遠い隣人との狂想曲(改訂版)

五味

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序章

世界のこれまで

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新暦1,000年を迎えた記念すべき年。
人類は遂に地球の所属する天の川銀河全体の調査をほぼ完了した。外縁部には未だに未調査域が残る物の、そもそも恒星系も存在しないエリア。調査の必要性もあまりに薄い。
しかし、銀河調査の目標の一つでもある、知的生命体が同銀河内に存在しないことが証明された。万が一恒星系に所属しない小惑星などに、そのような声も上がるがもはやそれを信じるものなどいはしない。
多くの物にとって、夢見ていた発見は存在しない、そう完全に証明されてしまった。
次に近いマゼラン銀河までははるか遠く、次元航法、二点間を距離に関係なく移動する技術は存在せよ、その為には大規模な施設の設置が求められる。つまり、次の銀河の調査が始まるのは未来の話となった。
この事実は多くの人を落胆させた。

しかしながら、資源の収集というのも目標の一つであるため人類は次へとその足を延ばさざるを得なかった。
また、それが現在の人類における、唯一の共通目標でもある。足は今更止められはしない。

目標を次の銀河へと更新し、いざ調査へと乗り出そうとした時、突如未確認の物体に、銀河辺縁部調査団が襲撃を受ける。
襲撃を受けた調査団は当事件の報告を最後に連絡が途絶。また、定期的に送信される機体の位置情報、それも二度と送られることは無かった。
当該未確認物体に関して、混乱状態の調査団員による通信、映像記録しか残らなかった。

該当地域は、ワープアウト先の安全を確保するため、宙域図は探査船から送られていたものが存在するものの、そもそもの目的がワープ用施設の設置、その事前調査が目的であった。
その為救助に向かうにも、実態を調査するにも相応の時間が必要となった。
最期の報告から2月後、予測される事態に対応するための大艦隊が、該当宙域を目視できる距離に到着した際、確認できたものは無かった。調査団が利用した機体、その残骸ですら。
位置情報の間違いを疑いつつも、艦隊は進行し、該当宙域に侵入した際突如として襲撃を受ける。
しかし艦隊の2割近い損害を出しながらも、襲撃してきた物体の排除に成功する。

破壊後の残骸から炭素ではなく、珪素が構成比として70%を超える動体であり、襲撃と呼べるほどの意思が確認されたため物体を珪素生命体と呼称することが決まる。戦闘中、高速で動くその生命体に対し、各種センサーが向けられたが、残留物と変わらず、また、水を含まないと判断がなされたのが要因でもある。
人類が初めて発見した、大型の別種生命体。珪素生命体との接触、通信は幾度も試みられるもそのすべては失敗に終わる。
人類は珪素生命体を改めて敵対生物と認定。

同珪素生命体は、まるで人類を天の川銀河に閉じ込めることを目的としているかのような振る舞いを見せた。
天の川銀河から数光年の距離までは決して近寄らず、観測もできず。
10光年離れた位置に到達した途端に、どこからともなく現れ襲い掛かってくる。
襲撃の際は突然数十から数百の規模が索敵範囲内に現れる。ワープに伴う空間への影響等を伴わず、それが当然とばかりに、そこに忽然と発生する。
襲撃を受けた際全滅をすると、戦闘の合った場には何も残らない。
撃破に成功した残骸、その本体に比べてあまりにも小さな、人間の拳、その半分程度の物を調べたところで、得られるものも何もない。ただ、成分分析が可能なだけであり、それが人類の持つ兵器を超える機動力、速度を生み出す理由が解ることもない。

当初その物体構成比から、何者かによる制作物と考えられたが、現在のところ各個体の構造に有意な共通性が発見できず、また、何者かが操作しているのだとして、目的も手段も不明。

次なる目的地への進出に非常に大きな問題が立ちふさがることとなった。
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