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独立への戦い
42 出撃
しおりを挟む雪解けが進みはじめた頃、特殊警備課の埋立地のグラウンドケインとビンテージ、それに、シャロン、リスト、アンディー、スバルの6人が待機していた。談笑しながら待機していると、ケインの持っていた無線機から連絡が入った。
<ケイン副課長、こちらテイラー。聞こえますか?本庁を今離陸しました。すぐに到着します。待機しといてください。>
<おう、了解した。>
ケインは無線機をしまい、出撃する4人の方を改めて向き直した。シャロンも3人に一声かけ、対面する形で整列した。
「改めてだが、よく来てくれたな。アンディー、リスト、スバル。お前たちの任務はシャロン隊長の指示に従い、現地州警と協力してイーベルを確保することだ。お前たちには一切の責任は無い。思う存分やって来てくれ。」
ケインは整列した4人を端から端まで見渡して、ゆったり言った。
本庁からそう遠くないため、既にヘリコプターの音が聞こえてきている。ケインは更に続けた。
「情報は任せてくれ。だから心配せずに任務に集中してくれ。頼むぞ。」
ケインが言い終わると、一呼吸置いて、シャロンは「敬礼!」とキッパリと言った。4人は敬礼してケインを見た。ケインも敬礼で応え、再度見渡した。
その後、ヘリがグラウンド上空にやって来た。雪と砂を巻き上げながらグラウンドに着陸し、搭乗員がドアを開けて地上に降り立って、搭乗するのを待機していた。
「全員乗車!」
シャロンの一声で、リストらはヘリに向かって駆け足で移動し始めた。それに続いて駆け出そうとしたシャロンをケインは呼び止めた。
「シャロンさん?」
ケインの呼びかけにシャロンは足を止めた。
「さしつかえても、ってのはやめてね。俺、待ってるから。生きて帰って来てよ。」
シャロンはしばらく立ち止まったままだったが、ケインの呼びかけには答えず、無言のままヘリに乗り込んだ。
<それではケイン副課長。ノーザンライト州に向けて発進します。>
テイラーがコクピットからケインの方を見て言った。ケインは無線機を取り出した。
<了解。健闘を祈る。>
<了解!離陸します!>
ヘリのエンジン音が一層大きくなり、上昇しはじめた。ケインは地上から真上でホバリングするヘリを見上げていた。
<ノーザンライト州に向けて発進します。>
ヘリがゆっくり前進し始めた。シャロンはヘリ内から眼下に広がるロレーヌまじまじと見渡していた。
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