Defense 2 完結

パンチマン

文字の大きさ
23 / 53
消えゆく存在と国家

23 武器商人.3

しおりを挟む

午後7:30過ぎ

雨が降る夜だった。
 攻撃部隊はターゲットのいるアパート前の建設途中のビルの陰で待機していた。援護役の狙撃隊は攻撃隊のいる建設中ビルの3階で正面のアパートを監視していた。


<CPから各隊、着手せよ。>


<了解した。これより、作戦を開始する。ICICLE4援護を頼む。>


<4、了解。>


雨音が車のボンネットを叩く音があたりを埋め尽くしている中、A、B両隊はそれぞれ分散して塀や車の陰に身を隠しながらゆっくりと進んで行った。すると狙撃隊から無線が入った。


<待て、駐車場に武装したボディガードがいる。>


グーテンベルクは塀から覗き見た。


<やれるか?>


<了解。>


しばらく待っていると、ボディガードの男は倒れた。その男以外敵影は確認できない。隊は前進を再開した。四方を警戒しながら進んでいき、アパートに着いた。


「レーマン、お前達の隊は辺りを警戒しろ。俺たちが突入する。」


グーテンベルクはB隊隊長のレーマンに言った。レーマンは了解して、隊を辺りに分散させた。リストはセダンの陰に、レイはアパート側の塀から警戒していた。
 A隊の隊員達がターゲットのいると思われる部屋の前で突入準備をした。1人の隊員が扉に爆薬を仕掛けて、他の隊員達を下がらせる。辺りに緊張感が走った。「爆破するぞ」と簡潔に言うと、直後にスイッチを押して扉ごと吹っ飛ばした。
 間髪入れずに隊員達が次々と室内に突入する。が、そこにはターゲットどころかボディガードの1人もいなかった。


<ICICLE1からCP、ターゲットはいない。繰り返すターゲットはいない。>


<了解した。CICICLE1、ダートからの情報は間違いなくそこだ。ターゲットがいなくとも、情報さえあれば良い。情報や証拠を捜索せよ。>


<ICICLE1了解。>


グーテンベルクはA隊の隊員達に部屋の内部を探すよう命じた。すぐに引き出しの中や、隅々まで探し始めた。すると、テーブルの上に何やら細長い物が置いてあるのをグーテンベルクが発見した。それを手にとって、辺りにいた隊員に言った。


「おい、ダートってのはこれか?」


近くの隊員が手にとってまじまじと見た。


「多分そうじゃないですかね?レイに聞いてみたらどうですか?」


隊員の進言でグーテンベルクは無線で警戒に当たっていたレイを呼んだ。


「すぐに向かいます。」


連絡を受けたレイは持ち場を代わりの隊員に任せて部屋に向かって行った。


「もしもこれがダートだったら、厄介だな。」


グーテンベルクが隊員と会話をしていると室内にカチャっというような機械音が響いた。
 
その瞬間ー

  室内に仕掛けられていた爆薬が炸裂して、凄まじい爆風と鉄片がA隊を切り裂いた。連絡を受けて向かっていたレイも、玄関付近で爆風に巻き込まれた。爆風が抜け道だった玄関に集中したため、そこにいたレイは駐車場の車の方にまで吹き飛ばされ、フロントガラスに叩きつけられた。すると直後に隠れていたボディガード達が、ICICLE目掛けて攻撃を開始してきた。警戒していたB隊は応射し始める。


<ICICLE4、撃て!排除しろ。>


狙撃隊も援護射撃を開始して、ボディガード達を次々と倒していった。
 そんな中、レイは衝撃で視界がボヤけ、音もこもったように聞こえていた。すぐに他の隊員がレイを引きずって降ろして、レイに返事をするよう何度も呼びかけていた。数回の呼びかけと体を揺さぶられて、やっと意識を取り戻したレイは辺りの状況を把握しようと見回した。車に弾が命中して出る音、薬莢の転がる音、すぐにレイは転がったSIG553を持って車に身を隠して、応射し始めようとした。だが、体が重く感じて上手く動く事が出来ずに、553を置いて左足のホルスターからピストルを抜いて陰から撃った。
 すると後方にいたB隊員が後ろを見ながら叫んだ。


「ターゲット!車で逃げて行くぞ!」


すぐに後ろを振り返ると、奥にあった駐車場から白のセダンが猛スピードで駐車場のゲートを突破した。


「行け!逃すな!」


レーマンは近くにいたリストの方を見て怒鳴った。リストはすぐに通りの方へ駆け出して、乗ってきたSUVで後を追い始めた。それと同時にレーマンは狙撃隊にも無線を入れた。


<ポッツ!メンデス!ターゲットがそっちに逃げてる!目視しただろ、逃すな!>


2人はうつ伏せ状態から、すぐに立ち上がって、MP5を片手に3階から2階に階段を駆け降りて、そこから地上に飛び降りた。その勢いのまま、通りに出てこちらに向かって加速しようとしているセダンを視認した。距離はかなり近かった。2人はすぐに連射した。集中攻撃を食らったセダンはタイヤがバーストして雨で濡れた路面を滑りながら電柱に激突した。そして、2人は煙を吹き上げている車のに近づき、ドアを開けようとしたが鍵がしまっていた。メンデスはMP5の銃床を勢いよく振りかざして、窓ガラスを粉々に叩き割った。すぐにポッツが内側からロックを外してドアを開けた。ターゲットは顔面に切り傷を数カ所負っていたが、意識はハッキリしていて、そのまま抑え込み結束バンドで両手を固定した。


<こちらICICLE4、ターゲットの車を停車させた。>


<了解。部下がそっちに向かっている。>


2人は後から追ってきたリストを見つけた。


「こいつがターゲットで間違いないな?」


メンデスがリストに尋ねた。


「ああ、間違いない。コイツだ。」


それを聞いてメンデスはターゲットの男に黒布を被せた。


<隊長。ターゲットを確保しました。撤退しましょう。>


リストがレーマンにいった。


<もちろんだ。こっちも片付いた。合流だ。ターゲットと一緒に戻ってきてくれ。>


メンデスはターゲットをリストが乗ってきたSUVに押し込んだ。


「俺たちはコイツの車両を調べる。それに俺たちの移動手段があるから、先に行け。」


メンデスがそう言うと、リストはすぐに車を出発させてレーマンの方へ行った。
 アパート付近では、爆発のあった部屋から巻き込まれた隊員達を搬出して応急手当てを行なっていた。


「隊長!戻りました!撤退を。」


リストが言った。レーマンは頷いて辺りを見回した。


<CPからICICLE各隊、現状報告。>


<こちらICICLE2、レーマンだ。ターゲットは無事確保。だがグーテンベルクを含むA隊の隊員3名がKIA、他3名が負傷した。これより撤退に入る。>


<CP了解。警察が通報を受けて行動に入ったようだ。即座にその場を離脱せよ。アウト。>


レーマンは「撤退するぞ!」と一声かけた。車を通りに持って来させて、遺体も負傷者も乗せた。レーマンは全員が乗り込んだ事を確認して、最後に車に乗って、本拠点へと帰還を開始した。


<ICICLE4から2へ、ターゲットの乗っていた車両から数個の記憶媒体を発見。押収した。どうぞ。>


狙撃隊からの無線が入った。


<了解した。それとICICLE4、今どこにいるんだ。>


<車列の最後尾だ。>


レーマンがバックミラーを見ると、黒のセダンがピッタリついていた。レーマンは満足そうに頷いた。


<CPからICICLE、現状報告。>


<こちらICICLE2、無事帰路についた。また情報もICICLE4が押収し、ターゲットも、この車両に乗っている。>


<CP了解。>


<それと、負傷者等の手当てを願いたい。>


<CP了解。基地で待機しているぞ。アウト。>


そうして彼らはターゲットであった武器商人を確保して、基地に帰り着いたのだった。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし

かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし 長屋シリーズ一作目。 第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。 十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。 頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。 一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

処理中です...