ブックメイカー ~ゴミスキルを開花させた少年は、孤児から頂点へと成り上がる~

卯月 みつび

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第二章 冒険者の門出、差別、救済

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 俺はガーフ。鍛冶師だ。

 これでも、それなりに鍛冶に打ち込んできて、街の中ではそれなりだと自分でも思っている。



 だからこそ、納得がいく相手にしか武器は作りたくねぇ。

 俺の作った武器だからって使い手がへなちょことだと命を守っちゃくれねぇ。

 武器の性能に奢って命を落としてきたやつをこれでもかとみてきたんだ。だからこそ、持ち主の力にはそれなりを求めてるってわけだ。



 その中でも一番好きじゃねぇのは、金の力でどうにかしようとする奴だ。

 貴族の坊ちゃんとかなんともいけすかねぇ。態度ばっかりでかくて、中身はすっからかんのやつが多すぎる。



 今日も、やってきた客はべっぴんなメイドを連れた小僧だ。

 なりは汚ねぇし、一見、駆け出し冒険者って感じだが、あの連れをみるとどうせ貴族の輩だろう。

 そう思った俺は、そいつを追い返そうとした。



「あぁ? ここはお前なんかに売る武器も防具もありゃしねぇよ」



 それを聞いて、二人とも目を見開いてやがる。

 これくらいでビビるなら、最初からくるなってんだ。



「どうして売ってくれないんですか?」

「決まってんだろ! お前みてぇにお供を連れて道楽でやってる輩に俺の武器を使ってほしくねぇんだよ!」

「道楽……?」



 ふん。

 どうせ図星を突かれて何も言えねえんだろうが。

 さっさと帰っちまえ、と適当にやってたらお付きの女がとんでもねぇことを言いやがった。



「こんな武器屋、やめましょう。使い手の実力を見抜けないような鍛冶師なんてエンド様にふさわしくありません」

「あんだと? なんて言いやがった、姉ちゃん」

「その目は節穴かって言ってるんです」

「なら、その小僧が実力者だっていいたいのか? あぁ?」

「もし知りたいのなら教えてあげましょうか――」



 俺が使い手の実力を見抜けねぇって言いたいのか?

 節穴だなんて、てめぇの何倍俺が生きてっと思ってんだ!

 カチンと来て放り出そうとしたその時、女は俺に向かってナイフを投げた。

 いや、投げたように感じた、といったほうが正しいのかもしれない。



 なぜって、俺にはその動きはまったく追えなかったからだ。

 唐突にやってくる死という感覚。

 頭では考えられない速度に、感覚だけが死を濃密に悟っていた。



 そんな絶望感に襲われたその瞬間。俺に迫る死は、小僧に撃ち落されて床に転がった。



「レイカ! 何してるんだ!」

「この男が無礼だからです。エンド様の実力を見ようともしないで!」

「だからって人を傷つけるのはだめだ! もし僕が止めなかったら、おじさんは怪我じゃすまなかったよ!」

「エンド様なら止めてくれると思ったんですよ」



 俺は、これでも昔、冒険者まがいのことをやってたことがある。

 腕っぷしには自信があったから、それなりの修羅場もくぐってきた。その俺が目で追えない攻撃を、いとも簡単に撃ち落したんだ。

 なんだ、この小僧は。

 いでたちからは全く覇気は感じられない。

 だが、今のやり取りだけでわかる。

 この女は強い。だが、それ以上に、この小僧のほうがもっと――。



「す、すまなかった。小僧、お前さん、なかなかやるな」



 驕っていたのは俺のほうだった。

 名前が売れてきて、それなりに慣れた俺の驕りは確かに目を曇らせていた。



 こんなすげぇ腕前を持ってる男を追いかえそうとしたんだからな。

 もし武器を作らせてもらえるなら、全てを懸けてやろう。



 そうしないと、目の前の男を見くびった非礼は返せない。

 俺は、小僧……否。目の前の男の要望を聞きながら、最高の武器を作ろうと心に決めた。



 驕っていた、曇っていた俺の目を覚まさせてくれた、大きくなるだろう男のために。

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