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第17話 ソグド人でソグド人でソグド人なんですっ……気宇壮大で意気軒高な『シルクロードと唐帝国』
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せっせと書いてきた中華ファンタジーが書けたのでいよいよ公開することにしました!
タイトルは「後宮出入りの女商人 四神国の妃と消えた護符」で、西域の国から若い女商人がやってきて後宮の謎を解くお話です。
↓
https://www.alphapolis.co.jp/novel/161111112/878803039
ぜひお立ち寄りくださいませ!
さて。
西域のシルクロードを旅する商人といえばソグド人。
今回ご紹介する本も、ソグド人についてのものです。
森安孝夫さんの『シルクロードと唐帝国』です(有名な本ですから既にご存じの方も多いかもしれません)。
ソグド人は今のウズベキスタンの辺り(ソグディアナ)を故郷とするコーカソイドの人々で、シルクロード貿易を担っていました。
シルクロードや西域という言葉の持つ「エキゾチックなイメージ」を体現しているような人々で、ファンタジー小説を書く立場にとっては使いでのある題財かと思います。
90頁の「ソグド人の故郷・ソグディアナ」には以下のように詳しく書かれています。
(※私が持っているのは2007年の大型の本です。数字はその頁ですのでご注意を……)
「ソグディアナというのは『ソグド人の土地』の意であり、紀元一千年紀のユーラシアに雄飛したソグド人の故郷である」
「ユーラシア大陸のほぼ真ん中に位置し、パミール高原から西北に流れアラル海にそそぐアム河《ダリヤ》とイム河《ダリヤ》に囲まれ」
「ソグディアナは現在そのほとんどがウズベキスタン国に属するが、東端の一部のみはタジキスタン国領になっている」
容貌については94頁の「ソグド文字とソグド語」の項目に以下の様に書かれています。
「ソグド人は人種的にはコーカソイドであり、身体的特徴としてはいわゆる『紅毛碧眼』で代表されようが、より具体的には白皙、緑や青い瞳、深目、高鼻、濃い髭、亜麻色・栗色ないしはブルネットの巻き毛が挙げられる」
ソグド文字については、この本ではアケメネス朝ペルシアの後「アラム語でソグド語を書写するようになり、そのアラム文字が草書化していってソグド文字が生まれた」「後にソグド人の東方発展にともなってソグド文字が突厥・ウイグルに伝播し、唐代にこのソグド文字がウイグル文字へ、十三世紀にはそのウイグル文字がモンゴル文字へ、そして最後には十七世紀にモンゴル文字から満州文字へと転化していく」のだそうです(96頁)
具体的にどんな文化を唐にもたらしたかは、第四章の「唐代文化の西域趣味」に詳しいです。
鷲生がこの連載でご紹介した石田幹之助さんの『長安の春』も取り上げられており、名著だと賞賛しておられます(そして、後述しますが、それと比較するような形で「近年、巷にあふれる小説家によるいわゆる歴史物」をディスっておられますw)。
石田幹之助さんの「名著」のご紹介はコチラです。
↓
「第13話 季節が変わる前に速報的にご紹介!『長安の春』」
https://kakuyomu.jp/works/16817139556995512679/episodes/16817330652384367576
森安孝夫さんの『シルクロードと唐帝国』の第四章「唐代文化の西域趣味」には、「酒場の胡姫」「胡旋舞と胡騰舞」「音楽・舞踏とその担い手」の3つの項目があります。
シルクロードというと東西の一本道を連想しがちですが、南北方向も含め複雑なネットワークとなっており、唐の長安だけでなく、北方の遊牧民族のもとにもソグド人勢力がいたのだそうです。
商売に従事するだけではなく武装勢力ともなり、そして各民族集団と混交して、この時代のユーラシアの動向を左右していきます。
森安孝夫さんの『シルクロードと唐帝国』が描きたいと思っていらっしゃるのもこの歴史のダイナミズムであり、読んでてわくわくしますよ!
冒頭部分には以下のような文言があります。
「本書の大きなねらいは、これまで幾度となく語られてきたシルクロードと唐帝国に関わる歴史を西欧中心史観とも中華主義思想とも異なる中央ユーラシアからの視点で、分かりやすく記述することにある。いいかえれば、遊牧騎馬民集団とシルクロードの両者を内包する中央ユーラシア史の側からユーラシア世界史を、すなわち前近代の世界史を見直すのである」(26頁)
本書は「ソグド人でソグド人でソグド人なんですっ!」とソグド人をかなりの強火で推す内容ですが、ソグド人が関わった突厥、唐、ウイグル、チベットのダイナミックな関わりを一つの視座から俯瞰し、ユーラシア史という気宇壮大な歴史記述に取り組んだものだと思います。
ただ、本書。某ネット書店のレビューを見ていると受け付けない人は受け付けないようで……。
上記の引用箇所にもありますが「西欧中心史観」「中華主義思想」、そしてそれらに影響されている社会風潮や論敵に対する批判の文言が手厳しいんですw
ソフトな文章では決してなく、それが読んでて不快だと感じる人も多いようですね。
鷲生は個人的にこういう研究者の方が懐かしかったりしますが……。
私は実は一度関西の大学の日本史学科を卒業して社会人になってから、別の社会科学の分野で大学に入り直しています。その再入学先は……驚くなかれ、天下の東京大学ですw(三年生に編入できる学士入学でした)。
私の指導教官はとても温和な方でしたが、他の先生方はそりゃもう自己主張の強い方が多かったですよ~。
学界をリードしようかっつーほどエライ先生にはそういう方が多いんじゃないかと。アグレッシブで意気軒高なのは研究者として望ましかったりしますしね。
この本の著者もそういう感じの方なのかもなあ……と学生時代を思い出します。
あと、この本の著者は「歴史小説」にもお怒りです。
この本には「理科系的歴史学・文化系的歴史学・歴史小説」の3つを比較した項目があります(42頁)。
理科的というのは「原点史料に基づいて緻密に論理展開され、他人の検証に十分堪えうる」ものです。ただ、歴史資料は「偶然残ったもの」で「必要な史料がないことが普通」なので「推論」せざるを得ず「その推論に学問的良心を堅持するのが文化系的歴史学であり、責任をもたないのが歴史小説である」とのこと。
そしてこう続きます。
「小説家が書く歴史ものがよく売れるのは、読みやすくて面白いからであろうが、あちこちに事実誤認や願望を含む曲解があっても、それに対して彼らは一切責任をとらない」
上記の石田幹之助さんの『長安の春』を余韻を持たせた良書だと褒め称えた箇所でも、返す刀で歴史小説をぶった斬ってらっしゃいますw
「近年、巷にあふれる小説家によるいわゆる歴史物は、親切というかおせっかいというか、本当の歴史家なら余韻として残さざるを得ない部分に、まったくの想像でありもしないストーリーを『創造』し過ぎている。そうした現状を榎先生は『歴史の顔をした作り話の横行』であると批判しておられた」
アカデミックな歴史学と小説との立場の違いについては色んな議論があると思います。
鷲生もこのような批判があると思うので、カクヨムでも「歴史・時代・伝奇」ジャンルではなく「異世界ファンタジー」ジャンルで登録しております。
(それにカクヨムの「歴史・時代・伝奇」ジャンルでは実在の人物が登場しないと駄目っぽいので)。
そしてせっかくファンタジーなのですから、必ずしも史実にガチガチにとらわれることなく面白くイメージを含ませていいんじゃないかと思います。あくまで「歴史です」と主張さえしなければ。
この連載でも歴史「ファンタジー」を書くことを前提に気軽に資料本を紹介しておりますが、とはいえ扱っているのは歴史書なので、この点は正確さが必要だと認識しております。
ですから、内容の紹介に不足があれば「その本のこの箇所はこう紹介すべきでは?」とご指摘いただくのは有難いです。
また、「このテーマならこんな本もありますよ」とご教示頂ければラッキーだと思っております。
(そしてこういうコメントでしたら他の方にも読んで頂きたいです)。
しかしながら。たまに「俺様の知ってる正しい歴史を教えてやろう」というコメントを頂いて困惑することもあります。
鷲生の物知らずぶりに呆れるお気持ちは分かりますが、「ソースは俺」ではなく、出典をお示しいただければと思うんです。
森安孝夫さんの文言を再度引用いたします。森安さんが最善だと思っておられる理科的歴史学では「原点史料に基づいて緻密に論理展開され、他人の検証に十分堪えうる」ことが大事です。
「歴史」について語るのならば、「原点史料」か、あるいは文科的歴史学の本(内容に責任をもって世に出された歴史学者の書籍)を挙げることもお願いしたく……。
歴史小説家が「ソース俺」で歴史を語ろうとするのが、森安孝夫さんの怒りのツボだと思います(「そういうところやぞ」)。
そして、一応歴史学科を卒業したこともある私もそう思います(全然勉強しない学生でしたがw、だから社会人入学して別の大学に入り直したりするわけなんですよね)。
(ついでに……。創作と関係なく「歴史」について語りたいなら大学に行かれてはどうでしょう? 鷲生は通学制の大学2カ所に加え、育児中に教育学や心理学を勉強しようと放送大学と星槎大学の科目履修生になったりしてましたし、ためになりましたよ)。
ええと。話が(私の愚痴方向に)逸れてしまいましたw
森安孝夫さんはかなりアクの強い研究者様なのかもしれませんが、そのお考えも分かるというお話でした。
この森安孝夫さんの『シルクロードと唐帝国』
2023年現在、入手しやすいのは2016年刊行の講談社学術文庫版ではないかと思います(電子書籍にもなってますし)。
定価の1441円で購入可能です(電子書籍だと少し安いです)。
ISBN10は4062923513で、ISBN13は978-4062923514です。
鷲生も初読は図書館で講談社学術文庫版を読み、そして購入を決めました。
ただ、文庫版では地図が小さくて読みづらいのでw大判の2007年のものを買い求めております。
『シルクロードと唐帝国』は講談社の「興亡の世界史」というシリーズの中の一冊です。
この「興亡の世界史」、Wikipediaにも項目が立っており、「興亡の世界史は、講談社が2006年11月から2010年5月にかけて刊行した叢書。全21巻。2016年2月から2019年1月にかけて、講談社学術文庫に収められた」のだそうです。
その21巻の一覧を見てるとどの本も面白そうで片っ端から読みたくなります。これまで、名前を聞いたことはあるけれど詳しく知らないものがテーマになっているなと感じます。
よく知らないけど、よく知らないから、よく知りたい――その一つがシルクロードです。森安孝夫さんの『シルクロードと唐帝国』はその期待に十二分に応えてくれます。私としてはおススメの一冊です。
森安孝夫さんには『シルクロード世界史』という著作もあるのでそれも読もうと思います。
*****
もう一度宣伝をw
拙作「後宮出入りの女商人 四神国の妃と消えた護符」をどうぞよろしく!
https://www.alphapolis.co.jp/novel/161111112/878803039
タイトルは「後宮出入りの女商人 四神国の妃と消えた護符」で、西域の国から若い女商人がやってきて後宮の謎を解くお話です。
↓
https://www.alphapolis.co.jp/novel/161111112/878803039
ぜひお立ち寄りくださいませ!
さて。
西域のシルクロードを旅する商人といえばソグド人。
今回ご紹介する本も、ソグド人についてのものです。
森安孝夫さんの『シルクロードと唐帝国』です(有名な本ですから既にご存じの方も多いかもしれません)。
ソグド人は今のウズベキスタンの辺り(ソグディアナ)を故郷とするコーカソイドの人々で、シルクロード貿易を担っていました。
シルクロードや西域という言葉の持つ「エキゾチックなイメージ」を体現しているような人々で、ファンタジー小説を書く立場にとっては使いでのある題財かと思います。
90頁の「ソグド人の故郷・ソグディアナ」には以下のように詳しく書かれています。
(※私が持っているのは2007年の大型の本です。数字はその頁ですのでご注意を……)
「ソグディアナというのは『ソグド人の土地』の意であり、紀元一千年紀のユーラシアに雄飛したソグド人の故郷である」
「ユーラシア大陸のほぼ真ん中に位置し、パミール高原から西北に流れアラル海にそそぐアム河《ダリヤ》とイム河《ダリヤ》に囲まれ」
「ソグディアナは現在そのほとんどがウズベキスタン国に属するが、東端の一部のみはタジキスタン国領になっている」
容貌については94頁の「ソグド文字とソグド語」の項目に以下の様に書かれています。
「ソグド人は人種的にはコーカソイドであり、身体的特徴としてはいわゆる『紅毛碧眼』で代表されようが、より具体的には白皙、緑や青い瞳、深目、高鼻、濃い髭、亜麻色・栗色ないしはブルネットの巻き毛が挙げられる」
ソグド文字については、この本ではアケメネス朝ペルシアの後「アラム語でソグド語を書写するようになり、そのアラム文字が草書化していってソグド文字が生まれた」「後にソグド人の東方発展にともなってソグド文字が突厥・ウイグルに伝播し、唐代にこのソグド文字がウイグル文字へ、十三世紀にはそのウイグル文字がモンゴル文字へ、そして最後には十七世紀にモンゴル文字から満州文字へと転化していく」のだそうです(96頁)
具体的にどんな文化を唐にもたらしたかは、第四章の「唐代文化の西域趣味」に詳しいです。
鷲生がこの連載でご紹介した石田幹之助さんの『長安の春』も取り上げられており、名著だと賞賛しておられます(そして、後述しますが、それと比較するような形で「近年、巷にあふれる小説家によるいわゆる歴史物」をディスっておられますw)。
石田幹之助さんの「名著」のご紹介はコチラです。
↓
「第13話 季節が変わる前に速報的にご紹介!『長安の春』」
https://kakuyomu.jp/works/16817139556995512679/episodes/16817330652384367576
森安孝夫さんの『シルクロードと唐帝国』の第四章「唐代文化の西域趣味」には、「酒場の胡姫」「胡旋舞と胡騰舞」「音楽・舞踏とその担い手」の3つの項目があります。
シルクロードというと東西の一本道を連想しがちですが、南北方向も含め複雑なネットワークとなっており、唐の長安だけでなく、北方の遊牧民族のもとにもソグド人勢力がいたのだそうです。
商売に従事するだけではなく武装勢力ともなり、そして各民族集団と混交して、この時代のユーラシアの動向を左右していきます。
森安孝夫さんの『シルクロードと唐帝国』が描きたいと思っていらっしゃるのもこの歴史のダイナミズムであり、読んでてわくわくしますよ!
冒頭部分には以下のような文言があります。
「本書の大きなねらいは、これまで幾度となく語られてきたシルクロードと唐帝国に関わる歴史を西欧中心史観とも中華主義思想とも異なる中央ユーラシアからの視点で、分かりやすく記述することにある。いいかえれば、遊牧騎馬民集団とシルクロードの両者を内包する中央ユーラシア史の側からユーラシア世界史を、すなわち前近代の世界史を見直すのである」(26頁)
本書は「ソグド人でソグド人でソグド人なんですっ!」とソグド人をかなりの強火で推す内容ですが、ソグド人が関わった突厥、唐、ウイグル、チベットのダイナミックな関わりを一つの視座から俯瞰し、ユーラシア史という気宇壮大な歴史記述に取り組んだものだと思います。
ただ、本書。某ネット書店のレビューを見ていると受け付けない人は受け付けないようで……。
上記の引用箇所にもありますが「西欧中心史観」「中華主義思想」、そしてそれらに影響されている社会風潮や論敵に対する批判の文言が手厳しいんですw
ソフトな文章では決してなく、それが読んでて不快だと感じる人も多いようですね。
鷲生は個人的にこういう研究者の方が懐かしかったりしますが……。
私は実は一度関西の大学の日本史学科を卒業して社会人になってから、別の社会科学の分野で大学に入り直しています。その再入学先は……驚くなかれ、天下の東京大学ですw(三年生に編入できる学士入学でした)。
私の指導教官はとても温和な方でしたが、他の先生方はそりゃもう自己主張の強い方が多かったですよ~。
学界をリードしようかっつーほどエライ先生にはそういう方が多いんじゃないかと。アグレッシブで意気軒高なのは研究者として望ましかったりしますしね。
この本の著者もそういう感じの方なのかもなあ……と学生時代を思い出します。
あと、この本の著者は「歴史小説」にもお怒りです。
この本には「理科系的歴史学・文化系的歴史学・歴史小説」の3つを比較した項目があります(42頁)。
理科的というのは「原点史料に基づいて緻密に論理展開され、他人の検証に十分堪えうる」ものです。ただ、歴史資料は「偶然残ったもの」で「必要な史料がないことが普通」なので「推論」せざるを得ず「その推論に学問的良心を堅持するのが文化系的歴史学であり、責任をもたないのが歴史小説である」とのこと。
そしてこう続きます。
「小説家が書く歴史ものがよく売れるのは、読みやすくて面白いからであろうが、あちこちに事実誤認や願望を含む曲解があっても、それに対して彼らは一切責任をとらない」
上記の石田幹之助さんの『長安の春』を余韻を持たせた良書だと褒め称えた箇所でも、返す刀で歴史小説をぶった斬ってらっしゃいますw
「近年、巷にあふれる小説家によるいわゆる歴史物は、親切というかおせっかいというか、本当の歴史家なら余韻として残さざるを得ない部分に、まったくの想像でありもしないストーリーを『創造』し過ぎている。そうした現状を榎先生は『歴史の顔をした作り話の横行』であると批判しておられた」
アカデミックな歴史学と小説との立場の違いについては色んな議論があると思います。
鷲生もこのような批判があると思うので、カクヨムでも「歴史・時代・伝奇」ジャンルではなく「異世界ファンタジー」ジャンルで登録しております。
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そしてせっかくファンタジーなのですから、必ずしも史実にガチガチにとらわれることなく面白くイメージを含ませていいんじゃないかと思います。あくまで「歴史です」と主張さえしなければ。
この連載でも歴史「ファンタジー」を書くことを前提に気軽に資料本を紹介しておりますが、とはいえ扱っているのは歴史書なので、この点は正確さが必要だと認識しております。
ですから、内容の紹介に不足があれば「その本のこの箇所はこう紹介すべきでは?」とご指摘いただくのは有難いです。
また、「このテーマならこんな本もありますよ」とご教示頂ければラッキーだと思っております。
(そしてこういうコメントでしたら他の方にも読んで頂きたいです)。
しかしながら。たまに「俺様の知ってる正しい歴史を教えてやろう」というコメントを頂いて困惑することもあります。
鷲生の物知らずぶりに呆れるお気持ちは分かりますが、「ソースは俺」ではなく、出典をお示しいただければと思うんです。
森安孝夫さんの文言を再度引用いたします。森安さんが最善だと思っておられる理科的歴史学では「原点史料に基づいて緻密に論理展開され、他人の検証に十分堪えうる」ことが大事です。
「歴史」について語るのならば、「原点史料」か、あるいは文科的歴史学の本(内容に責任をもって世に出された歴史学者の書籍)を挙げることもお願いしたく……。
歴史小説家が「ソース俺」で歴史を語ろうとするのが、森安孝夫さんの怒りのツボだと思います(「そういうところやぞ」)。
そして、一応歴史学科を卒業したこともある私もそう思います(全然勉強しない学生でしたがw、だから社会人入学して別の大学に入り直したりするわけなんですよね)。
(ついでに……。創作と関係なく「歴史」について語りたいなら大学に行かれてはどうでしょう? 鷲生は通学制の大学2カ所に加え、育児中に教育学や心理学を勉強しようと放送大学と星槎大学の科目履修生になったりしてましたし、ためになりましたよ)。
ええと。話が(私の愚痴方向に)逸れてしまいましたw
森安孝夫さんはかなりアクの強い研究者様なのかもしれませんが、そのお考えも分かるというお話でした。
この森安孝夫さんの『シルクロードと唐帝国』
2023年現在、入手しやすいのは2016年刊行の講談社学術文庫版ではないかと思います(電子書籍にもなってますし)。
定価の1441円で購入可能です(電子書籍だと少し安いです)。
ISBN10は4062923513で、ISBN13は978-4062923514です。
鷲生も初読は図書館で講談社学術文庫版を読み、そして購入を決めました。
ただ、文庫版では地図が小さくて読みづらいのでw大判の2007年のものを買い求めております。
『シルクロードと唐帝国』は講談社の「興亡の世界史」というシリーズの中の一冊です。
この「興亡の世界史」、Wikipediaにも項目が立っており、「興亡の世界史は、講談社が2006年11月から2010年5月にかけて刊行した叢書。全21巻。2016年2月から2019年1月にかけて、講談社学術文庫に収められた」のだそうです。
その21巻の一覧を見てるとどの本も面白そうで片っ端から読みたくなります。これまで、名前を聞いたことはあるけれど詳しく知らないものがテーマになっているなと感じます。
よく知らないけど、よく知らないから、よく知りたい――その一つがシルクロードです。森安孝夫さんの『シルクロードと唐帝国』はその期待に十二分に応えてくれます。私としてはおススメの一冊です。
森安孝夫さんには『シルクロード世界史』という著作もあるのでそれも読もうと思います。
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もう一度宣伝をw
拙作「後宮出入りの女商人 四神国の妃と消えた護符」をどうぞよろしく!
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