ブックメイカー ~ゴミスキルを開花させた少年は、孤児から頂点へと成り上がる~

卯月 みつび

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第二章 冒険者の門出、差別、救済

十二

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 僕らは大急ぎでルルルの村に向かった。

 道中、オークに出会うこともあったけど、問題なく討伐できた。一応ランクはCみたいだ。



 レイカもルルルも、自分の身を守る分には問題ない。

 あっという間に僕らはルルルの村にたどり着いた。



「ここがルルルの村なの?」

「うん……そうだよ。本当は、もっと綺麗だったんだ……」

「そうか」

「うん」



 ルルルの村。

 明らかに何らかの被害を受けている。

 村の入り口や柵はボロボロだ。

 崩れている家屋もある。

 村からは人の気配すら感じない。息をひそめているのだろう。

 村をぼんやり眺めていると、ルルルは静かに歩いていく。



「こっち」



 僕とレイカは視線を合わせ頷いた。

 彼女の後についていくと、そこには村のなかでも大きな建物があった。

 ルルルはその建物の扉に近づくと、力強く叩いた。



「ルルルだよ! 開けてくれる?」

「ルルル……ルルルだと!? お前、いったいどこに行ってたんじゃ――」



 中が急に慌ただしくなり、勢いよく扉が開かれた。

 そこから出てきたのは獣人族の老人だ。

 老人は、僕と目が合うや否や、鋭い視線を僕にとばす。



「ルルル……おぬし、どういうつもりじゃ」

「この人はね、エンドっていうの! ルルルを助けてくれたんだ!」

「人間が獣人を助けた、だと? どういうことじゃ?」



 僕らを庇うようにルルルが間に入ると、老人の表情は複雑なものになる。

 訝しむように僕らを見ては、首を傾げている。



「とにかく入れて。ルルルはみんなを助けに行くんだ」

「何を言っとる! オークキングじゃぞ! わしらには到底かなうわけなかろう!」

「でも! 助けに行かないと!」

「諦めろ! わしらはこのままこの場に朽ちていくしかないんじゃ!」

「でも、お母さんが――!!」



 言い争っている二人に気づいたのか、建物からは何人かの獣人が顔をだす。

 僕らを見つけると、最初の老人と同じように僕らにむけて憎しみをぶつけてきた。



「一体、なぜ人間がここに!」

「オークに続き人間じゃと!? 神は儂らを憎んでいらっしゃるのか!」



 段々と騒ぎになってくる。

 だけど、こうしている間にも、時間は過ぎていくのだ。

 僕は、ルルルの後ろに近づいてそっと肩に手を置いた。



「突然やってきてすみません!! 僕らはルルルに頼まれてやってきました! 攫われた人たちがどこにいるか知っている人はいませんか! 今こうしている間にも、攫われた人の命が失われているかもしれないんです! 話を、聞いてください!」



 僕の声に、皆は聞き入ったようだ。

 だが、疑いの目は拭えない。



 すると、奥のほうからとしをとった獣人がおもむろに歩いてくる。

 腰は曲がり、相当高齢なのがわかる。



「ルルルを助けてくれた人間とはおぬしじゃな? 儂はこの村の長じゃ。ここで話しても騒ぎになるばかり。中で話をしよう」

「僕はエンド。こっちは従者のレイカ。ルルルから頼まれてやってきた。時間がない。急ぎましょう」



 僕と村長さんは互いに頷く。

 村長さんは踵を返し中に入り、僕はその後を追っていく。

 両脇からは、刺すような視線がこれでもかと降り注いでくる。

 僕もレイカもその視線を全身に受けながら、建物の中へと入っていった。







「すまんな。皆、気持ちがささくれだっておる。儂も、平常心では到底いられん。余裕もないからもてなしもできん。すまんな」

「いえ。そのあたりはお構いなく」

「して……何しにやってきたのだ? 事と次第によっては、いくらルルルの恩人と言えどことを構える気はあるぞ」



 座るや否や、重い言葉を発してきた長老さん。

 まあ、それも当然か。

 人数は少ないとはいえ、自分の村の住人を守りたいと思うのは当然だ。

 僕も、きっとレイカや本の世界が危機にさらされた同じように思うのだろう。



「さっきも言いましたが、僕らはルルルに頼まれてきたんです。さらわれた人たちを助けるために」



 僕は村長さんと目を合わせていた。

 彼も、僕も、その視線にこれでもかと想いをこめる。

 そらしちゃいけないと思った。

 すると、それが伝わったのだろう。

 村長さんの表情が急に緩む。



「おぬし、本当に助けに来てくれたのか?」

「さっきから言ってるじゃないですか。もちろん、力不足だと思ったときは、申し訳ないですが自分の身を優先させますけどね」

「それはいい。じゃが……まさか人間が儂らを助けてくれるとは」



 村長さんはそういうと、視線を正して座りなおした。

 そして、こちらに頭を下げる。



「どうか、うちの村の者たちを助けてやってほしい……。あいつらは、目の前で儂らの家族を……村人達を! 殺し! 嬲り! 弄び! そして攫って行ったのじゃ! わしは、何もできんかった! 何も! ……一人でもいいから、仲間を……頼む、頼むぅ……」



 そういって、言葉を詰まらせる村長さん。

 大丈夫。

 そのために僕はきたんだ。

 僕は、かつての僕のようなルルル達を見捨てることはできない。



 僕がレイカに救われたように、僕も救うよ。



「ではさっそくですけど……オークの住処に心当たりはありませんか?」
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