中二病ドラゴンさんは暗黒破壊神になりたい

禎祥

文字の大きさ
206 / 228
第九章 俺様、ダンジョンに潜る

12、はぁ、やる気無くすわー

しおりを挟む
『弱い! 弱すぎるぞ!』

 さすが1階層、とでも言うのか。
 出てきた敵は全身岩でできた人型のモンスター。いわゆるゴーレムだった。
 俺よりは若干小さいとはいえ、騎士達の2倍はあろうかという体躯。
 それが3体。初っ端から頑強そうなのが来た、と俺は張り切りぶん殴った。

 岩でできている見た目に違わず動作は鈍く、俺の放った拳は吸い込まれるようにゴーレムの胴体へ。
 すると重力を感じさせない勢いで飛んでいき、少し離れた壁に激突。
 凄まじい音を立てて壁もろとも崩壊した。
 他の2体も同様で。ワンパンで終わり。

『――≪リージェ≫が経験値996を獲得しました――』

 湧き上がる歓声。
 一方俺は、あまりの手応えの無さにテンション駄々下がり。
 あまりにも見掛け倒しすぎる!
 それとも、俺が強すぎるのか?

「さすがです、聖竜様!」
「強そうなモンスターを一撃で……!」
「しかし、1階層からあれほど強そうなモンスターが出るとは……さすがは最凶ダンジョンということか」

 俺を褒め称える者。これからどんどん強くなるはずのモンスターを想像し不安がる者。反応は様々だが、あの程度で騒ぐの本当やめて欲しい。
 得られた経験値もショボいし、はぁ、やる気無くすわー。

『この程度で騒ぐとは、先が思いやられるな。ついてくるならば、この程度貴様らで処理して見せよ』
「はいっ!」

 もう、返事だけは立派なんだからこの人達。
 でも気合入ったっぽいから良いか。
 先頭に戻ると、アルベルト達も戦闘を終えていた。
 こちらも襲撃してきたのはゴーレムだったらしい。俺が倒したのとは違い、関節で切り落とされたらしい岩の塊があちこちに落ちている。

「リージェ様、お疲れ様です」
『うむ、ルシアも無事で何より』

 俺がこの階層で後れを取るとは思ってもいないらしく、ルシアちゃんが笑顔で声をかけて来た。
 俺もルシアちゃんに労いの言葉を言うと、笑顔が輝かんばかりになる。
 最近のルシアちゃんは、可愛いだけじゃなくて、こう、たまに凄く大人っぽく見える時があってドキッとしてしまう。

「うんうん、ルシアちゃん綺麗になったもんなー」
『心を読むな1号』
「まさか、香月じゃあるまいし。そんな能力持ってないよ。お前がわかりやすすぎるの」

 ベルナルド先生の鞄に隠れていたらしい1号が、俺の頭の上に飛び乗って来てオヤジくさいことを言ってくる。
 サイズに反して跳躍力が異常なのは、何らかのスキルだろうか。
 いつもなら俺をからかう言葉が更に続くのだが、一応は状況を配慮しているらしい。そんなことより、と1号が話題を変えた。

「刮目して見よ! じゃじゃーん!」
「何だ?」
「紙?」

 1号が持っていた枝状の物を広げて見せる。
 それは枝ではなく、A4サイズの紙だった。
 そこには、図面のようなものが書かれている。

「フフン、お前ら、俺のスキルが何だったかお忘れでないか?!」
『1号の、スキル……?』
「あっ!」

 ベルナルド先生がそういうことか、と嬉しそうに笑う。え、何?
 すぐに思いついたのはベルナルド先生くらいで、他のメンバーは全員キョトンとしている。

「全く、せっかくステータス明かしたってのにマジで忘れてんのか。製図と測定。ついでに増殖と索敵。この組み合わせで、俺の分身体を先行させてルート探ってたの。はい、これマップ!」
「なるほど。これなら、最短ルートで進めるな!」
「ありがとうございます、1号様!」

 ガックリと項垂れて説明しながら紙をアルベルトに渡す1号。
 ルシアちゃんのありがとうで鼻が文字通り伸びていた。ピノキオか、貴様は。

「ただ、まだ2階層までは終わってないから、この階層だけだけどな」
「それでも十分だ。これで、消耗が少なく進める。この調子で先行してくれ」
「任せろ。あぁ、だが、俺は戦闘ができるわけじゃないからな。個体数が減れば補充ができんからどうしても偵察速度は落ちる。行けて精々中層辺りまでだと思ってくれ」

 アルベルトの言葉に、任せろ、と胸を叩く1号。
 しかし、ずっと静かだと思ったらマッピングをしていたとは。
 因みに、1号が地図を作ったのだから輜重部隊の二人が作っている地図は要らないんじゃ、と思ったらそうでもないらしい。
 正確性を高めるために、複数人でマッピングをしてそれを照合するのが基本らしい。
 特に、ここ【女神の寝所】では未踏破区域が多いため、新しい地図は需要が高いのだそうだ。専門の地図屋が存在するくらいなんだとか。

「うん、先行している分体達がいつ全滅するかもわからないし、マッピングは続けた方が良いと俺も思う」

 俺の疑問を読んだように、1号が言う。
 うーん、やっぱり俺ってそんなにわかりやすいのか……。

「ん? これは……」
「どうした?」

 1号の作成した地図と、ジルベルタの持ってきた地図を見比べていたアルベルトが声を上げる。

「あぁ、これを見てくれ。次の階に降りる階段。位置が一緒だろ?」
「本当ですね!」
「あぁ、どうやら変わったのはルートだけのようだ。これはありがたい」

 アルベルトの説明に、同じように地図を見比べて喜ぶ一同。
 アルベルト達は一度ルシアちゃんを迎えに深層まで降りてきているわけだから、方角を確認しつつ進めばそれほど時間を取られなくて済む。

「ふむ、それなら隅々まで階段を探す必要はないな。先行している分体達も、方角に気を付けながら進めるぞ」
『一応、黒モンスターがいるかどうかだけ索敵で確認してくれ』
「了解~」

 今回殲滅していくのは暗黒破壊神支配下の特殊個体である黒モンスターだけ。
 通常のダンジョンモンスターは倒した所で復活してしまうから、遭遇すれば戦うがわざわざ探してまでは戦わない。浅層ではたいした経験値にもならないしな。
 1号が先行して道を探してくれているのはかなり時間の短縮になるだろう。
 先行している暗黒破壊神にも早く追いつきたいものだ。
しおりを挟む
感想 289

あなたにおすすめの小説

企業再生のプロ、倒産寸前の貧乏伯爵に転生する 

namisan
ファンタジー
数々の倒産寸前の企業を立て直してきた敏腕コンサルタントの男は、過労の末に命を落とし、異世界で目を覚ます。  転生先は、帝国北部の辺境にあるアインハルト伯爵家の若き当主、アレク。  しかし、そこは「帝国の重荷」と蔑まれる、借金まみれで領民が飢える極貧領地だった。  凍える屋敷、迫りくる借金取り、絶望する家臣たち。  詰みかけた状況の中で、アレクは独自のユニーク魔法【構造解析(アナライズ)】に目覚める。  それは、物体の構造のみならず、組織の欠陥や魔法術式の不備さえも見抜き、再構築(クラフト)するチート能力だった。  「問題ない。この程度の赤字、前世の案件に比べれば可愛いものだ」  前世の経営知識と規格外の魔法で、アレクは領地の大改革に乗り出す。  痩せた土地を改良し、特産品を生み出し、隣国の経済さえも掌握していくアレク。  そんな彼の手腕に惹かれ、集まってくるのは一癖も二癖もある高貴な美女たち。 これは、底辺から這い上がった若き伯爵が、最強の布陣で自領を帝国一の都市へと発展させ、栄華を極める物語。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。

【第2章完結】最強な精霊王に転生しました。のんびりライフを送りたかったのに、問題にばかり巻き込まれるのはなんで?

山咲莉亜
ファンタジー
 ある日、高校二年生だった桜井渚は魔法を扱うことができ、世界最強とされる精霊王に転生した。家族で海に遊びに行ったが遊んでいる最中に溺れた幼い弟を助け、代わりに自分が死んでしまったのだ。  だけど正直、俺は精霊王の立場に興味はない。精霊らしく、のんびり気楽に生きてみせるよ。  趣味の寝ることと読書だけをしてマイペースに生きるつもりだったナギサだが、優しく仲間思いな性格が災いして次々とトラブルに巻き込まれていく。果たしてナギサはそれらを乗り越えていくことができるのか。そして彼の行動原理とは……?  ロマンス、コメディ、シリアス───これは物語が進むにつれて露わになるナギサの闇やトラブルを共に乗り越えていく仲間達の物語。 ※HOT男性ランキング最高6位でした。ありがとうございました!

1歳児天使の異世界生活!

春爛漫
ファンタジー
 夫に先立たれ、女手一つで子供を育て上げた皇 幸子。病気にかかり死んでしまうが、天使が迎えに来てくれて天界へ行くも、最高神の創造神様が一方的にまくしたてて、サチ・スメラギとして異世界アラタカラに創造神の使徒(天使)として送られてしまう。1歳の子供の身体になり、それなりに人に溶け込もうと頑張るお話。 ※心は大人のなんちゃって幼児なので、あたたかい目で見守っていてください。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

転生したらスキル転生って・・・!?

ノトア
ファンタジー
世界に危機が訪れて転生することに・・・。 〜あれ?ここは何処?〜 転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

処理中です...