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第六章 俺様、東方に行く
23、やめて! そういうのフラグって言うんだから!!
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市街地の様子は、貴族居住区に近い方には貴族も入れるような格式高そうないかにも「老舗」といった店構えが並び、スラム街に近づくと雑多な感じの店が並ぶ。生活する人たちに合わせて自然にそうなったんだろう。
で、今俺達が舌鼓を打っていた屋台はちょうどその中間地点にある。少し広く敷かれた道に屋台や露店が多く並び、その後ろには小洒落た感じの建物が営業をしている。
人も多く上野のアメ横を彷彿とさせる。当然、馬車では入れない。宿から乗ってきた俺達の馬車は貴族居住区との境にある馬庭に預けてあった。
『しかし。竜だらけだな』
腹が満たされれば自然と街の景観に目が行く。道の両側の建物から定間隔で旗が吊るされており、その絵柄はどれも青地に剣と竜が描かれた同じモチーフのものだった。
よくよく見ると、いくつかの店の入り口の上には同じモチーフの木彫りのエンブレムが飾ってある。
「ああ、あれはこの国の紋章ですよ。入口の上にあるのは王城にも商品を下ろしている店で、王族が後見となっていることを示すものです。他にも、後見する貴族の家紋を飾っている店もありますよ」
店を後見する、というのがいまいちイメージがつかないのだが、説明を求めるとどうやら資金援助をしたり商売に必要な道具や材料などを融通したりといったことらしい。
家紋を掲げているお店に嫌がらせをするというのは、後見する貴族に喧嘩を売ることになるそうだ。
しかし、竜と剣か。王族の紋章にするくらい、王族と竜に関わりが深いのだろうな。タイラーツ家が俺を手に入れようとしていたということは、今代の王には竜が付いていないのだろうか?
「何だかお祭りのようですね」
掲げられた旗を見てルシアちゃんが言う。俺の住んでいた田舎じゃこんなに人がいるのはお祭りのときくらいだから、確かにそう感じる。
エミーリオはあまりそういう印象はないようで、以前何度か来た時もこのような感じでしたよ、なんてキョトン顔だ。
「お、何だお嬢ちゃん知らないで来たのか」
ルシアちゃんの言葉に答えたのは、俺達が座っていた屋台前のベンチの後ろで立ち食いをしていた男だった。
俺は慌ててルシアちゃんのローブに隠れるが、しっかり見つかっていたらしくて人見知りなんだな、と笑われてしまった。悔しいのでルシアちゃんの肩越しに睨みつけてやる。
豚野郎に攫われたルシアちゃんを助けに行くときに、急に力が湧いたと思ったんだけど、実際に体が一回り以上大きくなってしまっていて以前のように隠れるのが難しくなってきたんだよなぁ。かえって堂々としていた方が良いかもしれない。暗黒破壊神らしくね!
「竜を連れているってことは、お嬢ちゃんが聖女様か。いや、見かけによらない……というか想像より幼いというか」
「まだ成人もしておりませんからね。ですが、勇者様の足手まといにならないよう精進してきたつもりです」
胸を張るルシアちゃん。年齢にそぐわぬ立派な武器におっさん達の目が釘付けになっているからやめなさい。
そんなルシアちゃんに、話しかけてきた男は言葉遣いとかわからねぇから気安く話せる人で良かったと笑う。ルシアちゃんもエミーリオも男の口調は気にしていない様子だ。
「小さいのに大変だな。こんな小さい子が命懸けの戦いに行こうっていうのにこの国の貴族連中ときたら……」
「あの……?」
「ああ、すまん話が逸れたな。えっと、つまりあの国旗は何らかの祭りの時には必ず掲げられるものでな。そっちの兄ちゃんが毎回この光景を見てるのは、聖女様の護衛をしているあたり誰かの護衛で来たんだろ? 他国の貴人が来るときにも歓迎と国の威信を誇示するのに掲げるからな」
そのまま話が長くなったので割愛するが、要するに今は勇者と聖女の歓送迎の祝典をしているんだと。自分たちの国が召喚した勇者が暗黒破壊神を倒すという悲願を達成するよう、盛大に送り出すらしい。
聖女が勇者を迎えに来て暗黒破壊神を倒す旅に出ることが国民に周知されていたのだ。
祝典は明後日、勇者と聖女が出立することでフィナーレとなるのだそうだ。
「何か、少し恥ずかしいですね……」
『謁見から出立まで、国王の中では既にスケジュールが組まれているのか……』
エミーリオが情報の礼にと銀貨を握らせると、男は笑顔で酒の絵が描かれた看板の店へと入っていった。
先ほどから遠巻きに見られているのは、俺が竜だからってだけでなくて、聖女が来ていると皆知っていたからだったのだな。
「しかし、先ほどの男の話。この国の民は貴族にあまり良い感情を持っていないようですね」
エミーリオォォォォォ! やめて! そういうのフラグって言うんだから!!
今回は何も起きない! こんなに皆歓迎してくれてて祝典でニコニコしてるんだもん。貴族だのスラムだのそういう不穏なフラグは立たない! 立たないったら!!
で、今俺達が舌鼓を打っていた屋台はちょうどその中間地点にある。少し広く敷かれた道に屋台や露店が多く並び、その後ろには小洒落た感じの建物が営業をしている。
人も多く上野のアメ横を彷彿とさせる。当然、馬車では入れない。宿から乗ってきた俺達の馬車は貴族居住区との境にある馬庭に預けてあった。
『しかし。竜だらけだな』
腹が満たされれば自然と街の景観に目が行く。道の両側の建物から定間隔で旗が吊るされており、その絵柄はどれも青地に剣と竜が描かれた同じモチーフのものだった。
よくよく見ると、いくつかの店の入り口の上には同じモチーフの木彫りのエンブレムが飾ってある。
「ああ、あれはこの国の紋章ですよ。入口の上にあるのは王城にも商品を下ろしている店で、王族が後見となっていることを示すものです。他にも、後見する貴族の家紋を飾っている店もありますよ」
店を後見する、というのがいまいちイメージがつかないのだが、説明を求めるとどうやら資金援助をしたり商売に必要な道具や材料などを融通したりといったことらしい。
家紋を掲げているお店に嫌がらせをするというのは、後見する貴族に喧嘩を売ることになるそうだ。
しかし、竜と剣か。王族の紋章にするくらい、王族と竜に関わりが深いのだろうな。タイラーツ家が俺を手に入れようとしていたということは、今代の王には竜が付いていないのだろうか?
「何だかお祭りのようですね」
掲げられた旗を見てルシアちゃんが言う。俺の住んでいた田舎じゃこんなに人がいるのはお祭りのときくらいだから、確かにそう感じる。
エミーリオはあまりそういう印象はないようで、以前何度か来た時もこのような感じでしたよ、なんてキョトン顔だ。
「お、何だお嬢ちゃん知らないで来たのか」
ルシアちゃんの言葉に答えたのは、俺達が座っていた屋台前のベンチの後ろで立ち食いをしていた男だった。
俺は慌ててルシアちゃんのローブに隠れるが、しっかり見つかっていたらしくて人見知りなんだな、と笑われてしまった。悔しいのでルシアちゃんの肩越しに睨みつけてやる。
豚野郎に攫われたルシアちゃんを助けに行くときに、急に力が湧いたと思ったんだけど、実際に体が一回り以上大きくなってしまっていて以前のように隠れるのが難しくなってきたんだよなぁ。かえって堂々としていた方が良いかもしれない。暗黒破壊神らしくね!
「竜を連れているってことは、お嬢ちゃんが聖女様か。いや、見かけによらない……というか想像より幼いというか」
「まだ成人もしておりませんからね。ですが、勇者様の足手まといにならないよう精進してきたつもりです」
胸を張るルシアちゃん。年齢にそぐわぬ立派な武器におっさん達の目が釘付けになっているからやめなさい。
そんなルシアちゃんに、話しかけてきた男は言葉遣いとかわからねぇから気安く話せる人で良かったと笑う。ルシアちゃんもエミーリオも男の口調は気にしていない様子だ。
「小さいのに大変だな。こんな小さい子が命懸けの戦いに行こうっていうのにこの国の貴族連中ときたら……」
「あの……?」
「ああ、すまん話が逸れたな。えっと、つまりあの国旗は何らかの祭りの時には必ず掲げられるものでな。そっちの兄ちゃんが毎回この光景を見てるのは、聖女様の護衛をしているあたり誰かの護衛で来たんだろ? 他国の貴人が来るときにも歓迎と国の威信を誇示するのに掲げるからな」
そのまま話が長くなったので割愛するが、要するに今は勇者と聖女の歓送迎の祝典をしているんだと。自分たちの国が召喚した勇者が暗黒破壊神を倒すという悲願を達成するよう、盛大に送り出すらしい。
聖女が勇者を迎えに来て暗黒破壊神を倒す旅に出ることが国民に周知されていたのだ。
祝典は明後日、勇者と聖女が出立することでフィナーレとなるのだそうだ。
「何か、少し恥ずかしいですね……」
『謁見から出立まで、国王の中では既にスケジュールが組まれているのか……』
エミーリオが情報の礼にと銀貨を握らせると、男は笑顔で酒の絵が描かれた看板の店へと入っていった。
先ほどから遠巻きに見られているのは、俺が竜だからってだけでなくて、聖女が来ていると皆知っていたからだったのだな。
「しかし、先ほどの男の話。この国の民は貴族にあまり良い感情を持っていないようですね」
エミーリオォォォォォ! やめて! そういうのフラグって言うんだから!!
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