20 / 35
再会〜レイモンド〜
しおりを挟む
屋敷に戻ると、ローレンツ侯爵からの使者だという者が待っていた。
なにやら急を要する話があるらしい。
僕達は一旦広間に集まった。
現ローレンツ侯爵は去年事故で両親をなくし、若干14歳ながら爵位を継いだ人だ。
剣術の腕は右に出るものがいないほどで、王族からの信頼も厚い。
貴族の中では、次の騎士団長になるのではと噂になっている。
だが彼の性格は誰に対しても冷たく、それに加え、人離れした美しい容姿を持っていることから影では「魔王」と言われているらしい。
父様は亡くなった前ローレンツ侯爵と学友の仲だったので、今でも彼のことを気にかけている。
「セシルに何かあったのか?」
「いえ、そういうわけではありません。」
「ではどうしたのだ?」
「それが昨日、侯爵様が意識のない少年を拾いまして。名前をショウ アースフェルト名乗り、黒髪と濃い青い目をしているそうです。」
その言葉を聞いた瞬間、みんなが驚いた顔で使者を凝視する。
「ショウは今、侯爵邸にいるのか?」
「はい。目を覚まされ安静にしております。」
ふっと力が抜ける。
それはみんなも同じようで、一斉に安堵の表情になる。
「そうか。はぁ~、良かった。」
「それで、侯爵様が準備ができしだい迎えに来るようにと。」
「分かった。すぐに向かおう。」
すぐに馬車に飛び乗り、みんなで公爵邸へ向かう。
「本当に良かったですね。父様。」
「ああ。しかし、まさかセシルに拾われるとは。泣いていないといいが。(笑)」
「兄様が怖がっていたら僕がセシルを懲らしめます!」
「ふふっ ロバートなら一瞬でやられてしまうと思いますが。」
「では、父様とレイモンド兄様も一緒にやってください!」
「そうだね。僕も他の人にショウが泣かされてたら癪に障るからね。」
「...はい。」
「おいふたりともどうした。怖い顔をしているぞ。」
「「いえ、なんでもないです。」」
そうこうしているうちに公爵邸に到着した。
馬車から降りるとドアの前にセシルが立っていた。
「早かったですね。コンラート様と御子息の方々。」
いつもどうりの冷たい声だな。
「ショウを拾ったと聞いてな。あいつも俺の大切な息子だから早く会いたくてな。」
「そうですか。ではこちらへどうぞ。」
セシルの後をついていくと、豪華な部屋の前で止まる。
えっ、ここって...。
「セ、セシル様?ここは侯爵夫人用の部屋では?」
「そうだが。なにか問題でも?」
問題だと!?あるに決まっているだろう!
この部屋は侯爵の部屋の横に位置し、本来であれば侯爵夫人専用の部屋だ。
こんな部屋にショウを寝かせただと!
ロバートもおかしいことに気づいたようで、殺気をまとった目でセシルを睨んでいる。
僕は手をきつく握り震わせる。
くそっ!誰に対しても冷たい態度だったから油断していた。
まさか、ショウを気に入ってしまうとは!
セシルはこちらを軽く見て、うすく冷酷な微笑みを浮かべる。
「おいお前達、何をしているんだ?早く入るぞ。」
父様がドアをノックし、開ける。
「「ショウ!」」
僕とロバートはドアが開いたと同時に飛び込んだ。
ショウはベッドに座っていて、こちらに気づくと涙を目に浮かべながら飛び込んできた。
「兄様!ロバートくん!突然いなくなってごめんなさい。」
「兄様のせいじゃないよ。」
「そうだよ。ショウのせいじゃない。怖かったね。」
僕とロバートはきつくショウを抱きしめる。
抱きしめたショウの体は震えていて、こころなしか少し細くなった気がする。
「ショウ、すまなかった。見つけることができず。」
「父様、謝らないでください。もとはといえば、俺が夜中に外を歩いていたことが原因ですから。」
「なんで兄様は夜に出歩いていたの?」
「えっと。ちょっと疲れてたから気分転換にね。」
もしかして、ショウが疲れた原因は僕達がつきまとっていたせいか?
ショウは優しいから何も言ってこないけど。
「ショウ、もしかして僕達が無理させてた?」
「なんで?」
「いつも一緒にいてくれてたから。ごめんね。やっぱり一人の時間もほしかったよね。」
「ごめんね。ショウ兄様。」
「違うよ!ただ、勉強が難しかっただけだよ。ふたりのせいじゃない。俺だってふたりといれて楽しいから大丈夫!」
ショウが笑顔で否定する。
「ほんとに?これからも一緒にいてもいいの?」
「いいよ。でも、やっぱり一人の時間もほしいから程々にしてね?」
「うん。分かった。気をつける。」
「ロバートくんもだよ?」
「え~~。しょうがないな。分かったよ。兄様が言うなら程々にする。」
「うん。偉いね。」
ショウがロバートの頭を撫でる。
いいな~。
僕も撫でてもらいたいけどショウの兄様だから我慢、我慢。
「少しいいか?」
突然、セシルが声をかけてくる。
「どうしたんだ、セシル?」
「ショウに関してお伝えしたいことがありまして。」
ショウのことだと。
もしかして、なんで夫人の部屋に寝かせているのかとかか?
しかし、セシルが話しだしたことは予想もしていないことだった。
なにやら急を要する話があるらしい。
僕達は一旦広間に集まった。
現ローレンツ侯爵は去年事故で両親をなくし、若干14歳ながら爵位を継いだ人だ。
剣術の腕は右に出るものがいないほどで、王族からの信頼も厚い。
貴族の中では、次の騎士団長になるのではと噂になっている。
だが彼の性格は誰に対しても冷たく、それに加え、人離れした美しい容姿を持っていることから影では「魔王」と言われているらしい。
父様は亡くなった前ローレンツ侯爵と学友の仲だったので、今でも彼のことを気にかけている。
「セシルに何かあったのか?」
「いえ、そういうわけではありません。」
「ではどうしたのだ?」
「それが昨日、侯爵様が意識のない少年を拾いまして。名前をショウ アースフェルト名乗り、黒髪と濃い青い目をしているそうです。」
その言葉を聞いた瞬間、みんなが驚いた顔で使者を凝視する。
「ショウは今、侯爵邸にいるのか?」
「はい。目を覚まされ安静にしております。」
ふっと力が抜ける。
それはみんなも同じようで、一斉に安堵の表情になる。
「そうか。はぁ~、良かった。」
「それで、侯爵様が準備ができしだい迎えに来るようにと。」
「分かった。すぐに向かおう。」
すぐに馬車に飛び乗り、みんなで公爵邸へ向かう。
「本当に良かったですね。父様。」
「ああ。しかし、まさかセシルに拾われるとは。泣いていないといいが。(笑)」
「兄様が怖がっていたら僕がセシルを懲らしめます!」
「ふふっ ロバートなら一瞬でやられてしまうと思いますが。」
「では、父様とレイモンド兄様も一緒にやってください!」
「そうだね。僕も他の人にショウが泣かされてたら癪に障るからね。」
「...はい。」
「おいふたりともどうした。怖い顔をしているぞ。」
「「いえ、なんでもないです。」」
そうこうしているうちに公爵邸に到着した。
馬車から降りるとドアの前にセシルが立っていた。
「早かったですね。コンラート様と御子息の方々。」
いつもどうりの冷たい声だな。
「ショウを拾ったと聞いてな。あいつも俺の大切な息子だから早く会いたくてな。」
「そうですか。ではこちらへどうぞ。」
セシルの後をついていくと、豪華な部屋の前で止まる。
えっ、ここって...。
「セ、セシル様?ここは侯爵夫人用の部屋では?」
「そうだが。なにか問題でも?」
問題だと!?あるに決まっているだろう!
この部屋は侯爵の部屋の横に位置し、本来であれば侯爵夫人専用の部屋だ。
こんな部屋にショウを寝かせただと!
ロバートもおかしいことに気づいたようで、殺気をまとった目でセシルを睨んでいる。
僕は手をきつく握り震わせる。
くそっ!誰に対しても冷たい態度だったから油断していた。
まさか、ショウを気に入ってしまうとは!
セシルはこちらを軽く見て、うすく冷酷な微笑みを浮かべる。
「おいお前達、何をしているんだ?早く入るぞ。」
父様がドアをノックし、開ける。
「「ショウ!」」
僕とロバートはドアが開いたと同時に飛び込んだ。
ショウはベッドに座っていて、こちらに気づくと涙を目に浮かべながら飛び込んできた。
「兄様!ロバートくん!突然いなくなってごめんなさい。」
「兄様のせいじゃないよ。」
「そうだよ。ショウのせいじゃない。怖かったね。」
僕とロバートはきつくショウを抱きしめる。
抱きしめたショウの体は震えていて、こころなしか少し細くなった気がする。
「ショウ、すまなかった。見つけることができず。」
「父様、謝らないでください。もとはといえば、俺が夜中に外を歩いていたことが原因ですから。」
「なんで兄様は夜に出歩いていたの?」
「えっと。ちょっと疲れてたから気分転換にね。」
もしかして、ショウが疲れた原因は僕達がつきまとっていたせいか?
ショウは優しいから何も言ってこないけど。
「ショウ、もしかして僕達が無理させてた?」
「なんで?」
「いつも一緒にいてくれてたから。ごめんね。やっぱり一人の時間もほしかったよね。」
「ごめんね。ショウ兄様。」
「違うよ!ただ、勉強が難しかっただけだよ。ふたりのせいじゃない。俺だってふたりといれて楽しいから大丈夫!」
ショウが笑顔で否定する。
「ほんとに?これからも一緒にいてもいいの?」
「いいよ。でも、やっぱり一人の時間もほしいから程々にしてね?」
「うん。分かった。気をつける。」
「ロバートくんもだよ?」
「え~~。しょうがないな。分かったよ。兄様が言うなら程々にする。」
「うん。偉いね。」
ショウがロバートの頭を撫でる。
いいな~。
僕も撫でてもらいたいけどショウの兄様だから我慢、我慢。
「少しいいか?」
突然、セシルが声をかけてくる。
「どうしたんだ、セシル?」
「ショウに関してお伝えしたいことがありまして。」
ショウのことだと。
もしかして、なんで夫人の部屋に寝かせているのかとかか?
しかし、セシルが話しだしたことは予想もしていないことだった。
32
あなたにおすすめの小説
僕、天使に転生したようです!
神代天音
BL
トラックに轢かれそうだった猫……ではなく鳥を助けたら、転生をしていたアンジュ。新しい家族は最低で、世話は最低限。そんなある日、自分が売られることを知って……。
天使のような羽を持って生まれてしまったアンジュが、周りのみんなに愛されるお話です。
泥酔している間に愛人契約されていたんだが
暮田呉子
BL
泥酔していた夜、目を覚ましたら――【愛人契約書】にサインしていた。
黒髪の青年公爵レナード・フォン・ディアセント。
かつて嫡外子として疎まれ、戦場に送られた彼は、己の命を救った傭兵グレイを「女避けの盾」として雇う。
だが、片腕を失ったその男こそ、レナードの心を動かした唯一の存在だった。
元部下の冷徹な公爵と、酒に溺れる片腕の傭兵。
交わした契約の中で、二人の距離は少しずつ近づいていくが――。
たとえば、俺が幸せになってもいいのなら
夜月るな
BL
全てを1人で抱え込む高校生の少年が、誰かに頼り甘えることを覚えていくまでの物語―――
父を目の前で亡くし、母に突き放され、たった一人寄り添ってくれた兄もいなくなっていまった。
弟を守り、罪悪感も自責の念もたった1人で抱える新谷 律の心が、少しずつほぐれていく。
助けてほしいと言葉にする権利すらないと笑う少年が、救われるまでのお話。
主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。
小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。
そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。
先輩×後輩
攻略キャラ×当て馬キャラ
総受けではありません。
嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。
ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。
だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。
え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。
でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!!
……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。
本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。
こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。
拾った異世界の子どもがどタイプ男子に育つなんて聞いてない。
おまめ
BL
召喚に巻き込まれ異世界から来た少年、ハルを成り行きで引き取ることになった男、ソラ。立派に親代わりを務めようとしていたのに、一緒に暮らしていくうちに少年がどタイプ男子になっちゃって困ってます。
✻✻✻
2026/01/10 『1.出会い』を分割し、後半部分を『2.引き取ります。』として公開しました。
俺の異世界先は激重魔導騎士の懐の中
油淋丼
BL
少女漫画のような人生を送っていたクラスメイトがある日突然命を落とした。
背景の一部のようなモブは、卒業式の前日に事故に遭った。
魔王候補の一人として無能力のまま召喚され、魔物達に混じりこっそりと元の世界に戻る方法を探す。
魔物の脅威である魔導騎士は、不思議と初対面のようには感じなかった。
少女漫画のようなヒーローが本当に好きだったのは、モブ君だった。
異世界に転生したヒーローは、前世も含めて長年片思いをして愛が激重に変化した。
今度こそ必ず捕らえて囲って愛す事を誓います。
激重愛魔導最強転生騎士×魔王候補無能力転移モブ
事なかれ主義の回廊
由紀菜
BL
大学生の藤咲啓嗣は通学中に事故に遭い、知らない世界で転生する。大貴族の次男ランバート=アルフレイドとして初等部入学前から人生をやり直し、学園で出会う無愛想で大人顔負けの魔法の実力者であるヨアゼルン=フィアラルドと親友になるが、彼に隠された力に翻弄され次々と襲ってくる災難に巻き込まれる。終いには、国家の存続を揺るがす大事件にまで発展することに・・・
異世界で孵化したので全力で推しを守ります
のぶしげ
BL
ある日、聞いていたシチュエーションCDの世界に転生してしまった主人公。推しの幼少期に出会い、魔王化へのルートを回避して健やかな成長をサポートしよう!と奮闘していく異世界転生BL 執着最強×人外美人BL
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる