この男、地獄の猟犬なんかじゃありません。

薄穂

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第1章 魔王の再臨/プロローグ

第2話 最北の賢守人

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 食堂のテーブルの奥側から時計回りにアレファンデル、リヨンド、ラルフ、…そして一周してアレファンデルの前に俺が座る事になった。
 アリスがリヨンドとラルフ、アレファンデルには紅茶、俺にミルククリームを出してくれた。
 リヨンドが紅茶の香りを嗅ぎながら落ち着いた声で話し始める。
「まずは紹介からだね。彼はアレファンデル。私達人間からは『最北の賢守人もりびと』とも呼ばれる竜人族の白飛竜ホワイト・ドラゴン第6皇子。」
 先程白飛竜のようだと思ったが、竜人族だったのか。
「正確にはもう皇子じゃねェ。元、だ。」
「あぁ、失礼。確かにそうだね。モロクは知ってるかもしれないけど、竜人族は回復・修復の魔法が得意でね。私の壊れてしまった時計も彼が一瞬で直してくれたんだ。それじゃあ、モロクが混乱するといけないから私がここを出てからの話をしようか。」
「過保護かよ…魔王の父親にでもなったつもりか?」
 アレファンデルはどかりと机に頬杖をしてため息を吐いた。
「ふふ、モロクのお父さんか。それはいいね。魔王とはいえ、モロクは今純真無垢で子育てをしている気分ではあるよ。…っと、本題から逸れちゃったね。さあ、ここからが本題。モロクが生まれた彼の地に私をとして送り出した聖都グラッツウェルの協議会で開かれた世界会議に呼ばれたのが私がモロクをラルフに預けて一旦ここを出た理由。それはモロクも分かってるよね。モロクについて『魔王モロクは産まれる寸前で消滅した』と…まあ、その報告自体嘘なんだけど。でも、その会議がなかなかにいい加減で…いい加減な癖に証拠を寄越せとかもっと細かく話せとか色々あってね…ちょっとした愚痴を酒場で呟いていたら私の愚痴にアレファンデルが反応して急に私の胸ぐらを掴んで『魔王モロクは絶対生まれてる。嘘を言うな。俺はわかってるぞ。』って話しかけてきたんだ。で、なんでそんな事言うのかなぁ?と思って何故その確信があるのか聞いてみたんだ。そしたら……」
 リヨンドがアレファンデルをチラリと見るとアレファンデルは少しばつが悪そうに紅茶を一口含んでから小さな声で呟いた。
「ここからは俺が話す。なんか気まずいからな。…まずお前が生まれた事が分かった理由は匂いだ。竜の嗅覚は世界中どこにいようが存在するか否かは容易に嗅ぎ取れる。ただ…俺の鼻は生まれつき少し弱くてな。どこにいるかまでは嗅ぎとれなくて見付けるのに時間がかかっちまった。たまたま入った酒場でリヨンドに会えたのはラッキーだったが。」
 アレファンデルは不意に傍に置いていた杖を持ち、机を軽くノックした。
 するとふわりと机から煙…いや、光のようなものが立ち昇り、その中にどこかの景色が浮かび上がる。
「ここは俺が他の奴からは見えないように長いこと魔法で目隠ししてる場所だ。モロク、何か感じるか?」
 綺麗な和泉、洞窟と一体になっている木造の小屋、管理された畑…
 緑豊かなその景色を見ていると何故だろう、胸がざわざわして落ち着かないような。
「…何かいけない事をしてしまった時のような感覚がする。あと、何かしなければならない事あるような……ざわざわする。」
 俺がそう言うと、アレファンデルは複雑な顔で映し出されている景色を見た。
「…そうか…、そうだな。それは間違った感覚じゃねェと思う。………ここは300年前に前回のお前が死んだ場所だ。俺はどうしてもここにお前を連れて行かなきゃならねェ。」
 魔王は死んでも何度でも生まれ変わる。
 だからこそ言葉や歴史、知識は生まれながらに持っているのだが、記憶というのは厄介で過去の俺が何をしていたのか、どういう奴だったのかは全く覚えていない。
 だから俺は知っているし、を知らないのだ。
 映し出されている景色をじっと見てみてもこの場所で何があったのかは思い出せない…。
「前回俺は何故死んだんだ?」
「………それは、いずれ分かる。俺からは言いたくねェ。」
「何故俺を探していた?俺に何をさせたい?」
 アレファンデルはチッと舌打ちをして溜息を吐いた。
 イライラしているような、なにかウズウズしているような…
糞餓鬼ガキんちょは質問が多いな。探していたのは前回のお前と約束したからだ。約束の内容も今は言わねェ。いずれ分る!」
 アレファンデルは映し出していた景色を杖で掻き消すような仕草をすると立ち上っていた光が消え、その景色も消えてしまった。
「兎に角、俺はお前を連れて帰るのが目的で、リヨンドにそう話したら連れ帰るのを許すかは別としてまずは会わせるってここに連れてこられた。」
「長引く聖都滞在に苛立って会議に乱入した上に自分の立場を利用して議会を無理やり納得させてから、ね。」
 リンが面白そうにふふふと笑う。
「うるせェ、余計な事は言わなくていい。」
 アレファンデルがうんざりした顔で掌をひらひらさせ、そしてこちらをじっと見た。
「見た目も声も多少幼く変わっちまってるけど、確かに前のモロクあいつの匂いだから間違いなくお前が魔王モロクなんだろう。お前は記憶もねェし……今はここに住まわせて貰ってると聞いてるが…?」
「あぁ、今はここで人間として暮らしてる。」
「……魔王が人間として?あのモロクが?……あぁ、いや、…やっぱりお前はもう俺の知ってるモロクじゃねェんだな……なるほど、リヨンド人間に拾われて感化されたのか?」
「感化されたのかは分からない。俺には前回の記憶はないから約束も知らないしアレファンデルの話が本当か嘘かも分からない。俺にはやりたい事があるし突然連れ帰ると言われても困る。」
「…っ、…」
 俺の言葉にアレファンデルは焦ったような、怒気を孕んだような顔をして歯を食いしばった。
「やりたい事、だァ…?」
「この王都エンデワールは俺が破壊する前はとても綺麗だったと聞いた。他の土地ももっと沢山綺麗な場所が沢山あったと思う。俺は俺の壊した世界の元の姿を見たい。」
「はあぁ?破壊の王たる魔王モロクが何言ってんだ…?」
 アレファンデルは訳がわからないと言う顔でリヨンドやラルフを見た。
「それにさっきお前も俺の修復魔法を玄関で見ただろ。壊した物を直すなら俺がいくらでも…」
「それは違うと思う。人間が努力して協力し合って作り上げたり直したり、そういうのも含めて国や街が美しいと感じるんだと思う。そんなこと壊した俺が言うのは違うだろうし困っている人達はいるだろうが……」
「横から口を挟んでごめんね。アレファンデル、大事な部分が抜けてるんじゃないかな?君とモロクの関係についてや一緒に帰ってどうするつもりなのかとか。」
 リヨンドが諭すようにそう言うとアレファンデルは人間には聞き取れない程の小さな声で『人間の癖に』と呟いて今日何度目かの溜息を吐いた。
「俺は、…俺と前回のお前はつがいだった。」
「…夫婦だった、ということか?」
「………あぁ。」
 アレファンデルは息を吐き出すように小さな声で頷いた。
「俺はお前と番になる為に竜人族の里を出た。その時から皇族の身分は剥奪されてる。」
 リヨンドとラルフは驚いた顔で目をパチパチさせながら俺とアレファンデルを交互に見ている。
「すまない、…俺には前回の記憶がない。」
「…一度死んで生まれ変わってんだ、お前は前のモロクとは別人だし前回の記憶がなくなるのはモロクから聞かされてたから謝る必要はねェ。ただ、…実際、体験すると複雑な気持ちにはなるけどな。」
 最後は極小さな声でそう呟き、紅茶を一口飲んだ。
「帰ったら前のお前に頼まれていた色んな事を伝えたり、渡したい物が沢山ある。」
「事情はわかった。前の俺のことは少し気になるが、突然番だと言われてもピンとこないし俺は今やっている事をやり遂げたいから今直ぐには行けない。渡したいものというのはここに送れないのか?」
「…出来なくはねェが出来ればあそこから持ち出したくない物が多い。」
「そうか。では時が来たら俺がお前に会いに行く。」
「……はぁあ……それじゃ遅せェんだよ。ったく、お前の頑固さは死んでも変わんねェんだな……とりあえずすぐに一緒に帰るのは難しいって事はよく分かった。…獣の医者、名前はなんだったか…」
「ラルフ・フリュードだよ。」
 ラルフが身を乗り出してアレファンデルに握手を求めると、アレファンデルはフン、と鼻で笑ってその手に軽く触れた。
「お前も悪い奴じゃなさそうだな……リヨンドからリヨンドとモロクはお前のこの屋敷で世話になってると聞いてる。突然で悪いが今日から俺もここに住ませて貰えねェか?ある程度モロクに必要最低限のことを色々と理解してもらうまででいい。魔王は魔王で知らねェとまずい事が沢山あるらしい。共に暮らすなら最低限のご法度ルールは知っておく方が良いと思う。迷惑だろうが……よろしく頼む。」
 アレファンデルはそう言って深々と頭を下げた。
 これまでの口の悪さや態度から、まさかこんな行動をするとは思えず、俺もリヨンドもラルフも一瞬きょとんとしてしまう。
 そしてラルフはすぐに楽しそうに笑った。
「あはは、幸い屋敷は沢山部屋が余ってるからね!歓迎するよ、アレファンデル君!アリス、部屋を一つ早速用意してくれるかな?モロクの隣の部屋がいいんじゃないかな。」
 ラルフは給仕で控えていたアリスに声をかける。
「畏まりました。」
「アレファンデル君、彼女はこの屋敷のたった1人のメイドだよ。給仕から掃除洗濯全て1人でやってくれてる。困った事があったら彼女に声を掛けるといい。」
「急で悪ィが、これから暫くの間よろしく頼む。」
「私にできる事であれば何なりと仰ってください。それでは早速失礼してお部屋の用意をして参ります。」
 そう言ってもう一度頭を下げると部屋を出ていった。
「リヨンド、ラルフ…俺の我儘ですまない。」
 俺のせいで巻き込んでしまった2人に謝るとラルフもリヨンドもいやいやと笑った。
「折角少しずつ人間らしくなってきたし、私としてもすぐの別れにならなくて良かったかな。急にいなくなってしまうと寂しくなるからね。」
 リヨンドはホッとしたように笑って隣で大人しくしていたカファレルを撫でた。
 ふとアレファンデルを見ると俺を睨んでいるような、憐れんでいるような、戸惑っているような…そんな目で俺を見て、溜息を吐いた。
 そんなアレファンデルを改めて観察してみる。
 アレファンデルはとても白い。
 髪も、着ている服も、肌も…唇さえ色素が薄い。
 そして顔は美しく、口は悪いが礼儀正しい所もあるらしい。
 前の俺はどうやってアレファンデルと出会い、どうして夫婦になろうと思ったのだろうか?
 確かに美しい容姿をしてはいるがそれが原因だろうか?
 聞いたら色んな経緯を教えてくれるだろうか?
「そうだ、俺から全部口頭で説明するのは骨が折れそうだからせめて前のお前の手記だけ先に渡しておく。」
 アレファンデルでそう言うと立ち上がって杖で空中に円を描き、美しい響きの竜人語で呪文を唱えた。
「『ハシバミの葉 愛風まなかぜ 鷦鷯ミソサザイの唄に乗せ 巡れ巡れ』……」
 フッとアレファンデルの手に分厚い本が現れる。
「これは俺にも開けなかったから中身は知らねェ。自分にしか開けないとモロクは言ってた…中には何やら沢山書き込んでいたようだけどな。お前に渡すように頼まれてたもののうちの一つだ。」
 アレファンデルは本の表紙を親指で撫でてからこちらに差し出した。
「……ありがとう。」
 アレファンデルからそれを受取ると手記は見た目以上にずしりと重かった。
「……黒顔羊の革サイフォークの表紙…」
 何気なく呟いた言葉にアレファンデルの眉がピクリと動いた。
 リヨンドは興味深そうに俺の持っている本の表紙をしげしげと見つめている。
「竜人族の魔法を初めて見たよ。こんな事ができるんだね。それにモロク、本を持っただけで素材が分かるのかい?」
「この革の本は……」
 俺が頷いて口を開こうとすると、アレファンデルが焦ったような顔で俺の口に指を当てた。
「あまり魔王のアイテムについて迂闊に言うんじゃねェ。お前には誰かに言っていい事と秘密にしなければならない事があるという事から教えなきゃなんねェようだな……リヨンド、ラルフ、呪われたくなきゃ迂闊に質問しねェ方がいい。前のこいつの持ち物は魔王らしくそういうものばかりだからな。言葉を聞いただけで呪われる物なんて物はごまんとある。」
 アレファンデルは俺から指を離して左腕の袖を肩まで捲り上げた。
 そこには黒く鋭い棘が沢山生えている荊ががっちりと巻き付いてきつく肌に食い込んでいる。
「えぇぇ…痛そうだけど大丈夫…?まさか四六時中その状態なの…?」
 ラルフは医者の顔で心配そうにその腕を見ている。
「あぁ。この呪いの解き方はねェようだ。300年間調べてもわからなかった。人間よりずっと色んな物からの恩恵を受けて守られている竜人でさえこうやって呪いを受け、人間の肌よりずっと硬いこの肌にだってきつく食い込み痛みを与える程の呪いだ。人間だったら体ごとバラバラに千切れてるだろう。…これは俺がうっかり禁忌を犯した罪だ。いくら魔王を人間のように育てて共に暮らそうなんて好き物でも、こうなりたくなければこいつの持ち物に深入りはしねェことだな。」
 アレファンデルは袖を戻すと「こんな事も知らねェとは本当にまるで子育ての気分だ」と俺に視線を投げて不機嫌にぼやいた。



 アレファンデルの部屋が用意できたとアリスが食堂に戻ってきた事であの場は解散となった。
 俺は自室に戻り、早速前の俺が書いたという手記を読んでみることにした。
 アレファンデルは開けなかったというが…俺にはあっさり表紙を開く事ができた。
 そしてページを開く前に中表紙の走り書きに目が止まった。
『次の俺へ
 この手記を受け取ったならまずはアレファンデルに感謝する事だ。
 この手記に関しての注意事項を先に幾つか書いておく。
 1.これは俺の手記でお前の記憶ではない事を忘れるな
 2.俺が残そうとした物を理解しておけ
 3.アレファンデルは俺の伴侶だがお前の伴侶ではない
 4.魔法陣を記したページでは必ずその魔法陣を使え
 5.この手記は魔王モロク本人にしか開けないし読めないようにはなっているが取り扱いには十分注意しろ
 最後に、
 ようこそ、後悔と苦痛しかない世界へ。』
 これだけしか読んでいない筈なのに、口煩く硬く厳しい奴が書いたかのようなイメージを受けた。
 前の俺はそんな感じだったのだろうか。
 角張って癖のある文字を指でなぞるとすぐ下に新たな文字が現れた。
 『今すぐにアレファンデルに感謝を伝え、魔法陣を使え。』の一文と魔法陣が一つ。
 知識はある筈だが、この魔法陣が何の魔法陣か判断できず、まずは指示に従いアレファンデルに感謝を伝えるべく手記を持ったまま自分の部屋を出て隣の部屋の扉をノックした。
「開いてる。」
 中から少し疲れたようなアレファンデルの声がする。
 ドアを開け、中に入るとどうやら横になっていたらしいアレファンデルがゆっくり体を起こした。
「なんだ。」
「アレファンデル、手記これを渡してくれて感謝している。」
 アレファンデルは俺の言葉に目を丸くして言葉を詰まらせた。
「っ、…何だ、いきなり…」
「この手記の中表紙にアレファンデルに感謝を伝えてこの魔法陣を使えと書かれてた。」
 手記を開いて初めのページに手をかざすと俺の魔力に反応して魔法陣が光った。
「お、おい、それは何の魔法陣……」
『アレファンデル、…アル、聞こえるか?』
 俺より幾分低い、俺に似た声が魔法陣から聞こえた。
 途端にアレファンデルが血相を変えて急いで部屋のドアに鍵をかけ、手記の魔法陣を覗き込んだ。
「モロ、ク……?」
『嫌な役をお前1人に押し付けた俺を許してくれ。勝手ながら感謝している。きっとこの世に再び生を受けた事を1人孤独に嘆いているであろう新しい俺の事を助け導いてやって欲しい。くれぐれも頼む。そして哀れな新しい俺よ。この手記は代々現魔王から次の魔王宛に記し生涯を共にしていくものだ。俺も前の魔王から受け取った。俺が死んだら俺の前の魔王が書いた手記も消える。だからお前が死んだらこの手記も消えるようになっている。お前もできる限り早い段階で黒顔羊の革で本を作りに時期魔王宛の手記を記していくが良い。そしてアルをしっかり守ってやれ。』
 そこまで声が流れてこのページから魔法陣が光と一緒に消え、その魔法陣の書き方と黒顔羊の革で本を作る方法が頭に流れ込んできた。
 なるほど、こうやって引き継がれない記憶や知識を代々伝えていったのだろう。
 手記から顔を上げるとアレファンデルが唇を噛み締めて俯いていた。
「なんだこれ、まるで遺言みたいじゃねェか……」
 俯いたアレファンデルの表情は読み取れない。
 だが、その声は震えながらも少し嬉しそうだった。
「アレファンデル、さっき前の俺が言っていた黒顔羊の本の作り方が分かった。沢山材料が必要で明日から早速材料を集めたい。聖都からの旅のすぐ後で疲れているだろうが力を貸してくれないか。」
 アレファンデルはハッと顔を上げて何度も小さく頷いた。
「…分かった。」
「アレファンデル、初めは急に連れ帰ると言われて戸惑ったが…俺の知らない、知らなければならない事を知る事ができるのは本当にアレファンデルのお陰だ。感謝している。ただ、あそこに行くにしてもやはり今すぐはいけない。やはりまだ時間が欲しい。」
「…前のモロクも今のモロクも、お前等は頑固だって事がよくわかった。だからある程度気の済むまでお前に付き合おう…」
「これからよろしく頼む。」
 俺が手を差し出すと、アレファンデルは一瞬ためらった後その手をしっかりと握り返した。
「……ではこれから明日の下準備の為に少し出てくる。」
 アレファンデルが頷いたのを見てアレファンデルの部屋を後にした。

第3話へ続く
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