底辺冒険者だけど魔法を極めてみることにした ~無能スキルから神スキルに進化した【魔法創造】と【アイテム作成】で無双する~

蒼乃白兎

文字の大きさ
1 / 32

01話 【アイテム作成】の進化

しおりを挟む
 ザシュッ!
 ザシュッ!

 青色のスライムを2体を倒した。
 そしてスライムから魔石を回収して、一息つく。

「ふぅ……」

 地べたに座りながら俺は自身のステータス画面を開いた。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 ロア・フォイル 19歳 男 
 レベル:49
 HP:200/200 MP:250/250
 攻撃力:60
 防御力:45
 ユニークスキル:【アイテム作成】

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「HPは減ってないな。よし、それじゃあ次の階層へ進もう」

 前方の階段を降りていき、ダンジョン攻略を再開する。

 俺が今攻略しているダンジョンは『フォイルのダンジョン』というFランクダンジョンだ。
 フォイル村にあるダンジョンだから、フォイルのダンジョン。
 そして俺はフォイル村出身のロアだから、ロア・フォイル。

 お察しの通り、フォイル村は小さな村で、そこに住む俺の身分もかなり低い。
 職が無いからこうやって誰でも出来る冒険者をしている訳だが、1年続けても実力は底辺だ。


 なぜ? と思うだろう。


 ユニークスキル【アイテム作成】は一見、冒険者に向いてそうなスキル名だ。
 だが、このスキルは明らかな欠陥を抱えている。
 何故ならアイテムを作成するには、レベルと引き換えにする必要があるからだ。

 例えば、

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 [紙] 消費レベル:1
 [蝋燭] 消費レベル:2
 [ロープ] 消費レベル:3
 [HP回復薬] 消費レベル:10
 [銅の剣] 消費レベル:15

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 そう、こんな感じで俺はアイテムを作成することが出来る。
 これでアイテム屋を開けるのなら、俺は商人として成功を収めれたかもしれない。

 しかし、アイテム屋を開く資金も無ければ、お店に並べるだけのアイテムを作成する時間もかなりかかるため、その夢は儚く散った。

 参考までに、俺がレベル1からレベル10に上げるまでに一週間ぐらいかかる。
 何故なら雑魚モンスターしか倒せないため、貰える経験値が少なすぎるのだ。


 そして悲しいことに、何もユニークスキルを持たない普通の人ならレベルを上げるだけである程度は強くなることが出来る。



 普通は、レベルが上がったときにスキルポイントというものが貰える。
 スキルポイントを使えば、スキルの取得やスキルのレベルを上げることが出来る。

 だが俺は【アイテム作成】を所持しているせいか、スキルポイントを得ることが出来ない。
 だからレベルが上がっても他の人に比べて、全くと言っていいほど強くならなかったのだ。

 ちなみに魔法を覚える際もスキルポイントが使える。
 しかし、魔法系統のユニークスキルを持っていないと強力な魔法を覚えることは出来ないらしい。

 なので、戦闘に縁がない人はレベルが上がったとき、生活魔法をメインに取得するみたいだ。


 しかし俺はレベル上げ問題を解決すれば、金を稼げるようになるのでは? と考えたこともあった。
 レベルさえ上がれば【アイテム作成】がちゃんと機能してくれる。


 つまり『パーティ』を組むことが出来れば、経験値は分配され、一人よりも効率よくレベルを上げることが出来るのだ。


「(利点や計画を説明)……このように【アイテム作成】を上手く利用することが出来れば、価値の高いアイテムを量産することが可能だ! どうだ、パーティを組まないか?」

「組まない。確かにお前をパーティに入れれば金は稼げるかもしれないが、そんなことをしなくても戦える奴を加えれば、倒せるモンスターの質が上がり、経験値と金、両方稼げる」


 その通りなのだ。
 俺はそれを敢えて説明しなかったというのに、俺に騙されるパーティはいなかった。

「ロアは無能だ」という前提があるため、もともと聞く耳持たれていないのだと思う。
 俺がスキルポイントを得られないのは周知の事実なのだ。

 ……と、まぁそんな経緯があり、俺は【アイテム作成】を使うことなく、レベル上げに励むようになった。
 俺とパーティを組む者はいなく、個人の実力も低いため、倒せるモンスターは低ランクだけだ。

 モンスターを倒して、少ない小銭を稼いで、なんとか生きていく。

 その生活を1年続けて、やっと49レベル。

 あまり高いレベルではないが、というよりもかなり低い部類だが、それでもモンスターは楽に倒せるようになってきている。
 その分、必要な経験値を低ランクモンスターでは全く稼げず、レベルが全然上がらなくなっている。

「次で最下層、か」

 1年間を振り返っている内に俺は『フォイルのダンジョン』の最下層の直前まで辿り着いた。
 いつもならここで引き返す。
 何故ならダンジョンの最下層には、ボスモンスターが出現しているため俺一人では危険だ。

「死んだら死んだで後悔する事はないな」

 俺は夢も希望もないこの生活とおさらばしたかった。
 もし今日俺が『フォイルのダンジョン』のボスを倒すことが出来れば、ほんの少しだけ希望が見えて来る。
 そうなれば俺はまた、これからの生活に耐えることが出来る。

 俺が死ねば──そこで終わり。
 この生活をやめる、という望みが果たされる。
 最善の解決策とは言えないがな。

 ただ、これから危険の伴う命懸けの戦いをしようと言うのに、心は自分でも驚くほど落ち着いていた。

 階段を降りていく。

 降りた先には、結界がある。
 結果を超えると、もう後戻りは出来ない。

 ダンジョンボスを倒して転移結晶に触れる。
 もしくは[転移石]を使う。

 この2つの方法以外で最下層のボスの間から出ることは出来ないのだ。
 生憎だが、貧乏人の俺は[転移石]など持っているはずもない。

 
 俺は躊躇うことなく、結界の中に入って行く。


 その先にいるのは骸骨剣士だ。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【骸骨剣士】 
 推奨討伐レベル:50
 ランク:E
 《フォイルのダンジョンボス》

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 推奨討伐レベルは俺とほとんど変わらない。
 ……もしかすると勝てるかもしれない。

 俺は駆け出し、骸骨剣士に斬りかかった。
 奴の持つ武器は粗悪な剣だ。
 刃こぼれもしている。
 しかし魔法効果が掛かっているのか、見かけよりも切れ味が鋭い。

 対する俺の武器は15レベル消費して作成した『銅の剣』だ。
 苦労して稼いだ15レベル。
 お前なんかに負けられねぇ!

 骸骨剣士の攻撃が頬や腕をかすめる。
 HPが段々と減っていく。

 俺の攻撃も骸骨剣士に直撃する。

 ……くっ、骸骨剣と実力が拮抗している。
 ギリギリの戦いだ。

 だがな、俺は地道に1年間頑張ってきた重みがある。
 身についた技術なんてもんは素人に毛が生えた程度。
 でも俺は絶対に負けない!
 お前に勝って、希望を手に入れる!

「うおおおおおおオオオォォォォ!」

 ズバッ!

 俺の剣が骨を切り裂き、骸骨剣士の首を刎ねた。
 骸骨剣士は操り人形の糸が切れたように、地面に崩れ落ちた。
 骨を切り裂いた衝撃で手がじんじんと痛い。

「1年間頑張ってやっとFランクダンジョン踏破か……。はは、こうして報われるなら案外悪くねーな」

 俺はそう呟くと、一気に緊張感が無くなって、どさっと地面に座り込んだ。


『レベルが上がりました』


 頭の中で神の声が響き渡る。

 お、レベルが上がったようだ。
 Eランクのモンスターだからな。
 今まで狩ってきたFランクのモンスターとは経験値量が違うか。

 しかし、これで50レベルか。
 区切りが良いな。




『【アイテム作成】が【魔法創造】に進化します』




 聞きなれないワードが頭の中に響き渡った。




 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 ロア・フォイル 19歳 男 
 レベル:50
 HP:210/210、MP:260/260
 攻撃力:60
 防御力:45
 ユニークスキル:【アイテム作成】【魔法創造】

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。 在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

ハズレスキル【分解】が超絶当たりだった件~仲間たちから捨てられたけど、拾ったゴミスキルを優良スキルに作り変えて何でも解決する~

名無し
ファンタジー
お前の代わりなんざいくらでもいる。パーティーリーダーからそう宣告され、あっさり捨てられた主人公フォード。彼のスキル【分解】は、所有物を瞬時にバラバラにして持ち運びやすくする程度の効果だと思われていたが、なんとスキルにも適用されるもので、【分解】したスキルなら幾らでも所有できるというチートスキルであった。捨てられているゴミスキルを【分解】することで有用なスキルに作り変えていくうち、彼はなんでも解決屋を開くことを思いつき、底辺冒険者から成り上がっていく。

世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~

aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」 勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......? お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?

召喚されたら無能力だと追放されたが、俺の力はヘルプ機能とチュートリアルモードだった。世界の全てを事前に予習してイージーモードで活躍します

あけちともあき
ファンタジー
異世界召喚されたコトマエ・マナビ。 異世界パルメディアは、大魔法文明時代。 だが、その時代は崩壊寸前だった。 なのに人類同志は争いをやめず、異世界召喚した特殊能力を持つ人間同士を戦わせて覇を競っている。 マナビは魔力も闘気もゼロということで無能と断じられ、彼を召喚したハーフエルフ巫女のルミイとともに追放される。 追放先は、魔法文明人の娯楽にして公開処刑装置、滅びの塔。 ここで命運尽きるかと思われたが、マナビの能力、ヘルプ機能とチュートリアルシステムが発動する。 世界のすべてを事前に調べ、起こる出来事を予習する。 無理ゲーだって軽々くぐり抜け、デスゲームもヌルゲーに変わる。 化け物だって天変地異だって、事前の予習でサクサククリア。 そして自分を舐めてきた相手を、さんざん煽り倒す。 当座の目的は、ハーフエルフ巫女のルミイを実家に帰すこと。 ディストピアから、ポストアポカリプスへと崩壊していくこの世界で、マナビとルミイのどこか呑気な旅が続く。

処理中です...