Defense 2 完結

パンチマン

文字の大きさ
37 / 53
消えゆく存在と国家

37 奮起

しおりを挟む

リストとロベスピエールは二階につき、一室のドアを開けると中に鉄製の強度のあるドアがまた現れた。

「これか?」

リストが不思議そうに見て尋ねた。

「そうだ。中には満足のいく銃があるし、応急用の簡易医療具もある。あと盾もだ。」

すぐにロベスピエールがドアを開けた。鉄製の重厚感あるドアが開くと、中に多数の銃器が置かれていた。リストは辺りを見回して言った。

「こんなにも重厚なのに、置いてある武器は小銃ぐらいなのか。」

すぐにロベスピエールは反論した。

「重火器は売りさばいた。今はこれだけしかないんだ。」

リストはM4を二丁取り、ファストエイドも持った。

「手榴弾はないのか?」

「さすがにそこまでは仕入れてない。」

ロベスピエールはそう答えると、盾を持ち出した。一通り装備を揃え終えて、階段に差し掛かった。だがすぐ目の前に敵弾が着弾して簡単に通れそうには無かった。

「私に任せてくれ。」

ロベスピエールはリストの前に立って盾を構えた。リストは心配して背中を見て言った。

「大丈夫か?」

「これも国を守るため、だろ?」

ロベスピエールは振り向かずに言った。

「任せたぞ。」

リストは若干微笑んで言い、ロベスピエールは階段をゆっくり降り始めた。盾に弾が当たって金属音を鳴らすと同時に火花を散らした。リストはロベスピエールの背中に手を置き、時折背後から身を覗かせて、ピストルで数発応射した。時折弾が近くをすり抜けていくのを感じながら怯まず進み、なんとか一階の部屋に戻りついた。リストは背負ったバックを下ろしてファストエイドやマガジンを取り出した。しかしリストは目の前の異常をすぐ察知した。

「レイ!」

それはレイだった。仰向けで倒れたレイの元へ駆け寄って様子を伺ってみた。全身焼け焦げたような跡が出来ていて、またレイは右手を顔の当たりに覆わせていた。それだけでなく左腕には鉄片が無数に刺さり込み、血塗られているようだった。レイは痛みに喘ぎ苦しんでいた。

「大丈夫か?レイ!」

リストは顔を覆うレイの手をどかした。

「リスト.....目が、目が見えない....それに左腕の感覚が.....ない」

見ると、レイの目の周りにはいくつもの鉄片が刺さっていて目の周りが真っ赤になっていた。また服の左腕の袖をたくし上げて見ると、腕の肉が裂け酷く出血しているようだった。リストは一瞬言葉を失ったが、すぐに切り替えた。

「なにがあった?」

「足元に手榴弾が転がって.....投げ返そうと思ったら.....目の前炸裂して.....それで咄嗟とっさに身構えたら.....そこからは分からない...」

「だ、大丈夫だ。しっかりしろ。」

「目が見えない...左腕の感覚が無い....怖いよ....」

「落ち着くんだ。助かる可能性はある。」

リストは声をかけて落ち着かせようとした。するとそれを見たロベスピエールがすぐに言った。

「ファストエイドじゃ無理だ!」

「分かってる.....」

レイは激しく息を切らし、吐血までし始めた。しかし現状の応急処置用のファストエイドだけでは対応しきれない事は、火を見るよりも明らかだった。あっという間に患部に当てたガーゼは真っ赤になっていく。応急処置じゃ無理だ。リストはブリュメールとレイの様子を見て切り替えた。敵を倒し、この場を切り抜けて病院へ向かった方が早い。リストはロベスピエールの方を見て言った。

「敵を倒して病院へ運ぶ。」

「分かった。」

返事をしてロベスピエールはM4を持って壁際に寄り威嚇射撃をし始めた。

「リスト...」

レイはロベスピエールの援護に行こうとしたリストの名を呼んだ。リストはすぐにレイに寄ってひざまずいた。

「敵を倒して病院へ送る。それまで耐えてくれ。」

リストはレイに言い聞かせた。

「耐えてみせるよ...」

リストは焦燥感に駆られながらも床に置いたM4を拾い上げて、振り返ってロベスピエールの方に向かった。

「敵は少なくなってる。彼女のおかげだ。」

ロベスピエールはM4で撃ちながら言った。リストは壁から頭を出して視認した。けれども依然として銃撃がされていて、なかなか反撃が出来ずにいた。リストとロベスピエールは隙を見計らっては反撃するが、人数で勝る敵は制圧射撃をしながら徐々に距離を詰め始めて来た。焦ったロベスピエールは釘付け状態にもかかわらず、身を乗り出そうとした。

「待て!」

リストがロベスピエールの体を押さえ込む。しかしその拍子に右腕に激痛が走った。すぐに壁にもたれかかって見てみる。

撃たれた.....

「すまない!私のせいだ。」

「大丈夫だ。けどそんな事より....」

どうやって切り抜けるか、陰に隠れて必死に考えを凝らしていると、なにかの音が聞こえてきた。それはロベスピエールにも聞こえていたのだろう。彼もまた不思議そうにリストの顔を見た。

「車の駆動音....?」

「奴らの増援かもしれないな」

ロベスピエールは覚悟を決めたようだった。そして胸ポケットから情報を取り出した。

「最悪、この暗証番号も識別できないように粉々にしないといけない。」

ロベスピエールはリストの方を見ていった。だがリストは諦めていなかった。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし

かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし 長屋シリーズ一作目。 第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。 十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。 頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。 一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

処理中です...