Defense 2 完結

パンチマン

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独立への戦い

41 招集

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約10日後


「アンディー!なんか、お前に用がある人が呼んどるぞー!」

とある州に建てられたPTSD(心的外傷後ストレス障害)患者の為の医療施設の院長が、アンディーの名を呼んでいた。

こんな時に誰なんだろうか。

アンディーはどういうことか説明してもらおうと、すぐに院長の元へ向かった。訳を尋ねてみると、院長は小声で喋り始めた。

「わしも知らんのだよ。君の名前を言って、話があるとしか言わんのだ。」

アンディーも小声で答えた。

「ええ...でも院長、心当たりないんですよ?さすがにヤバいでしょ?」

「行くしかないだろ!あんまり待たせたら変に思われる。」

「ええ....」

アンディーは仕方ないと割り込んで、そっと玄関口から外の様子を伺ってみた。黒い外套がいとうを来た男の背中が見える。声をかけようと思い、そっと近づいた。

「あの....」

すると玄関口にいた男は振り返ってアンディーを見た。

「遅い!」

アンディーはその顔を見た瞬間胸をなでおろした。

「ケイン隊長....何日か前に来た時は3週間後また来るって言ってたじゃないですか。焦りましたよ。」

「訳あってそうしたんだよ。ほら、行くぞ?」

「い、行くぞってどこにですか?」

「戦いに行くんだよ。戦いに。」

ケインはアンディーの腕をがっちりと掴んで車に押し込んだ。

「ちょ、まだ院長に言ってないです!」

ケインは運転席に乗り、荒々しくドアを閉めていった。

「後で伝えとくから。じゃあ出発。」

ケインはアンディーに有無を言わせず埋立地に直行した。高速に乗って30分程で埋立地に到着した。
 アンディーはケインに言われるがまま隊舎へと入り、二階のホールで待機させられていた。奢りで渡されたインスタントコーヒーを片手に待っていると、ケインが現れた。

「こっち。」

ケインはその場で手招きして、ロッカー室へ誘導した。

「3番のロッカーね。装備一式あるから取り敢えずそれに着替えちゃって。俺は隊長室にいるから着替え終わったら来てくれよ。」

「はぁ....」

アンディーはロッカールームに入り、3番のロッカーの前行き、開けた。すると入っていたのは、5年前と同じ旧セグワ軍の白色戦闘服だった。それを見たアンディーは久しぶりの軍戦闘服に高揚しながら着替え、済ませたアンディーはロッカールームを後にして、急いでそのまま隊長室に向かった。隊長室の扉を開けて中に入ると見覚えのあるメンツがいた。

「リスト!スバル!」

リストとスバルもまた戦時中と同じ戦闘服を着ていた。

「久しぶりだなぁ。」

リストはアンディーに歩み寄り、手をガッチリ掴みあった。それを見たケインは椅子に深く腰掛けて言った。

「いいねぇ。若気の至りってやつだねぇ。」

だがケインは久しぶりの再会のはずなのに、それっぽい反応をしないスバルを見て不思議に思いスバルに尋ねた。

「スバルはアンディーと会うの久しぶりじゃないの?」

するとスバルは満面な笑みを浮かべて言った。

「久しぶりじゃないです。」

するとアンディーが身長の高いスバルのとなりに並んで言った。

「こいつとはよく射撃場行ってまして。」

ケインは少しがっかりしたような表情をして座り直した。そしてデスクに腰掛けていたシャロンが立って見渡し、発言した。

「全員揃ったわね。」

ケインとビンテージを含む5人がシャロンの方を見た。

「私は保安庁特殊警備課課長、シャロン。皆に集まってもらったのは今回の騒動を終わりにするためよ。」

シャロンはそう言って室内に置かれたホワイトボードにセグワ島の地図を貼り付け、一番北の離島を指差して言った。

「2日後、私たちはこの島に乗り込むわ。そこにはICICLEのリーダー、イーベルがいる。」

全容が把握しきれていないアンディーとスバルは困惑していた。それに気づいたケインはすぐに解説してやった。

「イーベルってのは5年前のセグワ軍参謀総長だ。いくら下っ端の兵士だったからってそのくらい覚えとけよな。」

2人が理解したのを見てシャロンは、北端の離島、ノーザンライト州の拡大地図を指差して続けた。

「今イーベルはこの湾沿いの事務所に潜伏している。既にそこにいる男、ビンテージの回した部下からの情報よ。ケインさんとビンテージを除く私たち4人はこの島に向かい、現地警察の特殊部隊と共にイーベルを確保する。そして私たちが確保したのを見計らって、リストが入手した情報を公表する。」

ビンテージは鼻で笑い、シャロンを見た。

「その島に行くにはどうやって?」

するとアンディーがシャロンの指差す拡大図を見て言った。するとケインが横から答えた。

「それは俺が何とかするから。気にするな。」

頷いて納得した。

「君たちは警察官でもなければ、保安庁職員でもない。よって自警団的存在として扱わせてもらうわ。潜伏しているのがイーベル1人だけなのかは定かでは無いけど、どちらにせよ確保しなければならないのには変わりがない。現場の状況は刻一刻と変わるだろうから臨機応変に対応を頼むわ。」

シャロンがそう言い終わると、壁に寄り掛かっていたビンテージが、旧セグワ軍式の防弾ヘルメットと防弾ベスト、膝当てを取り出して置いた。

「この装備はケインさんのパイプで取り寄せたものよ。いずれも本物でちゃんと防弾性能はあるから心配せずに着用してちょうだい。」

3人はそれぞれの防弾装備を着用した。それを見たケインは椅子から立ち上がった

「よし、準備はいいな。行こう。」

ケインは室内にいた全員に向かって言った。

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