は……』
「あ、ちょっと待ってわかった。君、暗黒破壊神様でしょ」
「暗黒破壊神だと? よりにもよって聖竜様を捕まえて……」
『わぁぁぁ、エミーリオ、落ち着け!』
きのこに見事前世を当てられたが、その台詞にエミーリオが過剰反応。剣を抜いてしまった。
慌てて誤解だの何だの取りなして何とか落ち着いてもらったが、その間きのこは「暗黒破壊神様がそれを倒す聖竜様に転生とかウケる」と腹を抱えて大笑いしていやがった。むかつく。
「で? 聖竜様、その姿は何なの?」
『起きたらこの姿だった。半年前からだ。貴様は? 死んだ時のことを覚えていたりしないのか?』
このやりとりでエミーリオに俺が転生者だとばれたが仕方ない。
俺が勇者召喚で呼び出された元人間で、目の前のきのこも同世界の関係者だとだけ説明した。
「俺? 覚えてないねぇ。何しろ死んでないし」
『は? 死んだことは覚えてなくても、生まれた時のことくらい覚えておろう?』
「いやいや、本当に死んでないのよ。俺、異世界と日本とを自由に行ったり来たりできるの」
は? 何だそれ。
固まる俺に、正確には異世界旅行のスキルは俺の奥さんが持ってるんだけど、ときのこが言う。
「代償、っていうのかな? 異世界に来ると何故かきのこになるのよ、俺。あだ名がきのこだからかな」
『……ちょっと待て、貴様、もしや木下か?!』
「先生をつけろ、先生を」
そう、目の前のきのこ、こと木下楓は、非常勤講師。
あの日、俺の後頭部を出席簿で叩き教室に押し入れ、そして一緒に異世界召喚されたはずの人間。
「奥さんがいち早く気づいて俺だけ森の中に飛ばしてくれたんだよねー。おかげで生徒達とはぐれちゃって。いやあ、お前と出逢えて良かったわ」
この姿だと人間の街に入れないからさ、と笑うきのこ。
もし、きのこの話が本当であれば聞きたいことがある。
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