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消えゆく存在と国家
24 新たなるステージ
しおりを挟む武器商人を捕らえたICICLEだったが、入手した情報にはロックが掛かっていて、その暗証番号を吐かすために、商人は拷問にかけられていた。
その頃特殊警備課では、ケインとシャロン宛に本庁からの通達文書が届いていた。内容は、一連の事件の対策会合を行うから出頭しろ、との事だった。
「どうせまともな内容じゃないだろうね。」
ケインは少し呆れた感じでシャロンに言った。だがシャロンは頷いただけで、ほとんどノーリアクションといったところだった。ケインは不思議に思ったが、そのまま通達文通りに出頭した。
本庁につくと大会議室に入って、後ろの方に座った。まだ人は少なく待機状態だった。
「シャロンさん。元気ないけど大丈夫?」
ケインが背もたれにグッともたれて言った。
「そうかしら?私は大丈夫よ。」
取り繕った感が丸見えだった。
「シャロンさん。前に俺に言ったこと覚えてる?」
「何の事?」
「俺が埋立地でファレスさんと電話してた時。お互い隠し事は無しって言ってたじゃないか。」
「別に私は隠し事なんてしてないわ。」
「答えてよ。」
ケインは敢えて問いただした。ケインは彼女自身の口から言って欲しいと思っていたからだ。
「私は....何も隠してないわ。」
ケインはそれ以上は何も言わずに黙って待った。小1時間で全員集まって会議が始まった。序盤は狙撃事件のことについてと、発見されたライフルについて、中盤は先日ロレーヌ州内で発生したアパート襲撃事件のこと。そして最後に今後の対応策についてと色々と説明があった。しかし、最後の今後の対応策についてケインは不信感を募らせた。
「先のブリッジ爆破事件、あの件でカデュエナス州警は基地司令を連行することで決定した。我々もそれに歩を合わせて対応して行く、なお既に決定された事、故に異論は認めない。以上解散。」
2人はすぐに会議室を出た。会議にしてはいつもより、はるかに短かった。
埋立地に戻って、第2小隊の隊員を集めて今後の展開について思案していると、事務職員が電話を持ってやって来た。
「ケイン隊長、捜査課のファレス刑事からです。」
「お、ありがとう。」
ケインは隊員達にひとこと言ってから電話をもらい、外に出た。
『どうした?』
『ケインさん。今から会えないか?電話だと少し喋りづらくてな。』
ケインはすぐに車に乗って、指定された港湾の方へと走らせた。到着すると、ファレスが待機していて、手でこ招きして来た。
「ファレスさん、急にどうしたの?」
「ちょっとな。あれから色々とマクロスとシャロンさんついて調べたんだよ。あんたシャロンさんの事について何か知ってることがあるか?」
「ビンテージさんから聞いた事くらいかな?」
「それも気になるが先に俺が調べたことを聞いてもらうぞ。まず単刀直入に言おう。シャロンはマクロス財閥の人間だ。よって例の治安活動もマクロスの仕業だ。シャロンはマクロス財閥総帥の孫娘の1人だったんだ。調べようにもここまでしか情報が出てこなくてな。それで、ビンテージっていう人から聞いたのはどんな事なんだい?」
「シャロンさんがマクロスの人間だったのか。」
「そうだ。これは確実な情報だ。で、早く教えてくれよ。」
「ああ、イーベルって知ってる?」
「もちろん。元参謀総長だろ?」
「うん。その人が多分ICICLEの指揮を執っているんだけど、1年前の治安取締活動よりも少し前にねシャロンさんとイーベルは接触していたんだ。そこで何をしていたのかは分からなかったけど。」
「そうか。こんな事を言うのも何だが、シャロンさんに事情聴取として署に連行しても大丈夫かな?」
ケインはしばらく黙って考え、そして言った。
「まだ、まだ待ってくれないかな?」
「そうか分かったよ。」
「すまんね。」
「いや大丈夫だ。それより気をつけろよ。なにがあるか分からないからな。」
ファレスはそう言うと車に乗った。
「ケインさん。わざわざありがとうね。」
「ファレスさんも気をつけてね。そんじゃあ。」
手を振って見送っていた。ケインも車に乗った。頭を掻きながら運転して埋立地に向かっていった。
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