11 / 32
11話 難攻不落の少女
しおりを挟む
よし、レベル50になったし《豪火球》を取得できるな。
……ん? なんか忘れてないか?
あ、そうだった!
俺はソニアを助けるためにキングフロッグと戦ったんだった。
周りを見て、倒れているソニアを発見。
近寄って、声をかける。
「おーい、大丈夫か? 生きてるかー?」
「……はい、一応」
力のない声だった。
もしかすると、HPが低くなりすぎて危ない状況なのでは?
……ありうるな。
しゃーない。
[HP回復薬]を作ってやるか。
『【アイテム作成】の効果により[HP回復薬]を1つ作成しました』
現れた[HP回復薬]を持って、ソニアに再び話しかける。
「……あの、あなたは大丈夫ですか?」
「他人の心配をしている場合か。今は自分のことだけ考えてりゃいいんだよ。ほら、飲めるか?」
「……いえ、こんな高価なもの、頂けません……」
「いいからいいから」
「……すみません、飲ませてくれませんか……? 力が入らなくて……」
セリフだけ見れば恥ずかしそうに言いそうなもんだが、ソニアの表情は疲労困憊って感じでとても辛そうだった。
「任せろ」
ソニアの背中を支え、上半身を起こし、[HP回復薬]を少しずつ飲ませてあげた。
「すごいですね……[HP回復薬]でこんなに元気が出るなんて……」
「元気になってくれたようで何よりだ」
「ありがとうございます。命を助けてもらったうえに高価な[HP回復薬]まで頂いちゃって」
「ほっとけないだろ。ここで見殺しにしたら、せっかく助けた意味もなくなる」
「……ふふっ、とても優しいんですね」
笑うと結構可愛いなコイツ。
なんとなくだけど、雰囲気も和んだ気がする。
「それでソニアはどうして一人でダンジョンボスと戦っていたんだ?」
「……あれ。私、自分の名前言いました?」
「最近、フォイルのダンジョンによく潜ってただろ? そのとき、パーティの仲間からソニアって呼ばれてるのを聞いたんだ。ちなみに俺の名前はロアだ」
「ロアさんですね」
まぁ別に呼び捨てでも構わんのだが、わざわざ訂正する必要もないだろう。
「しかし……なるほど、それで私の名前を知っていたんですね。だったら話は早いです。見捨てられたんです、私」
「見捨てられた……?」
「ダンジョンボスと戦っている最中、私が攻撃を受けている隙に転移石で帰って行ったんです」
ソニアのパーティでの扱いは酷かったが、まさかここまでとは思いもしなかった。
「……ひどいな。でも、なんでみんな逃げ出したんだ?」
「一通り戦ってから、ダンジョンボスに攻撃の有効打が無いことを悟ったんでしょうね」
それで囮にしたって訳か。
「……ソニアは転移石を持ってなかったのか?」
「はい。持っているのはリーダーだけでした。いざというときは、メンバー全員に渡すと言っていたのですが、私はまんまと囮にされちゃいました」
「それはソニアも災難だったな」
「はい……だから、ロアさん、助けて頂き本当にありがとうございます。この御恩は一生忘れません」
ソニアは立ち上がって、俺に向かって腰を折り曲げた。
「大袈裟だなぁ……」
「全然大袈裟じゃないですよ。私、ロアさんがいなかったらたぶん……」
ソニアは目を伏せて、口ごもった。
「ま、これに懲りたら次はちゃんとしたパーティを選ぶんだな。一番活躍してたのがソニアなのに、どうしてここまで酷い扱いを受けているんだろうってずっと思ってたんだ」
「そんなこと無いです。だって私、自分で攻撃することが出来ませんから」
「攻撃出来ない……? どういうことだ?」
「ユニークスキル持ちなんです。【難攻不落】ってスキルなんですけど、これのせいで攻撃スキルが一切取れないんです……。パーティを組むことでしか冒険者をやっていけなくて、だからあんな扱いでも耐えてきたんです」
ユニークスキル持ちはそこまで珍しはないらしい。
だが、ユニークスキルで攻撃手段が無くなるってのは中々珍しいんじゃないだろうか。
俺もスキルポイントが貰えない境遇にあるので、どことなく親近感を覚えた。
「パーティを組むことを条件にソニアを良いように使っていたって訳か」
「そうですね」
「……よし! じゃあ助かったんだし、そいつらにちょっと仕返ししてやろうぜ」
「……仕返し、ですか?」
「ああ、俺に任せとけ」
まぁ単純にあのパーティの奴らを詰めるだけなんだけどな。
冒険者ってのは評判を凄い気にする。
そいつらの信頼を落としてやるだけでもいい仕返しになるのだ。
事実、何も信頼できる要素が無さそうだからな。
……ん? なんか忘れてないか?
あ、そうだった!
俺はソニアを助けるためにキングフロッグと戦ったんだった。
周りを見て、倒れているソニアを発見。
近寄って、声をかける。
「おーい、大丈夫か? 生きてるかー?」
「……はい、一応」
力のない声だった。
もしかすると、HPが低くなりすぎて危ない状況なのでは?
……ありうるな。
しゃーない。
[HP回復薬]を作ってやるか。
『【アイテム作成】の効果により[HP回復薬]を1つ作成しました』
現れた[HP回復薬]を持って、ソニアに再び話しかける。
「……あの、あなたは大丈夫ですか?」
「他人の心配をしている場合か。今は自分のことだけ考えてりゃいいんだよ。ほら、飲めるか?」
「……いえ、こんな高価なもの、頂けません……」
「いいからいいから」
「……すみません、飲ませてくれませんか……? 力が入らなくて……」
セリフだけ見れば恥ずかしそうに言いそうなもんだが、ソニアの表情は疲労困憊って感じでとても辛そうだった。
「任せろ」
ソニアの背中を支え、上半身を起こし、[HP回復薬]を少しずつ飲ませてあげた。
「すごいですね……[HP回復薬]でこんなに元気が出るなんて……」
「元気になってくれたようで何よりだ」
「ありがとうございます。命を助けてもらったうえに高価な[HP回復薬]まで頂いちゃって」
「ほっとけないだろ。ここで見殺しにしたら、せっかく助けた意味もなくなる」
「……ふふっ、とても優しいんですね」
笑うと結構可愛いなコイツ。
なんとなくだけど、雰囲気も和んだ気がする。
「それでソニアはどうして一人でダンジョンボスと戦っていたんだ?」
「……あれ。私、自分の名前言いました?」
「最近、フォイルのダンジョンによく潜ってただろ? そのとき、パーティの仲間からソニアって呼ばれてるのを聞いたんだ。ちなみに俺の名前はロアだ」
「ロアさんですね」
まぁ別に呼び捨てでも構わんのだが、わざわざ訂正する必要もないだろう。
「しかし……なるほど、それで私の名前を知っていたんですね。だったら話は早いです。見捨てられたんです、私」
「見捨てられた……?」
「ダンジョンボスと戦っている最中、私が攻撃を受けている隙に転移石で帰って行ったんです」
ソニアのパーティでの扱いは酷かったが、まさかここまでとは思いもしなかった。
「……ひどいな。でも、なんでみんな逃げ出したんだ?」
「一通り戦ってから、ダンジョンボスに攻撃の有効打が無いことを悟ったんでしょうね」
それで囮にしたって訳か。
「……ソニアは転移石を持ってなかったのか?」
「はい。持っているのはリーダーだけでした。いざというときは、メンバー全員に渡すと言っていたのですが、私はまんまと囮にされちゃいました」
「それはソニアも災難だったな」
「はい……だから、ロアさん、助けて頂き本当にありがとうございます。この御恩は一生忘れません」
ソニアは立ち上がって、俺に向かって腰を折り曲げた。
「大袈裟だなぁ……」
「全然大袈裟じゃないですよ。私、ロアさんがいなかったらたぶん……」
ソニアは目を伏せて、口ごもった。
「ま、これに懲りたら次はちゃんとしたパーティを選ぶんだな。一番活躍してたのがソニアなのに、どうしてここまで酷い扱いを受けているんだろうってずっと思ってたんだ」
「そんなこと無いです。だって私、自分で攻撃することが出来ませんから」
「攻撃出来ない……? どういうことだ?」
「ユニークスキル持ちなんです。【難攻不落】ってスキルなんですけど、これのせいで攻撃スキルが一切取れないんです……。パーティを組むことでしか冒険者をやっていけなくて、だからあんな扱いでも耐えてきたんです」
ユニークスキル持ちはそこまで珍しはないらしい。
だが、ユニークスキルで攻撃手段が無くなるってのは中々珍しいんじゃないだろうか。
俺もスキルポイントが貰えない境遇にあるので、どことなく親近感を覚えた。
「パーティを組むことを条件にソニアを良いように使っていたって訳か」
「そうですね」
「……よし! じゃあ助かったんだし、そいつらにちょっと仕返ししてやろうぜ」
「……仕返し、ですか?」
「ああ、俺に任せとけ」
まぁ単純にあのパーティの奴らを詰めるだけなんだけどな。
冒険者ってのは評判を凄い気にする。
そいつらの信頼を落としてやるだけでもいい仕返しになるのだ。
事実、何も信頼できる要素が無さそうだからな。
13
あなたにおすすめの小説
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)
みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。
在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
ハズレスキル【分解】が超絶当たりだった件~仲間たちから捨てられたけど、拾ったゴミスキルを優良スキルに作り変えて何でも解決する~
名無し
ファンタジー
お前の代わりなんざいくらでもいる。パーティーリーダーからそう宣告され、あっさり捨てられた主人公フォード。彼のスキル【分解】は、所有物を瞬時にバラバラにして持ち運びやすくする程度の効果だと思われていたが、なんとスキルにも適用されるもので、【分解】したスキルなら幾らでも所有できるというチートスキルであった。捨てられているゴミスキルを【分解】することで有用なスキルに作り変えていくうち、彼はなんでも解決屋を開くことを思いつき、底辺冒険者から成り上がっていく。
世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~
aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」
勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......?
お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?
召喚されたら無能力だと追放されたが、俺の力はヘルプ機能とチュートリアルモードだった。世界の全てを事前に予習してイージーモードで活躍します
あけちともあき
ファンタジー
異世界召喚されたコトマエ・マナビ。
異世界パルメディアは、大魔法文明時代。
だが、その時代は崩壊寸前だった。
なのに人類同志は争いをやめず、異世界召喚した特殊能力を持つ人間同士を戦わせて覇を競っている。
マナビは魔力も闘気もゼロということで無能と断じられ、彼を召喚したハーフエルフ巫女のルミイとともに追放される。
追放先は、魔法文明人の娯楽にして公開処刑装置、滅びの塔。
ここで命運尽きるかと思われたが、マナビの能力、ヘルプ機能とチュートリアルシステムが発動する。
世界のすべてを事前に調べ、起こる出来事を予習する。
無理ゲーだって軽々くぐり抜け、デスゲームもヌルゲーに変わる。
化け物だって天変地異だって、事前の予習でサクサククリア。
そして自分を舐めてきた相手を、さんざん煽り倒す。
当座の目的は、ハーフエルフ巫女のルミイを実家に帰すこと。
ディストピアから、ポストアポカリプスへと崩壊していくこの世界で、マナビとルミイのどこか呑気な旅が続く。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる