Defense 完結 2期へ続く

パンチマン

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群青のハジヒロコウ

雲上の敵を撃て.2

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再編し終えた航空隊はいつしかかなりの規模となっていた。

<AWACSから全機へ通達。作戦空域は豪雨。繰り返す、作戦空域は豪雨。慎重に取りかかれ。オーバー>


この規模で大雨か、ソリュードは大部隊を見て案じた。これほどの大規模だと空中衝突の可能性も否めない、それに視界もかなり悪くなる。


<ブリーチング1からAWACS、敵性部隊は作戦空域にいるのか>


<ブリーチング1、レーダーには反応がある。引き続き任務を続行せよ>


少し低めの声で了解と言い、前方を注視した。分厚い雲が前方に立ちはだかっている。


<ブリーチングリーダーから列機。編隊を崩すな>


そう言って雲内に突入した。視界ゼロの世界でただ前進した。


<ブリーチングリーダー!機体の揺れが激しすぎる!>


加藤が似合わない大声で言った。


<持ちこたえろ!3>


凄まじい揺れがブリーチング隊を襲った。


<ソリュード!迂回しよう!>


テレナイスが提案する


<AWACSの言う通り敵爆撃がまだ飛んでるなら時間が無い!このルートが最短なんだ!>


ソリュードの言う通りブリーチング隊は他のどの部隊よりも最短で一気にハーグス上空に到達した。


<隊長!ハーグス上空です!下には味方がいるはず!>


<分かった!ライ、カトー、テレナイス。行くぞ!>


ソリュードの一声で一気に降下を始めた。速度が上がり必然的に機体の揺れも大きくなる。やがて前方を覆っていた灰色の塊が消え、突然目の前に編隊を組むB52とF16が出てきた。


<ブレイク!>


ソリュードの一声でブリーチング各機は散開した。


<ブリーチング1からAWACS!>


<AWACSどうぞ>


<敵機と交戦!繰り返すブリーチング隊は敵機と交戦中!>


<AWACSからブリーチングリーダー、敵の規模を知らせよ。>


自分で確かめろ!とソリュードは心の中で一瞬憤りを感じたが、すぐに辺りを見回した。日光が差し込めない程の雲と大雨のお陰で敵機はごく僅かであった。


<一望できる限りでは少ない>


<残りの敵の位置は不明か?>


答えようとした瞬間、後ろから白い尾を引いた物体がソリュードの機体をかすめた。


<自分で確かめろ!>


ソリュードは吐き捨てて、後方を確認した。後方から1機のF16が猛スピードで迫ってきていた。すぐにスロットルを絞り急旋回して体制を立て直す。F16もその動きに合わせてすぐに両機入り乱れるドッグファイトへと変わった。


<ブリーチング各機、爆撃機を優先しろ!>


<ソリュード!後ろに>


<分かってる!B52は全部で何機だ、ライ?>


<5機です!>


<味方陣地に到達するまでに墜とせ!>


<了解>


ライは爆撃機を優先的に攻撃するよう改めて列機に指示を加えた。
  
 ソリュードはどんなに回避行動を取ってもピッタリと後ろに付いてくる割に攻撃をしてこない敵機のことを不思議に思った。 

 これなら付いてこれるか 

ソリュードは操縦桿を引き雲の中に再び突入した。後ろの敵機も見えなくなる。操縦桿を左に倒し引くと同時に頭の中で秒数を数え始めた。以前雨雲の中で旋回した時に1旋回するのに10秒程度かかった事を思い出したからだ。時間が来た瞬間に操縦桿を戻して加速した。ギャンブルだった。読みが当たれば.....
 前方に薄っすらと機体のシルエットが現れた。照準を合わせてトリガーを引いた。曳光弾の弾道で位置を修正しながら打ち続けた。敵は反転して急降下の体制に入った。ソリュードもすぐに反転させて敵の後を追った。途切れ途切れながろも敵機を捉え続けて雲を抜けた。


<いやー参ったよぉ>


不意に無線から声がしたが、ソリュードはすぐに敵だと判別し、間合いを詰めた。


<ナンバーズ隊1番機、ソリュード。>


<俺の名をどうして知っている?答えろ>


ソリュードはすぐに撃ち落とせる位置につき、答えを待った。


<まだ思い出せないの?>


馴れ馴れしい奴め。ソリュードはキャノピーに照準を合わせた。


<さっさといえ、殺すぞ>


無線から大きなため息がした。


<ヴェランダ空軍第56航空隊隊長ロレンス。戦前合同演習で一緒に飛んだ仲じゃないの>


<ロレンス!?く、じゃあな俺は急いでるんだ。>


ソリュードは見切りをつけてライの所へ向かった。ロレンスは追おうとはせずにそのまま水平飛行を続けた。

部下も殆ど墜落したしな~



<遅かったな1番機!>


加藤がソリュードの右横に合わせて言った。


<加藤お前>


<こいつか?大丈夫だ。>


加藤のF15の主翼から煙が吹き出しているのが見えた。


<味方に間違えられて撃たれたんだよ。しかも同じ日国の奴にな、どうやったら間違えるのか>


加藤が大きなため息を吐いて言った。
ライとテレナイスも合流した。


<ブリーチングリーダー、爆撃機全機撃墜完了しました。合わせて護衛機2機もです>


ライが手短に報告した。


<よくやった。ライ他に敵機はいたか?>


<いいえ、他には確認できませんでした。今は遅れてきた部隊が警戒に当たっているようです>


<分かった。帰投しよう>


ソリュードは後ろを振り返りさっきの事を思い出した。


ロレンス....









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