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第七章 俺様、南方へ行く
6、まぁ、俺の敵ではないがな!
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「こらお前達、ここは日本じゃないんだ! 安全なキャンプをしているわけじゃないんだから、もっと周りに気を配れ。誰か索敵系のスキルを持っている奴はいるか?」
ざわざわと騒がしかった生徒達の注意を引こうと両手を叩くが、悲しいかな、きのこの体では音が出ず、結局1号は声を張り上げることになった。
ここがモンスターの縄張りだという言葉に生徒達は一気に静まり返る。
しかし……オルソの警戒をするのにスキルを使えとか、1号もずいぶんと異世界に染まってきたな。
「なんだよ?」
『いや……? 貴様の口からスキルを使えという言葉が出たのに驚いてな』
1号は一瞬ハッとしたように目を多くなったが、すぐに生徒達に向き直った。
「俺は何もお前達に戦ってくれと言っている訳じゃない。そんなのはここにいる本職の冒険者に任せればいい。だがな、それに甘え切ってちゃダメだ。自分から危険に身を置いていたんじゃ、守りたくても守り切れない。そうだろう?」
「ええ、そうですね。勇者様達がただ守られる存在ではないのは存じておりますが、常に危険の中にいると自覚して警戒していただかなければ。万が一もありますから」
諭すように言葉を紡ぐ1号の問いかけに、エミーリオが答える。
不安や恐怖を誤魔化すために笑っていたところにそんなことを言われて涙目の奴もいたが、前線に立って戦えと言われているのではないことをはっきり言ったからか最初の頃のような混乱はない。
「じゃあ、改めて。ここは熊が出没する危険エリアだ。でも、事前にどこにいるかわかれば遭遇せずに済むかもしれない。てなわけで、索敵系スキルを持っている奴は?」
1号の後ろではーい、と手を上げてみる。釣られたように3人ほど手が上がった。
促されるまま、一斉に索敵をする。
『――≪リージェ≫のスキル≪我を害さんとする者よ、姿を現せ≫がLv.2になりました――』
お、よっしゃ! レベル上がった!
即座にもう一度索敵をかける。レベル1だと半径数十メートルって感じだったけど、一気に数百メートルまで広がったのがわかる。
そして、範囲に引っかかるものがあった。相変わらずわかるのは大体の位置と方角だけだけど、こちらにまっすぐ向かってくる群れがいる。数は5、いや6か?
「あの、来てます。あっちから6匹。モンスターのようです」
そう言って俺が感知したのと同じ方角を指さしたのは、肩までの髪を耳の下で二つに縛った気弱そうな少女。
どうやら索敵スキルに関しては彼女の方が上のようだ。俺だと敵意のあるもの、あるいは害となりそうなものしか感知しないし、対象がモンスターかどうかまではわからない。
距離は70、60、とどんどん近づいてくるのを教えてくれる。その声にまた他のメンバーが騒めき出す。
そうこうしているうちに、ざ、と草をかき分ける音がどんどん近づき、闇夜に光る目が目視できるまでの距離になった。俺は即座に鑑定を使う。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【オルソ・モルテネーロ】
レベル : 48
HP : 32115/32115
MP : 21630/21630
ATK : 46485
DEF : 15735
ステータスの鑑定に失敗しました。
→【オルソ・モルテネーロ】
オルソ種の中でも最凶最悪、死の紫斑と呼ばれるモルテヴィオーラの変異種。どうやら暗黒破壊神の欠片を取り込んだ個体のようです。気を付けて。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
何だこいつは!? 勇者達には荷が重いかもしれない。まぁ、俺の敵ではないがな!
『あの一番大きな個体はステータス万越えだ。俺様が相手をしよう。他の小さい個体を頼めるか?』
俺は熊の姿を見て固まっている連中に声をかける。俺と同じように鑑定の使えるベルナルド先生も焦った表情をしていた。
このままこの結界の中で籠城しても構わないのだが、俺の知る地球の熊と同じ習性を奴が持つなら、何日経とうと一度獲物と定めたものを諦めることはないはずだ。ならば、打って出た方が良いだろう。
「待て、リージェ。仕掛けるなら夜明けだ」
『どういうことだ?』
小さいのを誰かに押し付けようと思ったのだが、アルベルトから待ったがかかった。
アルベルトが言うにはこの森にどれだけ奴らがいるかわからない。今戦闘をして、血の匂いに魅かれて寄ってくれば一晩中の消耗戦になると。それよりは、結界という安全地帯でしっかり休息を取り、夜明けと同時に取り囲む奴だけを一掃しすぐ離脱したほうが良いと。
『なるほど、一理あるな』
俺としてはレベルアップイベントではあるが、別に戦闘狂なわけじゃない。ゲームのレベル上げ作業じゃあるまいし、命の危険もある状況でそんな消耗戦やってられるか。
と、そんな話をしていると巨大な熊がとうとう結界に体当たりした。勇者達から悲鳴が上がる。
『ふむ、どうやら奴はこの結界に入れないようだな』
暗黒破壊神やその欠片を取り込んだ鶏が結界を破ってセントゥロの王都を襲撃したこともあったが、何故か奴はこの結界には入れないらしい。
「私も力が上がりましたから」
ルシアちゃんがフンス、と得意げに胸を張っている。可愛い。
ガンガンと思いっきり叩いてもびくともしない結界に、勇者達もだんだんと落ち着きを取り戻していった。
結界の内側から攻撃をしかけた奴がいたが、ガン、と重い音と共に弾かれていた。そういや昔ルシアちゃんが言っていたっけ。結界を出入りできるのは聖女だけだって。内側から一方的に攻撃はできないのか。
『では、夜明けと共に戦闘に入る。今のうちにしっかり休んでおけ』
出立の際の陣形などを簡単に決めて、勇者達を馬車へと押し込んだ。こんな状況で寝られるかという文句が出たが、知った事じゃない。
明日は勇者の馬車2台を先頭に、荷馬車2台を結界を消すと同時に走らせ、俺とバルトヴィーノとで熊を一掃して即離脱という流れだ。熊に怯えつつも戦うと言い出したクドウとミドウも一緒なのが若干不安だが。
『ハッ、一晩中やってろ、バカが』
熊にあっかんべして馬車に入ると一層体当たりの音が大きくなり、何挑発してんだ馬鹿、とバルトヴィーノに殴られた。痛い。
ルシアちゃんに抱っこされて寝れたから許すけど、後で覚えてろよ。
ざわざわと騒がしかった生徒達の注意を引こうと両手を叩くが、悲しいかな、きのこの体では音が出ず、結局1号は声を張り上げることになった。
ここがモンスターの縄張りだという言葉に生徒達は一気に静まり返る。
しかし……オルソの警戒をするのにスキルを使えとか、1号もずいぶんと異世界に染まってきたな。
「なんだよ?」
『いや……? 貴様の口からスキルを使えという言葉が出たのに驚いてな』
1号は一瞬ハッとしたように目を多くなったが、すぐに生徒達に向き直った。
「俺は何もお前達に戦ってくれと言っている訳じゃない。そんなのはここにいる本職の冒険者に任せればいい。だがな、それに甘え切ってちゃダメだ。自分から危険に身を置いていたんじゃ、守りたくても守り切れない。そうだろう?」
「ええ、そうですね。勇者様達がただ守られる存在ではないのは存じておりますが、常に危険の中にいると自覚して警戒していただかなければ。万が一もありますから」
諭すように言葉を紡ぐ1号の問いかけに、エミーリオが答える。
不安や恐怖を誤魔化すために笑っていたところにそんなことを言われて涙目の奴もいたが、前線に立って戦えと言われているのではないことをはっきり言ったからか最初の頃のような混乱はない。
「じゃあ、改めて。ここは熊が出没する危険エリアだ。でも、事前にどこにいるかわかれば遭遇せずに済むかもしれない。てなわけで、索敵系スキルを持っている奴は?」
1号の後ろではーい、と手を上げてみる。釣られたように3人ほど手が上がった。
促されるまま、一斉に索敵をする。
『――≪リージェ≫のスキル≪我を害さんとする者よ、姿を現せ≫がLv.2になりました――』
お、よっしゃ! レベル上がった!
即座にもう一度索敵をかける。レベル1だと半径数十メートルって感じだったけど、一気に数百メートルまで広がったのがわかる。
そして、範囲に引っかかるものがあった。相変わらずわかるのは大体の位置と方角だけだけど、こちらにまっすぐ向かってくる群れがいる。数は5、いや6か?
「あの、来てます。あっちから6匹。モンスターのようです」
そう言って俺が感知したのと同じ方角を指さしたのは、肩までの髪を耳の下で二つに縛った気弱そうな少女。
どうやら索敵スキルに関しては彼女の方が上のようだ。俺だと敵意のあるもの、あるいは害となりそうなものしか感知しないし、対象がモンスターかどうかまではわからない。
距離は70、60、とどんどん近づいてくるのを教えてくれる。その声にまた他のメンバーが騒めき出す。
そうこうしているうちに、ざ、と草をかき分ける音がどんどん近づき、闇夜に光る目が目視できるまでの距離になった。俺は即座に鑑定を使う。
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【オルソ・モルテネーロ】
レベル : 48
HP : 32115/32115
MP : 21630/21630
ATK : 46485
DEF : 15735
ステータスの鑑定に失敗しました。
→【オルソ・モルテネーロ】
オルソ種の中でも最凶最悪、死の紫斑と呼ばれるモルテヴィオーラの変異種。どうやら暗黒破壊神の欠片を取り込んだ個体のようです。気を付けて。
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何だこいつは!? 勇者達には荷が重いかもしれない。まぁ、俺の敵ではないがな!
『あの一番大きな個体はステータス万越えだ。俺様が相手をしよう。他の小さい個体を頼めるか?』
俺は熊の姿を見て固まっている連中に声をかける。俺と同じように鑑定の使えるベルナルド先生も焦った表情をしていた。
このままこの結界の中で籠城しても構わないのだが、俺の知る地球の熊と同じ習性を奴が持つなら、何日経とうと一度獲物と定めたものを諦めることはないはずだ。ならば、打って出た方が良いだろう。
「待て、リージェ。仕掛けるなら夜明けだ」
『どういうことだ?』
小さいのを誰かに押し付けようと思ったのだが、アルベルトから待ったがかかった。
アルベルトが言うにはこの森にどれだけ奴らがいるかわからない。今戦闘をして、血の匂いに魅かれて寄ってくれば一晩中の消耗戦になると。それよりは、結界という安全地帯でしっかり休息を取り、夜明けと同時に取り囲む奴だけを一掃しすぐ離脱したほうが良いと。
『なるほど、一理あるな』
俺としてはレベルアップイベントではあるが、別に戦闘狂なわけじゃない。ゲームのレベル上げ作業じゃあるまいし、命の危険もある状況でそんな消耗戦やってられるか。
と、そんな話をしていると巨大な熊がとうとう結界に体当たりした。勇者達から悲鳴が上がる。
『ふむ、どうやら奴はこの結界に入れないようだな』
暗黒破壊神やその欠片を取り込んだ鶏が結界を破ってセントゥロの王都を襲撃したこともあったが、何故か奴はこの結界には入れないらしい。
「私も力が上がりましたから」
ルシアちゃんがフンス、と得意げに胸を張っている。可愛い。
ガンガンと思いっきり叩いてもびくともしない結界に、勇者達もだんだんと落ち着きを取り戻していった。
結界の内側から攻撃をしかけた奴がいたが、ガン、と重い音と共に弾かれていた。そういや昔ルシアちゃんが言っていたっけ。結界を出入りできるのは聖女だけだって。内側から一方的に攻撃はできないのか。
『では、夜明けと共に戦闘に入る。今のうちにしっかり休んでおけ』
出立の際の陣形などを簡単に決めて、勇者達を馬車へと押し込んだ。こんな状況で寝られるかという文句が出たが、知った事じゃない。
明日は勇者の馬車2台を先頭に、荷馬車2台を結界を消すと同時に走らせ、俺とバルトヴィーノとで熊を一掃して即離脱という流れだ。熊に怯えつつも戦うと言い出したクドウとミドウも一緒なのが若干不安だが。
『ハッ、一晩中やってろ、バカが』
熊にあっかんべして馬車に入ると一層体当たりの音が大きくなり、何挑発してんだ馬鹿、とバルトヴィーノに殴られた。痛い。
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