底辺冒険者だけど魔法を極めてみることにした ~無能スキルから神スキルに進化した【魔法創造】と【アイテム作成】で無双する~

蒼乃白兎

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02話 【魔法創造】

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【アイテム作成】が【魔法創造】に進化……? 
 ステータスを見ると、スキルの欄に【魔法創造】が追加されている。
【アイテム作成】を所持したまま、どうやら新しく【魔法創造】を手に入れようだ。
 だったら進化じゃなくて入手じゃないの?
 まぁどうでもいいが。



「……いや、ちょっと待て……進化……?」



 俺は進化というワードを聞き、【魔法創造】の効果を想像した。
 進化なら、もしかすると──。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 《火粉》 消費レベル1
 《飲水》 消費レベル1
 《発光》 消費レベル1
 《記述》 消費レベル1
 《清潔》 消費レベル1

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 予想通りだった。
【アイテム作成】の進化ならば、レベルを消費して対価を得るスキルなのは明白。
 つまり、だ。

「レベルと引き換えに魔法を取得出来るスキル……」

 言葉にして、その有用性が凄まじいことに気付いた。

 今まで俺は【アイテム作成】を利用したくてもレベルを稼ぐのが難しくて、使う機会が滅多に無かった。


 しかし、魔法があれば──。


「経験値の多い強力なモンスターを倒すことが出来る……」


【魔法創造】がいかにヤバいスキルなのか、俺は瞬時に理解した。

 これはレベルを消費してもリセットにならない。
 レベルを消費すればするほど、強力な魔法を手に入れることが出来るため、経験値を稼ぐ効率は上がる。


「……は、ははっ、ハハハハハハ!」


 腹から笑いが込み上げる。


 骸骨剣士を倒して僅かな希望を掴めれば良い……そう思っていたが、俺は思わぬ物を手に入れてしまったようだ。



「──このスキルがあれば今までの生活を変えられる」



 生きていくだけでやっとの生活から抜け出せる。

 いや、金持ちにだってなることが出来る。

 そのために俺は【魔法創造】を有効活用してやろうと思った。




 ◇



 最下層の転移結晶に触れて《フォイルのダンジョン》から出てきた俺は、冒険者ギルドで戦利品を換金する。


「おい……見ろよアレ」
「無能のロアだぜ。今日もご苦労なことだな、へへへ」


 ギルドに入ると、俺はみんなの笑われ者だ。
 よく言えば、このギルドのマスコットである。
 俺以上に底辺の冒険者はいないからな。
 こうやって馬鹿にされるのも慣れたものだ。


「おい、ロア。今日も無様に一人でせこせこ金稼ぎかぁ?」
「ま、そんなところだ」


 俺の前に現れてわざわざ馬鹿にしてくる奴は主にコイツ──魔法使いのカーターだけである。
 カーターは【風の魔法使い】というユニークスキルを持っていて、将来有望の魔法使いらしい。

 と言ってもカーターは同じ19歳で冒険者ランクもEで、そんなに高いわけではない。
 多分、それよりもずっと底辺である俺を馬鹿にして優越感に浸りたいのだろう。

「かわいそうだなぁお前。僕みたいに魔法が使えればな~? どうだ、羨ましいか?」
「別に」
「はっはっは! 羨ましくても、悔しくて言い返す言葉がないよなぁ! 無能なんだからさぁ!」

 やれやれ。
 コイツとは会話にならないからな。
 無視が一番だ。

 それにしても、こんなのに馬鹿にされながらでも俺が冒険者を続けているのは何故か? 
 不思議に思うところだろう。
 少しだけ事情があったのだ。

 俺は物心ついた頃から両親が居らず、孤児院で育った。
 15歳になると俺は孤児院から出て、宿屋で寝泊まりをしながら冒険者ギルドの清掃員として働いた。

 今みたいな最底辺の冒険者をするよりは賃金は多かったが、そこまで変わらない。

 18歳のときに突然、【アイテム作成】のスキルに目覚めてからは清掃員を辞めて冒険者として活動を始めた。
 あまりに稼げないので清掃員に戻ろうとしたら、既に枠が埋まっていた俺は仕方なく冒険者を続けていたわけである。
 ちくしょう。

 ……ま、今日の報酬は骸骨剣士を倒した分、今までで一番多いんだけどな。


 なので今日はいつもより豪勢な食事をした。
 パンと野菜スープに加えて干し肉を食べた。
 俺は美味しい肉を食べたことが無いので、干し肉を食べるたびに肉厚なステーキを食べているところを想像する。
 きっと、かぶりついた瞬間に肉汁が飛び出てくるのだろう。
 そして肉も豆腐のように柔らかいのだ。
 想像上のステーキなので、実物は違うかもしれない。
 今日食べた肉は干し肉だったが、久しぶりの肉はやっぱりコレでも美味いもんだ。




 食事を済ませた俺はいつも寝泊まりしている宿屋にやってきた。


「よし、それじゃあお楽しみの時間といこうか」


 骸骨剣士を倒して取得した【魔法創造】のスキルについて色々と調べていく。
 正直ずっとワクワクしていた。

 さて、どんな魔法があるだろうな。

【魔法創造】を開き、魔法を確認していく。

 現在、俺のレベルは50。

 だから、どうせなら消費レベルの多い魔法を選びたい。
 強力な魔法を手に入れることが出来れば、それだけでレベル上げの効率は格段に上がるだろう。

 というわけで消費レベルが50の魔法に注目した。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 《豪火球》 消費レベル50
 《水塊砲》 消費レベル50
 《風刃》 消費レベル50
 《投雷》 消費レベル50
 《土砂流》 消費レベル50

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「おお!」


 結構カッコいい魔法がいっぱいあるじゃないか。
 これを今すぐ取得できる?
 テンション上がるな。

 ……待て待て、落ち着けよ、俺。

 今勢いで《豪火球》を取得しそうになったけど、ちょっと待つんだ。
 気持ちは痛いほど分かる。
 火ってなんか見るからにカッコ良さそうだし、魔物に対しても有効打が多くて優秀だろうさ。
 そう、でもここで焦ったらダメだ。
 まずは一旦落ち着くんだ。

「すー、はー、すー、はー」

 深呼吸をして心を落ち着ける。

「……ふぅ、落ち着いた」

 ん、落ち着いた拍子に良いことを思い出したぞ。

 これが【アイテム作成】の進化スキルなら魔法の詳細を知ることが出来るんじゃないか?


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 《豪火球》
 消費MP:200
 基本ダメージ:4000
 属性:火
 詠唱時間:3秒

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 ほうほう、消費MPは200か。
 俺のステータスってどれだけだったかな。
 MPとか全然気にしないから覚えてないんだよな。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 ロア・フォイル 19歳 男 
 レベル:50
 HP:210/210、MP:260/260
 攻撃力:60
 防御力:45
 ユニークスキル:【アイテム作成】【魔法創造】

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 俺の最大MPは260か……。

 200は消費MP高いな。
 これだと1発打ったら終わりだ。
 流石に使い勝手が悪すぎる。



「あ、あぶねぇ……。一回冷静になって本当に良かったな」



 ホッと胸を撫で下ろす。

 《豪火球》がダメならワンランク下の魔法を覚えれば良いんじゃないか?
 それなら丁度良い気がする。

 ワンランク下は……消費レベル25の《火槍》か。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 《火槍》
 消費MP:40
 基本ダメージ:1200
 属性:火
 詠唱時間:4秒

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 お、これなら6回ぐらい打てるな。
 ダメージもそこそこ高い。
 いや十分高いな。
 1200って俺を6人分ぐらい倒せるダメージだな。
 そんなの今までの俺には不可能である。
 消費レベルも25だし、まだレベルも余る。
 今のところ《火槍》を取るのが一番無難かもな。


「よし決めた。俺が初めに取得する魔法は《火槍》だ」




『【魔法創造】の効果により《火槍》を創造しました』



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