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第五章 俺様、北方へ行く
18、中身はやっぱり双子なんだな
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黒かった土地が普通の黄土色に変わり、泉の水も透き通ると、途端にルシアちゃんが倒れてしまった。
ベルナルド先生が即座に鑑定、MP切れだから寝かせておけば大丈夫だと馬車に運び入れてくれた。かなりの広範囲を浄化したからなぁ……。
改めて鑑定をかけるまでもないだろう。見える景色がすっかり変わってしまっただけでなく、何となく感じていた息苦しさは消え去っている。
「よっと」
いつの間にか、バルトヴィーノが崩れた建物の瓦礫をどかして地下室の扉を開けている。
止める間もなく中に入っていってしまった。慌てて追いかけると、土壁の窓一つない空間だった。バルトヴィーノが魔法で明りを出す。
『魔法を使えたのだな』
「ん? ああ、このくらいならな。ベルナルドみたく攻撃に使えるわけでも、エミーリオみたく色んなことはできねぇよ」
バルトヴィーノはあまり魔法は得意ではないらしい。
明りに照らされた空間を改めて見ると、人骨が入口にほど近い場所に散らばっていた。
奥の机には1冊の本が。それは日記で、モンスターがどんどんやってきて黒い岩に吸い込まれていくと書いてあった。
何かの前兆かもしれないと。モンスターがどんどん集まってくると。親に隠れなさいと地下室に入れられたと。大きな音がしたとか、地面が揺れてるとか地下室にいるため外がどんな状況かわからない恐怖、食べ物がなくなり体が動かなくなっていくことなどが書かれていて……ある日唐突に日記が終わる。
『ん? 動けなくなって死んだというのに、何故骨が入口の方にあったのだ?』
「蘇ったんだろ」
事も無げにバルトヴィーノが言う。蘇って、出られずにいるうちに浄化されたってことか。
「どちらにしろ、浄化されたんだ。もう起き上がることは無ぇよ」
『そういうものか』
「そういうものだ」
「おーい、ヴィー! 置いて行くぞー!」
「やべっ」
他にめぼしい物は……と探そうとしたところで入口からアルベルトの声がして慌てて外に出る。
倒れたドナートやチェーザーレも馬車に運びこまれ、馬は馬具をつけいつでも出立できる状態だった。
日は傾きかけている。本来なら野営の準備に入るところであるが、
「いくら浄化されたとはいえ、封印の解けた黒岩の側にいたくはない」
という訳で無理な出発となった。正直、警戒要員とタンクと回復要員がダウンしているんだから無理に動かないほうが良いと思うのだが……仕方ない、俺が頑張るしかないか。
エヴァ達も早く離れたかったようで行きよりも速度が出ている。何と、一日かけて来た距離を約半オーラで半分来てしまったのだ。逆に言えば行きは動物の本能的な何かで行きたくないと手を抜いていたわけか?
馬たちが限界来たので今日はここまで。アルベルトか馬から馬具を外し、エミーリオが野営準備、俺は回復魔法をかけまくった。
ルシアちゃんはまだ目覚めないが、ドナートとチェーザーレは復活した。けどまだ顔色が悪いな。
「そろそろあいつを呼ぶけど良いか?」
『ああ、貴様の弟とかいう奴か』
食事が終わった時、1号が言った。そう言えば昨日そんな事言ってたな。
ルシアちゃんがダウンしているけど、まぁ大丈夫だろ。
他のメンバーも頷いたのを確認して、1号が何やらもぞもぞ言うと、月明かりの下にいきなりおっさんが現れた。
『貴様が要か?』
正直、きのこより老けて見える。いや、高校生の親だというしこのくらいが普通か。きのこが若すぎるのだ。20代でも通じるぞ、あれ。
見た目30代後半の登山家のような服装にリュックサック姿のおっさん。どこかのIT系の社長ですって言っても通じそうな、つまりはかなりのイケメン。ただ、頬はこけてしまっているしどことなく顔色も悪い。
「そうです。本庄要と言います。香月を探すのを手伝っていただけるとか……宜しくお願い致します」
観察していると、おっさんが口を開いた。ん? 探す手伝い?
1号をチラリと見るとなんか手を合わてペコっとされた。話を合わせろということか? まあ、やることは変わらないからいいんだが……。
『俺様はリージェ。馬車で寝てるのがルシアと、あとは下僕どもだ』
「下僕っておい! ……聖女の護衛を命じられた冒険者パーティー「レガメ」のリーダーを務めるアルベルトだ」
パーティー名あったのか。
アルベルトのツッコミに続き、ベルナルド、バルトヴィーノ、ドナート、チェーザーレ、エミーリオが名乗っていく。
要は一人一人に改めて宜しくお願い致しますと頭を下げた。物腰が柔らかく穏やかな口調はさすが香月の親って感じだ。
「要は今後土曜日に来て日曜日に日本に帰る。足を引っ張るかもしれないが、面倒を見てやってくれ」
「えっ?! 楓? いるのか? 来れないって言ってたのに?」
きのこの声に要が反応してキョロキョロしている。
そして、1号が喋っているのに気付くと、
「楓、なのか……? ずいぶん縮んだな……」
「そんなわけあるか―! 俺のスキルで生み出した分身だ! ってか放せ! はーなーせー!」
摘まみ上げられて手足をジタバタ振り回す1号。って、つっこむとこそこ?! きのこって点はスルー?!
見た目や物腰はだいぶ違うけど、中身はやっぱり双子なんだな……。
ベルナルド先生が即座に鑑定、MP切れだから寝かせておけば大丈夫だと馬車に運び入れてくれた。かなりの広範囲を浄化したからなぁ……。
改めて鑑定をかけるまでもないだろう。見える景色がすっかり変わってしまっただけでなく、何となく感じていた息苦しさは消え去っている。
「よっと」
いつの間にか、バルトヴィーノが崩れた建物の瓦礫をどかして地下室の扉を開けている。
止める間もなく中に入っていってしまった。慌てて追いかけると、土壁の窓一つない空間だった。バルトヴィーノが魔法で明りを出す。
『魔法を使えたのだな』
「ん? ああ、このくらいならな。ベルナルドみたく攻撃に使えるわけでも、エミーリオみたく色んなことはできねぇよ」
バルトヴィーノはあまり魔法は得意ではないらしい。
明りに照らされた空間を改めて見ると、人骨が入口にほど近い場所に散らばっていた。
奥の机には1冊の本が。それは日記で、モンスターがどんどんやってきて黒い岩に吸い込まれていくと書いてあった。
何かの前兆かもしれないと。モンスターがどんどん集まってくると。親に隠れなさいと地下室に入れられたと。大きな音がしたとか、地面が揺れてるとか地下室にいるため外がどんな状況かわからない恐怖、食べ物がなくなり体が動かなくなっていくことなどが書かれていて……ある日唐突に日記が終わる。
『ん? 動けなくなって死んだというのに、何故骨が入口の方にあったのだ?』
「蘇ったんだろ」
事も無げにバルトヴィーノが言う。蘇って、出られずにいるうちに浄化されたってことか。
「どちらにしろ、浄化されたんだ。もう起き上がることは無ぇよ」
『そういうものか』
「そういうものだ」
「おーい、ヴィー! 置いて行くぞー!」
「やべっ」
他にめぼしい物は……と探そうとしたところで入口からアルベルトの声がして慌てて外に出る。
倒れたドナートやチェーザーレも馬車に運びこまれ、馬は馬具をつけいつでも出立できる状態だった。
日は傾きかけている。本来なら野営の準備に入るところであるが、
「いくら浄化されたとはいえ、封印の解けた黒岩の側にいたくはない」
という訳で無理な出発となった。正直、警戒要員とタンクと回復要員がダウンしているんだから無理に動かないほうが良いと思うのだが……仕方ない、俺が頑張るしかないか。
エヴァ達も早く離れたかったようで行きよりも速度が出ている。何と、一日かけて来た距離を約半オーラで半分来てしまったのだ。逆に言えば行きは動物の本能的な何かで行きたくないと手を抜いていたわけか?
馬たちが限界来たので今日はここまで。アルベルトか馬から馬具を外し、エミーリオが野営準備、俺は回復魔法をかけまくった。
ルシアちゃんはまだ目覚めないが、ドナートとチェーザーレは復活した。けどまだ顔色が悪いな。
「そろそろあいつを呼ぶけど良いか?」
『ああ、貴様の弟とかいう奴か』
食事が終わった時、1号が言った。そう言えば昨日そんな事言ってたな。
ルシアちゃんがダウンしているけど、まぁ大丈夫だろ。
他のメンバーも頷いたのを確認して、1号が何やらもぞもぞ言うと、月明かりの下にいきなりおっさんが現れた。
『貴様が要か?』
正直、きのこより老けて見える。いや、高校生の親だというしこのくらいが普通か。きのこが若すぎるのだ。20代でも通じるぞ、あれ。
見た目30代後半の登山家のような服装にリュックサック姿のおっさん。どこかのIT系の社長ですって言っても通じそうな、つまりはかなりのイケメン。ただ、頬はこけてしまっているしどことなく顔色も悪い。
「そうです。本庄要と言います。香月を探すのを手伝っていただけるとか……宜しくお願い致します」
観察していると、おっさんが口を開いた。ん? 探す手伝い?
1号をチラリと見るとなんか手を合わてペコっとされた。話を合わせろということか? まあ、やることは変わらないからいいんだが……。
『俺様はリージェ。馬車で寝てるのがルシアと、あとは下僕どもだ』
「下僕っておい! ……聖女の護衛を命じられた冒険者パーティー「レガメ」のリーダーを務めるアルベルトだ」
パーティー名あったのか。
アルベルトのツッコミに続き、ベルナルド、バルトヴィーノ、ドナート、チェーザーレ、エミーリオが名乗っていく。
要は一人一人に改めて宜しくお願い致しますと頭を下げた。物腰が柔らかく穏やかな口調はさすが香月の親って感じだ。
「要は今後土曜日に来て日曜日に日本に帰る。足を引っ張るかもしれないが、面倒を見てやってくれ」
「えっ?! 楓? いるのか? 来れないって言ってたのに?」
きのこの声に要が反応してキョロキョロしている。
そして、1号が喋っているのに気付くと、
「楓、なのか……? ずいぶん縮んだな……」
「そんなわけあるか―! 俺のスキルで生み出した分身だ! ってか放せ! はーなーせー!」
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