Defense 完結 2期へ続く

パンチマン

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群青のハジヒロコウ

戦争

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 麓の連中を眺めていたら突然警報音があたり一帯になり渡った。味方が言うには敵部隊が攻めて来たらしい。すぐに分隊長らが口々に指示と檄を飛ばしている。

この戦闘の前の緊張感というものは慣れないものだ。

もちろん俺たちも分隊長であるケインから指示を受けた。指示と言っても待機するだけなのだが。麓の部隊は大急ぎで戦闘態勢に入っていた。塹壕に篭り機関銃を構える歩兵隊。戦車のハッチを閉め、所定の位置に移動する戦車隊。今までに無い大規模戦の予感がした。
 慌ただしい麓の部隊とは逆に高地に陣取る俺たちは少しばかり余裕があった。だが同時に麓の部隊の武運を見守りながら、戦闘の行方を祈る事しか出来ないもどかしさを感じた。

俺は手榴弾の補給をしようとして塹壕の踏み台から降りた。高地にいた兵士らは、まさに歴戦の兵士達のごとく麓の部隊にあった初々しさは全く感じられなかった。だが、1人だけ塹壕の木壁に屈みこんでいる兵士を見つけた。きっと祈りか何かだろうと決めつけて彼の前を素通りしようとした。


「コワイコワイ.....」


自然と足が止まった。俺は彼を見下ろす形になっていた。ブーツと白色の裾が泥まみれになっていた彼は、やがて頭を抱え込み、さっきより震えを酷くしていた。あまりに酷かったから俺は自然と声を掛けていた。


「どうした?大丈夫か?」


「怖くて....」


とにかくその1点張りだった。何度も声を掛けるが、それしか返って来ない。
 しばらくすると彼と同じ部隊に居たという兵士が後ろからやってきた。


「ソイツは多分、精神病に掛かっちまったんですよ。」


その同部隊の兵士はそう言った。俺はそのまま理由といつからかを聞いた。


「トヨの爆撃があったでしょ?あの時からなんです。コイツは目の前で一気に10人以上の仲間を失ったんです。しかも物凄い.....そのグロイとでも言うんですかねとにかくその光景がどうやら脳裏に焼きついてしまったらしく、あの日からずっとこの調子なんです。」


「そうか....」


「前線には精神医なんて居ませんし、最近軍医の診療を受けたんですが、一向に効き目が無くて。どうする事もなく今に至るわけです。」


俺は彼らと同じで何もする事が出来ず、そのままその場を立ち去って補給しに行った。そこで衛生兵らの会合らしき物が行われていて、内容を聞くことが出来た。


「第1隊は引き続き、負傷者の手当て班と戦闘部隊に従事し応急処置をする班に分けてくれ。そして第2班だが、ここ最近、精神的に問題を抱える兵士が増加してきつつある。彼らの手当てを頼む。」


彼ら衛生隊もまた戦っているのだ。俺は彼らのメンタルの強さを尊敬した。どんなに損傷の激しい負傷兵の手当ても冷静に行い、どんなにバラバラになった遺体をも回収する彼らを。

補給を終え、戻ろうとした時だった。
 
直後、再び警報音が鳴り響いた。
 塹壕外から砲兵隊員らが口々に空襲だ空襲だと騒いでいた。俺は補給所の踏み台に登ってトヨ方面の上空を見た。トヨで見た光景、B52がまた大編隊を組んでやって来たのだ。俺は敢えて何も考えないようにした。敵機のエンジン音が塹壕内に響くようになって来た。
 俺は足早に所定の位置に戻ろうと駆け出しが、俺は再びさっきの兵士に足を止められた。腹の内臓に響くような飛行機の重低音が、彼の精神をより刺激したのだろう。大声で騒いでいたのだ。俺にはその兵士がまるで小学生のように見えた。すぐに衛生隊員らがやって来て彼を連れて行こうとしている。


「愛国心なんかで身を守れるもんか!死にたくない!」


そんな彼の悲痛な叫びをよそに、俺は走って元の位置に戻りついた。所定の位置に戻って準備を終えた。砲兵隊が迎撃を始めた。その時聞こえた発砲音はいつもとは違って聞こえた。




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