Defense 2 完結

パンチマン

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消えゆく存在と国家

33 ロレンス

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 ロレンスは追っ手を振り切ってセグワ領空に侵入した。だが今度はオーシア空軍の迎撃機がスクランブル発進して来た。ただ既にヴェランダから連絡が入っていたのだろう、警告なしに攻撃して来た。ロレンスは機体を一回転させ、ミサイルを回避すると同時に素早く立て直して、ロレーヌ方面を再確認した。後ろを振り返る。迎撃機F22が2機大きく旋回しながら攻撃態勢に入ってくるのが見えた。ロレンスは機を反転させ降下し始めた。地上はトヨ州域で夜明けの街の灯りが目の前に広がった。速度計の針がクルクルと回りだす。もう一度振り返った。F22もほぼ垂直降下して来ている。見計らって一気にロレンスはスロットルを絞り、操縦桿を引いた。重い操縦桿を凄まじいGの中引き上げた。機体は徐々に上がり、都心部のタワーマンションスレスレで持ち直した。多分衝撃波で窓は割れているだろうな。

<く、敵F16がロレーヌに接近中。追撃中だが、このパイロット中々の腕前だ。だが性能はこっちが勝ってる。>

オーシアパイロットは機体性能にものを言わせてロレンスとの距離を一気に詰めて、ロックオン。発射した。至近距離のミサイル、ロレンスはフレアを放出しながら操縦桿を倒して引いた。またしてもGが掛かる。ロレンスはそのまま内陸地を飛び抜け再度洋上に出た。

<洋上に出たぞ、馬鹿な奴だ。これで気兼ねなく撃ち落とせる。>

パイロットはもう一度最接近して至近距離からミサイルを撃とうした。ロレンスはF22が接近してくる所を見逃さなかった。ロレンスは急激にスロットルを絞り、半ばストール状態でバレルロールした。F22は目の前上空で一回転して後ろに下がって行くF16に呆気を取られていた。ロレンスはF22をオーバーシュートさせると同時にスロットルを押し込み、アフターバーナーで出力を補った。

<な、なんだ今のは、F16であんな事が出来るのか?偏向ノズルは装備出来ないだろ!>

オーバーシュートさせられたパイロットは慌てふためいていた。

<バレルロールは基本的にどの機体も出来るが、あそこまで完璧な飛行は初めてだ。>

もう1機もロレンスの操縦技術の高さに肝を抜かれていた。ロレンスはF22を機銃の射程圏内に抑え込んだ。だがロレンスは撃たずに進路を再びロレーヌに合わせた。ハーグスを飛び越えた。

<迎撃機隊、何をしている!>

司令が慌てた様子でF22に怒鳴った。

<敵は相当な技術を有しています!撃墜は困難だ!>

ロレンスは敵機の攻撃を軽々とかわして、ロレーヌの市街地に向けて緩降下し始めた。そのコースからF22パイロットは察した。

<ば、爆撃?地上部隊!未確認機がそちらに降下中!民間人避難急がせろ!衝撃に備えろ!>

朝日が昇り、ロレンスの目の前の市街地は鮮明に見えるようになった。ロレンスは投下ボタンに手をかけた。
 距離が最も近づいた時、ロレンスは投下ボタンを押した。ガタンと両翼から中くらいのずんぐりとした物体が4つ投下された。クルクルと無規則に回転しながら落ちていき、展開している治安軍の本部のある所を中心に落下した。物体は地面に激突するやいなや、バラバラに砕け、内部から青く着色された気体が噴出し始めた。勢いよく噴出され、街中を凄まじい速度で通り抜け始めた。
 地上は大パニックに陥った。

「ガスだ!ガスだ!」

部隊は混乱して隊員は青い気体から逃げ惑うように走り出した。

『HQから各隊、状況報告!現状を知らせろ!』

作戦司令官に応答する部隊はどこにもおらず、本部にも気体が押し寄せた。

『無線を聞いているものに通達する!ガスマスクを配備しろ!大至急だ!配備が進められていない隊にも至急回せ!』

言い終わると、隊員が作戦司令官にガスマスクを渡しにきた。
 司令官の通達を聞いた隊員らはガスマスクを装着して、手一杯にガスマスクを持って隊員たちに配り始めた。

「おい!お前、何やってるんだ!早くガスマスクを回せ!お前は、避難誘導だ!ボケットするんじゃねえ!」

部隊長が戸惑う隊員を一喝している時に、軍用犬の群れがこちらに向かって吠え続ける様子を見て手が止まった。軍用犬は吠え止まず、ずっと吠えている。その犬だけでなく、周りにいる群れも逃げ惑う隊員の方に吠え続けていた。
 応援要請を受けて出動した保安庁の機動防除隊が部隊長の本に到着した。

「指示をお願いします。」

「あぁ、この大気は有毒なのか?」

除染隊は首を傾げて、機器を取り出して計測した。結果は全くの無害、ただの着色されたガスだった。

『HQ聞こえるか、このガスは無害だ。着色されたただのガスだ。どうぞ。』

作戦司令官はそれを聞いて外に出た。そこに到着した機動防除隊員たちも同じことを言っている。既に何人かの隊員はマスクを外していた。

『HQ確認した。全部隊、持ち場に戻れ。ガスは無害だ。持ち場に順次戻り続報を待て。』

作戦司令官はすぐに投下した機体と所属を解析するよう情報官に指示を出した。


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