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第六章 俺様、東方に行く
21、タイラーツ領の二の舞にはならないだろう。たぶん。
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タイラーツ領の事件から二日。俺達はタイラーツ領を抜け、王都へと入る巨大な門の前で行列に並んでいる。
あの後、ルシアちゃんを助けるべくタイラーツ家の屋敷に向かってきていたアルベルト達と合流し、何も告げずに先走ったことをこっぴどく怒られた。結果的にうまくいったから良いじゃん、と言ったらさらに殴られた。ぐすん。
街道脇で待機をしてもらっていたベルナルド先生も、スキルを駆使してアルベルト達が村を脱出するのを手伝ったらしい。結果的にはベルナルド先生が王都に先行することが無くて良かったと思う。こうして誰一人欠けることなくオーリエンの王都・ハレタへと辿り着けたのだから。
「あ、そうそう。オットリーノ陛下が、今後ルシアちゃんが攫われるようなミスしたら容赦しないってよ」
『1号、貴様……ルシアが攫われたことを言ったのか』
しっかり守るように、とやたら似ている物真似にひょっとしたらマジで切り刻まれるんじゃないかと嫌な汗が流れる。いや実際に汗をかくわけではないんだが。
「常に見守っているってよ」
『心しておこう』
が、取り敢えずチクってくれた1号にはデコピンをお見舞いしておく。
そんなじゃれ合いをルシアちゃんがいつものように微笑んで見ているのに気付き、俺は内心ホッと胸を撫で下ろしていた。
二日前、エミーリオの胸の中で眠りに落ちていたルシアちゃん。この二日間で何度もうなされては泣いていたのを知っている。
話せば少しは気が晴れると言って無理に聞き出した分には、隷属の首輪をかけられた後は意識がぼーっとして半分夢を見ているような感覚だったのだと。俺が心配したようなことはされなかったそうだが、それでも服を破られたり身体を触られたりはしたらしい。
「嫌なのに、体はそれを受け入れるようで。私……私は……」
ボロボロと泣きだしてしまったルシアちゃん。勿論この場合の受け入れるというのは性の目覚めとかそういう事ではなく。意識が半分飛んでたせいで体の自由が利かなかったって意味。
『わかっているよ。大丈夫。首輪のせいであって、ルシアが聖女にふさわしくないというわけではない』
「そうですよ、ルシア様。ルシア様が恐れているようなことがあれば称号にもすぐ影響されるでしょう。貴女が聖女であることは女神様も認めていらっしゃいます」
鑑定持ちのベルナルド先生に称号がはく奪されていないと宥めたことで多少落ち着いたけど。領主に従い体を触られるのは当然という意識がその時にはあって、意識がハッキリした今になって拒絶反応が出ているのだと。そして、その時抵抗しなかったことが女神から聖女としてふさわしくないと判じられるのではないかと恐れていたのだ。
トラウマにならなきゃ良いけどな。数年後好きな男とかできても触れ合うことができないとかだったら可哀想すぎる。もっとも、それまでに聖女としての務めから解放してやんなきゃだけど。
二日間宥めて話を聞いてやって、ようやく笑顔を見せるようになってきたけど、まだまだ不安定なのだ。
『ふむ。物は相談なのだが』
行列が進まないのを良いことに、後ろの馬車に乗ってるメンバーにも集まってもらう。
『ルシアもまだ本調子ではないし、トラブルはもう御免だ。もし案内された勇者たちが呪術で縛られていた場合も、表立ってどうこうせずにアスーに移動してから解呪を試したい』
「オーリエンの国王と対立しないよう立ち回れば良いってことか」
「賛成です」
まぁ、勇者たちが操られていたりしないのが一番なんだがな。
アルベルト達やエミーリオも特に反対はしなかった。
「あ、なら俺達からも一つ良いか?」
アルベルト達が言うには、数日休暇が欲しいのだと。
「ギルドへの活動報告とか、武器の手入れとかやらなきゃいけないことがたくさんあってな」
『ふむ。ルシアも人混みが嫌でなければ気晴らしに街を探索するか?』
「ええ。大丈夫ですわ」
「それなら自分が護衛します」
冒険者登録していないからギルドに行く必要がないのだというエミーリオが護衛を買って出てくれた。これなら安心だ。タイラーツ領の二の舞にはならないだろう。たぶん。
暗黒破壊神がいつ来襲するかわからない以上旅を急ぎ黒モンスターを狩っていきたいのだが、正直ルシアちゃんのこの様子だと途中で倒れてしまいかねないし。アルベルト達が言うように武器の整備も大切だ。それが生死を分けることだってあるからな。こうしてハレタでの休暇が決定されたわけだ。
行列が進み門衛にアルベルト達が身分証としてギルドカードを、エミーリオは騎士の徽章とルシアちゃんの家紋入りの短剣を見せる。
短剣を見た門衛が大慌てで上長を呼んできて、王族は並ぶ必要なかったと教えてもらった時は苦笑いしか出なかった。
「オットリーノ陛下よりご来訪の連絡を承っておりました。イゴール陛下から伝言で、政務の調整ができずお待たせして申し訳ないが二日ほど指定の宿で逗留をお願いしたいと」
心配していたのがあほらしくなるほど、誠実な対応と思われた。宿も手配してくれていて謁見までの逗留費は全てオーリエンが持つらしい。ただし、指定の宿以外での食事買物についてはその対象外だと。
「構いません。ご配慮に感謝致します」
休暇を取ろうって話だったし、ちょうど良かったな。王都を満喫してやるぞー! まずは肉だ!
あの後、ルシアちゃんを助けるべくタイラーツ家の屋敷に向かってきていたアルベルト達と合流し、何も告げずに先走ったことをこっぴどく怒られた。結果的にうまくいったから良いじゃん、と言ったらさらに殴られた。ぐすん。
街道脇で待機をしてもらっていたベルナルド先生も、スキルを駆使してアルベルト達が村を脱出するのを手伝ったらしい。結果的にはベルナルド先生が王都に先行することが無くて良かったと思う。こうして誰一人欠けることなくオーリエンの王都・ハレタへと辿り着けたのだから。
「あ、そうそう。オットリーノ陛下が、今後ルシアちゃんが攫われるようなミスしたら容赦しないってよ」
『1号、貴様……ルシアが攫われたことを言ったのか』
しっかり守るように、とやたら似ている物真似にひょっとしたらマジで切り刻まれるんじゃないかと嫌な汗が流れる。いや実際に汗をかくわけではないんだが。
「常に見守っているってよ」
『心しておこう』
が、取り敢えずチクってくれた1号にはデコピンをお見舞いしておく。
そんなじゃれ合いをルシアちゃんがいつものように微笑んで見ているのに気付き、俺は内心ホッと胸を撫で下ろしていた。
二日前、エミーリオの胸の中で眠りに落ちていたルシアちゃん。この二日間で何度もうなされては泣いていたのを知っている。
話せば少しは気が晴れると言って無理に聞き出した分には、隷属の首輪をかけられた後は意識がぼーっとして半分夢を見ているような感覚だったのだと。俺が心配したようなことはされなかったそうだが、それでも服を破られたり身体を触られたりはしたらしい。
「嫌なのに、体はそれを受け入れるようで。私……私は……」
ボロボロと泣きだしてしまったルシアちゃん。勿論この場合の受け入れるというのは性の目覚めとかそういう事ではなく。意識が半分飛んでたせいで体の自由が利かなかったって意味。
『わかっているよ。大丈夫。首輪のせいであって、ルシアが聖女にふさわしくないというわけではない』
「そうですよ、ルシア様。ルシア様が恐れているようなことがあれば称号にもすぐ影響されるでしょう。貴女が聖女であることは女神様も認めていらっしゃいます」
鑑定持ちのベルナルド先生に称号がはく奪されていないと宥めたことで多少落ち着いたけど。領主に従い体を触られるのは当然という意識がその時にはあって、意識がハッキリした今になって拒絶反応が出ているのだと。そして、その時抵抗しなかったことが女神から聖女としてふさわしくないと判じられるのではないかと恐れていたのだ。
トラウマにならなきゃ良いけどな。数年後好きな男とかできても触れ合うことができないとかだったら可哀想すぎる。もっとも、それまでに聖女としての務めから解放してやんなきゃだけど。
二日間宥めて話を聞いてやって、ようやく笑顔を見せるようになってきたけど、まだまだ不安定なのだ。
『ふむ。物は相談なのだが』
行列が進まないのを良いことに、後ろの馬車に乗ってるメンバーにも集まってもらう。
『ルシアもまだ本調子ではないし、トラブルはもう御免だ。もし案内された勇者たちが呪術で縛られていた場合も、表立ってどうこうせずにアスーに移動してから解呪を試したい』
「オーリエンの国王と対立しないよう立ち回れば良いってことか」
「賛成です」
まぁ、勇者たちが操られていたりしないのが一番なんだがな。
アルベルト達やエミーリオも特に反対はしなかった。
「あ、なら俺達からも一つ良いか?」
アルベルト達が言うには、数日休暇が欲しいのだと。
「ギルドへの活動報告とか、武器の手入れとかやらなきゃいけないことがたくさんあってな」
『ふむ。ルシアも人混みが嫌でなければ気晴らしに街を探索するか?』
「ええ。大丈夫ですわ」
「それなら自分が護衛します」
冒険者登録していないからギルドに行く必要がないのだというエミーリオが護衛を買って出てくれた。これなら安心だ。タイラーツ領の二の舞にはならないだろう。たぶん。
暗黒破壊神がいつ来襲するかわからない以上旅を急ぎ黒モンスターを狩っていきたいのだが、正直ルシアちゃんのこの様子だと途中で倒れてしまいかねないし。アルベルト達が言うように武器の整備も大切だ。それが生死を分けることだってあるからな。こうしてハレタでの休暇が決定されたわけだ。
行列が進み門衛にアルベルト達が身分証としてギルドカードを、エミーリオは騎士の徽章とルシアちゃんの家紋入りの短剣を見せる。
短剣を見た門衛が大慌てで上長を呼んできて、王族は並ぶ必要なかったと教えてもらった時は苦笑いしか出なかった。
「オットリーノ陛下よりご来訪の連絡を承っておりました。イゴール陛下から伝言で、政務の調整ができずお待たせして申し訳ないが二日ほど指定の宿で逗留をお願いしたいと」
心配していたのがあほらしくなるほど、誠実な対応と思われた。宿も手配してくれていて謁見までの逗留費は全てオーリエンが持つらしい。ただし、指定の宿以外での食事買物についてはその対象外だと。
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