美少女に転生して料理して生きてくことになりました。

ゆーぞー

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「そうと決まれば、儲かるようにしないとね」
「そうです、将来の国力ですから」
「母上、安く買えるものを大量に用意するのがコツですよ」

 フランツ兄様がニコニコしながら提案した。

「え?私は高価な生地で作った一点ものをメインにするつもりよ。そのほうが金額を高く設定できるじゃない」

 お母様はすでに計画していたようである。おそらくは自分や同じ立場の貴族たちが買うことを想定している。フランツ兄様はクスッと笑った。

「貴族の奥方ならそのほうがいいでしょう。でも」

 兄様はそこで言葉を止める。お父様もお母様もレオポール兄様もフランツ兄様に注目し、次の言葉を待っている。

「たとえば、父上がお店に立ち寄ってお土産に買おうとしますよね。母上とマリアンヌに豪華に作った一点ものを買います。で、お値段控えめなものがあれば、マーサやメアリにも買ってあげようって思うんじゃありませんか?」

 3人は雷に打たれたような表情をした。ついでに言えば私もだ。昼に私が話したことを言っている。

「そうね・・・。確かにその通りだわ」
「ああいうものなら、ちょっとしたことに使える」
「そうだな、それに貴族なら適当に大量買いするだろう」

 3人は口々につぶやいていたが、やがて「すごい」「さすがフランツ」などと褒め始めた。褒められたフランツ兄様もご機嫌である。

「実はこれ、マリアンヌの発案なんです」

 褒められすぎたせいで心苦しくなったのか、フランツ兄様が種明かしをした。そして花束を売る話をする。

「なんてアイデア」
「それがあれば、リレットも栄えるわ」
「あそこは立ち寄る場所じゃなくて、通過する場所だったからな」
「それなら、立ち寄る場所にしてみては?」

 私の提案に全員が目を丸くした。

「あそこは何もないところよ」

 お母様が生まれ育った場所なのにそんなことを言う。確かにその通りである。そこで私は閃いたことを話した。

 この世界にはホテルというものがないのだ。家ではないところに行くときは知り合いの人の家に泊めてもらう。知り合いがいなければ行くことはできないし、野宿をするしかない。貴族が野宿をすることはほぼないので、貴族たちは知り合いになったら領地などに呼び合うのだ。

「つまり、お金を支払って泊まる家を確保するということか」
「はい」
「でも、リレットは何もないところよ」

 くどいまでにお母様が言う。確かに何もないが、それがいいのだ。

「たとえば、お父様とエイアール様がスロベリートへ出張されるとしますね」

 現実にありそうな話を出してみる。お父様は興味津々になって、私の話を聞いてくれている。

「それで、お母様とステファニー様も同行されたとします。お仕事をしている間などリレットで滞在されて、思う存分お話をするのです。自然を堪能するのもいいですし、髪やお顔のお手入れを念入りにするとか?」

 お父様とお母様が目を見開いた。この世界は娯楽が少ない。マリアンヌの記憶に頼るしかないのだが、どうも家族単位、夫婦単位で行動している。妻たちだけで会ってお茶する、買い物に行くなどはなく、夫も同伴のもと出かけている。妻だけのお茶会なども存在しないのだ。

 エイアール家は我が家で避難しているから、お母様とステファニー様は今日思う存分おしゃべりができた。それは大変稀なことなのだ。

「それ・・・は、すごく・・・楽しそうね」
「うん、いいね」

 お母様の目がキラキラと輝いている。

「マリ、いい案だよ。ちょっと計画してみるね」
「フランツ、お祖父様が静養されていたお屋敷があったでしょ?今は使っていないから、あそこを少し改装して宿泊できるようにしてみたらどうかしら?」
「僕も同じことを考えていました。メイドたちも増えてしまったので、その業務に移動してもらったらどうでしょうか。うちで教育したメイドですから、貴族のお客様相手にも対応できるでしょう」
「お料理とか、お茶菓子をそちらにもお送りしますね」

 私の提案に2人の動きが止まった。

「な、んですって?」
「マリの料理を?」
「疲れませんから、大丈夫です」

 私は先に言った。どうせそう言うはずだっただろう。2人は安心したように微笑んだ。

「それならお客は大喜びだ」
「というか、そこまでする必要ある?」
「せっかくなら楽しんで頂かないと。お客様は呼べませんよ」
「そうですよ、兄上は商売に向いていませんね」

 そう言ってフランツ兄様は私にウインクして見せたのだった。
 
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