9 / 13
第1章 魔王の再臨/番外編
リヨンドとラルフ<モロクに出会う前編>
しおりを挟む
「ラルフ……私が例の『勇者』に選ばれたらしい。」
「え?」
ディナーを終えた頃に届いた手紙をラルフに差し出す。
300年前に滅んだとされる魔王が復活しようとしている…と、数ヶ月前にその片鱗が確認されたと世界中で話題になった。
魔王はかつて世界中を破壊し、目に付く生き物を片っ端っから殺戮していったという伝説が残っている破壊の王、魔王モロク。
その魔王を討つ者…『勇者』にまさかこの私が選ばれてしまったのだ。
「明日の早朝、1人で現場へ向かうようにと指示書が来たよ。明日の朝だなんて急すぎる…相変わらず適当で乱暴だなぁ。」
沢山の候補の中からたった1人だけが選ばれる『勇者』。
それだけ聞くととても光栄に聞こえるけど真意としてはぼやきたくもなる。
現場へ行く、ということは死亡する確率が90%を超えている事を意味する。
つまり、咬ませ犬。
まずは1人行ってみて強さを確認してこい、こちらが殺られて帰ってこなかったとしたらそれはそれ…という事。
ラルフは手紙の中身を読んで、呆然としてしまう。
「何故私なのかなぁ…?うっかりSランクの魔物を倒してしまったからかなぁ…?報酬に釣られてチャレンジ討伐とか行かなきゃよかったなぁ。」
偶然が重なってたまたま倒せただけなのに。
もしかしてあれが『勇者』を決めるための試験だったのかな?
「……リヨンド、これって辞退はできないのかい?それかせめて何人かで行くように…」
「まぁ、無理だろうね…協議会のジジィどもの決定を覆すのはかなり難しいだろう。」
バン、と勢いよく手紙を机に叩きつけてラルフは頭を抱えた。
「リヨンドは強いけど…でも相手は魔王だ…1人でなんてどうかしてる……!!」
ラルフを抱き締めてライトブラウンの髪に鼻を埋めると、ラルフはハッとしたように慌てて私を抱き締め返してくれた。
「あ………ごめん、ごめんよ、リヨンド…一番不安なのはリヨンドなのに…」
「私こそ、ごめん。ついぼやいてしまったね。……ねぇ、ラルフ。決まってしまったからには私は行かなきゃいけないけれど…明日の出発まで一緒にいよう。ね?」
ラルフを宥めながら2人掛けのソファに一緒に腰掛ける。
「…そうだ、初めて出会った時の事覚えてるかい?11年前にカファレルが怪我して慌ててここに駆け込んだ時だよね。あの時はまだ私もカファレルも魔物の討伐や狩りに慣れてなくて。」
「……うん、覚えてるよ。リヨンドはカファレルが死んでしまうんじゃないかって連日ここに泊まりきりだったね。僕は不謹慎にもそんなリヨンドに惹かれて何度もアタックしたっけ。強い男の憂い顔にきゅんとしちゃったんだよ。」
ラルフに手を握られ、私もそっと指を絡ませた。
あの頃、私はまだ経験値が足りずカファレルに怪我をさせてしまい酷く落ち込んでいた。
ラルフはそんな私に寄り添ってくれた。
「それから付き合って、仕事で出ても私の帰る場所はここになって……」
「10年以上経つんだね。…出会った頃はまだ20代だったのに、あっという間に40歳が目前に迫ってるだなんて時間というのは恐ろしいね…」
「ふふ、…色んな事があったね。沢山土産話を持ち帰って、その度にラルフに聞いてもらって。」
「あっ、僕は毒龍の卵を盗む話が一番お気に入りだったよ!」
ふふ、とようやくラルフが笑顔になり少し安心する。
「あれは自分でも滑稽でね。未だに思い出すと笑えてくるよ。まあ……結末は最悪だったけど。」
旅の途中に立ち寄ったギルドの依頼で毒龍の卵2つを納品する依頼を受けた。
依頼自体は極簡単ではあったのだけど…
毒龍は一度に2つの卵を産むが形状認知能力が悪く、卵と同じくらいの大きさのものであれば卵かどうか見分けがつかない。
その卵というのが丁度大人の男が蹲ったくらいの大きさでとても重く殻も頑丈だ。
親鳥が一瞬巣を離れた隙をついて1つを先に失敬して、もう1つ…というタイミングで親鳥が戻ってきてしまい、巣の中で咄嗟に膝を抱えて体を丸めたのだが…なかなか親鳥が巣を離れてくれず、卵として丸一日温められ続けていたという話だ。
「帰ってきた日、酷い臭いだったね。」
「毒龍は臭いって本当なんだよ。数日間あの臭いに悩まされて本当に最悪だった…お陰であの臭いが取れるまでラルフはキスもしてくれなかったからね。」
「ごめんよ、やっぱり僕も人間だから…あの臭いはどうしても無理だったんだよ。…僕は動物が大好きで本当は自分の目で野生の彼等を見て歩く動物探検家になりたかったけど、身体が弱いから歩かなくても動物に関われる獣医になったんだ。だからリヨンドが色んな動物や魔物の話をしてくれるのはいつも楽しくて次を楽しみに……」
また少し悲しげな表情をするラルフの唇にそっとキスをすると、ラルフは甘えるように私の首に抱きついてきた。
その背中を抱き締めてもう一度ゆっくり唇を重ねる。
ラルフの、薄く柔らかいしっとりした唇。
愛おしいという感情と、離れ難い思いが溢れ出しそうになって強く抱き締め、耳元で「ベッド、行こうか?」と聞くと泣きそうな声で「うん」と返ってきた。
ラルフの部屋のキングベッドに移動して2人で服を脱いで互いの体を確かめ合うようにあちこちにキスをして、触れ合う。
ラルフの首筋に唇を寄せて、肉が付きにくいせいで痩せた胸に指を這わすと吐息に混じって小さな声が漏れ始めた。
「…ぁ……はっ、…ん、ん…リヨンド…はぁっ…」
私の名前を口にするラルフに愛しさが溢れていく。
ラルフの唇を塞いで舌を絡めるとラルフが私のソレに触れた。
「っ、…ラルフ……」
「はっ、…あは、…久しぶりだし…僕にも何かやらせて…」
ラルフの手にジワリと快感の波がやってくる。
「じゃあ、一緒に…」
私もラルフのソレを軽く扱くとラルフはピクリと体を震わせた。
私のも、ラルフのも、もう透明な蜜をこぼし始めている音が聞こえる。
荒い息と時々溢れる互いの声にどんどん興奮していく。
「ぁ、……んん…っ、…リヨンド…駄目、だめ…っ…出ちゃ…っ、から…っ」
私の手を握って止めると、私のソレからも手を離し、手の甲で目元を隠しながら何度か息をしてから笑った。
「…はぁ、はぁ…、あはは…今日はコッチでリヨンドと一緒がいい…」
そう言って足を開き、後孔を指で軽く広げて見せる。
「私も久しぶりなんであんまり煽らないでくれないかな…っ」
ラルフの、腹に落ちた透明な蜜を指に絡めて後孔に当てがうとラルフの腰がねだるように浮く。
そのまま中に指を沈めていく。
「ん、んんぅ…っ、んッ、…はあっ、ぁ…」
ラルフの中をぐにぐにとほぐしていく。
その熱を忘れないように、味わうようにしっかりと。
「あぁ…っ、リヨ…ッ…ぁ、あ…んっ」
ラルフの声を塞ぐように唇を塞ぎ、再び舌を絡めながら後孔の指を2本に増やした。
縋るような手で私の腕を、背中を、ラルフが掻き抱く。
クチュ、と後孔から音が聞こえて長いキスをしたまま、指を3本に増やす。
もうラルフのソコはうねって収縮を繰り返し私を煽るばかりだ。
「ん…っ、んぅ…リヨン、ド…もぅ…っ、痛くてもい、から…っ」
「…ラルフ……ごめんね…私も、もう…」
ソコから指を引き抜き、ラルフの足を抱えて私のソレを当てがい、ゆっくり挿入した。
「あぁあっ…、痛っ、…んんッ、んっ…」
「痛いよね…ごめんね…」
ぎゅうぎゅうに締め付けてくるソコに割って挿入るように少しずつやや無理矢理ナカへと進めると、ラルフが私の腕に爪を立てて仰け反った。
「ァあッ…!」
骨張った肩や鎖骨、首に何度もキスをしてラルフの息がある程度落ち着くのを待つ。
「ラルフ…好きだよ…」
「はっ、は、ぁっ、僕…僕も、…リヨンド…っ、…」
何度か啄むようなキスをしてから一気に最奥を突いた。
「ひっ、アぁあっ!」
「あぁ…ラルフ、挿入ったよ…っ、…」
「ふっ…んんっ…ん、はぁっ、はあっ、…あはは…っ…」
頬を赤らめて潤んだ瞳のまま小さく笑うラルフを抱き締めるようにしてゆっくり腰を動かす。
「ぁ、…んっ……僕の事は、いいから…、リヨンドの好きに…っ」
頬を撫でられた瞬間、もう2度とこんな風に居られなくなるかもしれないと急に悲しみが胸に広がった。
もっとずっとラルフと一緒にいたい…。
「…リヨンド………」
ラルフにもう一度頬を撫でられてハッとした。
「あ…ごめん、何だかちょっとね…」
「リヨンド……お願いがあるんだ。…僕が明日の朝起きないように…惨めに泣いて縋ってリヨンドを引き止めないように…今からリヨンドにぐちゃぐちゃにしてほしい……リヨンド、好きだよ、凄く、好きなんだ…っ、だから、……お願い……」
「…っ、……ラルフ…、愛してる…愛してるよ…」
もう何度目か分からないキスをして…それから…
私はこれまでした事のない程…ラルフが失神するまでめちゃくちゃに抱いた。
目が覚めるとまだ日の登る前だった。
隣を見ると泣き腫らした顔のラルフが寝息を立てている。
こんなに愛する人…これで見納めだなんて。
ごめんね、昨日は沢山痛い思いしたよね…。
投げ出されたままのラルフの手に口付けて音を立てないようにそっとベッドを出た。
私自身が死ぬのは怖くない。
でも私の運命に他の命を巻き込む事はできない…ケージの中で私を待っているカファレルの顎を擽るとカファレルは気持ちよさそうに目を細めた。
「カファレル、君はお留守番だ。ラルフの事をよろしく頼んだよ。」
ケージを閉めるとカファレルはバサバサ、と羽ばたいた。
私が死んだ後、私が残していったものはどうなるのだろうか。
軽く息を吐いて頭を振り、身支度をしてそっとラルフの屋敷を出た。
魔王モロクを討ち、きっと帰ってくると誓って。
リヨンドとラルフ<モロクと出会う前編> 終わり
「え?」
ディナーを終えた頃に届いた手紙をラルフに差し出す。
300年前に滅んだとされる魔王が復活しようとしている…と、数ヶ月前にその片鱗が確認されたと世界中で話題になった。
魔王はかつて世界中を破壊し、目に付く生き物を片っ端っから殺戮していったという伝説が残っている破壊の王、魔王モロク。
その魔王を討つ者…『勇者』にまさかこの私が選ばれてしまったのだ。
「明日の早朝、1人で現場へ向かうようにと指示書が来たよ。明日の朝だなんて急すぎる…相変わらず適当で乱暴だなぁ。」
沢山の候補の中からたった1人だけが選ばれる『勇者』。
それだけ聞くととても光栄に聞こえるけど真意としてはぼやきたくもなる。
現場へ行く、ということは死亡する確率が90%を超えている事を意味する。
つまり、咬ませ犬。
まずは1人行ってみて強さを確認してこい、こちらが殺られて帰ってこなかったとしたらそれはそれ…という事。
ラルフは手紙の中身を読んで、呆然としてしまう。
「何故私なのかなぁ…?うっかりSランクの魔物を倒してしまったからかなぁ…?報酬に釣られてチャレンジ討伐とか行かなきゃよかったなぁ。」
偶然が重なってたまたま倒せただけなのに。
もしかしてあれが『勇者』を決めるための試験だったのかな?
「……リヨンド、これって辞退はできないのかい?それかせめて何人かで行くように…」
「まぁ、無理だろうね…協議会のジジィどもの決定を覆すのはかなり難しいだろう。」
バン、と勢いよく手紙を机に叩きつけてラルフは頭を抱えた。
「リヨンドは強いけど…でも相手は魔王だ…1人でなんてどうかしてる……!!」
ラルフを抱き締めてライトブラウンの髪に鼻を埋めると、ラルフはハッとしたように慌てて私を抱き締め返してくれた。
「あ………ごめん、ごめんよ、リヨンド…一番不安なのはリヨンドなのに…」
「私こそ、ごめん。ついぼやいてしまったね。……ねぇ、ラルフ。決まってしまったからには私は行かなきゃいけないけれど…明日の出発まで一緒にいよう。ね?」
ラルフを宥めながら2人掛けのソファに一緒に腰掛ける。
「…そうだ、初めて出会った時の事覚えてるかい?11年前にカファレルが怪我して慌ててここに駆け込んだ時だよね。あの時はまだ私もカファレルも魔物の討伐や狩りに慣れてなくて。」
「……うん、覚えてるよ。リヨンドはカファレルが死んでしまうんじゃないかって連日ここに泊まりきりだったね。僕は不謹慎にもそんなリヨンドに惹かれて何度もアタックしたっけ。強い男の憂い顔にきゅんとしちゃったんだよ。」
ラルフに手を握られ、私もそっと指を絡ませた。
あの頃、私はまだ経験値が足りずカファレルに怪我をさせてしまい酷く落ち込んでいた。
ラルフはそんな私に寄り添ってくれた。
「それから付き合って、仕事で出ても私の帰る場所はここになって……」
「10年以上経つんだね。…出会った頃はまだ20代だったのに、あっという間に40歳が目前に迫ってるだなんて時間というのは恐ろしいね…」
「ふふ、…色んな事があったね。沢山土産話を持ち帰って、その度にラルフに聞いてもらって。」
「あっ、僕は毒龍の卵を盗む話が一番お気に入りだったよ!」
ふふ、とようやくラルフが笑顔になり少し安心する。
「あれは自分でも滑稽でね。未だに思い出すと笑えてくるよ。まあ……結末は最悪だったけど。」
旅の途中に立ち寄ったギルドの依頼で毒龍の卵2つを納品する依頼を受けた。
依頼自体は極簡単ではあったのだけど…
毒龍は一度に2つの卵を産むが形状認知能力が悪く、卵と同じくらいの大きさのものであれば卵かどうか見分けがつかない。
その卵というのが丁度大人の男が蹲ったくらいの大きさでとても重く殻も頑丈だ。
親鳥が一瞬巣を離れた隙をついて1つを先に失敬して、もう1つ…というタイミングで親鳥が戻ってきてしまい、巣の中で咄嗟に膝を抱えて体を丸めたのだが…なかなか親鳥が巣を離れてくれず、卵として丸一日温められ続けていたという話だ。
「帰ってきた日、酷い臭いだったね。」
「毒龍は臭いって本当なんだよ。数日間あの臭いに悩まされて本当に最悪だった…お陰であの臭いが取れるまでラルフはキスもしてくれなかったからね。」
「ごめんよ、やっぱり僕も人間だから…あの臭いはどうしても無理だったんだよ。…僕は動物が大好きで本当は自分の目で野生の彼等を見て歩く動物探検家になりたかったけど、身体が弱いから歩かなくても動物に関われる獣医になったんだ。だからリヨンドが色んな動物や魔物の話をしてくれるのはいつも楽しくて次を楽しみに……」
また少し悲しげな表情をするラルフの唇にそっとキスをすると、ラルフは甘えるように私の首に抱きついてきた。
その背中を抱き締めてもう一度ゆっくり唇を重ねる。
ラルフの、薄く柔らかいしっとりした唇。
愛おしいという感情と、離れ難い思いが溢れ出しそうになって強く抱き締め、耳元で「ベッド、行こうか?」と聞くと泣きそうな声で「うん」と返ってきた。
ラルフの部屋のキングベッドに移動して2人で服を脱いで互いの体を確かめ合うようにあちこちにキスをして、触れ合う。
ラルフの首筋に唇を寄せて、肉が付きにくいせいで痩せた胸に指を這わすと吐息に混じって小さな声が漏れ始めた。
「…ぁ……はっ、…ん、ん…リヨンド…はぁっ…」
私の名前を口にするラルフに愛しさが溢れていく。
ラルフの唇を塞いで舌を絡めるとラルフが私のソレに触れた。
「っ、…ラルフ……」
「はっ、…あは、…久しぶりだし…僕にも何かやらせて…」
ラルフの手にジワリと快感の波がやってくる。
「じゃあ、一緒に…」
私もラルフのソレを軽く扱くとラルフはピクリと体を震わせた。
私のも、ラルフのも、もう透明な蜜をこぼし始めている音が聞こえる。
荒い息と時々溢れる互いの声にどんどん興奮していく。
「ぁ、……んん…っ、…リヨンド…駄目、だめ…っ…出ちゃ…っ、から…っ」
私の手を握って止めると、私のソレからも手を離し、手の甲で目元を隠しながら何度か息をしてから笑った。
「…はぁ、はぁ…、あはは…今日はコッチでリヨンドと一緒がいい…」
そう言って足を開き、後孔を指で軽く広げて見せる。
「私も久しぶりなんであんまり煽らないでくれないかな…っ」
ラルフの、腹に落ちた透明な蜜を指に絡めて後孔に当てがうとラルフの腰がねだるように浮く。
そのまま中に指を沈めていく。
「ん、んんぅ…っ、んッ、…はあっ、ぁ…」
ラルフの中をぐにぐにとほぐしていく。
その熱を忘れないように、味わうようにしっかりと。
「あぁ…っ、リヨ…ッ…ぁ、あ…んっ」
ラルフの声を塞ぐように唇を塞ぎ、再び舌を絡めながら後孔の指を2本に増やした。
縋るような手で私の腕を、背中を、ラルフが掻き抱く。
クチュ、と後孔から音が聞こえて長いキスをしたまま、指を3本に増やす。
もうラルフのソコはうねって収縮を繰り返し私を煽るばかりだ。
「ん…っ、んぅ…リヨン、ド…もぅ…っ、痛くてもい、から…っ」
「…ラルフ……ごめんね…私も、もう…」
ソコから指を引き抜き、ラルフの足を抱えて私のソレを当てがい、ゆっくり挿入した。
「あぁあっ…、痛っ、…んんッ、んっ…」
「痛いよね…ごめんね…」
ぎゅうぎゅうに締め付けてくるソコに割って挿入るように少しずつやや無理矢理ナカへと進めると、ラルフが私の腕に爪を立てて仰け反った。
「ァあッ…!」
骨張った肩や鎖骨、首に何度もキスをしてラルフの息がある程度落ち着くのを待つ。
「ラルフ…好きだよ…」
「はっ、は、ぁっ、僕…僕も、…リヨンド…っ、…」
何度か啄むようなキスをしてから一気に最奥を突いた。
「ひっ、アぁあっ!」
「あぁ…ラルフ、挿入ったよ…っ、…」
「ふっ…んんっ…ん、はぁっ、はあっ、…あはは…っ…」
頬を赤らめて潤んだ瞳のまま小さく笑うラルフを抱き締めるようにしてゆっくり腰を動かす。
「ぁ、…んっ……僕の事は、いいから…、リヨンドの好きに…っ」
頬を撫でられた瞬間、もう2度とこんな風に居られなくなるかもしれないと急に悲しみが胸に広がった。
もっとずっとラルフと一緒にいたい…。
「…リヨンド………」
ラルフにもう一度頬を撫でられてハッとした。
「あ…ごめん、何だかちょっとね…」
「リヨンド……お願いがあるんだ。…僕が明日の朝起きないように…惨めに泣いて縋ってリヨンドを引き止めないように…今からリヨンドにぐちゃぐちゃにしてほしい……リヨンド、好きだよ、凄く、好きなんだ…っ、だから、……お願い……」
「…っ、……ラルフ…、愛してる…愛してるよ…」
もう何度目か分からないキスをして…それから…
私はこれまでした事のない程…ラルフが失神するまでめちゃくちゃに抱いた。
目が覚めるとまだ日の登る前だった。
隣を見ると泣き腫らした顔のラルフが寝息を立てている。
こんなに愛する人…これで見納めだなんて。
ごめんね、昨日は沢山痛い思いしたよね…。
投げ出されたままのラルフの手に口付けて音を立てないようにそっとベッドを出た。
私自身が死ぬのは怖くない。
でも私の運命に他の命を巻き込む事はできない…ケージの中で私を待っているカファレルの顎を擽るとカファレルは気持ちよさそうに目を細めた。
「カファレル、君はお留守番だ。ラルフの事をよろしく頼んだよ。」
ケージを閉めるとカファレルはバサバサ、と羽ばたいた。
私が死んだ後、私が残していったものはどうなるのだろうか。
軽く息を吐いて頭を振り、身支度をしてそっとラルフの屋敷を出た。
魔王モロクを討ち、きっと帰ってくると誓って。
リヨンドとラルフ<モロクと出会う前編> 終わり
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
何故よりにもよって恋愛ゲームの親友ルートに突入するのか
風
BL
平凡な学生だったはずの俺が転生したのは、恋愛ゲーム世界の“王子”という役割。
……けれど、攻略対象の女の子たちは次々に幸せを見つけて旅立ち、
気づけば残されたのは――幼馴染みであり、忠誠を誓った騎士アレスだけだった。
「僕は、あなたを守ると決めたのです」
いつも優しく、忠実で、完璧すぎるその親友。
けれど次第に、その視線が“友人”のそれではないことに気づき始め――?
身分差? 常識? そんなものは、もうどうでもいい。
“王子”である俺は、彼に恋をした。
だからこそ、全部受け止める。たとえ、世界がどう言おうとも。
これは転生者としての使命を終え、“ただの一人の少年”として生きると決めた王子と、
彼だけを見つめ続けた騎士の、
世界でいちばん優しくて、少しだけ不器用な、じれじれ純愛ファンタジー。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
君に望むは僕の弔辞
爺誤
BL
僕は生まれつき身体が弱かった。父の期待に応えられなかった僕は屋敷のなかで打ち捨てられて、早く死んでしまいたいばかりだった。姉の成人で賑わう屋敷のなか、鍵のかけられた部屋で悲しみに押しつぶされかけた僕は、迷い込んだ客人に外に出してもらった。そこで自分の可能性を知り、希望を抱いた……。
全9話
匂わせBL(エ◻︎なし)。死ネタ注意
表紙はあいえだ様!!
小説家になろうにも投稿
転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした
リリーブルー
BL
「しごとより、いのち」厚労省の過労死等防止対策のスローガンです。過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ。この小説の主人公は、仕事依存で過労死し異世界転生します。
仕事依存だった主人公(20代社畜)は、過労で倒れた拍子に異世界へ転生。目を覚ますと、そこは剣と魔法の世界——。愛読していた小説のラスボス貴族、すなわち原作主人公の宿敵(ライバル)レオナルト公爵に仕える側近の美青年貴族・シリル(20代)になっていた!
原作小説では悪役のレオナルト公爵。でも主人公はレオナルトに感情移入して読んでおり彼が推しだった! なので嬉しい!
だが問題は、そのラスボス貴族・レオナルト公爵(30代)が、物語の中では原作主人公にとっての宿敵ゆえに、原作小説では彼の冷酷な策略によって国家間の戦争へと突き進み、最終的にレオナルトと側近のシリルは処刑される運命だったことだ。
「俺、このままだと死ぬやつじゃん……」
死を回避するために、主人公、すなわち転生先の新しいシリルは、レオナルト公爵の信頼を得て歴史を変えようと決意。しかし、レオナルトは原作とは違い、どこか寂しげで孤独を抱えている様子。さらに、主人公が意外な才覚を発揮するたびに、公爵の態度が甘くなり、なぜか距離が近くなっていく。主人公は気づく。レオナルト公爵が悪に染まる原因は、彼の孤独と裏切られ続けた過去にあるのではないかと。そして彼を救おうと奔走するが、それは同時に、公爵からの執着を招くことになり——!?
原作主人公ラセル王太子も出てきて話は複雑に!
見どころ
・転生
・主従
・推しである原作悪役に溺愛される
・前世の経験と知識を活かす
・政治的な駆け引きとバトル要素(少し)
・ダークヒーロー(攻め)の変化(冷酷な公爵が愛を知り、主人公に執着・溺愛する過程)
・黒猫もふもふ
番外編では。
・もふもふ獣人化
・切ない裏側
・少年時代
などなど
最初は、推しの信頼を得るために、ほのぼの日常スローライフ、かわいい黒猫が出てきます。中盤にバトルがあって、解決、という流れ。後日譚は、ほのぼのに戻るかも。本編は完結しましたが、後日譚や番外編、ifルートなど、続々更新中。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる