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第二章 冒険者の門出、差別、救済
八
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「それが、この子なんですね」
「うん。僕ははじめてみるんだけど……この子って、前に聞いた……」
「ええ。獣人です」
そういって、レイカは眉を顰める。
それは、僕の助けた彼女が獣人だったからに他ならない。
獣人。
それは、差別の象徴。
人が、人としての尊厳を守るために虐げられた種族、らしい。
全部レイカの受け売りだけど、街でも人としては扱われない。奴隷としてなら街にいることができる、そんな存在だ。
僕らが知っている獣人の生き方。
それは奴隷として死ぬまで働かせられること。
だが、人目を避けることができている彼らは森やへき地で集落を作って生きていることが多いという。
もしかしたら彼女はその一人かもしれない。
「こんなところでどうしたんだろう。外で遭遇するなんて、珍しいことなんだよね?」
「はい。そうですね。普通は獣人は人を避けるもの。人の気配がしたらすぐに遠ざかってしまうと言われています」
「なら、この子は何のために……」
僕とレイカは、とりあえず彼女を安全な場所に寝かせることにした。
そして、僕ら自身の世話もしなきゃならない。
とりあえず、野営や食事の準備を進めていく。
レイカは食事の準備をしてくれており、僕は剣の手入れをしながらぼんやりとそれを眺めていた。
ようやく食事が出来上がろうとしたその時、少女がむくりと起き上がった。
まんまるの目で周囲を窺っているが、僕と目があった瞬間に鋭く睨みつける。
「お前達!! ルルルをどうするつもりだ!」
「僕らに敵意はないよ。とりあえず――」
「うるさい! ただじゃ死んでやるもんか! 絶対にお前らを――」
どうにも話が通じない。
僕は、しょうがないとばかりに切っ先を少女にむけ、魔物と戦う時と同じように、心を冷たく、鋭く、敵意で満たしてみた。
すると、少女も何かを感じたのだろう。
びくりと体を震わせて固まってしまう。
うん。
それでいい。
「ちゃんと聞いてね。僕らに敵意はない。君をどうこうするつもりなら、気を失っている間にやると思う。そこが理解出来たら一緒にご飯を食べよう。レイカのご飯は絶品だよ?」
そういって僕は気を抜いて剣をしまった。
振り返るとレイカは目を見開いており茫然としている。えっと、何かあったかな?
「えっと……いいよね? この子もご飯食べさせてあげて」
「いいですが……」
「ならご飯にしようか。僕、お腹減っちゃったよ」
そう言ってほほ笑むと、ようやくレイカもいつも通り笑ってくれた。
僕は、レイカが作ってくれたスープとパンを少女のために取り分ける。そして、僕らから離れたところに置いておいた。
もちろん、僕らも同じものを食べている。
しばらくすると、よっぽどお腹が減っていたのだろう。がつがつと少女がスープを食べ始めた。
僕とレイカはあえて何も言わずにいつも通りに過ごしていた。
すると、ようやく食べ終わったのだろう。
彼女が、食器をその場に置き立ち上がると、小さな声をこぼす。
「……ありがと」
「うん。僕ははじめてみるんだけど……この子って、前に聞いた……」
「ええ。獣人です」
そういって、レイカは眉を顰める。
それは、僕の助けた彼女が獣人だったからに他ならない。
獣人。
それは、差別の象徴。
人が、人としての尊厳を守るために虐げられた種族、らしい。
全部レイカの受け売りだけど、街でも人としては扱われない。奴隷としてなら街にいることができる、そんな存在だ。
僕らが知っている獣人の生き方。
それは奴隷として死ぬまで働かせられること。
だが、人目を避けることができている彼らは森やへき地で集落を作って生きていることが多いという。
もしかしたら彼女はその一人かもしれない。
「こんなところでどうしたんだろう。外で遭遇するなんて、珍しいことなんだよね?」
「はい。そうですね。普通は獣人は人を避けるもの。人の気配がしたらすぐに遠ざかってしまうと言われています」
「なら、この子は何のために……」
僕とレイカは、とりあえず彼女を安全な場所に寝かせることにした。
そして、僕ら自身の世話もしなきゃならない。
とりあえず、野営や食事の準備を進めていく。
レイカは食事の準備をしてくれており、僕は剣の手入れをしながらぼんやりとそれを眺めていた。
ようやく食事が出来上がろうとしたその時、少女がむくりと起き上がった。
まんまるの目で周囲を窺っているが、僕と目があった瞬間に鋭く睨みつける。
「お前達!! ルルルをどうするつもりだ!」
「僕らに敵意はないよ。とりあえず――」
「うるさい! ただじゃ死んでやるもんか! 絶対にお前らを――」
どうにも話が通じない。
僕は、しょうがないとばかりに切っ先を少女にむけ、魔物と戦う時と同じように、心を冷たく、鋭く、敵意で満たしてみた。
すると、少女も何かを感じたのだろう。
びくりと体を震わせて固まってしまう。
うん。
それでいい。
「ちゃんと聞いてね。僕らに敵意はない。君をどうこうするつもりなら、気を失っている間にやると思う。そこが理解出来たら一緒にご飯を食べよう。レイカのご飯は絶品だよ?」
そういって僕は気を抜いて剣をしまった。
振り返るとレイカは目を見開いており茫然としている。えっと、何かあったかな?
「えっと……いいよね? この子もご飯食べさせてあげて」
「いいですが……」
「ならご飯にしようか。僕、お腹減っちゃったよ」
そう言ってほほ笑むと、ようやくレイカもいつも通り笑ってくれた。
僕は、レイカが作ってくれたスープとパンを少女のために取り分ける。そして、僕らから離れたところに置いておいた。
もちろん、僕らも同じものを食べている。
しばらくすると、よっぽどお腹が減っていたのだろう。がつがつと少女がスープを食べ始めた。
僕とレイカはあえて何も言わずにいつも通りに過ごしていた。
すると、ようやく食べ終わったのだろう。
彼女が、食器をその場に置き立ち上がると、小さな声をこぼす。
「……ありがと」
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