17 / 54
第二章 冒険者の門出、差別、救済
七
しおりを挟む
「モグライラズの花ってどんな色なのかな?」
「なんでも、白く美しい花らしいです。ですが、とても小さい花なので目立つことはないとか」
「とにかく穴ぼこだらけの場所があったら近くを探せってこと?」
「それ以外、現状方法はなさそうです」
僕らは今、森に来ていた。
その森の名前は帰らずの森。
その奥に入ると、帰ってこれなくなることからそう言われているらしい。まあ、子供に向かって話す躾用の作り話だとされているが、あながち間違いでもないらしい。
奥に行けば行くほど魔物は増え、強くなっていく。
その理由が、森の中央にある魔素だまりだ。
自然界に存在する魔素という粒子。それが集まると、生物は力を増していくとされている。
人間は、それらを魔力として魔法を使えるらしいけど、今の僕にはできない。
一度は使ってみたいけど、なかなか難しいみたいだ。
僕はそんなことを考えながら、ガーフさんの剣を抜いて横なぎに振りぬく。
「さすがはエンド様。近づいてくることに気づいていたんですね」
「レイカもわかってたでしょ? こいつが来てるの」
僕が剣を振りぬいたその時。僕に襲い掛かってくる魔物がいたのだ。
その存在に気づいていた僕は、向かってくる瞬間を察知して剣を振りぬく。ほとんど抵抗もなく魔物は真っ二つになって地面へと落ちた。
「それにしても、確かに魔物の数が多いね。よっと!」
「そうですね。今までとはやはり依頼の質が違うようです。――邪魔よ」
軽口を叩きながら、僕とレイカは魔物を倒しながら奥へと進んでいった。
この前倒したマッドボアーとそう変わらない強さかな?
僕らの旅路は非常に順調だった。
途中、野営もはさみながら僕らは森の奥を目指す。
二日目の昼間。ようやく、地面にそれらしき後を見つけた。
「レイカ。この穴」
「ええ。あれではないですか?」
「小さい白い花……。うねるような根。たしかに、これだ。モグライラズ」
簡単に見つかったその花を丁寧に箱に入れると、僕らは帰途につく。そして、サンタモスカの街に向かって歩き出した。
そして、二日目の夕暮れ。
僕らは二度目の野営の準備をしていた。
「エンド様。すこし、薪を拾ってきていただけますか?」
「うん。もし見つかるようだったら木の実とかも探してみるよ」
「はい。おねがいします」
僕は孤児院出身だ。
あの時も、薪を拾ったり、食べられるものを近くの小さい森に探しに行ったりしていた。
当然、物を探す目も肥える。
最初はレイカが従者だから何でもやるって聞かなかったんだけど、僕のほうが探すのがうまいのを知ってからは任せてくれるようになった。
すこしは頼れるところがあるってわかってもらいたいからね。
今日も、いくつかの木の実とウサギを見つけた。
昔と違って、小さな獣くらいなら簡単に捕まえることができるようになったのは、ステータスが上がってよかったことの一つかもしれない。
これだけあれば、今日もおいしいご飯が食べられるだろう。
そんな期待を抱いた僕は、ふと、近くの茂みから音が聞こえる。何かが、いる。
「……魔物か?」
すぐに剣を抜いた。
だが、襲い掛かってくる様子はない。
もし魔物だったら、問答無用に襲い掛かってくるはずなのに。
僕は不思議に思って、茂みへと近づいた。
すると、茂みの後ろに人の足が見える。
誰かが倒れてるんだ!
「だ、大丈夫!?」
茂みをかき分けて慌てて駆け寄ると、そこには小柄な人が倒れていた。
うつぶせになっていたので、声をかけると同時に仰向けにさせてみた。
顔を見ると、僕よりもすこし下くらいだろうか。可愛らしい顔つきをした少女だ。
全身を見ると傷だらけだ。
まだ傷は新しいのだろう。フード付きの外套の所々に血がにじんでいる。
息は荒く、気を失っているみたいだ。
「ちょっと! 大丈夫? ねぇ、君!」
「う、うぅん」
体を軽くゆすると声を出しながらそっと目を開ける。
くりっとしたアーモンド形の瞳と目がった。その刹那――。
「があぁぁっ!!」
少女は突然起き上がり、僕に襲い掛かってきた。
が、僕もそれなりに冒険者として依頼を重ねてきた。不足の事態に対応できるくらいの気構えはある。
咄嗟によけつつ、剣の切っ先を彼女に向けた。
「敵意はない! 落ち着いてくれ!」
「信用できるものか! ルルルはただじゃ殺されない!!」
そう叫ぶものの、ルルルと名乗った少女はふらつき、すぐに崩れ落ちてしまう。
息は荒く、あせも凄い。
そして、倒れた拍子にフードが外れた。すると、少女の頭部についているあるものに目がいく。
「獣の……狐の耳?」
普段街でみることが少ない獣人族の証。
僕は一瞬それにくぎ付けになったが、すぐさま本来の目的を思い出す。
「レイカに見せないと。あ、でも、薪とウサギと全部一緒に持てない! どうしよう!」
そんなしょうもないことを考えながら、僕はレイカの元に急いだ。
「なんでも、白く美しい花らしいです。ですが、とても小さい花なので目立つことはないとか」
「とにかく穴ぼこだらけの場所があったら近くを探せってこと?」
「それ以外、現状方法はなさそうです」
僕らは今、森に来ていた。
その森の名前は帰らずの森。
その奥に入ると、帰ってこれなくなることからそう言われているらしい。まあ、子供に向かって話す躾用の作り話だとされているが、あながち間違いでもないらしい。
奥に行けば行くほど魔物は増え、強くなっていく。
その理由が、森の中央にある魔素だまりだ。
自然界に存在する魔素という粒子。それが集まると、生物は力を増していくとされている。
人間は、それらを魔力として魔法を使えるらしいけど、今の僕にはできない。
一度は使ってみたいけど、なかなか難しいみたいだ。
僕はそんなことを考えながら、ガーフさんの剣を抜いて横なぎに振りぬく。
「さすがはエンド様。近づいてくることに気づいていたんですね」
「レイカもわかってたでしょ? こいつが来てるの」
僕が剣を振りぬいたその時。僕に襲い掛かってくる魔物がいたのだ。
その存在に気づいていた僕は、向かってくる瞬間を察知して剣を振りぬく。ほとんど抵抗もなく魔物は真っ二つになって地面へと落ちた。
「それにしても、確かに魔物の数が多いね。よっと!」
「そうですね。今までとはやはり依頼の質が違うようです。――邪魔よ」
軽口を叩きながら、僕とレイカは魔物を倒しながら奥へと進んでいった。
この前倒したマッドボアーとそう変わらない強さかな?
僕らの旅路は非常に順調だった。
途中、野営もはさみながら僕らは森の奥を目指す。
二日目の昼間。ようやく、地面にそれらしき後を見つけた。
「レイカ。この穴」
「ええ。あれではないですか?」
「小さい白い花……。うねるような根。たしかに、これだ。モグライラズ」
簡単に見つかったその花を丁寧に箱に入れると、僕らは帰途につく。そして、サンタモスカの街に向かって歩き出した。
そして、二日目の夕暮れ。
僕らは二度目の野営の準備をしていた。
「エンド様。すこし、薪を拾ってきていただけますか?」
「うん。もし見つかるようだったら木の実とかも探してみるよ」
「はい。おねがいします」
僕は孤児院出身だ。
あの時も、薪を拾ったり、食べられるものを近くの小さい森に探しに行ったりしていた。
当然、物を探す目も肥える。
最初はレイカが従者だから何でもやるって聞かなかったんだけど、僕のほうが探すのがうまいのを知ってからは任せてくれるようになった。
すこしは頼れるところがあるってわかってもらいたいからね。
今日も、いくつかの木の実とウサギを見つけた。
昔と違って、小さな獣くらいなら簡単に捕まえることができるようになったのは、ステータスが上がってよかったことの一つかもしれない。
これだけあれば、今日もおいしいご飯が食べられるだろう。
そんな期待を抱いた僕は、ふと、近くの茂みから音が聞こえる。何かが、いる。
「……魔物か?」
すぐに剣を抜いた。
だが、襲い掛かってくる様子はない。
もし魔物だったら、問答無用に襲い掛かってくるはずなのに。
僕は不思議に思って、茂みへと近づいた。
すると、茂みの後ろに人の足が見える。
誰かが倒れてるんだ!
「だ、大丈夫!?」
茂みをかき分けて慌てて駆け寄ると、そこには小柄な人が倒れていた。
うつぶせになっていたので、声をかけると同時に仰向けにさせてみた。
顔を見ると、僕よりもすこし下くらいだろうか。可愛らしい顔つきをした少女だ。
全身を見ると傷だらけだ。
まだ傷は新しいのだろう。フード付きの外套の所々に血がにじんでいる。
息は荒く、気を失っているみたいだ。
「ちょっと! 大丈夫? ねぇ、君!」
「う、うぅん」
体を軽くゆすると声を出しながらそっと目を開ける。
くりっとしたアーモンド形の瞳と目がった。その刹那――。
「があぁぁっ!!」
少女は突然起き上がり、僕に襲い掛かってきた。
が、僕もそれなりに冒険者として依頼を重ねてきた。不足の事態に対応できるくらいの気構えはある。
咄嗟によけつつ、剣の切っ先を彼女に向けた。
「敵意はない! 落ち着いてくれ!」
「信用できるものか! ルルルはただじゃ殺されない!!」
そう叫ぶものの、ルルルと名乗った少女はふらつき、すぐに崩れ落ちてしまう。
息は荒く、あせも凄い。
そして、倒れた拍子にフードが外れた。すると、少女の頭部についているあるものに目がいく。
「獣の……狐の耳?」
普段街でみることが少ない獣人族の証。
僕は一瞬それにくぎ付けになったが、すぐさま本来の目的を思い出す。
「レイカに見せないと。あ、でも、薪とウサギと全部一緒に持てない! どうしよう!」
そんなしょうもないことを考えながら、僕はレイカの元に急いだ。
0
あなたにおすすめの小説
捨てられた貴族六男、ハズレギフト『家電量販店』で僻地を悠々開拓する。~魔改造し放題の家電を使って、廃れた土地で建国目指します~
荒井竜馬@書籍発売中
ファンタジー
ある日、主人公は前世の記憶を思いだし、自分が転生者であることに気がつく。転生先は、悪役貴族と名高いアストロメア家の六男だった。しかし、メビウスは前世でアニメやラノベに触れていたので、悪役転生した場合の身の振り方を知っていた。『悪役転生ものということは、死ぬ気で努力すれば最強になれるパターンだ!』そう考えて死ぬ気で努力をするが、チート級の力を身につけることができなかった。
それどころか、授かったギフトが『家電量販店』という理解されないギフトだったせいで、一族から追放されてしまい『死地』と呼ばれる場所に捨てられてしまう。
「……普通、十歳の子供をこんな場所に捨てるか?」
『死地』と呼ばれる何もない場所で、メビウスは『家電量販店』のスキルを使って生き延びることを決意する。
しかし、そこでメビウスは自分のギフトが『死地』で生きていくのに適していたことに気がつく。
家電を自在に魔改造して『家電量販店』で過ごしていくうちに、メビウスは周りから天才発明家として扱われ、やがて小国の長として建国を目指すことになるのだった。
メビウスは知るはずがなかった。いずれ、自分が『機械仕掛けの大魔導士』と呼ばれ存在になるなんて。
努力しても最強になれず、追放先に師範も元冒険者メイドもついてこず、領地どころかどの国も管理していない僻地に捨てられる……そんな踏んだり蹴ったりから始まる領地(国家)経営物語。
『ノベマ! 異世界ファンタジー:8位(2025/04/22)』
※別サイトにも掲載しています。
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
木を叩いただけでレベルアップ⁉︎生まれついての豪運さんの豪快無敵な冒険譚!
神崎あら
ファンタジー
運動も勉強も特に秀でていないがめっちゃ運が良い、ただそれだけのオルクスは15歳になり冒険者としてクエストに挑む。
そこで彼は予想だにしない出来事に遭遇する。
これは初期ステータスを運だけに全振りしたオルクスの豪運冒険譚である。
追放されたS級清掃員、配信切り忘れで伝説になる 「ただのゴミ掃除」と言って神話級ドラゴンを消し飛ばしていたら世界中がパニックになってますが?
あとりえむ
ファンタジー
【5話ごとのサクッと読める構成です!】
世界を救ったのは、聖剣ではなく「洗剤」でした。
「君のやり方は古いんだよ」 不当な理由でS級クランを追放された、ベテラン清掃員・灰坂ソウジ(38歳)。 職を失った彼だったが、実は彼にはとんでもない秘密があった。 呪いのゴーグルのせいで、あらゆる怪物が「汚れ」にしか見えないのだ。
・神話級ドラゴン
⇒ 換気扇の頑固な油汚れ(洗剤で瞬殺)
・深淵の邪神
⇒ トイレの配管詰まり(スッポンで解決)
・次元の裂け目
⇒ 天井の雨漏りシミ(洗濯機で丸洗い)
「あー、ここ汚れてるな。チャチャッと落としておくか」
本人はただ業務として掃除をしているだけなのに、その姿は世界中で配信され、人類最強の英雄として崇められていく! 可愛い元ダンジョン・コアや、潔癖症の聖女も入社し、会社は今日も大忙し。 一方、彼を追放した元クランは、汚れ(モンスター)に埋もれて破滅寸前で……?
「地球が汚れてる? じゃあ、一回丸洗いしますか」 最強の清掃員が、モップ片手に世界をピカピカにする、痛快・勘違い無双ファンタジー!
【免責事項】
この物語はフィクションです。実在の人物・団体とは関係ありません。
※こちらの作品は、カクヨムと小説家になろうでも公開しています。
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
過労死コンサル、貧乏貴族に転生す~現代農業知識と魔法で荒地を開拓していたら、いつの間にか世界を救う食糧大国になっていました~
黒崎隼人
ファンタジー
農業コンサルタントとして過労死した杉本健一は、異世界の貧乏貴族ローレンツ家の当主として目覚めた。
待っていたのは、荒れた土地、飢える領民、そして莫大な借金!
チートスキルも戦闘能力もない彼に残された武器は、前世で培った「農業知識」だけだった。
「貴族が土を耕すだと?」と笑われても構わない!
輪作、堆肥、品種改良! 現代知識と異世界の魔法を組み合わせた独自農法で、俺は自らクワを握る「耕作貴族」となる!
元Sランク冒険者のクールなメイドや、義理堅い元騎士を仲間に迎え、荒れ果てた領地を最強の農業大国へと変えていく、異色の領地経営ファンタジー!
出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜
シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。
起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。
その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。
絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。
役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる