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ICICLE
2 保安庁ー警備局ー特務警備部ー特殊警備課
しおりを挟む輸送船襲撃事件から数日後
ロレーヌ
保安庁
「本日諸君らに集まってもらったのは他でもない、一連の抵抗運動によるものだ。まずはこの資料の写真を見てもらいたい。写真は先日深夜にて炎上爆発した輸送船だ。本庁の洋上保安局が調査した結果、事故ではなく何らかの意図的な犯行によるものであったとして保安庁、警察庁ともに提携しながら捜査をしていた。しかしこの騒動の直後に島内のハードターゲットが襲撃をうけ信任統治省は反抗勢力をテロ組織と断定し、本格的な捜査を開始するよう命じた。ここまで流れはここにいる全員が把握している事だと思っている。
そしてここからが本題だ。まず本庁の警備局に特殊警備課の活動再開するよう長官命令があった。課長には本国からのシャロンを登用する。ちなみにケイン君も特殊警備課の第2小隊長として異動だ。えー、そして」
その後も長々と会議は続けられ、やっと終わったとケインが腰をあげると警備局長に声を掛けられた。
「ケイン君。君は1年前の騒動を忘れてないだろうね。特殊警備課の超法規的活動には必然的に制限がかかる事は君も承知のはずだ。それを踏まえた上で職務に当たってくれたまえ。」
ケインはわざとらしく誇張した敬礼をして会議室を出た。出ると廊下にコートを着た男が立っていた。その男はケインの名を呼び、手招きした
「話は聞いたよ。埋立地に異動だってな。」
「ひどいもんだよ。シャロンも例の治安活動で有名じゃないか」
「そりゃそうさ首都警、いやロレーヌ州警の連中もかなり気が立ってたしな。」
「ところでファレスさん、今日は何で保安庁に?」
「そりゃ州警の動向を伝えるためさ。ここ最近事件が多いだろ。どうだ?一本?」
ファレスがケインにタバコを吸う真似をして見せた。屋外に出て港湾を一望できる高台で2人は会話を続けた。
「で、最近どうなの?」
「ああ、戦争が終わって組織体は随分と変わったよ。首都警の時の警察幹部らは信任統治省に一斉異動だ。今じゃオーシア人が組織を管理してる。それに警察庁からの圧が物凄いんだ。」
「今じゃ俺もあんたもオーシア人だろ。」
「確かにな。それで、保安庁はどうなんだい?」
「基本的には君たちと一緒さ。ただ例の治安活動があっただろう?あの日以来、上からの圧力が物凄くてさー、本国政府からも悪く言われてるしね。予算もかなり減ったよ。」
「あの活動から1年だっけか?」
「ああそうさ。あの時俺は本庁にいて活動を見てたわけ。目を疑ったわな。」
「反オーシアデモを単独で武力鎮圧して反政府思想者を一斉検挙か.....。あの時は俺たちも度肝をぬかれたよ。」
「何とか捕まった人々の釈放にこぎつけたけど、あれ以来特殊警備課は活動停止処分を受け、当時課を指揮してたシャロンは謹慎処分を受けたんだ。んで、さっき活動開始が決まって俺も同時に異動なわけ。」
「あんたシャロンの事知ってるのか?」
「同僚みたいなもんさ、向こうはそう思ってるだろうし。」
「同僚?どういう事だ」
「俺が保安庁職員になった時、最初の勤務地が特警だったんだ。そんで、その時に彼女も本国からこの島にやって来たのさ。最初の1年間は特警で一緒に働いてたんだよ。まぁそのあと俺は危機管理局に異動になったんだけどね。」
「あんたとシャロンにそんな繋がりがあったのか」
「最初はそりゃ相当頭のキレる人だったよ。本国でも相当の腕利きだったらしいからな。」
「そんな天才があんな暴挙に出るとはな....」
「あの騒動以後、何人かの職員も辞めちゃったしな~」
ケインが空を見上げてタバコをふかした。
「ま、ファレスさん。互いに頑張りましょうや」
「だな。また何かあったら連絡するから。」
「ああ。こっちからもするわ。」
その会話の後2人は解散してそれぞれの任地へと向かった。
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