ルビーの帰る場所[完結]

シンシン

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ルビーは驚くことが多かったが内心嬉しかった。
ノックが色々と語ってくれている。
下世話な話もあるが参考になる言葉、ルビーが最も欲しかった言葉もあった。
ルビーとノックはどれくらい歩いたのだろうか。

ノックが立ち止まった。
「もうすぐで彼が来るな。最後にいくつか。
花は涼風が撫でて薫る。布は経糸と緯糸が織られて重なってきれいになる。お前には良き親友たちや家族がいる。これらを忘れてはいけないよ。
今日に感謝して明日に希望を持て。その今日が憎らしくて恨めしいと落ち込んでもだ。日の光は全て優しく包んでくれる。星の輝きは夜を照らす。逃げ出したいことがあっても優しさには気付いてあげて。」
ルビーは胸から熱いものがこみ上げていることを感じた。
涙が流れていることに気づいた。
話は何ひとつ共通することがない様に感じる。
しかし何かに気づかされることがある。
ノックは後ろを向いて歩き出した。
ルビーは言った。
「ありがとう。またね。」
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