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28話 お人好し
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一気に110レベルになった俺はソニアとパーティを組み、ダンジョンの下層へ降りていく。
地形を覚えれば、スムーズに最下層まで行けるため、頭の中でダンジョン内をマッピングしなければいけない。
称号を取ればステータスが上がるため、出来るだけ多くのダンジョンを踏破したいものだ。
「モンスターハウス早く見つからないかなぁ」
「……そんなこと言ってるのロアさんだけな気がしますね」
「範囲攻撃魔法を覚えてる魔法使いがパーティにいたら、結構そう思う人がいてもおかしくなさそうだけどな」
「あー、どうなんですかね。私も冒険者事情には疎いので、そこら辺は分かりません」
「ギルドで色んな冒険者に話を聞いてみるのも有りかもな」
「良いですね。ロアさんって相手のパーソナルスペースに入っていくのが不思議と上手いと思うので」
「……なぁ、パーソナルスペースって何だ?」
「パーソナルスペースというのは、他人に近付かれると不快に感じる空間のことですね。この人近付きすぎ、って思たりすることありません?」
「ない」
「……ないんですか?」
「ああ、別に無視すればいいしな。慣れた」
「……なるほど」
「人間ってのは慣れる生き物だ。ソニアも無能と1年間言われ続けてみろ。慣れるぜ」
「悲しいことをここまで誇らしげに言って、様になるのはロアさんぐらいかもしれませんね」
「よせ、照れるだろ」
「全然照れてなさそうなんですが……。ふぅ、凄い話が脱線しましたね。とにかくロアさんは相手と仲良くなるのが非常に上手いんです。フォイルのギルドマスターもそうですし、先日の鑑定士もそうです」
「仲良くなってるのか……?」
「仲良さそうに見えました」
「そうか、じゃあそうなのかもしれないな」
俺としてはよく分からないが。
「助けてくれー……!」
そのとき、ダンジョンの奥から悲鳴が響いてきた。
響いてきた声は小さく、距離は少し離れているようだ。
「冒険者の悲鳴……ですね」
「ソニア、走れるか?」
「……はいっ。私が前を走るので、ロアさんはついてきてください」
「分かった」
やれやれ、俺もお人好しになったもんだな。
助けてもらいたいやつの気持ちは……まぁ分かるからな。
ダンジョン内で走ると、魔物に気付かれやすい。
そのときは急がずに安全に対処する。
ソニアがいつものように敵を足止めし、俺が《投雷》を放つ。
『レベルが2上がりました』
魔物から魔石だけ回収したいところだが、今は一刻を争う事態だ。
俺たちは魔物を倒して、すぐにまた走り出す。
そして駆けつけた先には、魔物が群がっていた。
大体10体ぐらいか?
魔物が群がっている先に高台があった。
高台の上には、怪我で血だらけになった男が必死に魔物を上がらせないように抵抗していた。
「頼む! 助けてくれ!」
男は俺たちに気付いて、大声で叫んだ。
「今助けてやるよ──《稲妻雷轟》」
《稲妻雷轟》の攻撃範囲は先ほどの一発で大体把握した。
馬鹿正直に魔物の群がりに向かって詠唱してしまうと、男も《稲妻雷轟》の範囲内に入っていることだろう。
それでは元も子もないので、男には当たらないように《稲妻雷轟》の範囲を調整しなければいけない。
「ま、魔法使いか! 魔法を撃った後は俺も加勢する!」
男は必死に叫んでいるが、その必要はない。
「安心しろよ。それに、怪我人は無理するな」
──7秒経過し、《稲妻雷轟》が放たれた。
ビリビリビリビリビリビリッ!!!!
ドカーンッ!!!!
『レベルが1上がりました』
『レベルが1上がりました』
『レベルが1上がりました』
『レベルが1上がりました』
『レベルが1上がりました』
『レベルが1上がりました』
『レベルが1上がりました』
『レベルが1上がりました』
『レベルが1上がりました』
『レベルが1上がりました』
やっぱり、範囲攻撃の魔法は気持ちがいいな。
こうして一気に魔物を倒せると爽快だ。
「……い、い、い、一撃で……全て倒した……!?」
助けた男を見ると、目と口を大きく開けて驚いていた。
「あんた大丈夫か? 血だらけじゃねーかよ」
俺は男に話しかけながら、倒した魔物から魔石を回収する。
ソニアもささっと、俺のもとにやってきて魔石の回収を手伝う。
「あ、ああ……おかげで助かったよ。まさか一撃であの魔物どもを倒してしまうとは……」
「この魔物の素材いるか? 魔石以外は回収するの面倒だから取ってないんだ」
「い、いや、いい。君達に助けてもらっておいて素材までもらうのは申し訳ない」
「そうか? 気にしなくていいぞ、それぐらい。お前が貰わないなら捨てることになるんだし」
「……じゃあもらっていいか?」
「えっ」
ソニアは驚いた様子だった。
「おう、いいぞ」
「何から何まですまない……」
「いいってことよ」
俺とソニアは魔石を、助けた血だらけの冒険者は俺が倒した魔物の素材を剥ぎ取るのだった。
地形を覚えれば、スムーズに最下層まで行けるため、頭の中でダンジョン内をマッピングしなければいけない。
称号を取ればステータスが上がるため、出来るだけ多くのダンジョンを踏破したいものだ。
「モンスターハウス早く見つからないかなぁ」
「……そんなこと言ってるのロアさんだけな気がしますね」
「範囲攻撃魔法を覚えてる魔法使いがパーティにいたら、結構そう思う人がいてもおかしくなさそうだけどな」
「あー、どうなんですかね。私も冒険者事情には疎いので、そこら辺は分かりません」
「ギルドで色んな冒険者に話を聞いてみるのも有りかもな」
「良いですね。ロアさんって相手のパーソナルスペースに入っていくのが不思議と上手いと思うので」
「……なぁ、パーソナルスペースって何だ?」
「パーソナルスペースというのは、他人に近付かれると不快に感じる空間のことですね。この人近付きすぎ、って思たりすることありません?」
「ない」
「……ないんですか?」
「ああ、別に無視すればいいしな。慣れた」
「……なるほど」
「人間ってのは慣れる生き物だ。ソニアも無能と1年間言われ続けてみろ。慣れるぜ」
「悲しいことをここまで誇らしげに言って、様になるのはロアさんぐらいかもしれませんね」
「よせ、照れるだろ」
「全然照れてなさそうなんですが……。ふぅ、凄い話が脱線しましたね。とにかくロアさんは相手と仲良くなるのが非常に上手いんです。フォイルのギルドマスターもそうですし、先日の鑑定士もそうです」
「仲良くなってるのか……?」
「仲良さそうに見えました」
「そうか、じゃあそうなのかもしれないな」
俺としてはよく分からないが。
「助けてくれー……!」
そのとき、ダンジョンの奥から悲鳴が響いてきた。
響いてきた声は小さく、距離は少し離れているようだ。
「冒険者の悲鳴……ですね」
「ソニア、走れるか?」
「……はいっ。私が前を走るので、ロアさんはついてきてください」
「分かった」
やれやれ、俺もお人好しになったもんだな。
助けてもらいたいやつの気持ちは……まぁ分かるからな。
ダンジョン内で走ると、魔物に気付かれやすい。
そのときは急がずに安全に対処する。
ソニアがいつものように敵を足止めし、俺が《投雷》を放つ。
『レベルが2上がりました』
魔物から魔石だけ回収したいところだが、今は一刻を争う事態だ。
俺たちは魔物を倒して、すぐにまた走り出す。
そして駆けつけた先には、魔物が群がっていた。
大体10体ぐらいか?
魔物が群がっている先に高台があった。
高台の上には、怪我で血だらけになった男が必死に魔物を上がらせないように抵抗していた。
「頼む! 助けてくれ!」
男は俺たちに気付いて、大声で叫んだ。
「今助けてやるよ──《稲妻雷轟》」
《稲妻雷轟》の攻撃範囲は先ほどの一発で大体把握した。
馬鹿正直に魔物の群がりに向かって詠唱してしまうと、男も《稲妻雷轟》の範囲内に入っていることだろう。
それでは元も子もないので、男には当たらないように《稲妻雷轟》の範囲を調整しなければいけない。
「ま、魔法使いか! 魔法を撃った後は俺も加勢する!」
男は必死に叫んでいるが、その必要はない。
「安心しろよ。それに、怪我人は無理するな」
──7秒経過し、《稲妻雷轟》が放たれた。
ビリビリビリビリビリビリッ!!!!
ドカーンッ!!!!
『レベルが1上がりました』
『レベルが1上がりました』
『レベルが1上がりました』
『レベルが1上がりました』
『レベルが1上がりました』
『レベルが1上がりました』
『レベルが1上がりました』
『レベルが1上がりました』
『レベルが1上がりました』
『レベルが1上がりました』
やっぱり、範囲攻撃の魔法は気持ちがいいな。
こうして一気に魔物を倒せると爽快だ。
「……い、い、い、一撃で……全て倒した……!?」
助けた男を見ると、目と口を大きく開けて驚いていた。
「あんた大丈夫か? 血だらけじゃねーかよ」
俺は男に話しかけながら、倒した魔物から魔石を回収する。
ソニアもささっと、俺のもとにやってきて魔石の回収を手伝う。
「あ、ああ……おかげで助かったよ。まさか一撃であの魔物どもを倒してしまうとは……」
「この魔物の素材いるか? 魔石以外は回収するの面倒だから取ってないんだ」
「い、いや、いい。君達に助けてもらっておいて素材までもらうのは申し訳ない」
「そうか? 気にしなくていいぞ、それぐらい。お前が貰わないなら捨てることになるんだし」
「……じゃあもらっていいか?」
「えっ」
ソニアは驚いた様子だった。
「おう、いいぞ」
「何から何まですまない……」
「いいってことよ」
俺とソニアは魔石を、助けた血だらけの冒険者は俺が倒した魔物の素材を剥ぎ取るのだった。
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