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第21話 料理については手始めにこの本から!『中華料理の文化史』
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前回ご紹介した『斉民要術 現存する世界最古の料理書』という本の書誌情報を調べるのに某ネット書店を見ておりましたら。
今回ご紹介する『中華料理の文化史』という本を、その某密林書店wから関連本としておススメされました。
※前回の記事はコチラです↓
「第20話 料理を知るならこの一冊!『斉民要術―現存する最古の料理書』」
https://kakuyomu.jp/works/16817139556995512679/episodes/16817330662216545468
前回もタイトルだけ文章に挙げましたところ、既に読み始めて読書中とおっしゃる方からコメントいただきました!
「それじゃあ、きっとイイ本なんだろう」と図書館で借りてきたところ、大アタリでした!
「ちくま文庫」の一冊で、平易な内容でありながら、時代ごとの食事の特徴をしっかり伝えてくれる良書です。
書誌情報はは以下の通り。
『中華料理の文化史』 2013(1997年に発行されたものが文庫になったようです)
張 競 著 筑摩書房
ISBNは978-4-480-43069-4
定価は税込み858円。2023年現在定価で購入可能です。
出版社のサイトはコチラ↓
筑摩書房『中華料理の文化史』
https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480430694/
中国名の著者しかあげていないのは、別に鷲生が翻訳者の名前を忘れているからではありませんw
著者の張競さんご自身がとても自然な日本語を書かれるので、翻訳の必要がないからです。
張競さんは中国の大学を卒業後、日本やアメリカで比較文化学を研究されてこられた方です。
日本では東大大学院を修了されて、明治大学の教授でいらっしゃるそうです(表紙カバ―の履歴紹介によります)。
目次は以下の通りです。
序章 変わる中華料理
第1章 孔子の食卓―春秋戦国時代
第2章 ラーメンの年輪―漢代
第3章 食卓のビッグバン―魏晋・六朝時代
第4章 犬肉を食うべきか食わざるべきか―隋唐時代
第5章 羊肉VS豚肉―宋代
第6章 箸よ、おまえもか―宋元時代
第7章 ああ、フカヒレ―明清時代
現代の日本と中国が抱いている「中華料理」へのイメージがいつの時点でどのように生まれたものなのかを、ユーモアも込めながら広く分かりやすく解説して下さっています。
たとえば、第7章。タイトルが「ああ、フカヒレ」とありますが、張競さんご自身のフカヒレへの愛情と、世間の「高級中華料理」イメージをベースに、それがそんなに古くは遡らないことを指摘し、「当初はこのように食べられ始めたのではないか?」など考察されています。
鷲生は前回、この連載で『斉民要術 現存する世界最古の料理書』をご紹介しましたが、読む順番はコチラの『中華料理の世界史』を先にした方がいいのではないかと思います。
『斉民要術 現存する世界最古の料理書』では個別のレシピが主ですが、こちらでは食にまつわる文化が幅広く取り扱われています。
読む本は読み易いものから難度を上げていく方が理解がスムースにはかどると思いますし、一般的な概略を把握してから個別の事象に目を移した方が分かりやすいと思います。
また、この本では、現代に生きる私たちとの距離感が上手に説明されています。
私たち現代日本社会で生きていると、どうしてもベースに普段の自分たちの食事風景を置きがちです。そこに中華な要素を盛り込もうとしても、これもまた現代日本人にとって見聞きした中華料理に過ぎません。
つまり。ぼやっとしているとうっかり中華ファンタジーにエビチリなんかを登場させかねない危なっかしい所が、少なくとも鷲生にあるんですよねw
その点、今回ご紹介する『中華料理の文化史』は、現代日本人の持っている中華イメージとの相違点にフォーカスして下さっているので、とても助かる本だと思います。
(鷲生は必ずしも歴史ファンタジーが史実通りでなくてはならないとは考えませんが。ただ、この本で得られた知識を適切に使うことで、より中華っぽさが強調できるかも、です!)。
翻訳者要らずの自然な日本語に、軽妙な語り口。
鷲生はこの先生の他の本も読んでみたくなりました。
上掲の筑摩書房のサイトでは、この先生の紹介文の中で以下の著作が列挙されています。
『恋の中国文明史』(ちくま学芸文庫、第45回読売文学賞)
『近代中国と「恋愛」の発見』(岩波書店、1995年度サントリー学芸賞)
『美女とは何か――日中美人の文化史』(角川ソフィア文庫)
『中国人の胃袋』(バジリコ)
『「情」の文化史――中国人のメンタリティー』(角川選書)などです。
文系の参考資料はこのように芋づる式に増やしていくものかと思います。
他の本を読むのも楽しみです!
あ。最後に拙作中華ファンタジーの宣伝を。
「後宮出入りの女商人 四神国の妃と消えた護符」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/161111112/878803039
どうぞお立ち寄りくださいませ。
今回ご紹介する『中華料理の文化史』という本を、その某密林書店wから関連本としておススメされました。
※前回の記事はコチラです↓
「第20話 料理を知るならこの一冊!『斉民要術―現存する最古の料理書』」
https://kakuyomu.jp/works/16817139556995512679/episodes/16817330662216545468
前回もタイトルだけ文章に挙げましたところ、既に読み始めて読書中とおっしゃる方からコメントいただきました!
「それじゃあ、きっとイイ本なんだろう」と図書館で借りてきたところ、大アタリでした!
「ちくま文庫」の一冊で、平易な内容でありながら、時代ごとの食事の特徴をしっかり伝えてくれる良書です。
書誌情報はは以下の通り。
『中華料理の文化史』 2013(1997年に発行されたものが文庫になったようです)
張 競 著 筑摩書房
ISBNは978-4-480-43069-4
定価は税込み858円。2023年現在定価で購入可能です。
出版社のサイトはコチラ↓
筑摩書房『中華料理の文化史』
https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480430694/
中国名の著者しかあげていないのは、別に鷲生が翻訳者の名前を忘れているからではありませんw
著者の張競さんご自身がとても自然な日本語を書かれるので、翻訳の必要がないからです。
張競さんは中国の大学を卒業後、日本やアメリカで比較文化学を研究されてこられた方です。
日本では東大大学院を修了されて、明治大学の教授でいらっしゃるそうです(表紙カバ―の履歴紹介によります)。
目次は以下の通りです。
序章 変わる中華料理
第1章 孔子の食卓―春秋戦国時代
第2章 ラーメンの年輪―漢代
第3章 食卓のビッグバン―魏晋・六朝時代
第4章 犬肉を食うべきか食わざるべきか―隋唐時代
第5章 羊肉VS豚肉―宋代
第6章 箸よ、おまえもか―宋元時代
第7章 ああ、フカヒレ―明清時代
現代の日本と中国が抱いている「中華料理」へのイメージがいつの時点でどのように生まれたものなのかを、ユーモアも込めながら広く分かりやすく解説して下さっています。
たとえば、第7章。タイトルが「ああ、フカヒレ」とありますが、張競さんご自身のフカヒレへの愛情と、世間の「高級中華料理」イメージをベースに、それがそんなに古くは遡らないことを指摘し、「当初はこのように食べられ始めたのではないか?」など考察されています。
鷲生は前回、この連載で『斉民要術 現存する世界最古の料理書』をご紹介しましたが、読む順番はコチラの『中華料理の世界史』を先にした方がいいのではないかと思います。
『斉民要術 現存する世界最古の料理書』では個別のレシピが主ですが、こちらでは食にまつわる文化が幅広く取り扱われています。
読む本は読み易いものから難度を上げていく方が理解がスムースにはかどると思いますし、一般的な概略を把握してから個別の事象に目を移した方が分かりやすいと思います。
また、この本では、現代に生きる私たちとの距離感が上手に説明されています。
私たち現代日本社会で生きていると、どうしてもベースに普段の自分たちの食事風景を置きがちです。そこに中華な要素を盛り込もうとしても、これもまた現代日本人にとって見聞きした中華料理に過ぎません。
つまり。ぼやっとしているとうっかり中華ファンタジーにエビチリなんかを登場させかねない危なっかしい所が、少なくとも鷲生にあるんですよねw
その点、今回ご紹介する『中華料理の文化史』は、現代日本人の持っている中華イメージとの相違点にフォーカスして下さっているので、とても助かる本だと思います。
(鷲生は必ずしも歴史ファンタジーが史実通りでなくてはならないとは考えませんが。ただ、この本で得られた知識を適切に使うことで、より中華っぽさが強調できるかも、です!)。
翻訳者要らずの自然な日本語に、軽妙な語り口。
鷲生はこの先生の他の本も読んでみたくなりました。
上掲の筑摩書房のサイトでは、この先生の紹介文の中で以下の著作が列挙されています。
『恋の中国文明史』(ちくま学芸文庫、第45回読売文学賞)
『近代中国と「恋愛」の発見』(岩波書店、1995年度サントリー学芸賞)
『美女とは何か――日中美人の文化史』(角川ソフィア文庫)
『中国人の胃袋』(バジリコ)
『「情」の文化史――中国人のメンタリティー』(角川選書)などです。
文系の参考資料はこのように芋づる式に増やしていくものかと思います。
他の本を読むのも楽しみです!
あ。最後に拙作中華ファンタジーの宣伝を。
「後宮出入りの女商人 四神国の妃と消えた護符」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/161111112/878803039
どうぞお立ち寄りくださいませ。
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