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嫁のレビュー再び
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「こないだは看病してくれてありがとう」
コーヒーが二つなのにケーキが一つだけ出てきた。しかも、あの高級なショートケーキだ。甘酸っぱい香りが、コーヒーの深みのある苦味と調和してなんとも言い表せないセレブな気分にさせてくれる。でも、どうして一つなんだ?
「俊くんの分よ。食べて」
微笑んでいる? 細めているのに瞳は微動だにせずこちらを見ている・・・・。このまま食べて良いのか? いや食べないと言う選択肢は存在しない。
「あ・ありがとう・・・・」
なるべく、普段通りに一口目を食べる。が、僕を見る目が微笑んでいない。
「最近、格好良すぎでしょ?」
いきなり本題、直球勝負か・・・・。でも、格好いいって悪い事なのか?
「マッドサイエンティストを支える良き夫って誰? 私の部分は確かに私っぽいと思うよ。読んでいて没入感があるし。でも、あそこに出てくる俊くんって何処の人? 常識派で暴走しないように諭しています的なところなんて別の世界線の人みたい」
肘を突いてコーヒーを啜る間、蛇のように瞬きもしないでこっちを見ている。
「まぁー、展開が遅いのが気になるけど、それ以上は口出しをするつもりはないよ」
ジャブなのか前哨戦なのか・・・・、ウオーミングアップだ。これから何が始まるのかは分からないけど、どう言う目に遭うのかは良く分かる。
「それで? 『嫁の看病』のどこに真実があるのかな? 私の手を振りほどいてベッドから抜け出したように見えたけど・・・・私の幻覚?」
頷こうとしたけど、圧で身体が動かない。
「気づけなくて申し訳ない? 夜中に魘されていたら、手で口を塞いだのは誰? 『アイス枕を取って来ようか?』じゃないよね。私が取って来てと、お願いしたよね。私の記憶違いかな?」
ずいぶん昔の事を掘り起こしているけど、何かあったのか? 投稿するとその日のうちに読んでいるはずなのに何故に今頃? 何かやらかしたかな? 思い当たる節が多すぎて見当が付かない。そもそも何で今日なんだ? ケーキを買ってあったところを見ると計画的に見えるけど何か記念日でも見落としかな? そんな事より御魂を鎮める方法を考えねば。
「デートに出掛けるには良い天気? 私はね行く先がスーパーでもショッピングモールでも不満はないけどね、私の手よりスマホを握りしめる方が嬉しいの?」
肘を突いたままコーヒーを啜る・・・・。いつの間にか右手にはフォークがある。
「それで、部下に電話をしたんだよね?」
「私を出汁に会社を休んだよね?」
「部下に適当な事を言って会議を押し付けたよね?」
クエスチョンマークを付けるなら回答しないといけないと思うけど、口を開く前に言われてしまっては返す言葉も出せない。
「聞いてる?」
「はい」
満足そうに頷く嫁。
「部下に会議を押し付けて電話を切った後で『ラッキー』て、聞こえていたからね。それなのに『会社より真理子さんの方が大事です』って、読んでいて涙が出たよ。世界線が四五本離れたホント物語の世界だわ」
御魂を鎮めたくてもショートケーキは嫁の手の内にある。天袋に隠してある甘い物を使うか? それはダメだ。隠し場所がバレるし火に油を注ぐようなものだ。
「それで、持って来て貰ったアイス枕の高さの調整? 何もなしだったよね。頭を軽く持ち上げて? いやいやそのまま押し込んだでしょ」
声を出すより先に、
「気持ち笑顔になった? いえいえ御冗談を。髪が引っ張られて痛かったんですけど」
と、大きく一呼吸。何がくるのか・・・・。
「洗濯に気がついてくれたのは感謝しているのよ。翌日から天気が悪くなると天気予報で言っていたでしょ。だからホント感謝しているのよ」
優しい嫁に戻った。悪霊が落ちたかのように切り替わっている。これで解放されたのか? いやこのまま解放して下さい。
「で・・・・、ブラジャーの存在に気がついたのはいつ? 洗濯が終ってから『あ・・・・』って聞こえていたからね。まぁ、洗わなくて正解だけどね。洗濯機で洗われたら形が崩れて着け心地が台無し、もはや使い続ける価値すらなくなってしまうから。それで、洗濯機が黙々と洗濯をしている間にやっていた事は?」
悪霊が戻っている・・・・。
「そう・・そうですね。ゲームでした」
掃除と言い掛けたけど『そ』の段階で目つきが変わった。
「そうだね。風呂掃除ではなくゲームだったよね」
「はい」
「そもそもね、抗菌仕様が風呂掃除から解放している? 何を意味不明な事を。それなのに、汚れていないけど排水溝も掃除した? みんなが掃除をしてなさそうな場所にも気がつくとアピールですか? いやいやちょっと待って、汚れていないけどって掃除は汚れる前にするものなの。俊くんが先に出た後に私が何をしているか知らないって事だよね」
既にショートケーキの姿はなくシートについた生クリームを『嬉しそうに』削ぎ落している。
「それで、炊飯器の取説を引っ張り出して御粥の準備をしたんだよね? 因みに取説は何処に置いてあったのかな?」
素早く本棚の下段を見た。
「本棚にある『取説』ファイルの中ですよ。真理子さんがきちんと整頓してくれているから直ぐに見つかりましたよ」
これで機嫌が直るのは火を見るよりも明らかだね。ナイス自分。
「ほう・・・、では見せてごらん」
背中に感じるレーザーサイトが痛い。
「真理子さんが片づけてくれるお陰で僕は楽をさせて貰ってます。いやホント感謝感謝です」
ここは平身低頭で乗り切るしかない。ガンバレ自分。
「えーと、こないだは直ぐ見つかったのにな? 戻し忘れたかな?」
おかしい・・・・、取説ファイルは一つしかないはず。ファイルに挟んでないのなら、本の隙間に挟んである? 本の上に置いてある? どこを探しても見つからない。まさか何処かに隠してあるとか? 自分じゃないからそれはない。
「あれ?」
もう一度見直す。
「あれれ?」
「どうしたのかな? 御粥を作るのに使ったんだよね?」
突然、思い出した。取説の断捨離してメーカーサイトをお気に入りに登録した。嫁に勧めたのは自分だった。
「ごめんなさい。お粥はレトルトを買ってきました。炊飯器の使い方も覚えていません」
もう、土下座するしかなかった。
「私の為に買ってきてくれた上にレンジで温めてくれた事、心の底から感謝していますよ。ゲームばかりやっていてヘッドホンをしていたのは気遣いと思っておくけど独り言の五月蠅い事。回復魔法の呪文を言っても効果ないでしょ。まったく端から端まで人の神経を逆なでする事ばかりよく書けたわね?」
「だって、小説だもん・・・・」
聞こえないくらいの小声で言うのが精一杯だった。しかし、燃料を投下してしまった。
「だよね! 小説だもんね! 『これで一生安泰だな』なんて呟いたのも書けばよかったのに」
まずい、取り返しのつかない事を言ってしまった。何とか話題を変えないと・・・・。
「あの・・・『嫁の決意』の方はどうでした?」
「あ・・・、あれは良いと思うよ」
どこか、さっぱりした言い方だ。
「さて、夕飯の支度をしなくちゃ」
嫁は立ち上がるとコーヒーカップとケーキ皿を持って台所に行った。
嵐は突然、過ぎ去った。
コーヒーが二つなのにケーキが一つだけ出てきた。しかも、あの高級なショートケーキだ。甘酸っぱい香りが、コーヒーの深みのある苦味と調和してなんとも言い表せないセレブな気分にさせてくれる。でも、どうして一つなんだ?
「俊くんの分よ。食べて」
微笑んでいる? 細めているのに瞳は微動だにせずこちらを見ている・・・・。このまま食べて良いのか? いや食べないと言う選択肢は存在しない。
「あ・ありがとう・・・・」
なるべく、普段通りに一口目を食べる。が、僕を見る目が微笑んでいない。
「最近、格好良すぎでしょ?」
いきなり本題、直球勝負か・・・・。でも、格好いいって悪い事なのか?
「マッドサイエンティストを支える良き夫って誰? 私の部分は確かに私っぽいと思うよ。読んでいて没入感があるし。でも、あそこに出てくる俊くんって何処の人? 常識派で暴走しないように諭しています的なところなんて別の世界線の人みたい」
肘を突いてコーヒーを啜る間、蛇のように瞬きもしないでこっちを見ている。
「まぁー、展開が遅いのが気になるけど、それ以上は口出しをするつもりはないよ」
ジャブなのか前哨戦なのか・・・・、ウオーミングアップだ。これから何が始まるのかは分からないけど、どう言う目に遭うのかは良く分かる。
「それで? 『嫁の看病』のどこに真実があるのかな? 私の手を振りほどいてベッドから抜け出したように見えたけど・・・・私の幻覚?」
頷こうとしたけど、圧で身体が動かない。
「気づけなくて申し訳ない? 夜中に魘されていたら、手で口を塞いだのは誰? 『アイス枕を取って来ようか?』じゃないよね。私が取って来てと、お願いしたよね。私の記憶違いかな?」
ずいぶん昔の事を掘り起こしているけど、何かあったのか? 投稿するとその日のうちに読んでいるはずなのに何故に今頃? 何かやらかしたかな? 思い当たる節が多すぎて見当が付かない。そもそも何で今日なんだ? ケーキを買ってあったところを見ると計画的に見えるけど何か記念日でも見落としかな? そんな事より御魂を鎮める方法を考えねば。
「デートに出掛けるには良い天気? 私はね行く先がスーパーでもショッピングモールでも不満はないけどね、私の手よりスマホを握りしめる方が嬉しいの?」
肘を突いたままコーヒーを啜る・・・・。いつの間にか右手にはフォークがある。
「それで、部下に電話をしたんだよね?」
「私を出汁に会社を休んだよね?」
「部下に適当な事を言って会議を押し付けたよね?」
クエスチョンマークを付けるなら回答しないといけないと思うけど、口を開く前に言われてしまっては返す言葉も出せない。
「聞いてる?」
「はい」
満足そうに頷く嫁。
「部下に会議を押し付けて電話を切った後で『ラッキー』て、聞こえていたからね。それなのに『会社より真理子さんの方が大事です』って、読んでいて涙が出たよ。世界線が四五本離れたホント物語の世界だわ」
御魂を鎮めたくてもショートケーキは嫁の手の内にある。天袋に隠してある甘い物を使うか? それはダメだ。隠し場所がバレるし火に油を注ぐようなものだ。
「それで、持って来て貰ったアイス枕の高さの調整? 何もなしだったよね。頭を軽く持ち上げて? いやいやそのまま押し込んだでしょ」
声を出すより先に、
「気持ち笑顔になった? いえいえ御冗談を。髪が引っ張られて痛かったんですけど」
と、大きく一呼吸。何がくるのか・・・・。
「洗濯に気がついてくれたのは感謝しているのよ。翌日から天気が悪くなると天気予報で言っていたでしょ。だからホント感謝しているのよ」
優しい嫁に戻った。悪霊が落ちたかのように切り替わっている。これで解放されたのか? いやこのまま解放して下さい。
「で・・・・、ブラジャーの存在に気がついたのはいつ? 洗濯が終ってから『あ・・・・』って聞こえていたからね。まぁ、洗わなくて正解だけどね。洗濯機で洗われたら形が崩れて着け心地が台無し、もはや使い続ける価値すらなくなってしまうから。それで、洗濯機が黙々と洗濯をしている間にやっていた事は?」
悪霊が戻っている・・・・。
「そう・・そうですね。ゲームでした」
掃除と言い掛けたけど『そ』の段階で目つきが変わった。
「そうだね。風呂掃除ではなくゲームだったよね」
「はい」
「そもそもね、抗菌仕様が風呂掃除から解放している? 何を意味不明な事を。それなのに、汚れていないけど排水溝も掃除した? みんなが掃除をしてなさそうな場所にも気がつくとアピールですか? いやいやちょっと待って、汚れていないけどって掃除は汚れる前にするものなの。俊くんが先に出た後に私が何をしているか知らないって事だよね」
既にショートケーキの姿はなくシートについた生クリームを『嬉しそうに』削ぎ落している。
「それで、炊飯器の取説を引っ張り出して御粥の準備をしたんだよね? 因みに取説は何処に置いてあったのかな?」
素早く本棚の下段を見た。
「本棚にある『取説』ファイルの中ですよ。真理子さんがきちんと整頓してくれているから直ぐに見つかりましたよ」
これで機嫌が直るのは火を見るよりも明らかだね。ナイス自分。
「ほう・・・、では見せてごらん」
背中に感じるレーザーサイトが痛い。
「真理子さんが片づけてくれるお陰で僕は楽をさせて貰ってます。いやホント感謝感謝です」
ここは平身低頭で乗り切るしかない。ガンバレ自分。
「えーと、こないだは直ぐ見つかったのにな? 戻し忘れたかな?」
おかしい・・・・、取説ファイルは一つしかないはず。ファイルに挟んでないのなら、本の隙間に挟んである? 本の上に置いてある? どこを探しても見つからない。まさか何処かに隠してあるとか? 自分じゃないからそれはない。
「あれ?」
もう一度見直す。
「あれれ?」
「どうしたのかな? 御粥を作るのに使ったんだよね?」
突然、思い出した。取説の断捨離してメーカーサイトをお気に入りに登録した。嫁に勧めたのは自分だった。
「ごめんなさい。お粥はレトルトを買ってきました。炊飯器の使い方も覚えていません」
もう、土下座するしかなかった。
「私の為に買ってきてくれた上にレンジで温めてくれた事、心の底から感謝していますよ。ゲームばかりやっていてヘッドホンをしていたのは気遣いと思っておくけど独り言の五月蠅い事。回復魔法の呪文を言っても効果ないでしょ。まったく端から端まで人の神経を逆なでする事ばかりよく書けたわね?」
「だって、小説だもん・・・・」
聞こえないくらいの小声で言うのが精一杯だった。しかし、燃料を投下してしまった。
「だよね! 小説だもんね! 『これで一生安泰だな』なんて呟いたのも書けばよかったのに」
まずい、取り返しのつかない事を言ってしまった。何とか話題を変えないと・・・・。
「あの・・・『嫁の決意』の方はどうでした?」
「あ・・・、あれは良いと思うよ」
どこか、さっぱりした言い方だ。
「さて、夕飯の支度をしなくちゃ」
嫁は立ち上がるとコーヒーカップとケーキ皿を持って台所に行った。
嵐は突然、過ぎ去った。
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