11 / 25
11 魔女で一般人
しおりを挟む
「うああ、頭が……頭が割れそう……」
「動くな、安静にしていろ」
現在、私は宿のベッドでテディさんに看病されている。
レイラさんに『愛』をかえした後、どうやら私は気を失ってしまったらしい。ここまで運んできてくれたキリルさんは、仕事があったようでお礼を言えていない。今度会えたら、なにかお礼をしようと思う。
「面倒をかけてしまってすみません……」
テディさんの仕事を増やしてばかりいるような気がする。もう王都での「おもてなし」は、これでおしまいにしてくれたりしないかな……。家に帰りたい。
「そう思うのなら、これからはどこに行くにしても俺を連れて行ってくれ」
おでこに置かれたタオルをかえてくれながら、テディさんは真面目な声でそう言った。私はその言葉でふと気になったことを聞いた。
「善処します……。あとまったく関係ないんですけど、テディさんの一人称って『私』じゃなかったんですか?」
初めて会った時は、たしか『私』だったような……。
「公私をわけている」
短くそう答えた彼は、少しずれてしまっていた布団をかけ直してくれた。
「なるほど、私的な場だと『俺』になるんですね」
なんとか話題をそらせたと安堵していると、彼はじっとこちらを見つめて言った。
「今後は、俺を同行させるように」
「……はい」
まったく話題をそらせてなかった。一緒にいることをしっかりと約束させられ、私はテディさんに、かいがいしくお世話された。
それから数日がたった。
「体調はどう~?」
そう言って部屋に入ってきたのは、ここ最近見かけてなかったキリルさんだ。
私は心配性になってしまったテディさんによって、いまだにベッドの上にいる。ダラダラするのは好きだが、他人に強要されてベッドの上にいるのは苦痛になると学んだ。
「体調は万全なのに、なぜかベッドから出ることが許されてません」
「あはは!かわそー」
「絶対そんなこと思ってないでしょう」
そばまで来ていたキリルさんに詰め寄ろうと、ベッドから身を乗り出す。
「シロ殿、そんなに動いてはベッドから落ちる」
「……こんなので落ちてたら、それはただの阿呆です」
「そうか」
「そうです」
「ブハッ!」
キリルさんは堪えきれなかったのか、お腹を抱えながら笑っている。そのままお腹がよじれてしまうことを願う。
「ディアクロス、お前ここ最近どうしたんだ?面白すぎるぞ」
笑顔のキリルさんと仏頂面のテディさんを見比べながら、ふと思ったことがあった。
「そうだ、聞き忘れてたんですけど」
「どうした」
キリルさんを相手にもしてなかったテディさんは、私の声に瞬時に答える。その様子を見て、キリルさんはさらに笑っている。キリルさん、そろそろ腹筋が筋肉痛になるんじゃないかな。
「テディさんの名前ってディアクロスだったんですね」
「そうだが」
不思議そうにするテディさんに、本題をぶつける。
「いや、なんでテディにしたんですか?」
「………」
「ゲホッゴホッ!」
沈黙するテディさんを見る。あと、笑いすぎてむせているキリルさんは無視だ。
「ほら、ディアクロスっていうカッコイイ名前だったらディアスとかクロスとかのほうが……」
「いや、テディがいい」
「う、うん、なるほど」
本人の趣向であるなら、なにも言うまいと口を閉じる。しかし、もはや立っていられず、地面に伏せているキリルさんには言いたいことしかない。
「汚れますよ、地面が」
「いや、そこは俺がじゃない?」
やっと復活したキリルさんが、立ち上がりながらそう言う。その顔には笑いの余韻が残っていて、少々癪に感じる。
「ディアクロス、俺もテ」
「呼ぶな」
「えー!」
「そりゃそうでしょ……」
からかってくる気満々の人に、どうして呼ばせてあげると思ったのか……。ブーブー言っているキリルさんに、そろそろ本題に入ってもらう。
「それでキリルさん、ご用件は?」
テディさんにじゃれついていキリルさんは、それを聞いてこちらを向く。その顔には、とてもいい笑顔がはりついていた。
「あ、やっぱりいいで」
「よくぞ聞いてくれた!」
失敗した……。用件聞くんじゃなくて、そのまま帰ってもらえばよかった……。後悔は先に立たないとはこういうことか。あとテディさん、我関せずみたいな顔やめて。
「シロちゃん、ちょっと王城に来て王様と会ってくれない?」
「は?」
絶対に嫌だという思いを、これでもかとこめた「は」だった。今なら、キリルさんを闇に葬ることもやぶさかではない。かかげた握り拳を、標的へと振り下ろさんとする。
「ちょちょ待って!」
暴力に魂を売った私に、キリルさんは事の経緯を説明した。
「つまり、魔女の能力をもつ私に会いたいということですね」
「そうそう」
「でも、魔女の能力を引き継いだ一般人ですよ?そんな人なら、他にもいますけど」
魔女の能力を引き継ぐことは珍しいことではあるが、ないわけじゃない。魔女が気に入った者に自身の能力を分け与えたり、引き継がせたりすることは、実際あることなのだ。加えて、魔女の能力を引き継いだからといって魔女になれるわけじゃない。普通の人間は、引き継いだ能力を保持できる『器』がないため、次第にその能力を失う。まあ結局、ひと時の夢を見たようなものなのだ。
「いや~、それが今回はわけあってね……」
歯切れの悪いキリルさんに、一抹の不安を抱く。これは、しばらく家に帰れないのではないかという悪い予感だ。
「実は―――」
「あり得ない……」
「普通にしていれば問題ない」
「いや、そういう問題じゃないです……」
現在、私とテディさんは立派な扉の前にいる。そう、玉座に続く門の前に、だ。近くにいる衛兵の人の顔なんて見ることすらできない。こわすぎて。
こうなった経緯は、とても簡単だ。
王様たちはなにか目的があって、魔女を集めようとしたらしい。しかし、魔女は気まぐれで神出鬼没。なかなか見つけられない上、捕まえることは至難の業だ。そこに、都合よくいた魔女の能力を引き継いだ一般人。「もうこいつでいいや」ということで、魔女の代理にされたというわけだ。
「魔女の代理じゃなくて、魔女のかわりに生贄になっただけなんじゃ……」
「行くぞ」
嘆く私を気にもせず、テディさんは門を開けるよう衛兵に命令した。
扉が開く。これから私はとんでもなく面倒なことに巻き込まれるのだろう。
「……帰りたい」
「謁見がすめば帰れる」
こちらの心情を一切くんでくれないテディさんにつれられて、王様と会うことになった。
「動くな、安静にしていろ」
現在、私は宿のベッドでテディさんに看病されている。
レイラさんに『愛』をかえした後、どうやら私は気を失ってしまったらしい。ここまで運んできてくれたキリルさんは、仕事があったようでお礼を言えていない。今度会えたら、なにかお礼をしようと思う。
「面倒をかけてしまってすみません……」
テディさんの仕事を増やしてばかりいるような気がする。もう王都での「おもてなし」は、これでおしまいにしてくれたりしないかな……。家に帰りたい。
「そう思うのなら、これからはどこに行くにしても俺を連れて行ってくれ」
おでこに置かれたタオルをかえてくれながら、テディさんは真面目な声でそう言った。私はその言葉でふと気になったことを聞いた。
「善処します……。あとまったく関係ないんですけど、テディさんの一人称って『私』じゃなかったんですか?」
初めて会った時は、たしか『私』だったような……。
「公私をわけている」
短くそう答えた彼は、少しずれてしまっていた布団をかけ直してくれた。
「なるほど、私的な場だと『俺』になるんですね」
なんとか話題をそらせたと安堵していると、彼はじっとこちらを見つめて言った。
「今後は、俺を同行させるように」
「……はい」
まったく話題をそらせてなかった。一緒にいることをしっかりと約束させられ、私はテディさんに、かいがいしくお世話された。
それから数日がたった。
「体調はどう~?」
そう言って部屋に入ってきたのは、ここ最近見かけてなかったキリルさんだ。
私は心配性になってしまったテディさんによって、いまだにベッドの上にいる。ダラダラするのは好きだが、他人に強要されてベッドの上にいるのは苦痛になると学んだ。
「体調は万全なのに、なぜかベッドから出ることが許されてません」
「あはは!かわそー」
「絶対そんなこと思ってないでしょう」
そばまで来ていたキリルさんに詰め寄ろうと、ベッドから身を乗り出す。
「シロ殿、そんなに動いてはベッドから落ちる」
「……こんなので落ちてたら、それはただの阿呆です」
「そうか」
「そうです」
「ブハッ!」
キリルさんは堪えきれなかったのか、お腹を抱えながら笑っている。そのままお腹がよじれてしまうことを願う。
「ディアクロス、お前ここ最近どうしたんだ?面白すぎるぞ」
笑顔のキリルさんと仏頂面のテディさんを見比べながら、ふと思ったことがあった。
「そうだ、聞き忘れてたんですけど」
「どうした」
キリルさんを相手にもしてなかったテディさんは、私の声に瞬時に答える。その様子を見て、キリルさんはさらに笑っている。キリルさん、そろそろ腹筋が筋肉痛になるんじゃないかな。
「テディさんの名前ってディアクロスだったんですね」
「そうだが」
不思議そうにするテディさんに、本題をぶつける。
「いや、なんでテディにしたんですか?」
「………」
「ゲホッゴホッ!」
沈黙するテディさんを見る。あと、笑いすぎてむせているキリルさんは無視だ。
「ほら、ディアクロスっていうカッコイイ名前だったらディアスとかクロスとかのほうが……」
「いや、テディがいい」
「う、うん、なるほど」
本人の趣向であるなら、なにも言うまいと口を閉じる。しかし、もはや立っていられず、地面に伏せているキリルさんには言いたいことしかない。
「汚れますよ、地面が」
「いや、そこは俺がじゃない?」
やっと復活したキリルさんが、立ち上がりながらそう言う。その顔には笑いの余韻が残っていて、少々癪に感じる。
「ディアクロス、俺もテ」
「呼ぶな」
「えー!」
「そりゃそうでしょ……」
からかってくる気満々の人に、どうして呼ばせてあげると思ったのか……。ブーブー言っているキリルさんに、そろそろ本題に入ってもらう。
「それでキリルさん、ご用件は?」
テディさんにじゃれついていキリルさんは、それを聞いてこちらを向く。その顔には、とてもいい笑顔がはりついていた。
「あ、やっぱりいいで」
「よくぞ聞いてくれた!」
失敗した……。用件聞くんじゃなくて、そのまま帰ってもらえばよかった……。後悔は先に立たないとはこういうことか。あとテディさん、我関せずみたいな顔やめて。
「シロちゃん、ちょっと王城に来て王様と会ってくれない?」
「は?」
絶対に嫌だという思いを、これでもかとこめた「は」だった。今なら、キリルさんを闇に葬ることもやぶさかではない。かかげた握り拳を、標的へと振り下ろさんとする。
「ちょちょ待って!」
暴力に魂を売った私に、キリルさんは事の経緯を説明した。
「つまり、魔女の能力をもつ私に会いたいということですね」
「そうそう」
「でも、魔女の能力を引き継いだ一般人ですよ?そんな人なら、他にもいますけど」
魔女の能力を引き継ぐことは珍しいことではあるが、ないわけじゃない。魔女が気に入った者に自身の能力を分け与えたり、引き継がせたりすることは、実際あることなのだ。加えて、魔女の能力を引き継いだからといって魔女になれるわけじゃない。普通の人間は、引き継いだ能力を保持できる『器』がないため、次第にその能力を失う。まあ結局、ひと時の夢を見たようなものなのだ。
「いや~、それが今回はわけあってね……」
歯切れの悪いキリルさんに、一抹の不安を抱く。これは、しばらく家に帰れないのではないかという悪い予感だ。
「実は―――」
「あり得ない……」
「普通にしていれば問題ない」
「いや、そういう問題じゃないです……」
現在、私とテディさんは立派な扉の前にいる。そう、玉座に続く門の前に、だ。近くにいる衛兵の人の顔なんて見ることすらできない。こわすぎて。
こうなった経緯は、とても簡単だ。
王様たちはなにか目的があって、魔女を集めようとしたらしい。しかし、魔女は気まぐれで神出鬼没。なかなか見つけられない上、捕まえることは至難の業だ。そこに、都合よくいた魔女の能力を引き継いだ一般人。「もうこいつでいいや」ということで、魔女の代理にされたというわけだ。
「魔女の代理じゃなくて、魔女のかわりに生贄になっただけなんじゃ……」
「行くぞ」
嘆く私を気にもせず、テディさんは門を開けるよう衛兵に命令した。
扉が開く。これから私はとんでもなく面倒なことに巻き込まれるのだろう。
「……帰りたい」
「謁見がすめば帰れる」
こちらの心情を一切くんでくれないテディさんにつれられて、王様と会うことになった。
0
あなたにおすすめの小説
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
狼隊長さんは、私のやわはだのトリコになりました。
汐瀬うに
恋愛
目が覚めたら、そこは獣人たちの国だった。
元看護師の百合は、この世界では珍しい“ヒト”として、狐の婆さんが仕切る風呂屋で働くことになる。
与えられた仕事は、獣人のお客を湯に通し、その体を洗ってもてなすこと。
本来ならこの先にあるはずの行為まで求められてもおかしくないのに、百合の素肌で背中を撫でられた獣人たちは、皆ふわふわの毛皮を揺らして眠りに落ちてしまうのだった。
人間の肌は、獣人にとって子犬の毛並みのようなもの――そう気づいた時には、百合は「眠りを売る“やわはだ嬢”」として静かな人気者になっていた。
そんな百合の元へある日、一つの依頼が舞い込む。
「眠れない狼隊長を、あんたの手で眠らせてやってほしい」
戦場の静けさに怯え、目を閉じれば仲間の最期がよみがえる狼隊長ライガ。
誰よりも強くあろうとする男の震えに触れた百合は、自分もまた失った人を忘れられずにいることを思い出す。
やわらかな人肌と、眠れない心。
静けさを怖がるふたりが、湯気の向こうで少しずつ寄り添っていく、獣人×ヒトの異世界恋愛譚。
[こちらは以前あげていた「やわはだの、お風呂やさん」の改稿ver.になります]
妻が通う邸の中に
月山 歩
恋愛
最近妻の様子がおかしい。昼間一人で出掛けているようだ。二人に子供はできなかったけれども、妻と愛し合っていると思っている。僕は妻を誰にも奪われたくない。だから僕は、妻の向かう先を調べることににした。
白い結婚のはずが、旦那様の溺愛が止まりません!――冷徹領主と政略令嬢の甘すぎる夫婦生活
しおしお
恋愛
政略結婚の末、侯爵家から「価値がない」と切り捨てられた令嬢リオラ。
新しい夫となったのは、噂で“冷徹”と囁かれる辺境領主ラディス。
二人は互いの自由のため――**干渉しない“白い結婚”**を結ぶことに。
ところが。
◆市場に行けばついてくる
◆荷物は全部持ちたがる
◆雨の日は仕事を早退して帰ってくる
◆ちょっと笑うだけで顔が真っ赤になる
……どう見ても、干渉しまくり。
「旦那様、これは白い結婚のはずでは……?」
「……君のことを、放っておけない」
距離はゆっくり縮まり、
優しすぎる態度にリオラの心も揺れ始める。
そんな時、彼女を利用しようと実家が再び手を伸ばす。
“冷徹”と呼ばれた旦那様の怒りが静かに燃え――
「二度と妻を侮辱するな」
守られ、支え合い、やがて惹かれ合う二人の想いは、
いつしか“形だけの夫婦”を超えていく。
離婚を望む悪女は、冷酷夫の執愛から逃げられない
柴田はつみ
恋愛
目が覚めた瞬間、そこは自分が読み終えたばかりの恋愛小説の世界だった——しかも転生したのは、後に夫カルロスに殺される悪女・アイリス。
バッドエンドを避けるため、アイリスは結婚早々に離婚を申し出る。だが、冷たく突き放すカルロスの真意は読めず、街では彼と寄り添う美貌の令嬢カミラの姿が頻繁に目撃され、噂は瞬く間に広まる。
カミラは男心を弄ぶ意地悪な女。わざと二人の関係を深い仲であるかのように吹聴し、アイリスの心をかき乱す。
そんな中、幼馴染クリスが現れ、アイリスを庇い続ける。だがその優しさは、カルロスの嫉妬と誤解を一層深めていき……。
愛しているのに素直になれない夫と、彼を信じられない妻。三角関係が燃え上がる中、アイリスは自分の運命を書き換えるため、最後の選択を迫られる。
猫になった悪女 ~元夫が溺愛してくるなんて想定外~
黒猫子猫
恋愛
ディアナは欲深く、夫にも結婚を強いた悪女として知られた女王だ。当然のように人々から嫌われ、夫婦仲は悪く、病に倒れた時も誰も哀しまなかった。ディアナは、それで良かった。余命宣告を受け、自分の幸せを追い求める事などとうに止めた。祖国のためにできる事は全てやった。思うままに生きたから、人生をやり直せると言われても、人間などまっぴらごめんだ。
そして、《猫》になった。日向でのんびりと寝ている姿が羨ましかったからだ。いざ、自堕落な生活をしようと思ったら、元夫に拾われてしまった。しかも、自分が死んで、解放されたはずの彼の様子が妙だ。
あなた、隙あらば撫でようとするの、止めてくれる? 私達は白い結婚だったでしょう。
あなた、再婚する気がないの? 「お前を愛したりしない」って嬉しい事を言ってくれたのは誰よ!
猫になった孤高の女王×妻を失って初めて色々気づいてしまった王配の恋のお話。
※全30話です。
『白い結婚のはずでしたが、夫の“愛”が黒い。 限界突破はお手柔らかに!』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
白い結婚のはずだった。
姉の遺した娘――カレンの親権を守るため、
私と侯爵タイロンは“同じ屋根の下で暮らすだけ”の契約を交わした。
夜を共にしない、干渉しない、互いに自由。
それが白い結婚の条件。
……だったはずなのに。
最近、夫の目が黒い。
「お前、俺を誘惑してるつもりか?」
「は? してませんけど? 白い結婚でしょうが」
「……俺は、白い結婚でよかったがな。
お前が俺を限界まで追い詰めるなら……話は別だ」
黒い。
完全に黒い。
理性じゃなくて、野生の方が勝ってる。
ちょっと待って、何その目!?
やめて、白い結婚の契約書どこ行ったの!?
破らないで!
――白い結婚? 知らん。
もう限界。覚悟しろ。
タイロンの目がそう語っていた。
私、白い結婚で穏やかに暮らす予定だったんだけど!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる