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第六章 俺様、東方に行く
11、これでは落ち着けぬ
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薬草を巡ってひと悶着あった日から二日目。俺達は少し大きな街に到着した。
『ずっと一本道だと迷う心配がなくて良いな』
そう。ここまで道は分岐がなく、地理に疎い俺達でも無事に進むことができた。
特に何か問題も起きることもなかったし、順調すぎるほどに順調である。
まずは何か美味しいものでも、と今は門衛に聞いた街一番の食堂に来ている。
「はいよっ! 勇者様うどんお待ちっ!」
『勇者様うどん……?』
「お客さん見ない顔だねぇ。勇者様うどんを知らないのかい? これは勇者様が伝えてくださった、食べれば元気100倍! どんな病気も裸足で逃げ出すありがたーい食べもんさ」
出されたのはオーリエンに召喚された勇者が広めたという麺料理。ネーミングや功能はともかく見た目は普通のうどんだ。
透き通るような塩味のスープには肉の油が溶け出し、生姜とネギと椎茸が乗っている。ただしょっぱいだけでなく、ちゃんと肉やきのこが良い出汁になっていてなかなかうまい。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【勇者うどん】
小麦粉と塩を練って細く切ったものを湯がき、さらに煮込んだ手の込んだ料理。ゼンゼロの根が肉の臭みを消すと同時に体を温める。疲労回復、消化促進、熱病予防効果あり。
オーリエンの名物料理だそうですよ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「焼きうどんとかいうやつ、スープ入りも美味いな」
『違うぞチェーザーレ。この細長い麺がうどんで、煮ずに焼いたものだから焼きうどんというのだ』
「ではこれは?」
『うどんだな』
「「??」」
あ、ダメだ理解できてねぇ。助けて要さーん。
煮込みうどんとでもいえば伝わるのだろうが、煮込みうどんはまた別の料理というのが俺の中の認識で。うまく説明できねぇ。いやそもそもかけうどんとかザルうどんとか鍋焼きうどんとかあつもりとか種類ありすぎだろうどん!
助けを求めたくても要さんは昨日の夜に帰ってしまっていないのだった。
「今日はゆっくり羽を伸ばそう」
「わかりましたわ。リージェ様、一緒に街を回りましょう?」
『ああ』
俺が説明に困っていると美味しく食べられればそれで良いだろうというバルトヴィーノの援護が入り、冷めないうちに全員黙々と食べた。
で、食後はそれぞれ分かれて街を探索しようという流れになったのだ。俺は久々にルシアちゃんと二人っきりだ。男連中が絡まらないときのルシアちゃんはマジ天使で可愛いのだ。役得役得。
この街は土壁の平屋が多い。食堂もそうだったが、木造の住宅に土を塗り固めた作りのようだ。2階建て3階建ての建物もあり、歴史の資料集で見た江戸時代の平民って感じの家屋が並ぶ。
服装も甚平に似た着物のような姿が多く、稀に先日寄った村のようなアイヌ民族風の人がいる。まるでテーマパークにでも来たかのような不思議な高揚感がある。
「まぁっ、リージェ様。市が立っていますわ」
行ってみましょう、と言うルシアちゃんの肩に乗せてもらう。これではぐれることも無い。
道の両端に様々な露店が並び、人々でごった返している中をキョロキョロしながら見て回る。俺の姿にぎょっとして道を開ける人の多いこと多いこと。おかげで気を取られていても誰かにぶつかるということもなく楽に進める。
「そこの竜主様、どうぞこちらをお持ちください」
ルシアちゃんが興味深そうに露店の前で足を止めると、その両隣や向かいの露店から声がかかる。
「『竜主?』」
聞き慣れない言葉に首を傾げると、「おお、竜様がお言葉を……ありがたやありがたや」と拝まれ周囲の人からも我も我もと色々なものを献上される。なんでも、この国では竜は神聖なものらしい。そして竜に認められた者を竜主と呼ぶらしい。竜主は国を治め世界を救い人々に安寧をもたらすのだとか。
竜に認められた者が国を治めると以前少し聞いた気もするが、周りの反応がここまでとは思っていなかった。せいぜい俺を捕まえて領主に売ろうとするくらいかと警戒していたくらいだ。
「あの、リージェ様。あまり色々貰いすぎても悪いですし、お暇しましょうか」
『そうだな。これでは落ち着けぬ』
視界を埋め尽くすほどの人から拝まれ触られ貢物を押し付けられるこの状況に臆したルシアちゃんと宿に戻ることにした。
立ち去る背中に、また来てくださいと口々に声をかけられむず痒い気分だ。
道中綺麗な、それでいて露出の激しいお姉さんと連れ立って歩くバルトヴィーノを見かけた。腰に手を回しデレデレと鼻の下を伸ばしている。
「まぁっ! なんて不潔な!」
憤慨した様子だがルシアちゃんよ、これがアルベルトとベルナルド先生とかだったら応援するんだろう? 男同士なら良くて男女だと不潔になるルシアちゃんの将来がお兄さんは不安だよ……。
宿にはエミーリオだけが戻ってきているようだった。因みにルシアちゃんだけ別室だ。宿の受付にそう教えられて俺達は探索の成果を共有しにエミーリオの部屋へ入った。
押し付けられた袋には、焼きもろこしや焼き芋、串焼きなどの食べ物類から宝玉や魔石を填めたアクセサリー、工芸品など多岐にわたる。ここからもこの国の特産品や伝統とかわかるってエミーリオが言うし一つ一つ鑑定してみるか、と焼きもろこしと串焼きをもごもご食べながら俺は検分を始めるのだった。
『ずっと一本道だと迷う心配がなくて良いな』
そう。ここまで道は分岐がなく、地理に疎い俺達でも無事に進むことができた。
特に何か問題も起きることもなかったし、順調すぎるほどに順調である。
まずは何か美味しいものでも、と今は門衛に聞いた街一番の食堂に来ている。
「はいよっ! 勇者様うどんお待ちっ!」
『勇者様うどん……?』
「お客さん見ない顔だねぇ。勇者様うどんを知らないのかい? これは勇者様が伝えてくださった、食べれば元気100倍! どんな病気も裸足で逃げ出すありがたーい食べもんさ」
出されたのはオーリエンに召喚された勇者が広めたという麺料理。ネーミングや功能はともかく見た目は普通のうどんだ。
透き通るような塩味のスープには肉の油が溶け出し、生姜とネギと椎茸が乗っている。ただしょっぱいだけでなく、ちゃんと肉やきのこが良い出汁になっていてなかなかうまい。
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【勇者うどん】
小麦粉と塩を練って細く切ったものを湯がき、さらに煮込んだ手の込んだ料理。ゼンゼロの根が肉の臭みを消すと同時に体を温める。疲労回復、消化促進、熱病予防効果あり。
オーリエンの名物料理だそうですよ。
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「焼きうどんとかいうやつ、スープ入りも美味いな」
『違うぞチェーザーレ。この細長い麺がうどんで、煮ずに焼いたものだから焼きうどんというのだ』
「ではこれは?」
『うどんだな』
「「??」」
あ、ダメだ理解できてねぇ。助けて要さーん。
煮込みうどんとでもいえば伝わるのだろうが、煮込みうどんはまた別の料理というのが俺の中の認識で。うまく説明できねぇ。いやそもそもかけうどんとかザルうどんとか鍋焼きうどんとかあつもりとか種類ありすぎだろうどん!
助けを求めたくても要さんは昨日の夜に帰ってしまっていないのだった。
「今日はゆっくり羽を伸ばそう」
「わかりましたわ。リージェ様、一緒に街を回りましょう?」
『ああ』
俺が説明に困っていると美味しく食べられればそれで良いだろうというバルトヴィーノの援護が入り、冷めないうちに全員黙々と食べた。
で、食後はそれぞれ分かれて街を探索しようという流れになったのだ。俺は久々にルシアちゃんと二人っきりだ。男連中が絡まらないときのルシアちゃんはマジ天使で可愛いのだ。役得役得。
この街は土壁の平屋が多い。食堂もそうだったが、木造の住宅に土を塗り固めた作りのようだ。2階建て3階建ての建物もあり、歴史の資料集で見た江戸時代の平民って感じの家屋が並ぶ。
服装も甚平に似た着物のような姿が多く、稀に先日寄った村のようなアイヌ民族風の人がいる。まるでテーマパークにでも来たかのような不思議な高揚感がある。
「まぁっ、リージェ様。市が立っていますわ」
行ってみましょう、と言うルシアちゃんの肩に乗せてもらう。これではぐれることも無い。
道の両端に様々な露店が並び、人々でごった返している中をキョロキョロしながら見て回る。俺の姿にぎょっとして道を開ける人の多いこと多いこと。おかげで気を取られていても誰かにぶつかるということもなく楽に進める。
「そこの竜主様、どうぞこちらをお持ちください」
ルシアちゃんが興味深そうに露店の前で足を止めると、その両隣や向かいの露店から声がかかる。
「『竜主?』」
聞き慣れない言葉に首を傾げると、「おお、竜様がお言葉を……ありがたやありがたや」と拝まれ周囲の人からも我も我もと色々なものを献上される。なんでも、この国では竜は神聖なものらしい。そして竜に認められた者を竜主と呼ぶらしい。竜主は国を治め世界を救い人々に安寧をもたらすのだとか。
竜に認められた者が国を治めると以前少し聞いた気もするが、周りの反応がここまでとは思っていなかった。せいぜい俺を捕まえて領主に売ろうとするくらいかと警戒していたくらいだ。
「あの、リージェ様。あまり色々貰いすぎても悪いですし、お暇しましょうか」
『そうだな。これでは落ち着けぬ』
視界を埋め尽くすほどの人から拝まれ触られ貢物を押し付けられるこの状況に臆したルシアちゃんと宿に戻ることにした。
立ち去る背中に、また来てくださいと口々に声をかけられむず痒い気分だ。
道中綺麗な、それでいて露出の激しいお姉さんと連れ立って歩くバルトヴィーノを見かけた。腰に手を回しデレデレと鼻の下を伸ばしている。
「まぁっ! なんて不潔な!」
憤慨した様子だがルシアちゃんよ、これがアルベルトとベルナルド先生とかだったら応援するんだろう? 男同士なら良くて男女だと不潔になるルシアちゃんの将来がお兄さんは不安だよ……。
宿にはエミーリオだけが戻ってきているようだった。因みにルシアちゃんだけ別室だ。宿の受付にそう教えられて俺達は探索の成果を共有しにエミーリオの部屋へ入った。
押し付けられた袋には、焼きもろこしや焼き芋、串焼きなどの食べ物類から宝玉や魔石を填めたアクセサリー、工芸品など多岐にわたる。ここからもこの国の特産品や伝統とかわかるってエミーリオが言うし一つ一つ鑑定してみるか、と焼きもろこしと串焼きをもごもご食べながら俺は検分を始めるのだった。
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