14 / 54
第二章 冒険者の門出、差別、救済
四
しおりを挟む
「あぁ? ここはお前なんかに売る武器も防具もありゃしねぇよ」
僕らが鍛冶屋に行くと、帰ってきた言葉は辛辣なものだった。
向かった先は、この街一番の鍛冶屋だ。
彼はドワーフという種族であり、昔から鉄を扱って生きてきたらしい。だからこそ、武器を作ったりすることに長けているらしい。
顔は毛むくじゃらで、髭がすごい。
男らしい……のか?
「どうして売ってくれないんですか?」
「決まってんだろ! お前みてぇにお供を連れて道楽でやってる輩に俺の武器を使ってほしくねぇんだよ!」
「道楽……?」
何かを勘違いしているのか、ドワーフのおじさんは怒っている。
道楽、じゃないんだけどな。
僕は、僕の守りたいものがあるからやってるだけなんだけど……。
そんなことを思っていたら、隣からピキピキといった不穏な音が聞こえてきた。
「エンド様」
「な、なにかな?」
顔を向けると、冷気をまとったレイカがそこにいた。
顔は笑っているはずなのに、どうしてこんなに恐ろしいのだろう。
「こんな武器屋、やめましょう。使い手の実力を見抜けないような鍛冶師なんてエンド様にふさわしくありません」
「ちょ、ちょっとレイカ!」
「あんだと? なんて言いやがった、姉ちゃん」
やっぱり怒りはじめたよ!
何言ってくれちゃってんだよ、レイカ!
「その目は節穴かって言ってるんです」
「なら、その小僧が実力者だっていいたいのか? あぁ?」
「もし知りたいのなら教えてあげましょうか――」
そういうと、レイカは自分の武器――太腿に隠しているナイフを取り出して、ドワーフのおじさんに投げる。
って、嘘ぉ!?
そのコースは間違いなく鍛冶屋のおじさんの顔を貫くだろう。
僕は、レイカに人殺しをさせたくない。
慌てて剣を抜くと、僕はレイカの投げたナイフに回り込み剣で叩き落した。
甲高い金属音が響き渡り、床にナイフが転がっていく。
あ、あぶない。ギリギリだ。
「レイカ! 何してるんだ!」
「この男が無礼だからです。エンド様の実力を見ようともしないで!」
「だからって人を傷つけるのはだめだ! もし僕が止めなかったら、おじさんは怪我じゃすまなかったよ!」
「エンド様なら止めてくれると思ったんですよ」
つまり、僕がとめるって思ったうえでナイフで攻撃したってこと?
たしかに、それなら僕の力を見せれるとは思うけど、さすがに無茶が過ぎる。
「……次はこんなことしないでね。心臓に悪い」
「はい。わかりました。申し訳ありませんでした」
そういって頭を下げるレイカ。
レイカは僕の世話を進んでしてくれるけど、ちょっぴり信頼の度が過ぎているところがある。
もう少し、他の人にも意識を向けてくれるといいんだけど。
ナイフを拾いながらため息を吐く。
疲れたから帰ろうと思ったら、後ろからドスの聞いた声が響いた。
「す、すまなかった。小僧、お前さん、なかなかやるな」
振り向くと、そこには汗をかいたおじさんがいた。
顔は険しい。
「俺が悪かった。お前さんの力がありゃ申し分ない。ぜひ、作らせてくれねぇか?」
「ようやくエンド様の力が分かったのですね。どうしますか? エンド様」
二人の視線がこちらへ向く。
まあ、腕はきっといいんだろうし作ってくれるならぜひお願いしたい。
それに、こっちがお願いしてたんだし、断る理由なんてない。
「ならお願いしたいかな。大丈夫ですか?」
「ああ。俺は、ガーフだ。武器を作るとあっちゃ妥協はしねぇ。お前さんの希望を教えてくれるか?」
「うん。今日は時間があるし、大丈夫だよね? レイカ」
「はい。せっかくですから、最高の武器を作ってもらいましょうね」
そういって笑顔で頷くレイカだが、その視線はガーフさんに向いている。
あきらかに圧力をかけているだろうけど、僕はあえてそれを見て見ないふりをした。
とりあえず、無事に武器を作ってもらうことになってよかった。
頭の片隅で依頼について考えながら、僕はガーフさんに聞かれることに一つずつ答えていった。
僕らが鍛冶屋に行くと、帰ってきた言葉は辛辣なものだった。
向かった先は、この街一番の鍛冶屋だ。
彼はドワーフという種族であり、昔から鉄を扱って生きてきたらしい。だからこそ、武器を作ったりすることに長けているらしい。
顔は毛むくじゃらで、髭がすごい。
男らしい……のか?
「どうして売ってくれないんですか?」
「決まってんだろ! お前みてぇにお供を連れて道楽でやってる輩に俺の武器を使ってほしくねぇんだよ!」
「道楽……?」
何かを勘違いしているのか、ドワーフのおじさんは怒っている。
道楽、じゃないんだけどな。
僕は、僕の守りたいものがあるからやってるだけなんだけど……。
そんなことを思っていたら、隣からピキピキといった不穏な音が聞こえてきた。
「エンド様」
「な、なにかな?」
顔を向けると、冷気をまとったレイカがそこにいた。
顔は笑っているはずなのに、どうしてこんなに恐ろしいのだろう。
「こんな武器屋、やめましょう。使い手の実力を見抜けないような鍛冶師なんてエンド様にふさわしくありません」
「ちょ、ちょっとレイカ!」
「あんだと? なんて言いやがった、姉ちゃん」
やっぱり怒りはじめたよ!
何言ってくれちゃってんだよ、レイカ!
「その目は節穴かって言ってるんです」
「なら、その小僧が実力者だっていいたいのか? あぁ?」
「もし知りたいのなら教えてあげましょうか――」
そういうと、レイカは自分の武器――太腿に隠しているナイフを取り出して、ドワーフのおじさんに投げる。
って、嘘ぉ!?
そのコースは間違いなく鍛冶屋のおじさんの顔を貫くだろう。
僕は、レイカに人殺しをさせたくない。
慌てて剣を抜くと、僕はレイカの投げたナイフに回り込み剣で叩き落した。
甲高い金属音が響き渡り、床にナイフが転がっていく。
あ、あぶない。ギリギリだ。
「レイカ! 何してるんだ!」
「この男が無礼だからです。エンド様の実力を見ようともしないで!」
「だからって人を傷つけるのはだめだ! もし僕が止めなかったら、おじさんは怪我じゃすまなかったよ!」
「エンド様なら止めてくれると思ったんですよ」
つまり、僕がとめるって思ったうえでナイフで攻撃したってこと?
たしかに、それなら僕の力を見せれるとは思うけど、さすがに無茶が過ぎる。
「……次はこんなことしないでね。心臓に悪い」
「はい。わかりました。申し訳ありませんでした」
そういって頭を下げるレイカ。
レイカは僕の世話を進んでしてくれるけど、ちょっぴり信頼の度が過ぎているところがある。
もう少し、他の人にも意識を向けてくれるといいんだけど。
ナイフを拾いながらため息を吐く。
疲れたから帰ろうと思ったら、後ろからドスの聞いた声が響いた。
「す、すまなかった。小僧、お前さん、なかなかやるな」
振り向くと、そこには汗をかいたおじさんがいた。
顔は険しい。
「俺が悪かった。お前さんの力がありゃ申し分ない。ぜひ、作らせてくれねぇか?」
「ようやくエンド様の力が分かったのですね。どうしますか? エンド様」
二人の視線がこちらへ向く。
まあ、腕はきっといいんだろうし作ってくれるならぜひお願いしたい。
それに、こっちがお願いしてたんだし、断る理由なんてない。
「ならお願いしたいかな。大丈夫ですか?」
「ああ。俺は、ガーフだ。武器を作るとあっちゃ妥協はしねぇ。お前さんの希望を教えてくれるか?」
「うん。今日は時間があるし、大丈夫だよね? レイカ」
「はい。せっかくですから、最高の武器を作ってもらいましょうね」
そういって笑顔で頷くレイカだが、その視線はガーフさんに向いている。
あきらかに圧力をかけているだろうけど、僕はあえてそれを見て見ないふりをした。
とりあえず、無事に武器を作ってもらうことになってよかった。
頭の片隅で依頼について考えながら、僕はガーフさんに聞かれることに一つずつ答えていった。
0
あなたにおすすめの小説
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜
早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。
食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した!
しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……?
「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」
そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。
無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
捨てられた貴族六男、ハズレギフト『家電量販店』で僻地を悠々開拓する。~魔改造し放題の家電を使って、廃れた土地で建国目指します~
荒井竜馬@書籍発売中
ファンタジー
ある日、主人公は前世の記憶を思いだし、自分が転生者であることに気がつく。転生先は、悪役貴族と名高いアストロメア家の六男だった。しかし、メビウスは前世でアニメやラノベに触れていたので、悪役転生した場合の身の振り方を知っていた。『悪役転生ものということは、死ぬ気で努力すれば最強になれるパターンだ!』そう考えて死ぬ気で努力をするが、チート級の力を身につけることができなかった。
それどころか、授かったギフトが『家電量販店』という理解されないギフトだったせいで、一族から追放されてしまい『死地』と呼ばれる場所に捨てられてしまう。
「……普通、十歳の子供をこんな場所に捨てるか?」
『死地』と呼ばれる何もない場所で、メビウスは『家電量販店』のスキルを使って生き延びることを決意する。
しかし、そこでメビウスは自分のギフトが『死地』で生きていくのに適していたことに気がつく。
家電を自在に魔改造して『家電量販店』で過ごしていくうちに、メビウスは周りから天才発明家として扱われ、やがて小国の長として建国を目指すことになるのだった。
メビウスは知るはずがなかった。いずれ、自分が『機械仕掛けの大魔導士』と呼ばれ存在になるなんて。
努力しても最強になれず、追放先に師範も元冒険者メイドもついてこず、領地どころかどの国も管理していない僻地に捨てられる……そんな踏んだり蹴ったりから始まる領地(国家)経営物語。
『ノベマ! 異世界ファンタジー:8位(2025/04/22)』
※別サイトにも掲載しています。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる