社畜が転生したら子どもになってて、イケメンたちがつきまとってくるんだが

琳華

文字の大きさ
18 / 35

命に変えても(2)〜レイモンド〜

しおりを挟む
次の日、僕とロバートはいつもより早く起き、暗いうちから騎士団とともに手がかりがないか街で聞き込みをしていた。

「不審者ね~。見てないわ。ごめんなさいね。」
「いえ、ありがとうございました。」
「兄様。どうですか?」
「だめだ。そっちは?」
「僕もだめでした。」

ショウがいなくなったあと驚くことに、あの誰にも心を開かなかったロバートが知らない人とも積極的に話すようになった。
その変わり様には、母様や父様、僕、使用人たちまで目を丸くして本当にロバートなのか疑った。

ロバートが言うには、

「ショウ兄様が知らないところで怯えているかもしれないのに、人ごときで怖がっていたら兄様を助けられない。」

らしい。

ショウに聞かせてあげたいな。
ふふっ。

「兄様?」
「いや、なんでもない。ここ一体ではないとなると...やはり、貧民街の方か。」

貧民街といっても廃れた感じではなく、孤児院や貧しい人たちのための集合住宅が集まっている場所だ。

「そうですね。ですが貧民街はあまり明るくないので情報が集まるかどうかわかりませんね。」
「ああ、だがやるしかないな。ショウのために。」
「はい。もちろん。」

俺達は街の端にある貧民街へ向かった。
貧民街につくと騎士団の副隊長であるリオンが声をかけてきた。

「私の知り合いにここら一体の情報に詳しいやつがいて、そいつなら何か知っているかもしれないですよ。」
「そうなのか。では、僕達はそいつに会いに行こう。他の者は引き続き聞き込みをしてくれ。」
「「はっ。」」
「では、行きましょうか。ここから遠くないので、歩いて行きましょう。」

リオンに連れられついた場所は、本屋だった。

「ここか?」
「ええ、いるといいのですが。」


リオンにつづいて店に入る。
店の中は棚や床に無造作に本が積まれていて俺達はぶつからないように奥に進んだ。

「マーク、いますか。」
「ん? なんだお前か。」

本の影から声がし、メガネをかけた背の高い細身の男が出てきた。
年齢は50ぐらいできれいに整えられたあごひげを生やしていた。

「なんだ?今日は子供連れか?」
「ああ。こちらの方々はアースフェルト公爵様のご子息だ。」
「お前の隊長さんの息子か。」
「レイモンドです。」
「ロバートです。」
「おお、よろしく。俺はマークだ。それで、今日はどうしたんだ。」
「私から説明しましょう。今から言うことは極秘なので他言しないように。」

僕が声をあげる。

「ああ、分かった。こう見えて口は堅い。約束しよう。」

リオンが僕を見て頷く。
信用できるようだ。
僕は国の情報が他国に漏れそうになったこと、漏れた場所が私の家で漏らしたやつが執事だったこと。
そして、最近家族になったショウがいなくなったことを簡潔に伝えた。

「そのショウ様をさらったのがそのカーティスってやつなんだな。」
「断言はできませんが、兄様とカーティスの失踪が同じ時間帯なのでそう考えていいと思います。そこであなたには一昨日の夜から朝にかけて不審者の目撃情報がないか調べてほしいのです。ちゃんと報酬も払います。」
「分かった。いいぜ。だが、金はいらねぇ。ひとつ貸しってことにしてくれ。いいか?」
「はい。」
「よし。じゃあちょっと待ってろ。」

そういってマークは奥に消えた。

「大丈夫です、レイモンド様ロバート様。きっといい情報を持ってきてくれますよ。」

それから数分経ちマークが戻ってきた。

「分かったぜ。カーティスって野郎かは分からないが一昨日の夜、男二人がでかい袋を担いで近くの家に入っていくのを見たってやつがいたぞ。」
「本当ですか!」
「兄様!やっと尻尾を掴めましたね。」
「ああ。マーク殿には本当に感謝する。」
「いいってことよ。その家はな、ここをでて左に曲がって真っすぐ行ったところにある白い家だ。ここらへんで白い家っていたらそこだけだからすぐ分かると思うぞ。頑張れよ!」
「はい。ありがとうございました。」

僕達は急いで店を出る。

「今応援を呼びます。」

少し経ち、父様や騎士団と合流しその白い家に向かう。

「本当にここなんだな。」
「ええ、間違ってはいないと思います。」
「そうか、気づかれないよう行動しろ。突入するときはお前たちは外で待っていろ。」
「「いえっ、行きたいです。」」

ロバートと共に父様に訴える。

「ロバートはだめだ。お前はまだ小さすぎる。それに、ほとんど剣を持ったことがないだろう。」

僕は稽古が好きで腕前も一般兵を倒せるほどのものだが、ロバートは痛いことが嫌いなのでほとんど稽古に出たことがなかった。

「でも、僕もショウ兄様のことが心配なんです。」
「ロバート、お前は戦えないだろう。それに、もしお前が怪我をすればショウが悲しむと思うぞ。それでもいいのか?」
「嫌です。....わかりました。待ちます。そのかわり僕の分までがんばってくださいね、兄様。」
「うん。分かってる。行ってくるね。」

この家には入口が2つあり俺と父様の部隊が正面、リオンの部隊が裏口から突入することになった。

「いいか。最優先はショウの安否確認及び奪還だ。もし敵が攻撃しようとしたら斬っていい。だが、殺すなよ。地獄を見せないと俺の気が済まないからな。」

父様、そうとう怒っていらっしゃるな(笑)

「よし、配置につけ。俺の掛け声とともに突入する。」
「「はっ」」

深呼吸しろ。
大丈夫。
ショウはいるはずだ。

「レイモンド、大丈夫か?」
「大丈夫です。」
「お前は突入したらショウを探せ。いいな。」
「はい。」
「じゃあ、行くか。すぅー、突入!!」

掛け声と同時にドアを蹴破り、中に入る。

入ったときに見えたのは、奥の部屋から出てくるカーティスだった。
その瞬間、全身を熱いものが巡り、殺したい衝動に駆られる。
僕が剣に手をかけ抜こうとしたとき、

「レイモンド!ショウを探せ。」

その言葉が聞こえた瞬間、俺の足に力が入りカーティスの横を走り抜けていく。

そうだ。僕はショウを探さなければ

手当たり次第にドアを開け中を確認していく。

「いない。こっちにも。ショウどこにいるんだ。」

そして最後のドアをあける。
ドアを開けた先にはなにもなかった。
いない....。
最後の部屋にもショウはいなかった。

そんなはずない。
カーティスもいたし絶対にいるはずなのに。

「そうだっ、カーティスに聞けば分かるはずだ。」

僕は急いで父様の方に向かう。
父様はちょうどカーティスを縛っているところだった。
奥から、意識のない男を縛って引きずっているリオンも現れた。

「レイモンド、ショウは?」
「それが....どこにもいませんでした。」
「なんだと。 おい!ショウはどこだ!」

父様がカーティスの胸ぐらを掴んで持ち上げる。

「ふふっ、知りませんね。」

カーティスが薄く笑いながら答える。

「貴様、殺されたいのか。」

父様が人を殺せそうな殺気を出しながら、空いている方の手に剣を握る。
それにはカーティスもびびったのか、浮いている足がガクガク震えている。

「もう一度聞く。ショウはどこだ。」
「くっ。....知らない。」
「なんだと貴様。本当に死にたいようだな!」

父様が剣を振り上げる。

「ひっ!待ってくれ。本当に知らないんだ。昨日まではここにいたが、朝になって見に行ったらいなくなっていたんだ!」

怪しいが、嘘を言っているようには見えないな。

「本当に知らないのか?」
「はっはい。知りません。」

父様が手を離す。

ドサッ

「連れて行け。」
「「はっ」」

騎士が二人を連れて行く。
それと入れ替わるようにロバートが入ってくる。

「兄様!ショウ兄様はいたのですか?」
「いや、いなかった。」
「それはどういうことですか?」

ロバートが怒りで肩を震わしながら聞いてくる。

「カーティスが言うにはいなくなっていたらしい。」
「それは逃げたということですか?」
「そのようだな。」
「父様も兄様も信じるおつもりですか?」
「いや、信じるわけではない。だが、ここにショウがいないことは本当だ。」
「逃げた?どこへ?ショウ兄様はまだ一度も街に来たことがないのですよ!?もし、また悪いやつに捕まっていたら!」
「ロバート、落ち着け。そうだったとしても一旦屋敷に帰ろう。状況を整理する必要がある。カーティスに尋問もしないといけないからな。」
「....わかりました。」

ロバートは不服そうな顔をしていたが、僕もそれが最善のことだと思う。
少なくともショウが生きているという希望が見えたことは一つ良かったことだな。
状況は振り出しの戻ったが、僕は希望が見えたことが嬉しかった。

ショウ、君はいまどこにいるんだ?
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

僕、天使に転生したようです!

神代天音
BL
 トラックに轢かれそうだった猫……ではなく鳥を助けたら、転生をしていたアンジュ。新しい家族は最低で、世話は最低限。そんなある日、自分が売られることを知って……。  天使のような羽を持って生まれてしまったアンジュが、周りのみんなに愛されるお話です。

事なかれ主義の回廊

由紀菜
BL
大学生の藤咲啓嗣は通学中に事故に遭い、知らない世界で転生する。大貴族の次男ランバート=アルフレイドとして初等部入学前から人生をやり直し、学園で出会う無愛想で大人顔負けの魔法の実力者であるヨアゼルン=フィアラルドと親友になるが、彼に隠された力に翻弄され次々と襲ってくる災難に巻き込まれる。終いには、国家の存続を揺るがす大事件にまで発展することに・・・

最弱白魔導士(♂)ですが最強魔王の奥様になりました。

はやしかわともえ
BL
のんびり書いていきます。 2023.04.03 閲覧、お気に入り、栞、ありがとうございます。m(_ _)m お待たせしています。 お待ちくださると幸いです。 2023.04.15 閲覧、栞、お気に入りありがとうございます。 m(_ _)m 更新頻度が遅く、申し訳ないです。 今月中には完結できたらと思っています。 2023.04.17 完結しました。 閲覧、栞、お気に入りありがとうございます! すずり様にてこの物語の短編を0円配信しています。よろしければご覧下さい。

異世界召喚チート騎士は竜姫に一生の愛を誓う

はやしかわともえ
BL
11月BL大賞用小説です。 主人公がチート。 閲覧、栞、お気に入りありがとうございます。 励みになります。 ※完結次第一挙公開。

拾った異世界の子どもがどタイプ男子に育つなんて聞いてない。

おまめ
BL
召喚に巻き込まれ異世界から来た少年、ハルを成り行きで引き取ることになった男、ソラ。立派に親代わりを務めようとしていたのに、一緒に暮らしていくうちに少年がどタイプ男子になっちゃって困ってます。 ✻✻✻ 2026/01/10 『1.出会い』を分割し、後半部分を『2.引き取ります。』として公開しました。

たとえば、俺が幸せになってもいいのなら

夜月るな
BL
全てを1人で抱え込む高校生の少年が、誰かに頼り甘えることを覚えていくまでの物語――― 父を目の前で亡くし、母に突き放され、たった一人寄り添ってくれた兄もいなくなっていまった。 弟を守り、罪悪感も自責の念もたった1人で抱える新谷 律の心が、少しずつほぐれていく。 助けてほしいと言葉にする権利すらないと笑う少年が、救われるまでのお話。

主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。

小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。 そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。 先輩×後輩 攻略キャラ×当て馬キャラ 総受けではありません。 嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。 ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。 だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。 え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。 でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!! ……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。 本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。 こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。

コンビニごと異世界転生したフリーター、魔法学園で今日もみんなに愛されます

ひと息
BL
コンビニで働く渚は、ある日バイト中に奇妙なめまいに襲われる。 睡眠不足か?そう思い仕事を続けていると、さらに奇妙なことに、品出しを終えたはずの唐揚げ弁当が増えているのである。 驚いた渚は慌ててコンビニの外へ駆け出すと、そこはなんと異世界の魔法学園だった! そしてコンビニごと異世界へ転生してしまった渚は、知らぬ間に魔法学園のコンビニ店員として働くことになってしまい・・・ フリーター男子は今日もイケメンたちに甘やかされ、異世界でもバイト三昧の日々です!

処理中です...