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第七章 俺様、南方へ行く
29、そうそう、これだよこれ!
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相談したいことがある、と言って入ってきたのは小島と3人の女子(名前は思い出せない)。小島の顔は殴られた部分が腫れたままだ。今は少し青黒くなっている。小島が他のメンバーに何があったのか伝えるのにそのままにしてくれと治療を拒否していたのだ。漢だな。
流石にもう説明も済んだようだし、直後より痛々しい顔になっているのでルシアちゃんが治療をする。少しすると殴られたことが嘘だったかのように元の顔に戻った。
「それで、どんなお話でしょうか」
「本田のことです」
うすうす予想はしていたが、女子を代表して小島が話を切り出した。
「本田だけじゃないです。他の子達にも、アスーで召喚されたメンバーの様子を聞きました。皆、自分勝手で乱暴になっていたって。それで、日本に帰すのはアスーで召喚されたメンバーからにして欲しいんです」
「良いのか? お前たち、あんなに帰りたがってたじゃないか。今日までずっと我慢していたんだろ?」
1号の言葉に、ピクリと肩を震わせる女子達。
そうだ。皆一日も早く帰りたいと言っていたのに、こちらの都合でずっと我慢してもらっていたんだ。口では後で良いと言っていても、本音はやはり帰りたいんだろう。
「他の子達とも話し合って決めたんです。全員一度に帰れないから、一人ずつしか帰れないから、アスーのメンバーの中一人取り残されるのは嫌だって」
「昼間はこちらの方が人数は多かったけど、それでも本田の暴走を止められなかったの」
「力では敵わないから、今だってどんな目に遭うかわからないのが怖いんです」
小島の言葉を引き継ぐように口々に不安を吐き出す女子達。
だったら暴走気味なアスーメンバーから先に帰してしまえば良いという結論になったらしい。
本庄から頼まれて後で意見を聞こうと思っていたことを、まさか彼女たちからされるとはな。
『実はな、同じことを本庄からも頼まれていたのだ』
「本庄君が?」
『ああ。奴がこちらでずっと引きこもっていたのを知っているだろう? あれは、制止しようと努めていた本庄を邪魔に思った連中に命を狙われるようになったかららしい』
「そんなことが!?」
信じられない、と驚きを隠さない4人。
だが、昼間の本田の言動を思い出したのかすぐにあり得るかも、と頷いた。
「では、皆様の意見が一致したということで、アスーの勇者から先に送還しましょう」
『日本に帰りたがらない奴もいるかもしれないから、黙っていた方が良いかもな』
「帰してやるのが遅くなってごめんな。また我慢させてしまうな」
「先生……」
1号のすまなそうな声に泣き出す女子達。早いとこ、皆を帰してやりたいな。
他のメンバーにも、日本に帰れることは他言しないよう伝えてくれと言ってそれぞれの部屋に帰した。
城にいる間は何も起きないとは思うが、道中は勇者の行動に注意するようアルベルト達にも伝えておかないとな。
次の日。
俺達は早朝から街に繰り出した。勿論本庄も巻き添えである。
「えっと、朝食は良いの?」
『ああ。あんな状況で食えるか』
皇帝がやたら俺を触ってくるのだ。食事中はじっと見つめてくるし。いい加減ウザい。
腹の虫がグーグーと催促をしてくるが、急ぎ足である場所に向かう。
昨夜、1号がそこに行けと言ってきたのだ。
そこは、アスーの正門のすぐ近くにある小さな広場。
美しく刈り整えられた植木に囲まれ、街の喧騒がまるで聞こえない状態は、そこだけぽっかりと異空間になっているようだ。
その広場の中央、噴水を背にしたベンチに、一人の男性が座っていた。
「……嘘……お父さん?」
「香月、無事だと信じていたよ」
「お父さぁぁああん!」
要さんの姿を認めた途端、駆け出した本庄。同じように駆け寄ってきた要さんに縋り付くと、本庄は小さな子供のように声を上げて泣いていた。要さんも涙目になりながら、しっかりと抱き返してその頭を優しく撫でている。
要さんは昨夜門の外に到着し、今朝開門と同時にアスーに入りここで待っていたのだ。
今夜は正門近くの宿で泊り、明日アスーを出る予定らしい。次に来る時には一緒に行動できるって。
それにしても本庄、要さんの髪色はスルーなのか。そうか。
「あ、そうだ。これ頼まれたやつ」
『おお! 待っていたぞ!』
要さんが茶色い藤篭のバスケットを俺に渡してくる。
そうそう、これだよこれ! このために朝飯抜いてきたんだよ!
1号経由で頼んだのはお弁当。勿論本庄とルシアちゃんの分も。
ウキウキしながら開けると、中に入っていたのは焼きおにぎりと唐揚げ、煮たまごと漬物。
「これは……食べた事ない味ですがとても美味しいです」
「お父さんの料理、やっぱり美味しい」
焼きおにぎりはジャコと青じそを混ぜて味噌を塗ったもの。海のないこちらでは食べられないものだ。
唐揚げも、素揚げは見たが衣をつけて揚げた料理はまだ見たことが無い。
卵もおそらくただ茹でるだけとか、焼くだけなのだろう。
懐かしい味に本庄は泣きながら食べている。俺も旨すぎて尻尾がパタパタ動いている。そう、こういう家庭の味が食べたかったんだよ!
要さんの料理に飢えているチェーザーレには内緒で美味しい料理に舌鼓を打った後は街を散策する。
昨日注文した料理の受け取りと、昨日回れなかった雑貨屋だな。勿論要さんが一緒だ。
弁当を食べている俺達をエミーリオとドナートが羨ましそうに見ていたような気がするが、うん、俺は何も見ていないよ?
流石にもう説明も済んだようだし、直後より痛々しい顔になっているのでルシアちゃんが治療をする。少しすると殴られたことが嘘だったかのように元の顔に戻った。
「それで、どんなお話でしょうか」
「本田のことです」
うすうす予想はしていたが、女子を代表して小島が話を切り出した。
「本田だけじゃないです。他の子達にも、アスーで召喚されたメンバーの様子を聞きました。皆、自分勝手で乱暴になっていたって。それで、日本に帰すのはアスーで召喚されたメンバーからにして欲しいんです」
「良いのか? お前たち、あんなに帰りたがってたじゃないか。今日までずっと我慢していたんだろ?」
1号の言葉に、ピクリと肩を震わせる女子達。
そうだ。皆一日も早く帰りたいと言っていたのに、こちらの都合でずっと我慢してもらっていたんだ。口では後で良いと言っていても、本音はやはり帰りたいんだろう。
「他の子達とも話し合って決めたんです。全員一度に帰れないから、一人ずつしか帰れないから、アスーのメンバーの中一人取り残されるのは嫌だって」
「昼間はこちらの方が人数は多かったけど、それでも本田の暴走を止められなかったの」
「力では敵わないから、今だってどんな目に遭うかわからないのが怖いんです」
小島の言葉を引き継ぐように口々に不安を吐き出す女子達。
だったら暴走気味なアスーメンバーから先に帰してしまえば良いという結論になったらしい。
本庄から頼まれて後で意見を聞こうと思っていたことを、まさか彼女たちからされるとはな。
『実はな、同じことを本庄からも頼まれていたのだ』
「本庄君が?」
『ああ。奴がこちらでずっと引きこもっていたのを知っているだろう? あれは、制止しようと努めていた本庄を邪魔に思った連中に命を狙われるようになったかららしい』
「そんなことが!?」
信じられない、と驚きを隠さない4人。
だが、昼間の本田の言動を思い出したのかすぐにあり得るかも、と頷いた。
「では、皆様の意見が一致したということで、アスーの勇者から先に送還しましょう」
『日本に帰りたがらない奴もいるかもしれないから、黙っていた方が良いかもな』
「帰してやるのが遅くなってごめんな。また我慢させてしまうな」
「先生……」
1号のすまなそうな声に泣き出す女子達。早いとこ、皆を帰してやりたいな。
他のメンバーにも、日本に帰れることは他言しないよう伝えてくれと言ってそれぞれの部屋に帰した。
城にいる間は何も起きないとは思うが、道中は勇者の行動に注意するようアルベルト達にも伝えておかないとな。
次の日。
俺達は早朝から街に繰り出した。勿論本庄も巻き添えである。
「えっと、朝食は良いの?」
『ああ。あんな状況で食えるか』
皇帝がやたら俺を触ってくるのだ。食事中はじっと見つめてくるし。いい加減ウザい。
腹の虫がグーグーと催促をしてくるが、急ぎ足である場所に向かう。
昨夜、1号がそこに行けと言ってきたのだ。
そこは、アスーの正門のすぐ近くにある小さな広場。
美しく刈り整えられた植木に囲まれ、街の喧騒がまるで聞こえない状態は、そこだけぽっかりと異空間になっているようだ。
その広場の中央、噴水を背にしたベンチに、一人の男性が座っていた。
「……嘘……お父さん?」
「香月、無事だと信じていたよ」
「お父さぁぁああん!」
要さんの姿を認めた途端、駆け出した本庄。同じように駆け寄ってきた要さんに縋り付くと、本庄は小さな子供のように声を上げて泣いていた。要さんも涙目になりながら、しっかりと抱き返してその頭を優しく撫でている。
要さんは昨夜門の外に到着し、今朝開門と同時にアスーに入りここで待っていたのだ。
今夜は正門近くの宿で泊り、明日アスーを出る予定らしい。次に来る時には一緒に行動できるって。
それにしても本庄、要さんの髪色はスルーなのか。そうか。
「あ、そうだ。これ頼まれたやつ」
『おお! 待っていたぞ!』
要さんが茶色い藤篭のバスケットを俺に渡してくる。
そうそう、これだよこれ! このために朝飯抜いてきたんだよ!
1号経由で頼んだのはお弁当。勿論本庄とルシアちゃんの分も。
ウキウキしながら開けると、中に入っていたのは焼きおにぎりと唐揚げ、煮たまごと漬物。
「これは……食べた事ない味ですがとても美味しいです」
「お父さんの料理、やっぱり美味しい」
焼きおにぎりはジャコと青じそを混ぜて味噌を塗ったもの。海のないこちらでは食べられないものだ。
唐揚げも、素揚げは見たが衣をつけて揚げた料理はまだ見たことが無い。
卵もおそらくただ茹でるだけとか、焼くだけなのだろう。
懐かしい味に本庄は泣きながら食べている。俺も旨すぎて尻尾がパタパタ動いている。そう、こういう家庭の味が食べたかったんだよ!
要さんの料理に飢えているチェーザーレには内緒で美味しい料理に舌鼓を打った後は街を散策する。
昨日注文した料理の受け取りと、昨日回れなかった雑貨屋だな。勿論要さんが一緒だ。
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