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第一章
5.操り人形 その④:〝剛拳〟の魔女
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まるで鉄の塊同士がぶつかり合ったかのような重厚な衝突音の後、わずかな沈黙を挟んで両者の間から異音がした。
――ピシッ。
それはロクサーヌの顔面からではなく、突き立てられた鉄爪の方から発せられた。
「ジャミルさん、一発は一発ですわ」
私の心配を他所に、ロクサーヌは信じられないぐらいにいつもと同じ声を鉄爪の下から響かせる。どうやら、ここは私が出る幕ではないようだ。彼女の声を聞いた途端、まだ戦闘は終わっていないというのに私は安堵を抱いてしまった。
「サミーさんとリンさんの分……まとめてお返し致します!」
ピキピキと音を立てて鉄爪にヒビが広がってゆき、遂にパキリと真っ二つに割れる。目の前のことを信じられずにいるのかジャミルも激しく動揺をあらわにする中、額から血を一筋だけ垂らしながらロクサーヌがここにきて初めて構えた。
――いや、これは『構え』なんて上等なものじゃない。
ただ目の前の奴を殴りつけるために、握った拳を突き出すために、引きたいだけ拳を引き、踏み出したいだけ足を振り上げているだけだ。反撃、防御、回避といった相手の事情に左右される行動を一切排し、ただただ殴り付けることだけを意図した体勢。
これは彼女の『自我』そのもの。
ゆえにどの流派にもなく、恐らくは拳闘大会五連覇の偉業を果たしたという父親からも教わっていない、彼女だけの個性。
それは余りにも傲慢で、愚かで、そして何より美しい。
「マネ……あれが〝剛拳〟のロクサーヌよ」
そうだ。闘争という不確定性の渦巻く魔境にあって、それでもなお『自我』の一念を貫き通せる強さを持った人間は、斯くも美しい。
その『構え』から繰り出された、味方も人質も……敵でさえも見惚れる美事な一撃は、操作を忘れられその場に呆然と佇立する武装人形の横っ面に最短距離で突き刺さった。
これぞ、天性の魔力操作技術が齎した【身体強化】の到達点。
ただ、小細工なしに思い切りぶん殴るだけで、グィネヴィアが本気で放つ魔法に勝るとも劣らない威力を叩き出せる唯一の魔女がロクサーヌなのだ。杖も、剣も、その耐久力によってロクサーヌの足を引っ張る枷でしかない。
身体の殆どが木製の人形に、これほどの『自我』を耐えられる道理はない。拳を叩き込まれた人形の顔面が紙くずの如くひしゃげ、陥没してゆく。そして、その途中からロクサーヌは抉り込むように拳の軌道を下方向に強引に捻じ曲げ、武装人形を巻き込むように地面に叩きつけた。
――私が理解できたのはそこまでだった。
次の瞬間、爆発音にも似た轟音が鳴り響き、テナントの内装がめちゃくちゃに掻き乱される。まるで、突如として大嵐の真っ只中にでも放り込まれたかのようだった。
私のところにまで飛んできた破片を凌いだ後、そこには嵐が齎した破壊の痕跡が残されていた。ペシャンコに圧し潰された武装人形と、いきなり糸から解放されて蹌踉めくサマンサ、
そして――サマンサの背後にできた巨大なクレーターに沈むジャミルの姿。
「こりゃ、リンも嫉妬する訳だ。お前に無いもの全部持ってるなァ」
「うるさい。……ねぇねぇ、ロクサーヌ。今の凄かったわね。またパワーアップしてるんじゃないの? ジャミルの方はどうやったのよ」
正体をひた隠しにしている使い魔が関係しているのだろうか。確かに隠そうとするだけはある威力だ。しかし、ロクサーヌは蹌踉めくサマンサを優しく抱き止めるだけで、私の問いに答えることはなかった。
「リンさん。両手が塞がっているわたくしの代わりに、先程の紙面を取り出して下さりませんか? 貴方にも、見て欲しいのですわ」
ロクサーヌが視線を落としたポケットからはさっきの紙が頭を覗かせていた。私は言われた通りにその紙を抜き取る。
「名義人の欄を」
言われるがままに名義人の欄を探して視線を彷徨わせる。そして、目当ての箇所に辿り着くと同時、そこに記されていた名を見て凍りついた。
『名義人:アンタル・フェイナーン』
アンタル・フェイナーン――フェイナーン伯!
脳裏に電撃が走る。やはり、私の考えは正しかった。指輪盗難事件の首謀者は諸侯派だ。となると、小箱と指輪の所在も彼、フェイナーン伯が知っていると見て間違いない。
私は敢然と踵を返し、入口に向かって歩き出した。
既に私の心はとっくに決まっており、今からフェイナーン伯のお屋敷に乗り込んでやるつもりだったが、マネはそうではないようだった。
「なあ、リンよぉ、行く必要あるか?」
「マネさんの言う通りですわ。後は、警察の方にでもお任せになっては?」
「――ムカつくのよ」
色々と、それらしい理由をこじつけることはできたが、結局のところ私を突き動かしているものはそれだけだった。
「さんざっぱら振り回されて諸侯派には不信感しかないわ。一言ぐらいは直接文句を言ってやりたいじゃない。あの脂ぎった顔に決別の意思表示を突きつけてやるのよ。で、もし、フェイナーン伯が指輪を返そうとしなかったり、或いは逃げ出そうもんなら、とっ捕まえて一発カマしてやるわ!」
振り向いてそう言い切ってやると、マネもロクサーヌもそれ以上反対はしなかった。
唯一の不安は服の耐久度だけだが……今日は制服の下に薄い肌着を重ね着してきたから、一般人のフェイナーン伯を相手にそうそう全裸にまで剥かれることはないだろう。……たぶん。
「そうまで言うなら止めはしません。わたくしはサミーさんと――そこで伸びているジャミルを見ていなければなりませんが、ネルさんたちと警察が到着次第、わたくしも警察を連れて応援に向かいますわ。くれぐれも、無茶は禁物ですわよ」
「分かってるわ。あっ、そうだ! 撮影機、そこに置いてくから中の証拠を警察の人に渡しといて。それじゃ」
「――あっ、ま、まって!」
突然、ロクサーヌの胸元からサマンサが叫んだ。浅めに斬ったこともあって、もう動ける程度には回復してきてるらしい。
「なによ、サマンサ」
「貴方に、言っておかなくちゃと思って……指輪、盗んでごめん」
「……もう、いいわよ」
「そ、それと!」
そんなことかと思って歩を進めようとすると、すぐさま再び制止される。こう何度も出鼻を挫かれては、せっかくの決意も鈍ってしまいそうだ。しかし、応対しない訳にもいかず、私はしぶしぶ振り返った。
「何度もごめんなさい……でも、聞いて欲しいの。私が盗みに入った時、鍵が開いてたの。その時はリンが呼び出されてるなんて知らなかったから焦ってて、『不用心だな』で済ませちゃったけど、よく考えたらこれっておかしいわよね?」
「……ええ、折節実習に行くから戸締まりはいつも以上にしっかりして出たわ。というか、アンタ本当はどうやって忍び込む予定だったのよ」
「私の使い魔は幽体だから、壁抜けした使い魔に鍵を開けてもらって窓から入ろうと。ドアと違って窓からならガラス越しに見ながら指示もできるし、それにリンの部屋は一階でしょ? 外から入るのも簡単……でも、窓の鍵も開いてたからそうする必要もなかった」
「そう……じゃあ、やっぱりピッキングしたのはサマンサじゃなかったのね」
ロクサーヌたちから、サマンサはピッキングなんて出来ないと聞いていたので、それほどの驚きはない。
だが鍵穴にはピッキングの痕跡があったから、『誰か』が私の部屋の鍵をこじ開けたのは確かだ。しかし、その『誰か』は窓の鍵を開けるだけで、他には何もせず部屋を去った。
勿体ぶるのはよそう。
その『誰か』とは、ほぼ間違いなく――クラウディア教官だ。
そしてつまり、そんなことをわざわざするということは、クラウディア教官が諸侯派の計画から守ろうとしたのは私じゃなく、サマンサだったということになる。
ふっ、と自嘲の笑みがこぼれる。所詮は私も一人の生徒に過ぎないということだ。知らず識らずのうちに、ちょっと活躍したからって私は自惚れていたのかもしれない。
「ありがと……ちょっと、情報を整理できたわ」
疑問の一つが片付いたことに対して感謝を述べると、サマンサに驚いたような顔をされてしまった。私は礼も言わないような冷血人間だと思われていたのだろうか? 急に照れくさくなってきて、柄にもなく説教臭い言葉が口をつく。
「それより……アンタ、いろんな人に守られてるってことを自覚しなさいよ。盗みなんて大それたことする前に、教師でもロクサーヌでも……私でもいいから取り敢えず相談しなさい」
そう出来なかった理由も推察はできる。サマンサは対等な友人が欲しかったのだ。だから、派閥のしがらみのないロクサーヌとつるんでる。身寄りがないことを理由に、貸し借りを作りたくなかったのだ。友人たちの負担になりたくなかった。関係性を壊したくなかった。
でも、それで結局心配と負担をかけているのだから世話ない。頼り頼られ、お互い様で良いじゃないか。
「分かった?」
「そ、それはどうも……う、嬉しいわ。ありがとう……」
「……私からは以上! 後はロクサーヌにでも絞ってもらって!」
サマンサのおかしなものを見る目に耐えきれなくなった私は、話を早口で切り上げて逃げるようにすっかり陽も落ちた夜の王都に飛び出した。
「任されましたわ――ご武運を!」
ロクサーヌの激励を背に気持ちを切り替え地面を蹴る。
目指すはエドム地方の諸侯派貴族、フェイナーン伯のお屋敷だ。
――ピシッ。
それはロクサーヌの顔面からではなく、突き立てられた鉄爪の方から発せられた。
「ジャミルさん、一発は一発ですわ」
私の心配を他所に、ロクサーヌは信じられないぐらいにいつもと同じ声を鉄爪の下から響かせる。どうやら、ここは私が出る幕ではないようだ。彼女の声を聞いた途端、まだ戦闘は終わっていないというのに私は安堵を抱いてしまった。
「サミーさんとリンさんの分……まとめてお返し致します!」
ピキピキと音を立てて鉄爪にヒビが広がってゆき、遂にパキリと真っ二つに割れる。目の前のことを信じられずにいるのかジャミルも激しく動揺をあらわにする中、額から血を一筋だけ垂らしながらロクサーヌがここにきて初めて構えた。
――いや、これは『構え』なんて上等なものじゃない。
ただ目の前の奴を殴りつけるために、握った拳を突き出すために、引きたいだけ拳を引き、踏み出したいだけ足を振り上げているだけだ。反撃、防御、回避といった相手の事情に左右される行動を一切排し、ただただ殴り付けることだけを意図した体勢。
これは彼女の『自我』そのもの。
ゆえにどの流派にもなく、恐らくは拳闘大会五連覇の偉業を果たしたという父親からも教わっていない、彼女だけの個性。
それは余りにも傲慢で、愚かで、そして何より美しい。
「マネ……あれが〝剛拳〟のロクサーヌよ」
そうだ。闘争という不確定性の渦巻く魔境にあって、それでもなお『自我』の一念を貫き通せる強さを持った人間は、斯くも美しい。
その『構え』から繰り出された、味方も人質も……敵でさえも見惚れる美事な一撃は、操作を忘れられその場に呆然と佇立する武装人形の横っ面に最短距離で突き刺さった。
これぞ、天性の魔力操作技術が齎した【身体強化】の到達点。
ただ、小細工なしに思い切りぶん殴るだけで、グィネヴィアが本気で放つ魔法に勝るとも劣らない威力を叩き出せる唯一の魔女がロクサーヌなのだ。杖も、剣も、その耐久力によってロクサーヌの足を引っ張る枷でしかない。
身体の殆どが木製の人形に、これほどの『自我』を耐えられる道理はない。拳を叩き込まれた人形の顔面が紙くずの如くひしゃげ、陥没してゆく。そして、その途中からロクサーヌは抉り込むように拳の軌道を下方向に強引に捻じ曲げ、武装人形を巻き込むように地面に叩きつけた。
――私が理解できたのはそこまでだった。
次の瞬間、爆発音にも似た轟音が鳴り響き、テナントの内装がめちゃくちゃに掻き乱される。まるで、突如として大嵐の真っ只中にでも放り込まれたかのようだった。
私のところにまで飛んできた破片を凌いだ後、そこには嵐が齎した破壊の痕跡が残されていた。ペシャンコに圧し潰された武装人形と、いきなり糸から解放されて蹌踉めくサマンサ、
そして――サマンサの背後にできた巨大なクレーターに沈むジャミルの姿。
「こりゃ、リンも嫉妬する訳だ。お前に無いもの全部持ってるなァ」
「うるさい。……ねぇねぇ、ロクサーヌ。今の凄かったわね。またパワーアップしてるんじゃないの? ジャミルの方はどうやったのよ」
正体をひた隠しにしている使い魔が関係しているのだろうか。確かに隠そうとするだけはある威力だ。しかし、ロクサーヌは蹌踉めくサマンサを優しく抱き止めるだけで、私の問いに答えることはなかった。
「リンさん。両手が塞がっているわたくしの代わりに、先程の紙面を取り出して下さりませんか? 貴方にも、見て欲しいのですわ」
ロクサーヌが視線を落としたポケットからはさっきの紙が頭を覗かせていた。私は言われた通りにその紙を抜き取る。
「名義人の欄を」
言われるがままに名義人の欄を探して視線を彷徨わせる。そして、目当ての箇所に辿り着くと同時、そこに記されていた名を見て凍りついた。
『名義人:アンタル・フェイナーン』
アンタル・フェイナーン――フェイナーン伯!
脳裏に電撃が走る。やはり、私の考えは正しかった。指輪盗難事件の首謀者は諸侯派だ。となると、小箱と指輪の所在も彼、フェイナーン伯が知っていると見て間違いない。
私は敢然と踵を返し、入口に向かって歩き出した。
既に私の心はとっくに決まっており、今からフェイナーン伯のお屋敷に乗り込んでやるつもりだったが、マネはそうではないようだった。
「なあ、リンよぉ、行く必要あるか?」
「マネさんの言う通りですわ。後は、警察の方にでもお任せになっては?」
「――ムカつくのよ」
色々と、それらしい理由をこじつけることはできたが、結局のところ私を突き動かしているものはそれだけだった。
「さんざっぱら振り回されて諸侯派には不信感しかないわ。一言ぐらいは直接文句を言ってやりたいじゃない。あの脂ぎった顔に決別の意思表示を突きつけてやるのよ。で、もし、フェイナーン伯が指輪を返そうとしなかったり、或いは逃げ出そうもんなら、とっ捕まえて一発カマしてやるわ!」
振り向いてそう言い切ってやると、マネもロクサーヌもそれ以上反対はしなかった。
唯一の不安は服の耐久度だけだが……今日は制服の下に薄い肌着を重ね着してきたから、一般人のフェイナーン伯を相手にそうそう全裸にまで剥かれることはないだろう。……たぶん。
「そうまで言うなら止めはしません。わたくしはサミーさんと――そこで伸びているジャミルを見ていなければなりませんが、ネルさんたちと警察が到着次第、わたくしも警察を連れて応援に向かいますわ。くれぐれも、無茶は禁物ですわよ」
「分かってるわ。あっ、そうだ! 撮影機、そこに置いてくから中の証拠を警察の人に渡しといて。それじゃ」
「――あっ、ま、まって!」
突然、ロクサーヌの胸元からサマンサが叫んだ。浅めに斬ったこともあって、もう動ける程度には回復してきてるらしい。
「なによ、サマンサ」
「貴方に、言っておかなくちゃと思って……指輪、盗んでごめん」
「……もう、いいわよ」
「そ、それと!」
そんなことかと思って歩を進めようとすると、すぐさま再び制止される。こう何度も出鼻を挫かれては、せっかくの決意も鈍ってしまいそうだ。しかし、応対しない訳にもいかず、私はしぶしぶ振り返った。
「何度もごめんなさい……でも、聞いて欲しいの。私が盗みに入った時、鍵が開いてたの。その時はリンが呼び出されてるなんて知らなかったから焦ってて、『不用心だな』で済ませちゃったけど、よく考えたらこれっておかしいわよね?」
「……ええ、折節実習に行くから戸締まりはいつも以上にしっかりして出たわ。というか、アンタ本当はどうやって忍び込む予定だったのよ」
「私の使い魔は幽体だから、壁抜けした使い魔に鍵を開けてもらって窓から入ろうと。ドアと違って窓からならガラス越しに見ながら指示もできるし、それにリンの部屋は一階でしょ? 外から入るのも簡単……でも、窓の鍵も開いてたからそうする必要もなかった」
「そう……じゃあ、やっぱりピッキングしたのはサマンサじゃなかったのね」
ロクサーヌたちから、サマンサはピッキングなんて出来ないと聞いていたので、それほどの驚きはない。
だが鍵穴にはピッキングの痕跡があったから、『誰か』が私の部屋の鍵をこじ開けたのは確かだ。しかし、その『誰か』は窓の鍵を開けるだけで、他には何もせず部屋を去った。
勿体ぶるのはよそう。
その『誰か』とは、ほぼ間違いなく――クラウディア教官だ。
そしてつまり、そんなことをわざわざするということは、クラウディア教官が諸侯派の計画から守ろうとしたのは私じゃなく、サマンサだったということになる。
ふっ、と自嘲の笑みがこぼれる。所詮は私も一人の生徒に過ぎないということだ。知らず識らずのうちに、ちょっと活躍したからって私は自惚れていたのかもしれない。
「ありがと……ちょっと、情報を整理できたわ」
疑問の一つが片付いたことに対して感謝を述べると、サマンサに驚いたような顔をされてしまった。私は礼も言わないような冷血人間だと思われていたのだろうか? 急に照れくさくなってきて、柄にもなく説教臭い言葉が口をつく。
「それより……アンタ、いろんな人に守られてるってことを自覚しなさいよ。盗みなんて大それたことする前に、教師でもロクサーヌでも……私でもいいから取り敢えず相談しなさい」
そう出来なかった理由も推察はできる。サマンサは対等な友人が欲しかったのだ。だから、派閥のしがらみのないロクサーヌとつるんでる。身寄りがないことを理由に、貸し借りを作りたくなかったのだ。友人たちの負担になりたくなかった。関係性を壊したくなかった。
でも、それで結局心配と負担をかけているのだから世話ない。頼り頼られ、お互い様で良いじゃないか。
「分かった?」
「そ、それはどうも……う、嬉しいわ。ありがとう……」
「……私からは以上! 後はロクサーヌにでも絞ってもらって!」
サマンサのおかしなものを見る目に耐えきれなくなった私は、話を早口で切り上げて逃げるようにすっかり陽も落ちた夜の王都に飛び出した。
「任されましたわ――ご武運を!」
ロクサーヌの激励を背に気持ちを切り替え地面を蹴る。
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