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13 鍛練場
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「うぐ、酔った……」
「ごめん、ごめん。急いでたから」
まったく悪いと思ってない顔のキリルさんを見て、そっと握り拳をかかげる。それを見た彼は、瞬時に顔を庇った。
「お願い!顔は、顔だけはヤメテ!」
「それ以外はいいんですか……」
「うん!」
彼のキラキラした笑顔をみて、諦めの境地にいたる。そして、わざと見ないようにしていた周囲に意識をむけた。広い鍛練場を囲むように席がズラッとある。アリーナみたいな構造だ。上から騎士たちの様子を見ることができる。
「ねえ、キリル様の隣にいる方ってどちら様かしら」
「親しそうにして、嫌ですわね」
離れた場所に綺麗なドレスを着た女性たちがいた。彼女たちは扇で口元を隠しているが、声がこちらに聞こえてきている。いや、これはわざわざ聞こえるように言っているのかもしれない。
「キリルさん、私の半径1㎞以内に入らないでください」
「そんな無茶な!」
いつの間にか飲み物をとってきてくれていた彼にそう言う。もしかして、キリルさんがいない一瞬だったから彼女たちはああ言ったのか……。飲み物はありがたく受け取りながら、今いる場所を再確認した。
(いや、部外者を関係者席に座らせるってどういうこと)
中央にある鍛錬場に一際低い場所にある席に座っていた。アリーナだと、控えの選手とかコーチとかが座っているような場所だ。騎士たちが近い。そして、観客たちの視線が痛い。
「鍛練すごかったです!また機会があれば来ますね!」
「いや、始まってすらいないから」
すっと席から立つと、キリルさんにその肩を押さえつけられて強制的に着席させられた。その様子をみていた周囲がざわめく。もう目立ちたくないと思い、おとなしく鍛練を見届けることにした。
多くの騎士たちが互いの刃をあわせている。ひとつ気になるのは、赤や青の制服を着ている騎士たちがほとんどであることだ。テディさんやキリルさんのような白い制服の騎士がいない。
「おっ、そろそろかな」
そう言ったキリルさんの言葉に疑問を抱いていると、ホラ貝を吹いたような音が鳴り響いた。その音を合図に、今まで鍛練場で訓練していた騎士たちがはけていく。
「ん?」
一気に空っぽになった鍛練場に、一人の黒い騎士が現れた。黒い布に金色の刺しゅうがよく映えている。すると、黒騎士の反対側から白い騎士が現れた。
「あれ、テディさんじゃ……」
あの青と金のオッドアイは、まごうことなくテディさんだ。もしかして、キリルさんはテディさんの手合わせを見せるために私を連れてきた?
そう思ってキリルさんを見ると、彼はただ微笑んでいた。
もう一度、あのホラ貝の音が響いた。
両者は礼をした後、それぞれの方法で剣を構えた。黒騎士は顔の前で剣を構え、剣先を天にむけている。そして、すっと剣を白騎士に向けて構えた。一方、白騎士は特に動作をせず剣を抜いただけだった。剣先を黒騎士に向けてすらいない。
両者は同時に動いた。
よくわからないが、黒騎士の方が果敢に攻めている気がする。白騎士はすべて受け流している。白騎士の剣がはじかれ一瞬の隙ができる。そこに切り込む黒騎士。勝負がついたと思った時、黒騎士の剣が宙を舞った。
「え、なにが」
「「うおーーー!!」」
「「きゃあーー!!」」
野太い歓声と黄色い悲鳴が一気に巻き起こる。状況が飲み込めないまま、周囲と同じようにとりあえず拍手を送った。隣に座っていたキリルさんは、なぜかつまらなさそうだ。拍手も適当だ。
「なにが気に入らないんですか?」
歓声が収まり声が通る状況になったため、キリルさんに話を振ってみる。彼は私をじっと見た後、なにかに納得したように頷いた。
「なるほどねー」
「自己完結しないでください」
「いや、こっちの話」
どうやら話してくれる気はなさそうなので諦める。
「「きゃああーー!!」」
「あいつ、シロちゃんのために早く終わらせたな……」
「なにか言いました?」
「言ってないよ?」
また起こった黄色い悲鳴に、キリルさんの言葉が聞こえなかった。まあ彼の顔を見る限り、大したことは言ってないのだろう。それよりも、悲鳴が起こった原因に目を向ける。
「なんで黒騎士はテディさんに詰め寄ってるんですか……」
「ああ、あれはいつものことだよ」
「あれが」
黒騎士に詰め寄られているテディさんは、それをまったく相手にしていない。それどころか、平然とこちらにむかって歩いてくる。歩いてくる?
「やばい!キリルさん、早く逃げましょう!」
「なんで?」
「テディさんの因縁に巻き込まれる予感がするからです!」
あの黒騎士はなんとなく面倒そうだ。テディさんの知り合いだとバレたら、何かと不都合が生じそう。キリルさんを急き立てるが、どうやら間に合わなかったらしい。
「シロ殿、どうしてここに」
後ろを向くと、頬に少し汚れのついたテディさんがいた。それも、その背後に例の黒騎士を引き連れて。
「ワタシハ、シロデハアリマセン」
「……?何を言っているんだ、シロ殿」
ダメだ、この人に言葉の裏を察してほしいと期待したのが間違いだった。あと、後ろでじっとこちらを見つめてくる黒騎士がこわい。なに考えてるんだろう……。
「君はシロというのか」
その黒騎士が声をかけてきた。落ち着いた様子だから、案外話のわかる人かもしれない。あとテディさん、そんなに睨まないであげて。普通に声かけてきただけだから。
「ふんっ、平凡な顔だな」
「は?」
今までに聞いたことのないくらい低いテディさんの声。
「「え?」」
「うわあ、お前やっちまったな……」
侮辱されたのは私なのに、なぜかテディさんがキレている。そして、なぜか天を仰いでいるキリルさん。黒騎士もテディさんの思わぬ反応に戸惑っている。私も戸惑っている。
「な、なぜ貴様が反応するんだ」
「黙れ、そして剣をとれ」
やばい、テディさんがバーサーカーみたいになってる。こわすぎるため、黒騎士との対話で解決を試みる。
「黒騎士さん、私が平凡な顔なのは認めますが、ここは場を収めるために和解してみませんか?」
そう言って手を差し出したのだが、その手が握られることはなかった。黒騎士は口を一文字に結び、顔を背けた。その姿は素直に謝れない駄々っ子のように見えた。
(う~ん、なぜか可愛らしくみえる)
「ケイ、お前謝ったほうがいいぞー」
キリルさんの援護射撃がはいる。しかし、彼のような気質の人にそれは逆効果だ。なぜわかるのかって?私も天邪鬼だったからね……。いや、それは今もか。
「テディさん、どうどうどう」
剣の柄に手をかけて臨戦態勢の彼をなんとか宥め、この場はお開きとなった。去り際、一瞬だけ見えた黒騎士の顔が気になった。
次の日。
「……文句を言いにきたのか」
仕事が終わった夕方、ある場所で黒騎士は一人で鍛練していると聞いた私はそこに向かった。そして、彼にこの言葉をかけられた。
「仲直りしにきました」
「君は僕を舐めているのか?普通、昨日喧嘩をふっかけてきた相手に言うことじゃないだろう」
彼は呆れたようにそう言っているが、自分が喧嘩を売ったことを理解しているみたいだ。その自覚があるなら、和解の道は明るい。
「いや、仲直りしないとテディさんがこわいんですよ……」
昨日のテディさんの機嫌は最悪だった。私は宿で別れることができたが、一緒にいたキリルさんは目が死んでいた。さすがに、キリルさんのことを気の毒に思った。
「別に、奴のことなど恐くない」
勇ましいことを言っているが、目を逸らしている。きっと昨日のことを思い出しているんだろう。額に冷や汗を浮かべている。
「そうですか、わかりました」
あっさりと引き下がった私に、黒騎士は意外そうな目を向ける。帰路につこうと背をむける。そして、ボソッと言った。
「テディさん、昨日めっちゃ剣研いでたな……」
「ちょっと待ってくれ」
私の言いたいことが伝わったのだろう。青い顔をした黒騎士は、私の腕を掴んだ。私たちは、そばの芝生に座って話し合いを行うことにした。
「ごめん、ごめん。急いでたから」
まったく悪いと思ってない顔のキリルさんを見て、そっと握り拳をかかげる。それを見た彼は、瞬時に顔を庇った。
「お願い!顔は、顔だけはヤメテ!」
「それ以外はいいんですか……」
「うん!」
彼のキラキラした笑顔をみて、諦めの境地にいたる。そして、わざと見ないようにしていた周囲に意識をむけた。広い鍛練場を囲むように席がズラッとある。アリーナみたいな構造だ。上から騎士たちの様子を見ることができる。
「ねえ、キリル様の隣にいる方ってどちら様かしら」
「親しそうにして、嫌ですわね」
離れた場所に綺麗なドレスを着た女性たちがいた。彼女たちは扇で口元を隠しているが、声がこちらに聞こえてきている。いや、これはわざわざ聞こえるように言っているのかもしれない。
「キリルさん、私の半径1㎞以内に入らないでください」
「そんな無茶な!」
いつの間にか飲み物をとってきてくれていた彼にそう言う。もしかして、キリルさんがいない一瞬だったから彼女たちはああ言ったのか……。飲み物はありがたく受け取りながら、今いる場所を再確認した。
(いや、部外者を関係者席に座らせるってどういうこと)
中央にある鍛錬場に一際低い場所にある席に座っていた。アリーナだと、控えの選手とかコーチとかが座っているような場所だ。騎士たちが近い。そして、観客たちの視線が痛い。
「鍛練すごかったです!また機会があれば来ますね!」
「いや、始まってすらいないから」
すっと席から立つと、キリルさんにその肩を押さえつけられて強制的に着席させられた。その様子をみていた周囲がざわめく。もう目立ちたくないと思い、おとなしく鍛練を見届けることにした。
多くの騎士たちが互いの刃をあわせている。ひとつ気になるのは、赤や青の制服を着ている騎士たちがほとんどであることだ。テディさんやキリルさんのような白い制服の騎士がいない。
「おっ、そろそろかな」
そう言ったキリルさんの言葉に疑問を抱いていると、ホラ貝を吹いたような音が鳴り響いた。その音を合図に、今まで鍛練場で訓練していた騎士たちがはけていく。
「ん?」
一気に空っぽになった鍛練場に、一人の黒い騎士が現れた。黒い布に金色の刺しゅうがよく映えている。すると、黒騎士の反対側から白い騎士が現れた。
「あれ、テディさんじゃ……」
あの青と金のオッドアイは、まごうことなくテディさんだ。もしかして、キリルさんはテディさんの手合わせを見せるために私を連れてきた?
そう思ってキリルさんを見ると、彼はただ微笑んでいた。
もう一度、あのホラ貝の音が響いた。
両者は礼をした後、それぞれの方法で剣を構えた。黒騎士は顔の前で剣を構え、剣先を天にむけている。そして、すっと剣を白騎士に向けて構えた。一方、白騎士は特に動作をせず剣を抜いただけだった。剣先を黒騎士に向けてすらいない。
両者は同時に動いた。
よくわからないが、黒騎士の方が果敢に攻めている気がする。白騎士はすべて受け流している。白騎士の剣がはじかれ一瞬の隙ができる。そこに切り込む黒騎士。勝負がついたと思った時、黒騎士の剣が宙を舞った。
「え、なにが」
「「うおーーー!!」」
「「きゃあーー!!」」
野太い歓声と黄色い悲鳴が一気に巻き起こる。状況が飲み込めないまま、周囲と同じようにとりあえず拍手を送った。隣に座っていたキリルさんは、なぜかつまらなさそうだ。拍手も適当だ。
「なにが気に入らないんですか?」
歓声が収まり声が通る状況になったため、キリルさんに話を振ってみる。彼は私をじっと見た後、なにかに納得したように頷いた。
「なるほどねー」
「自己完結しないでください」
「いや、こっちの話」
どうやら話してくれる気はなさそうなので諦める。
「「きゃああーー!!」」
「あいつ、シロちゃんのために早く終わらせたな……」
「なにか言いました?」
「言ってないよ?」
また起こった黄色い悲鳴に、キリルさんの言葉が聞こえなかった。まあ彼の顔を見る限り、大したことは言ってないのだろう。それよりも、悲鳴が起こった原因に目を向ける。
「なんで黒騎士はテディさんに詰め寄ってるんですか……」
「ああ、あれはいつものことだよ」
「あれが」
黒騎士に詰め寄られているテディさんは、それをまったく相手にしていない。それどころか、平然とこちらにむかって歩いてくる。歩いてくる?
「やばい!キリルさん、早く逃げましょう!」
「なんで?」
「テディさんの因縁に巻き込まれる予感がするからです!」
あの黒騎士はなんとなく面倒そうだ。テディさんの知り合いだとバレたら、何かと不都合が生じそう。キリルさんを急き立てるが、どうやら間に合わなかったらしい。
「シロ殿、どうしてここに」
後ろを向くと、頬に少し汚れのついたテディさんがいた。それも、その背後に例の黒騎士を引き連れて。
「ワタシハ、シロデハアリマセン」
「……?何を言っているんだ、シロ殿」
ダメだ、この人に言葉の裏を察してほしいと期待したのが間違いだった。あと、後ろでじっとこちらを見つめてくる黒騎士がこわい。なに考えてるんだろう……。
「君はシロというのか」
その黒騎士が声をかけてきた。落ち着いた様子だから、案外話のわかる人かもしれない。あとテディさん、そんなに睨まないであげて。普通に声かけてきただけだから。
「ふんっ、平凡な顔だな」
「は?」
今までに聞いたことのないくらい低いテディさんの声。
「「え?」」
「うわあ、お前やっちまったな……」
侮辱されたのは私なのに、なぜかテディさんがキレている。そして、なぜか天を仰いでいるキリルさん。黒騎士もテディさんの思わぬ反応に戸惑っている。私も戸惑っている。
「な、なぜ貴様が反応するんだ」
「黙れ、そして剣をとれ」
やばい、テディさんがバーサーカーみたいになってる。こわすぎるため、黒騎士との対話で解決を試みる。
「黒騎士さん、私が平凡な顔なのは認めますが、ここは場を収めるために和解してみませんか?」
そう言って手を差し出したのだが、その手が握られることはなかった。黒騎士は口を一文字に結び、顔を背けた。その姿は素直に謝れない駄々っ子のように見えた。
(う~ん、なぜか可愛らしくみえる)
「ケイ、お前謝ったほうがいいぞー」
キリルさんの援護射撃がはいる。しかし、彼のような気質の人にそれは逆効果だ。なぜわかるのかって?私も天邪鬼だったからね……。いや、それは今もか。
「テディさん、どうどうどう」
剣の柄に手をかけて臨戦態勢の彼をなんとか宥め、この場はお開きとなった。去り際、一瞬だけ見えた黒騎士の顔が気になった。
次の日。
「……文句を言いにきたのか」
仕事が終わった夕方、ある場所で黒騎士は一人で鍛練していると聞いた私はそこに向かった。そして、彼にこの言葉をかけられた。
「仲直りしにきました」
「君は僕を舐めているのか?普通、昨日喧嘩をふっかけてきた相手に言うことじゃないだろう」
彼は呆れたようにそう言っているが、自分が喧嘩を売ったことを理解しているみたいだ。その自覚があるなら、和解の道は明るい。
「いや、仲直りしないとテディさんがこわいんですよ……」
昨日のテディさんの機嫌は最悪だった。私は宿で別れることができたが、一緒にいたキリルさんは目が死んでいた。さすがに、キリルさんのことを気の毒に思った。
「別に、奴のことなど恐くない」
勇ましいことを言っているが、目を逸らしている。きっと昨日のことを思い出しているんだろう。額に冷や汗を浮かべている。
「そうですか、わかりました」
あっさりと引き下がった私に、黒騎士は意外そうな目を向ける。帰路につこうと背をむける。そして、ボソッと言った。
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