京都に住んで和風ファンタジー(時には中華風)の取材などする日記

washusatomi

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冥界への井戸を見てきました!

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 平安時代を舞台にするファンタジーでは陰陽師の安倍晴明が有名ですが。
 不思議な能力の持ち主と言えば、小野篁(おののたかむら)という人もいます。

 同じ平安時代でも、安部清明よりずっと世代は上で、平安京が都と定められてからそう時間が離れていない頃の人です。

 よく知られている通り桓武天皇が平安京に遷都したわけですが(794年、鳴くよウグイス平安京ですね)。
 桓武天皇の次に平城天皇、その次に嵯峨天皇の代となります。小野篁は嵯峨天皇の時代の人です。

 安倍晴明の色んなエピソードは、後年、子孫が先祖に箔をつけるために流布したという性格が強いものです。
 岡野玲子さんの漫画「陰陽師」(夢枕獏さん原作ですが、だいぶかけ離れてますよね)では安倍晴明はかなり奇矯な人物ですし、2024年大河ドラマ館「光る君へ」でもユースケ・サンタマリアさんがいーい感じに胡散臭く演じてらっしゃいましたがw 史実の安倍晴明は意外と手堅い理系(天文学)官僚だったかもしれません。

 一方、小野篁という人は同時代の人々から見ても強烈な個性の持ち主だったようで、「野狂」とも呼ばれていたとか。

 平安時代の初期ですからまだ遣唐使が派遣されており、その副使に選ばれていたのですが、トラブルがあって乗船拒否(Wikipediaなどで詳細をご覧いただければと思いますが、筋から言うと篁の言い分ももっともではあります)。

 その後、激烈に朝廷を風刺する漢詩を作り、激怒した嵯峨天皇により隠岐国へ流罪(才能ある人なので2年ほどで赦免されて帰京しますが)。

 皆さまもどこかで聞かれたことがあるかもしれないこのクイズ。「子子子子子子子子子子子子」をどう読むかという質問は、嵯峨天皇が、どんな字でも読めると豪語した篁に出題したものです(答は※1)。

 さて。
 この小野篁には昼間は朝廷の官人をつとめつつ、夜は冥界で閻魔大王の下で働いていたという話が伝わっています。

 当時の有力貴族がいったん死んで閻魔大王のところに行ったところ、篁がとりなして生き返らせたのだとか。

 その、篁が冥界と行き来していたという井戸が六道珍皇寺(※2)というお寺にあります。清水寺の近くですね。

 この辺の事情と六道の辻をまとめて説明したのが以下の文章です(六道珍皇寺のウェブサイトの説明を引用します)。

 *****

 六道珍皇寺本堂と「六道の辻」
「六道」とは、仏教の教義でいう地獄道(じごく)・餓鬼道(がき)・畜生道(ちくしょう)・修羅(阿修羅)道(しゅら)・人道(人間)・天道の六種の冥界をいい、人は因果応報(いんがおうほう)により、死後はこの六道を輪廻転生(りんねてんせい)する(生死を繰返しながら流転する)という。 この六道の分岐点で、いわゆるこの世とあの世の境(さかい)(接点)の辻が、古来より当寺の境内あたりであるといわれ、冥界への入口とも信じられてきた。

 このような伝説が生じたのは、当寺が平安京の東の墓所であった鳥辺野に至る道筋にあたり、この地で「野辺の送り(のべのおくり)」をされたことより、ここがいわば「人の世の無常とはかなさを感じる場所」であったことと、小野篁が夜毎(よごと)冥府通いのため、当寺の本堂裏庭にある井戸をその入口に使っていたことによるものであろう。この「六道の辻」の名称は、古くは「古事談」にもみえることよりこの地が中世以来より「冥土への通路」として世に知られていたことがうかがえる。

 *****

 平安京の葬送の地、鳥辺野は2024年大河ドラマ「光る君へ」でも出てきましたね。
 オリキャラの盗賊・直秀が亡くなった場所であり、一条天皇の皇后定子が葬られた場所です(※3)。

 鷲生は30年ほど前から京都に住んでいますが、友人がこの辺りに下宿しており、その大家さんにお嬢さんの家庭教師を頼まれ、その雑談でお嬢さんから「この辺りは幽霊が出るんですよ~」という話を聞いたそうです。
 友人が「怖~い」と言うと、「大丈夫ですよ、先生の部屋って6階じゃないですか。そこまで幽霊はのぼってきませんよ」という返事だったそうですよw

 その頃から鷲生も六道珍皇寺の小野篁の冥府通いの井戸を一度見てみたいな~と思ってはいたのですが。
 京都に住んでいると「いつでも行けるわ」と思うので、ずっとそのままでした。

 近年になってこうしてカクヨムに小説を投稿するようになって、平安ファンタジーの取材であちこち巡るようになり、次回作では小野篁も登場させようかと思うのでいよいよ六道珍皇寺に行こうとしたのです……ですが!

 京都がすっかり観光地なのでいつでも観光客として見られると思いきや。
 原則的には見られないんですよ……その井戸。
 京都のお寺の全てが観光地化されているわけでないんですよね……。
 安倍晴明神社が結構アツイ観光スポットになっているのとはだいぶ違いますね。

 でも、六道珍皇寺も特別拝観で見る機会を設けてくださいます。
 これが先日、11月23日、24日にありました。で、お出かけした次第です。

 写真はnoteに投稿しております(※4)。

 まあ、ただの井戸と言えば井戸ですが……。
 井戸というものを、こう間近で見た経験があまりないので、じっくり見せていただきました。

 そういえば。昔ずっと京都に住んでる人からきいた話では、その人の自宅は100年以上経過した町屋で庭に井戸があり、ときどき使っていたそうですが、保健所の指導で使わなくなったんだそうです。
 鷲生は神戸育ちで生まれた時から水道オンリーですが、井戸が身近な人は京都に多いかもしれませんね。

 この六道珍皇寺。近年、隣接民有地(旧境内地)から井戸が発見され、六道珍皇寺では古くからある井戸を「冥途通いの井戸」、新しい方を「黄泉かえりの井戸」と名付けていらっしゃいます。
(この新しい井戸が発見されるまで、六道珍皇寺の古い井戸が冥途への往路である一方、復路は嵯峨野の大覚寺にあるとされていました。今でもこちらのほうが有名かもしれません)。

 京都に住んでてもいつでも見られるわけではないものを、ちゃんと見逃さずに見られて良かったです。
 次回作に上手く行かせればエエなあ~と思っております!

*****

※1 答えは「猫の子仔猫、獅子の子仔獅子」です。
Wikipediaに「子子子子子子子子子子子子」という項目があり、解説もありますよ。

※2 六道珍皇寺ウェブサイト
http://www.rokudou.jp/guide/

※3 「光る君へ紀行 第28回 鳥戸野陵」
https://www2.nhk.or.jp/archives/movies/?id=D0004090128_00000

※4 今回の写真のnote記事のURLはコチラ↓ 「note」「鷲生智美」の検索ワードでも出てくるかと思います。
https://note.com/monmonsiteru/n/n4dfd084e1726



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