47 / 62
40話~59話
47:「504号室」 え?・・・マジか
しおりを挟む「え?・・・マジか」
周りの視線が集まる。
「何でもないです。クレームのメールじゃないです」
事務所に広がった緊張が安堵に変わると、それぞれの仕事に戻っていった。
今は、仕事中だ。人目を引くような事は慎まないといけない。あくまでも仕事中だ。仕事中は仕事をしなくてはいけない。がしかし、頭の中は推敲をしていてもばれない・・・。そもそも、隣では書類を作成する振りをして同じ部署の子をチャットで口説いているのに比べれば。ま、この辺は暗黙の了解と言うか大人の対応と言うか。
それより、今回のテーマの504号室と言う事は我が家だよ。前回は304号室だから順当に行けば404号室だし、高層階に行くのなら5階なんて中途半端な所でなく1103号室とかテーマの決め方は幾らでもあるのに、なんで504号室を選んだのか?
そうか! 内偵をしているのか。でも、何の事件の内偵をしているんだ? 生前46キログラムの血抜きをした後で使いやすいサイズに小分けにして冷凍庫に保存とかはしていないし。それとも、等身大のお目めぱっちりのお人形を押し入れの中に作り込んだベッドに寝かしていたりはしていないし。スーパーの袋に収まる生前2800グラムを天袋に隠し入れたりはしていないし。って言うか、推理小説のネタであって内偵を受けるような事件は起していないし。他に考えられるのは、素直に自宅紹介か? まぁ自己紹介より面白そうだけど、集合住宅で他の人が興味を持つようなネタは家にはない・・・。
うん? あったあった。興味は兎も角として受け狙いのネタはあった。504号室の我が家は、夏場は死にそうに暑い。最上階だから屋根に降り注ぐ太陽の熱はそのまま天井に熱を伝えるんだな。特に今年の酷暑なんて夜でも室温は体温並みだから・・・、ちょっと待てこう言う風に書いても誰にも伝わらんな。きっとエアコンがあるだろと突っ込みを入れて来る奴がいるはずだ。だから、ここはちゃんとに『我が家にはエアコンはない』と先に宣言しておかないと話が噛み合わん事になる。そもそも風通しの良い最上階でエアコンは必要としない。昼間は会社。帰宅する頃には暑さも和らぎ窓を全開にすれば心地よい風が吹き抜ける。それでも熱く感じるのは一週間ぐらいの間。年に一週間の為にエアコンを買おうと言う発想にならないし、仮にエアコンを設置するなら何部屋か同時に設置しなければ意味がない。つまりエアコンの為に一月分以上の給料を注込む余裕があるなら、他に買いたいものがあるんだな。
と言ったもののエアコンを買う事を真剣に考えないといけないとも思っているんだな。ニュースで熱中症対策にエアコンを使いましょうと、公共放送のくせに家電メーカーから金を貰っているとしか思えないニュースの所為で、今までエアコンを使っていなかった近所がガンガン使い始めたんだよ。その所為もあって暑くなっている気もする。みんながエアコンを使わなければそれなりに快適な夏の夜になると思うが、我が家は熱のゴミ捨て場になっている様に感じるんだよな。特に最近は。
おっといけない。夏の話だけではだめだ。自虐だけではあれだから、自慢できるネタも混ぜておかないと・・・、と言っても交差点の近くだから緊急車両のサイレンでテレビの音が聞こえなくなるのは、自虐か。
お! そう言えば、富士山が見えるのはポイントが高いんじゃないか。うちの辺りだとそれなりに条件が揃わないと富士山が見えないしな。と言っても半分はビルやら樹の所為で隠れているが。もう一つ、高い物系だとスカイツリーが見えるのもポイント高そうだな。これもうちの辺りだとそれなりに条件が揃わないと見えないからな。
あと、504号室ならではのネタは・・・・、大事なものがあるな。遠くまで見通せると思考も大局的になるな。因果関係もより遠くの未来に及ぼす事を考える様になるし、人間関係も広く考える様になるし、経営的視線を養えるって事か。すごいメリットだな。そうだよな、仕事中にチャットで口説いている様な会社は長続きしないだろうし。
よし! 推敲はだいたいこんなところ、あとはファミレス行って書き出せば出来上がりだ。
「外回りに行ってきます」
ノートパソコンの入ったカバンを掴むと、会社を飛び出した。
0
あなたにおすすめの小説
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
BL 男達の性事情
蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。
漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。
漁師の仕事は多岐にわたる。
例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。
陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、
多彩だ。
漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。
漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。
陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。
漁業の種類と言われる仕事がある。
漁師の仕事だ。
仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。
沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。
日本の漁師の多くがこの形態なのだ。
沖合(近海)漁業という仕事もある。
沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。
遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。
内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。
漁師の働き方は、さまざま。
漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。
出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。
休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。
個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。
漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。
専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。
資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。
漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。
食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。
地域との連携も必要である。
沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。
この物語の主人公は極楽翔太。18歳。
翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。
もう一人の主人公は木下英二。28歳。
地元で料理旅館を経営するオーナー。
翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。
この物語の始まりである。
この物語はフィクションです。
この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる